衆院選考その2

 選挙が終わり、勝ち組と負け組の動向が駆け巡るネット上を眺めていると陰鬱になる。

 投票率は戦後最低の59.32%。実際に私が投票所に足を運んだ時に見た、過去に経験のない長蛇の列を思えば俄かに信じ難い。だが良く考えてみれば、まあ当然の結果とも言える。

 既得権益と癒着した自民党既得権益に丸め込まれた民主党、どちらに転んでも既得権益から搾取される構図は変わらないということになれば選挙で政権選択をする意味がない。有権者が白け諦念し投票に行かなくなるのも無理からぬことだ。
 この事態を演出し政治不信を助長した民主党政権の罪は大きい。マニフェストを軽んじたことが今後の日本の政治動向に大きな負のバイアスをかけてしまった。

 3年前、直接的に民主党を支持・支援した立場としては大いなる責任を感じるとともに強い憤りと疑念を持たざるを得ない。

 政権を奪取した当初はこんな民主党ではなかった。財源確保の事業仕分けだって画期的だったし、沖縄基地問題もタブーに敢えてチャレンジした。沖縄に関して鳩山前首相のことを悪く言う人が多数だが、私はそうは思わない。着手する前から極めて難しい問題だと分かっていてもマニフェスト通りに敢えてトライしたこと、自民党政権時代の長い歴史の中でタブーとされてきた部分に敢えて切り込んでリセットをかけようとしたことは画期的だった。結果様々な障壁に阻まれ(その一つは国内移転先が見つからなかったこと、即ち地域のエゴが顕在化したことも含まれる)、県外移設は叶わなかったし沖縄県民の期待が大きかった分落胆が非難に変わってしまったことも残念だが、少なくともチャレンジしようとした意志とこの基地問題の具体的な難しさを白日の下に晒したことだけでも意義はあったと思う。

 事業仕分けで一旦キャンセルされた事業・予算が関係省庁の復活折衝や名目を変えての再提出などあの手この手でねじ込まれていく過程で、民主党の未熟さが露呈し始め、官僚に丸め込まれていく様が見え始めた。

 徐々に政権与党内での内紛が目につき始める(マスコミの強調報道もあって余計に際立った)。その最たるものが”小沢外し”だが、マスコミの悪玉報道に影響を受けた議員連中が政策実行そっちのけで世論迎合で動いた面も多分にあったと推察している。党がまとまって政策実行にあたるべきなのに、ここにも民主党の政権与党としての自覚に欠けた未熟さがあった。

 震災対応はともかく震災後の復興予算の使い道には目が届かず、結局財源確保を諦めて消費税増税に踏み切った時点でもう自民党と区別がつかなくなってしまった。

 政権が長く続けば政権与党と関係省庁(一部は既得権益)との関係は慣れ合いになり、いずれ癒着して腐敗を生む。その面でリフレッシュするための一定期間での政権交代は必要だと思うが、民主党がたった3年半でいとも簡単に”自民党化”してしまうとは思わなかった。

 有権者が”民主党ショック”から抜け出せるのはいつのことになるやら。できれば来夏の参議院選挙までにそうなって欲しいのだが。

 民主党が結党当時の理念を取り戻し健全野党として立ち直れるか。そして日本未来の党小沢一郎氏が今を耐えて党を存続し活動を継続していけるか。民主党が元に戻るなら、世間が何と言おうが日本未来の党との合流はありだと思う。議会制民主主義では数は重要だとの小沢氏の弁は至極真っ当だ。その時は世論・マスコミを跳ね除けて是非小沢氏が先頭に立って党を率いてもらいたい(私的には小沢氏には”国民の生活が第一”のままで選挙に臨んで欲しかったと思っている)。マスコミはともかくいずれは小沢氏の”有用性”に有権者は気付いてくれると思う。

 さて、もう結論が出てしまったことをうだうだ言っても仕方ない。そろそろボヤくのもやめていつも通りノンポリでぷらぷらと暮らしていくかな。