北海道パラダイスウィークレポートNo.5 第5ステージ(BRM808北海道600後半)

8月9日
 5時過ぎに目が覚める。目覚ましが鳴る6時まではまだ時間があるのでベッドの中でうだうだするが二度寝はできそうにない。とりあえずベッドから起き上がって支度を始める。睡眠時間は正味4時間半位、鏡を見ると目が充血気味でちょっと眠い気がする。そろそろ疲労が蓄積し始めているのかも知れない。
 外は小雨、今回の北海道のこの雨雲からはどうやっても逃れられそうにないのでもう諦めるしかなさそうだ。寒いのでアーム&レッグカバーを付ける。尻にボルダースポーツとオロナインH軟膏をたっぷりと塗る。

 予定通り6時半にホテルを発つ。小雨の中、ルートに復帰。右膝の具合はまあまあ、疲労感も殆どなくウォーミングアップがてらのんびり走る。

 今日は山岳ステージ。距離は250km弱だが大きい峠越えが2つで獲得標高差は2400m、まあ埼玉や宇都宮の山岳ブルべに比べれば大したことはないがここまで1000km近く走って来てのこれはそれなりに走り応えのあるものになるだろう。

 ルートは、中標津を出て川湯温泉で折り返し、摩周湖を通過し峠を越えて阿寒湖をかすめて足寄、士幌を通過し帯広にゴールするというもの。

 草むらの中に巨大な鮭の頭のモニュメント、何でこんな所にこんな物が。

 写真では判り難いが、わずかな登り勾配が延々と続いている。

 霧に包まれ地平線がひたすら白い。

 2時間程走ると、今まで霧と小雨でモノトーンだった風景が徐々に色彩を帯びてきた。影も濃くなってきて空には雲が切れて青空が見え隠れするようになってきた。

 川湯温泉駅へのアプローチ開始。緩やかな登りの直線道路を淡々と走る。

 421km地点のJR川湯温泉駅着、チェックタイムは9:15。

 通過チェックのクイズの答えは”さわやかトイレ”。

 駅から見える近傍の山。この頃にはすっかり晴れ渡り清々しい夏の北海道の雰囲気が全開。気温も上がってきたのでアーム&レッグカバーを脱ぎ夏の装いに変身する。
 駅前の水汲み場でボトルを満たし次のシークレットポイントである摩周湖第一展望台を目指す。

 川湯温泉駅を出てちょっと走った所から摩周湖への登りが始まる。距離は10kmで平均勾配は5%、序盤は一定勾配の真っ直ぐな登りが延々続く。ここは関東の山岳ブルべを走っている身としては手抜きは許されない。心してしっかり登っていく。直線が終わると、関東でも見慣れたつづら折りの登りが展開する。こっちの方が坂の様子が掴み易く力の強弱が付け易いので走り易い。
 勾配を上げて行くに従い森の中の道から徐々に空が開けてきて頂上が近いことがはっきりとわかる。
 程無くして山頂に到達、摩周湖はまだ見えない。その後ちょっと下って摩周湖第一展望台に到着、駐車場にAJ北海道のスタッフの姿が見えた。

 ここでスタッフさんから有人チェックを受ける。事前に聞いていたクイズの、ポストの集配時刻を調べる必要はなかった。

 摩周湖に到達。観光地らしくかなりの数の観光客で賑わっている。

 ”霧の摩周湖”のイメージとは真逆の、清々しく晴れ渡った夏の摩周湖

 恐らくこの摩周湖あたりがパラダイスウィーク全行程の中で最も気持ち良く晴れていた区間だと思われる。

 レストハウスで補給、目に留まって超美味そうだった鹿豚フランクと帆立焼きを購入。ここで埼玉は志木から参加のライダーさんとしばし談笑。そのライダーさんが食べていた焼きとうもろこしが美味しそうだったが食べ過ぎかと思い買わずにその場を後にする。
 摩周湖から弟子屈まで一気に下る。そこそこの勾配の長い長い直線道路をノーブレーキでどんどん下る。まるで自由落下である。

 下りを終えて弟子屈を抜け、今度は進路を西に取り阿寒湖を目指す。
 直ぐに登り基調が始まる。勾配は大したことはないが距離は20km以上登りっ放しである。真っ直ぐで一定勾配の登りは関東でも殆ど経験がなく北海道独特な感じがする。ずーっと走っていると平坦なのか登りなのか視覚的に分からなくなるのだが、とにかくスピードが出ないということで登りだと判断できる。
 標高を上げて行くにつれ霧が出てきて再び雨が降り始めた。さっきまでの好天が嘘の様に掻き消えてしまった。
 この様な登りは精神的に堪える。まるで坂の無間地獄に嵌まり込んでしまったようだ。つづら折りの方がメリハリがついて登り易い。
 だんだん登りにも飽きて来たので、私のバイクのコックピットを本邦初公開。

 操縦パネルは至ってシンプルが売り。

 次に駆動部、両ピストンともちょっと痛々しい感じ。

 まだまだピークは遠い。でもゴールの帯広まで140kmちょっとというのは精神的にかなり余裕が出る。

 2時間程かけてようやく頂上に到達、この辺りは双岳台というらしい。
 ピークを越えて阿寒湖近傍まで一気に下る。
 下り終えると483km地点のPC6に到達、チェックタイムは13:15。

 チェックポイント付近で食堂に入って豚丼を食べようと密かに目論んでいたのだがコンビニしかなく、仕方なくコンビニの豚丼で我慢する。ここで京都から参加のライダーさんと談笑、彼はこのコンビニで初めてのコンビニ補給だと言う。それまでは御当地グルメに徹してきたとのことで、やはり下調べは重要だということを痛感した。
 長めの休憩の後スタート。そのPCにやって来たAJ北海道のスタッフさんの話しではもう大きな峠越えはないとのこと、気分的に楽に走り出す。残り距離も120km弱、6時間走ればゴールである。体力的にも余力は十分、膝も尻も殆ど痛みは感じず完走は全く問題ないだろう。
 草木に囲まれたアップダウンを心拍LSDレンジでのんびりと流す。阿寒湖を過ぎでちょっとした峠を一つ越えたら後は下り基調、楽ちんである。

 道脇の牧場の牛達、のんびりと草を食んでいかにも北海道という風情。
 途中の売店で茹でとうもろこしの幟を見つけすかさずバイクを止める。

 茹でとうもろこしとソフトクリームをゲット。売店自家製の木の実系のソースが滅茶苦茶旨かった。勿論トウモロコシも旨い旨い。

 北海道の田園風景を眺めながらのんびり休憩。考えてみたらブルべの途中でPC以外で計画のない寄り道をして買い食いするのはこれが初めてかも知れない。普段はがーっと走って終わりなブルべとは違った、のんびりと流しながら走るブルべの楽しさが何となく分かった気がした。でもこれは気持ちに余裕を持って走れる北海道のコースならではかも知れない。

 次のPCの上士幌まで30km、ゴールの帯広まで60kmちょっと、ちょっとあっさり終わり過ぎな感すらある。

 道脇の池というか沼というか、実際には写真よりもっともっと大きい。長い間忘れていた釣り人魂が呼び起されるような場所だ。
 569km地点のPC7に到着、チェックタイムは17:35。

 母娘と思しき店員さんにどこまで行くのかと尋ねられ、帯広と答えたら2人ともたいそう驚いていた。店員さんその程度で驚いちゃいけませんぜ、こっちはここまで570km走って来たんだから。

 残り30kmちょっとなので飲み物だけ補給、ペプシ塩スイカが予想外に旨い。

 PC7を出てちょっと走ったら反対車線を外人さんブルべライダーがこっちに向かって走ってきた、何事かと面喰いつつ挨拶を交わす。彼もここまでの全てのブルべを走って来ていて半端なく速い。多分PC7でレシートをもらい損ねたかなくしたかしたのではないかと予測した。
 このペースだと何となく36時間切りが見えて来たのでちょっとだけ踏みを入れてみる。しかし帯広に近付いていくにしたがって今までの田園風景から車通りの多い街並みへと風景が変わっていき信号も多くなってきた。音更町の市街地に入ると信号だらけと渋滞でペースががっくり落ちる。信号待ちとストップ&ゴーの多さが急に増えて一気にストレスが増した感じだ。
 でもここまで来て事故やトラブルを起こしては元も子もないのでリスクは取らずに慎重に走る。

 薄暮の中、十勝大橋を渡り帯広市街に入る。ゴールは目前だ。

 18:54ゴール。どうやら36時間はぎりぎり切れた様だ。過度の疲労感もなく想定以上に楽に走れてしまった。やっぱり北海道の道は凄い。ブルべには打って付けである。
 ジュースを一本飲んで休憩していたら、さっきの外人さんがゴールしてきた。レシートを無くしたのかと尋ねたら、単純にPC7を通り過ぎてしまい戻ったとのこと。御互い健闘を讃え合い、ゴール受付地点に移動する。

 帯広は大都会だ。札幌と同じ様に碁盤の目のような街で、ゴール受付地点は街中の公園にあった。
 スタッフさんにブルべカードとレシートを渡し、無事に認定確認完了。完走タイムは35時間56分だった。スタッフに挨拶をしてホテルに向かう。
 帯広グランドホテルに到着しチェックイン、他に数名のブルべライダーが先着していた。
 部屋に入りウェアを脱ぎ捨てほっと一息。シャワーを浴びてすっきりした後は洗濯をしにホテル内のコインランドリーに行くが洗濯機が空いてなかったので一旦撤退、先に夕食を摂る。

 食事は家庭的な味で、イカ大根とホッケらしき焼き魚が旨い。当然御飯はしっかり御代わりをする。
 食事を終え、再度コインランドリーに行き洗濯開始、その間に夜食でも買いに行こうと思ったが外を見ると雨が降り出していたので断念。部屋に戻ってネットチェックして過ごす。帯広の明日の天気予報は雨、富良野旭川も雨、札幌も雨、要するに明日も一日中雨ということだ。もう諦念するしかない。洗濯物を干し終えて特にすることもなくなったので寝ることに。目覚ましを6:00にセットして23時就寝。