ブルベとはかくも厳しい競技なのか(BRM619埼玉400)後編

(前編からの続き)

 夜の賑わいを見せるの長野市街を後にして、しばらく走ると人家もまばらな山道に入ります。いよいよ菅平へのアタック開始です。10kmで標高差900mを一気に駆け上がる登りは、とりあえず序盤は割りと勾配が緩めなので何とかやり過ごせましたが、後半を過ぎると徐々に勾配がきつくなります。真っ暗闇でバイクのライトが照らす前方の明るい輪だけを見ながらひたすら登るのですが、登っても登っても終わりません。「暗闇坂の無間地獄」再びです。脚もかなり消耗し、ダンシングも多用したので頻繁に出現する急勾配に対応できなくなってきました。車通りが全くないことをいいことに蛇行を使い始めます。が、路肩の落下物が突然視界に入り咄嗟に避けようとしたところバランスを崩し、痛恨の足つき!今までの頑張りも水泡と帰しました。直ぐに乗り直し、上り続けると400mで菅平のピークに到達、10kmの登りで残り400mの足つきは悔やんでも悔やみ切れません。

 菅平攻略の後は再び鳥居峠のアプローチです。登り初めで雨が降ってきました。今頃になって想定通りの雨になるとは何とも皮肉な話ですが、結構な雨量になってきたのですかさずレインウェアを身に着けます。雨の中のだらだらとした登りをえっちらおっちら上りますが最難関の菅平の登り返しをこなした後ではそれ程苦痛には感じませんでした。
 しかし、本当の試練はここからでした。鳥居峠を越え長い下り坂を下り始めた時、バケツをひっくり返したような土砂降りになりました。街灯一つない山道では視界はゼロ、ブレーキをかけっ放しで超スローペースで下ります。レインウェアもこの雨量では全く役に立たず、全身中まで水が滲みてしまいました。正直、生きた心地がしません。登りで散々苦しめられた後に下りでこんな形で苦しめられるとは想像だにしていませんでした。とにかく苦しいの一言です。ブルベの真のハードさを痛いほど思い知らされました。

 何とか鳥居峠を下り切る頃には雨も弱まり、気を取り直して北軽井沢を過ぎ最後の登りの二度上峠を目指します。
 この頃になると右膝が徐々に痛み始めました。やはりこれだけの登りでダンシングも多用したのでかなりの負荷をかけたのでしょう。右膝を庇いながら暗闇の坂をえっちらおっちら上ります。この頃にちょっとだけ「ランナーズハイ」状態が訪れましたが如何せんかなりの体力を消耗しているので、それ程の効果は得られません。それでも幾分かは登りの速度も上がり、何とか二度上峠を攻略。これで試練の山岳地帯は終了、後の115kmは下り基調の平坦路です。
 二度上峠をやはり雨天走行でスローペースで下ります。下ハンドルを持ってブレーキレバーを握りっ放しでスローペースで下るので、腰にかなりの負担がかかります。20Km弱の下りを1時間近くかけて下り切りました。

 305km地点の高崎の通過チェックポイントの到着、チェックタイムは2:30です。おにぎり2個を補給します。ここでちょうど集団が出発しようとしていたので、ついて行くことにしました。膝のことを考えるとかなりありがたいです。
 走る途中で空も白々と明け始めました。この調子だとゴールは早朝です。

 354km地点の本庄児玉のPC4に到着、チェックタイムは4:56です。シュークリーム1個とレッドブルを補給、膝の具合もあまりよくなく、あまり長時間休憩をすると更に筋肉が萎縮しそうなので、ここからは一人で先を急ぐ決断をします。ゴールまではあと2時間、とりあえず眠気はありませんが疲労感ははっきりと自覚があります。確実に完走を果たすために、ただひたすらにペダルを漕ぎ続けます。
 ときがわ町にさしかかると、普段から走っている見慣れた風景に変わり、ようやくここまで帰って来たと安堵すると同時に、ラストスパートの元気がちょっとだけ出てきました。
 
 そして、巾着田に無事辿り着きゴール!ゴールタイムは6:59、実質タイムは23時間01分での完走を果たすことができました。

 いやあ、今回のブルベはとにかくきつかった!私がブルベを始める前に漠然と抱いていた「サイクリングというより荒行」というイメージ通りの体験でした。帰宅して直ぐに床に入りましたが、疲労困憊で直ぐに眠ることができず、覚醒と夢の区別が付かない状態を彷徨っていました。そして3時間後に目覚めた時はとにかく腰が痛くてとても自転車に乗れるような感じはありません。この感じだと600kmを走る時にどのタイミングで仮眠をとればよいのかますますわからなくなってきました。これは次回までの課題です。とにかくまずは心身ともに休みたいと思います。