BRM529静岡400・後編

<前編からの続き>

 30分弱の休憩の後スタート、走り始めると徐々に日も傾き始めました。ここから50km先までで大きな峠は終了するので、そこまでを克服することに集中して走ります。膝は相変わらず痛みますがそれより尻の痛みがかなり増してきました。アンダーウェアが擦れて尻の皮膚がかなり痛いです。3つめの登りは結構な急勾配が時たま出てくるので、膝に負担をかけないように禁じているダンシングをたまらず繰り出して難を逃れます。
 4つめの峠越えは前半の峠と同様になだらかな勾配なのでそれ程苦になりません。この頃にはもうすっかり夜になり気温も下がってきたせいか、意外に足が回るようになり前半以上にスピードが上がっています。膝の痛みも不思議と感じません。
 真っ暗な山道を前方のライトに照らされた地面だけを眺めながら走るのは、何ともいえない感じです。昼の山道では苦しい思いしかありませんでしたが、ここまで来ると「ただただ走るのみ」っていう感じです。途中の山間部の田んぼの中を走り抜ける道では、暗闇の中でカエルの鳴き声があちこちで聞こえます。
 ようやく最後の峠を攻略し後はひたすら下るのみです。真っ暗なダウンヒルを細心の注意を払って下ります。300km近くを走ってきて集中力も落ちてきているので兎に角気をつけなければいけません。
 回る脚に任せて踏みを入れながら、真っ暗な山間部の平坦路を一人旅。ここでも想定以上のスピードで走れたので平均速度20km/hを回復、もしかしたら20時間以内完走ができるかも、とちょっとだけ希望が出てきました。

 PC4に到着、チェックタイムは21:40。320km地点に到達ということで、この時点で既に自己の最長距離を更新しています。買い物をして補給をしていると、レシートをもらい忘れたことに気付き慌てて店内へ。集中力が落ちているのか、あわや大惨事でした。
 次のPC5まで50km、距離にすると大したことない感じがしますが、時間にすると2時間強、まだまだ先は長いです。
 南下しながら街中に入り、浜名湖畔を走りますがこの道が細かいアップダウンがあって結構脚に来ます。左折して進路を東に取ったところで今度は向かい風、ひたすら東に走るコースでこの風は、上り坂以上に精神的に堪えます。再び膝が痛み始め速度も一気に落ちます。
 もう少しでPCという所で前方に一人のブルベライダーを発見。蛇行しながらゆっくり走っています。もしかしたら眠いのでは、と思い声をかけます。

 PC5に到着、チェックタイムは0:07。日付が変わってしまいました。370km地点の最後のPCに辿り着き、ここでようやく完走の手ごたえを感じました。先程のライダーと話をしましたがやはり相当に眠かったそうです。そう言えば私自身はそれ程眠気は感じていません。10分程の休憩の後、一人で出発。ラストスパートは30km、時間にして1時間半、やはりまだまだ長いです。
 相変わらずの東からの向かい風は変わらず、幹線道路を結構なスピードで抜き去っていく車に注意しながら淡々と走ります。早くゴールして膝をアイシングしたいという思いだけでせっせと走ります。
 ゴール地点の愛野まであと直進5kmの標識を見た時、もうこれで終わると安堵したのもつかの間、ナビは右へ曲がれと言う。確かにコースは再びゴール地点から離れる方向で、しかも向かう先は上り坂が見える。これにはかなり精神的にやられました。最後の幾つかの丘を最後の気力を振り絞って超え、今度こそ最後の平坦路を走るとはるか向こうにスタート地点の公園が闇の中に見えました。
 1:42、ゴールです。

 スタッフにブルベカードとレシートを渡し、全ての記入・確認が終わったところで安堵感が広がりました。完走タイムは19時間47分、目標をクリアできました。スタッフが用意してくれたカレーうどんが何とも旨かったこと!走り終えた直後はまだもう少し走れる余力があったように思いましたが、家に帰り着いてみたらもう何にも残ってなくて、車に荷物を積んだまま倒れこむように眠りました。目が覚めると膝をはじめ身体のあちこちが痛く、やはりダメージは相応にありました。

 400kmを走るというのは私の人生で最大の冒険でしたが、実際にやり遂げることができたのは嬉しいのは勿論、今まで練習を積み重ねてきた結果がここに現れたと考えると、40歳を過ぎてもまだまだやれる自信になりました。
 でもまあ一日で400kmというのはもうお腹一杯ですね。気持ちも体力も出し尽くした感があってもう当分いいやって感じです。実は当初計画では6月19日に400kmにエントリーしていたのですが、これのことはもうちょっと先で考えることにします。