BRM915福岡1000レポート 第2ステージ

 9/16、5時過ぎにアラームを聞く前に目が覚めた。4時間は眠れただろうか、眠気はなくすんなりベッドから起き上がる。疲労感もわずかで今日は問題なく走れそうだ。

 外は予報に反して朝焼け。気持ち良く走れそうだ。

 予定通り6:00に宿を出発。

 臼杵には学生時代にも来たことがないので、ちょっと見て回りたかったが時間的余裕がないので先を急ぐ。

 コースに復帰し直ぐにコンビニによって補給。

 今日のルートは宮崎の海沿いを走って一気に鹿児島まで到達する339km。これを17時間で走り23時には宿に入る予定を立てた。

 スタートして小一時間も走らないうちに青空は全くなくなった。

 宮崎はまだまだ遠い。
 向かう先の空は暗く、そのうちに雨が降り出した。山間部に入りアップダウンを繰り返すうちに雨が激しく降り始めた。寒くはないのでレインジャケットは着ずに走る。

 途中、takatoriさんとtakuya_aさんに抜かれる。若い2人についていくとあっという間に脚がなくなるのでただ見送る。

 峠を越え下りの途中で後輪に違和感、パンクだ。道脇にバイクを止めパンク修理開始、雨の中のパンク修理はただでさえ難儀なのに、パンク箇所の特定に手間取って思いの外時間を使ってしまった。30分近くを費やし再スタート。この30分のロスは先を考えると非常に痛い。何とか挽回すべくちょっとペースを上げる。
 そのうち風が出てきたが、普通の風と様相が違う。強い風が時折吹付け風向も定まらない。強い雨と相まってこれは完全に台風の様相である。どうやら台風16号の影響がこの時点で出始めたらしい。覚悟を決めて走り続ける。

 山間部を抜け延岡に到達するも相変わらずの風雨、ペースは余り上がらない。
 しばらく走っていると、高速の入口に到着。ナビの指し示すルート通りに走ろうとすると高速の脇道を走らなければならないのだが、ちょっと走ると道がなくなってしまい先に進めない。その付近をうろうろするがそれらしい道はない。どうやらルート入力を間違えたらしい。ルートラボでルートを入力する時、2点間の距離が長いとその間のルートをルートラボの判断で高速道路を入れてしまうことがしばしばありそれを入力後に確認せずにナビに流し込んでしまったようだ。
 このことに気付くまでに30分を費やし、またしても痛過ぎるタイムロス。気を取り直して元来た道を戻りキューシートで正しいルートを確認、何のことはない10号線をひたすら真っ直ぐ走ればよかっただけだった。
 延岡を過ぎて、10号線は所々冠水している。場所によっては20cm以上も冠水して、車道に避けられずまともに突っ込んでバイクがとまりそうになって落車しかけた。

 10号線に戻り小一時間走って398km地点のPC4に到着、チェックタイムは12:32。ここにもスタッフさんが工具類などを準備して待機していた。

 延岡なのでチキン南蛮。
 ここでは数人のブルべライダー達が休憩していてこの先に進むかどうか逡巡していた。情報によれば日豊本線も特急が運休したとか、いよいよ台風の影響が本格化しつつあった。
 体力も気力もまだ充分、この段階ではまだDNFを決断することはなかった。

 強い雨の中、気合を入れて出発する。(スタッフさん撮影)

 次のPCまでの区間距離は約110kmと長い。とにかく忍の一字で頑張るしかない。鹿児島目指してひたすら南下する。雨は時折止むのだが風が徐々に強くなってくる。風向きは基本左の海側から吹いてくるが南寄りの強い風なので向かい風基調、ペースが上がらない。パンクとコースミスで1時間近くロスした上に向かい風では予定通りに宿に着くのはかなり絶望的だ。

 宮崎空港傍を通過、海風が凄い。

 青島を過ぎ、堀切峠方面へ道を逸れると登りになっているのだがその先を数人のブルべライダーが自転車を降りて歩いて登っている。近づくにつれ海からの強烈な風が真正面から吹き付け止まるどころか押し戻されそうになる。何とか乗り切ってやろうと必死でクランクを踏み付け何とか登り切り、そのまま海岸線を下っていく。道にはヤシの木の葉や枝が落下していて避けながら走る。もうどこから見ても台風最中だ。

 ここからの海沿いが凄まじい。地形に沿った吹きっ晒しの海沿いの道を走るのだが、東向きの時は正面からの風でバイクが止まりハンドルが振り回され、横風になると車道側にバイクが一気に流され、西向きに走る時は強烈な追い風で猛スピードになる。時折大しけの海から高波が打ち寄せ道路に覆いかぶさる。その脇を車が猛スピードで水飛沫を上げながら走り抜けていく。おまけに日も暮れかけて暗くなり、アイウェアが使えずに視界不良、要するに自転車で走るにはこれ以上の危険はないという位の状況だ。

 とにかく風にハンドルを持っていかれない様に上半身に力を込めて常に気を張って走らなければならない。車が抜いていく時には特にだ。路面状況や高波のタイミングに神経を集中して危険を回避しなければならない。
 ここに来て初めて台風の中を走るリスクを思い知った。自己責任と撤退の見極めを誤ってなかったか思い返さざるを得なかった。しかし現実にここに来てしまった以上は、先に進むしかない。とにかく安全第一で集中力を切らすことなく走り続けた。
 必死の思いで30km、1時間半程を耐え抜き、ナビの画面に次のPCが表示された時は心底ほっとした。

 命からがら509km地点PC5に到着、チェックタイムは18:42。ここが今回のコースの最南端、距離的にもちょうど真ん中だ。

 この暴風雨区間をものともせず爆走したtakatoriさんとtakuya_aさん。やはり彼等は人間ではないのだろうか(takuya_aさんの目はターミネーターだ)。
 宿のある加治木までは後100km、更にここからは幾つかの峠を越えなければならない難所で、予定通りはほぼ絶望的だ。とにかく先に進む以外はないので休憩もそこそこに出発する。

 PCを出発して直ぐに登坂開始、西に向かって走るので追い風になり序盤はどんどん進んでこの調子なら楽勝で越えられると思っていたら、本当の登りはまだ先があった。山間部の暗い道になって本格的な上り坂に入ると、風は追い風基調ながら風向きがちょくちょく変わって走り辛い。雨は降り続き、道には木々の枝葉が散乱しとにかく走り辛いことこの上ない。真っ暗な山道で吹き抜ける風の音が不気味で、時折道の脇で物凄い量の水の流れ落ちる音が恐怖を掻き立てる。しばらく上ると前方に巨大なダムの姿が現れ勾配がきつくなった。

 1時間半程の格闘の末、山頂到達。ピンボケだがここは間違いなく新上熊トンネルの入り口だ。
 これで下って終わりかと思いきや、ひとしきり下ったら再び登り始め、上り坂の無間地獄にはまったようにいつ終わるともなく上り坂が続く。
 峠をもう一つ越えて再び下り坂、路面の落下物と風雨で視界も悪く全くスピードが出せず時間ばかりが経っていく。
 ようやく人里まで下って来てナビの画面にPCが表示されほっとする。

 563km地点のPC6に到着、チェックタイムは21:59。ここで一人のブルべライダーさんがちょっと遅れて到着、何でもコースが不明でこのPCに辿り着くにも迷っていたらしい。宿は同じ所ということでこの先私の後を付いてこられることになった。
 次のPCまでは60km、日付を大きく超える頃の到着となりそうだ。人と一緒に走るのは久し振り、時々会話を交わしながら走ると深夜の台風の中にあっては心強い。再び長い登りをひたすら忍の一字で登り、鹿児島湾めがけて一気に下る。この下りが急勾配で、例によって路面の落下物と視界の悪さで私は止まる様なスピードでしか下れない。同伴のライダーさんは問題なく下っていかれるので反って私が足手まといになってしまい申し訳ない感じだ。尻の皮の痛みはかなり酷くなり、シッティングとダンシングを交互に繰り返しながらだましだまし走る。
 何とか海沿いの道に出て、今度は再び平坦をひた走り加治木を目指す。

 小一時間平地を走ってようやく612km地点のPC7に到着、チェックタイムは日付が変わって1:17。

 宿はもう目と鼻の先、同伴者さんは寝酒のビールを買っている。さすが百戦錬磨の猛者は違う。風は相変わらずでコンビニのドアが勝手に空いてしまうほどの勢いだ。私は明日の朝食用のパンを買い直ぐに出発、宿を目指す。

 500m程走ってやっと宿に到着。ドロップバッグの受け渡しもここでやっており、数名のスタッフさん達が出迎えてくれた。

 予定より大きく遅れてしまったが無事にチェックイン(スタッフさん撮影)

 明日というより今日は6:00出発予定なので、3時間位しか寝られないがそれでも寝られるだけましだ。急いでシャワーを浴びて速攻でベッドに横になる。2時過ぎ就寝、直ぐに意識が混濁した。