サイクルモード2012

 サイクルモードに行ってきた。2年振りだ。

 基本的に人混みが大の苦手なので余程のことがない限りこの手のイベントには足が向かないのだが、今回はかなり興味をそそられるアイテムが幾つかあったので行くことにした。事前にオークションで招待券を買っておいたら、今のメインバイクを作ったTiGさんから本当の招待券が届き嬉しいやら悲しいやら。TiGさんのブースでは開発中のチタンフォークが展示されるというので、更に見たいアイテムが増えた。

 朝7:30に出発。前回幕張に行った時は街中を通ってかなり走り辛かったので、今回は遠回りだが街中を外すコースに変更。

 片道約75km。
 文句無しの秋晴れで絶好のサイクリングコンディション。半袖ジャージ&レーパンにアームウォーマー&ニーウォーマーの出で立ちだが、走り始めこそ肌寒く感じたもののちょっと走ると暑くなってきた。この分だと昼頃にはウォーマーはいらなくなるだろう。

 久々の荒川CR下流方面。前方にスカイツリーが見える。この目で実際に見るのは今日が初めて。
 荒川CR下流方面は道は広いが、交通量が激しく河川敷グラウンドの利用者で混み合うので走り辛くここ最近は全く足が向かなくなった。今日も予想通りの混み具合でやっぱり走り辛かった。それでも天気が良くてゆるゆると流す分には気持ちが良い。途中でワイヤー錠を忘れたことに気付いて青くなったが今更取りに戻るわけにもいかず、覚悟を決めて前に進む。
 荒川河口手前でCRを外れ浦安方面に向かう。357号線は下調べで予想した程走り辛くはなく順調に進む。

 3時間ちょっとで幕張メッセに到着、時刻は11時前。道すがら「自転車のイベントだから駐輪場もきっちり管理されてるはずだ、例えば自転車と持ち主をタグ付管理するとか」と都合のいい思いを巡らせていたら本当にそういう管理をしていてちょっとびっくり。2年前にはなかったシステムだ。

 無事に自転車の安全が確保されて一安心、早速会場へ向かう。入口で試乗用のタグを付けてもらう。

 今までは特に試乗したい物はなかったが今日はどうしても試してみたいものがあるからだ。
 人混みは予想通り。余り長居はできそうにない。今日のターゲットはTiG、GOKISO、SHIMANOのみ。これらを押さえたら早々に退散する予定。

 入口から会場を見渡すと、目の前のコルナゴのブースでフォトグラファー砂田さんと新城くんのトークショーが行われていた。
 パイオニアのブースが目に入ったので寄ってみる。

 注目のパワーメーター。かなり製品らしい外観になってきたし型名も付けられている。発売間近と言った感じ。個人的には心拍目安のトレーニングで事足りているので2年前に初めてこれを知った時の買いたい度からは随分と後退してしまったが、それでも値段次第ではやっぱり欲しい。

 次にランドヌール誌のグラフィック社のブースに立ち寄る。

 編集長のマキノ号、巷で一番有名なブルべバイク(何故かピンボケ)。田村編首長とBRM1006西東京200以来の再会、しばし歓談。ランドヌール誌Vol.1での取材スタッフさんが私のことを覚えていてくれたのが妙に嬉しい。

 いよいよ本題、まずはTiGのブースに向かう。
 早速開発中のチタンフォークを拝見する(写真を撮り忘れてしまった。莫迦)。見た目はもう十分に行けそうな気がするのだが、制作側としてはまだ発売できるレベルには達していないとのこと。発売までにはまだ時間がかかるようだ。

 筋金入りのTiGユーザーのスペシャルバイクが展示されていた。ユーザー自らが図面を引いたという複雑な造形のフレームもさることながら、2台ともフロント650Cリア700Cというホイールの組み合わせにかなり興味をそそられた。私的にもこのホイールの組み合わせを以前考えていたこともあり、作例を目の当たりにできたのは非常に有意義だ。

 フレームオーダーを通して何度かメールを頂いた石坂さんに御会いした。私のフレームの言わば生みの親とも言える人だが、物腰柔らかい中に自らが送り出した製品に対する自信と愛情が滲み出る話し振りが印象的。話しをする中で「フレームに関して忌憚のない意見を」と唐突に問われて、はたと困った。忌憚ないところと言えば不満な点を挙げるということになるのだろうが、フレームに関していればずばり非の打ちどころはない。前のフレームは自分の設計の甘さもあり幾つか改善したい点があったのだが、今回はそれを全て解消し事実乗り心地は文句無しなので、現時点でこれ以上の物をイメージできないでいる。咄嗟にフレームに貼られてるロゴシールの文字の大きさや図柄についていまいちみたいな物言いをしたのだが、強いて言えばの話である。確かにロゴに関して言えば垢抜けないというのが正直なところなのだが、だからと言って嫌いと言うわけではない。むしろロゴが野暮ったい方が、モノ作り本位のマイナーメーカーらしさが際立って個性的とも言える。そもそもブランドロゴを客の方がどうこう言う筋の物ではなく、フレーム自体が良い物であればメーカー側が「これがうちのロゴだ」と言えば黙って納得するべきものだろう。
 展示のモニターには私のバイクの写真が何枚か使われており、照れくさいやら嬉しいやら。でも私的には650Cサイズの”ロードバイクらしい”フレームの一つの完成形と密かに自負しているのでちと誇らしい。
 いずれにしても今のフレームはベストであり、今のところ作り直さなければならない理由は何一つない。が、これにジャストフィットするチタンフォークができるまでは未完成ということにしておこう。

 次に向かったのはGOKISOのブース。

 このメーカーのスーパーハブが目当てだ。2年前にも出展されていて何の気なしに立ち寄ったが、自転車の門外漢が過剰品質でありえない高額商品を出したところで的外れ、とても売れるわけはないとその後は気にも留めなかった。しかし先日のBRM1006西東京200で編集長さんの走りを見て、一気に引き寄せられてしまった。道志の下りであっという間に追い付かれて追い抜かれ、その後の登りで軽々と坂を駆け上がり差が開いていくのを目の当たりにして、GOKISOハブの実力を見た気がしたのだ(勿論編集長さんの脚力に由るものも大きいのだが)。 
 その後、インターネットで調べてみると常識外の高額商品にも関わらず予想外にユーザーが多いこと、インプレが概ね予想外の体感レベルであることが分かりもうこうなったら自分でも試してみるしかないと半ば購入を決意していた。
 スタッフさんとひとしきり話しをして早速試乗させてもらうことに。

 試乗車。GOKISOの完組ホイールが装着されている。試走コースまでバイクを手で押しているだけで「えっ!」という感じ。軽々するするとまるで抵抗なくバイクが進む。どなたかのブログで使われた言葉をそのまま引用すると「ハブの存在が感じられない」というのがぴったり当て嵌まる。バイクがコルナゴの軽量カーボンフレームというのもあるだろうがそれ以上に見た目と手で感じる重量感のギャップは大きい。
 コースに着いて早速バイクに乗って見る。踏み出しはそれ程の軽さを感じることはなかったが低速で走って脚を止めてもするするとバイクが前に進む。やはりハブの存在感は相当に薄い。コース途中でちょっとした勾配があったがペダルを踏まずとも惰性で越えてしまう位の伸びがある。これは正に”体感できる”レベルの違いである。
 このハブを使えば編集長さんの言葉通り”ブルべで楽ができる”ホイールが作れそうだ。もうこうなったら買うしかない。ハブ単体としては常識外の高額だが完組ホイールと考えれば他のハイエンドホイールと同レベルの値段になる。後は思い切りだけだ。
 聞けば新型デュラエースの11速対応ハブも発売間近で近々に入手可能とのこと。

 かのアマチュア山岳王森本選手のヒルクライムスペシャルチタンハブ(またしてもピンボケ)。こちらは市販されるということだが御値段65万円也、これはどうやっても手が出ない。(森本選手がGOKISOの社員だったというのはちょっとびっくり)
 今年の冬の機材アップグレードの目玉はこれで決まった。

 最後にシマノブースで新型デュラエース9000系を見る。



 新型デュラに実際に触れるコーナーは長蛇の列、どうせ問答無用で買うのでここで敢えて試す必要はなく早々に立ち去る。

 〆でこ〜ぢ倶楽部がデモをやっているらしい東京サンエスのブースに立ち寄る。

 こ〜ぢさんは相変わらずいつものテンションで三本ローラーのレクチャー。大幸の孝子さんもインストラクターになって御客さんに熱血指導しているのを見て驚いた。

 会場に入って約2時間、そろそろ人混みにも嫌気が差してきたのでそそくさと会場を出た。

 バイクに跨り、元来た道を戻る。昼過ぎの日差しは暑い位、のんびり流しながらさっき見たアイテムでバイクをグレードアップする妄想を膨らませる。
 それにしてもTiGにしろGOKISOにしろ、社としては小さいながらも徹底した拘りと様々なアイディアやノウハウをつぎ込み独創的・高品質・高性能な製品を作り出し世に送り出すのを目の当たりして、製造業で働く身として只々羨望の眼差しを送るのみである(我が社も見習うべきだがとてもそんな次元に手が届く状況ではない)。ものづくりニッポンここにあり、という製品を使うことができて日本人として誇らしい。

 スカイツリー。我が家のアンテナはこいつを狙ってます。

 市街地を抜け、再び荒川CRに入る。ここまで来たので河口の終点まで行く。

 秋の午後は穏やか。

 北上開始。暑い位なので手足ともウォーマーを外す。ちょっと冷たい空気が気持ちいい。夏の恰好ができるのも今日が最後だろう。

 復路は3時間半かけて帰宅。気が付いたら何も食べずに150kmを走ってしまった。ハンガーノックにはならなかったが帰宅後猛烈に腹が減った。