いよいよGOKISOハブを使ったホイールを組む。
箱を開けると”最終兵器”が整然と並んでいた。
フロントハブ。ずっしりと重い。改めて見るとフランジは大き目。
リアハブ。フリーの回転具合が実に精密機械だ。
今回チョイスしたリムはKinlinのXR-300。リムの選定にあたってはもともと650Cの選択肢は殆どなかったものの、少しでも軽量化を狙ってカーボンクリンチャーリムを頑張って入手することも考えたが、ブルべでの雨天走行でも気を遣うことなく酷使できるように敢えて普及価格帯のアルミクリンチャーリムを選択。アルミクリンチャーリムにはリム高20mmハイトのVelocity/Aeroheadと30mmハイトのKinlin/XR-300の2種類の選択肢があったが、重量的にハイトの低いAeroheadの方が385gとXR-300の430gよりかなり軽いが、リム剛性の高さを優先して最終的にXR-300に決めた。
スポークはSapimのCX-Ray。ここ一発の決戦用ホイールを組むならこれを使うと以前から決めていた。値段は普通のスポークの10倍くらいするのだが、GOKISOを選んだのにスポークをケチってどうすると思い切って採用。ドイツのショップからバラ売りで調達。
ニップルはCX-Ray付属の14mmアルミニップルをそのまま使用する。
今回のホイール組みにあたって2つの工具類を導入した。まずは左のスポークフレップ。スポークのねじ部分に塗布し、ニップルを締め込みながらテンションを上げる際にスポークのねじれ防ぎつつスムーズにニップルが回るようにするもの。右はブレードスポークホルダー。CX-Rayのような扁平エアロ形状のスポークがねじれないように押さえる工具だ。
組み立て開始。まずはフロントホイールから。
スポークの先端にスポークフレップを塗布し完全に乾くまで放置する。
ハブにスポークを通していく。
振れ取り台にリムとハブをセットしニップルをねじ込んでスポークとリムを結合していく。この作業は普通の人は床でリムを寝かせてやるようだが私はこの段階から振れ取り台に乗せて作業してしまう。
仮組み完成。フロントはラジアル組みなので簡単だ。見た目はホイールっぽいがスポークにテンションが全くかかってないのでぐにゃぐにゃ。
ホイール組みはここからが本番。いよいよスポークのテンションを上げつつリムの振れを取っていく。
スポークテンションメーターを使いスポークのテンションを揃えつつ全体的にテンションを上げていく。
そこそこテンションが上がったら、まずはリムの縦振れから取っていく。縦振れが取れたら今度は横振れを取っていく。
縦振れは±0.5mm、横振れは±0.3mm位まで追い込めれば十分。それ以上は深追いはしない。スポークテンションの最終到達目標はちょっと高めで110kgf前後。
時々センターゲージをホイールの左右から当ててリムがハブの中央に来ていることを確認しながら作業を進める。
過去に10セット程ホイールを組んできたが今回はその集大成のつもりで集中して作業を進めた。暖房を切り冷たい空気の中、黙々とニップルを締め込んでいく。ホイール組みはこの時間が一番充実している。人はこの作業を昔の刀鍛冶が入魂で刀を仕込んでいく様になぞらえるが正にその心境である。
スポークフレップの効果は高い。テンションを上げてもスポークがねじれを最小限に抑えながらニップルを回すことができる。今後のホイール組みには絶対に欠かせないアイテムだ。
完成。4時間近く作業に没頭して気が付いたら日付が変わっていた。当初は数日かけて少しずつ調整していこうと思っていたがいざやり始めたら止まらなかった。スポークテンションの最終確認はミュージシャンらしく?スポークを指で弾いて音程で確認、20本全ての音程がほぼ揃っている。振れも目標値まできちんと追い込めた。個人的には今まででもっとも完成度が高く”会心の出来”だ。
振れ取り台でホイールを回してみるが、サイクルモードで見た通りいつまでも動いていてなかなか止まらない。この光景を眺めているだけでニヤリとしてしまう。
日を変えてリアホイールを組む。
基本的な作業はフロントホイールと同じだが、スポークの組み方が違うので難易度は数段上がる。
フリー側のスポークが、チェーンがスプロケットを回す力をリムに伝える役割を主に担うのでスポークを交差させて剛性を上げている。反フリー側はラジアル組でフリー側のスポークテンションを支えることのみの役割だ。
取り敢えず仮組み完成。ここからスポークテンションを上げていく。まずはフリー側のみである程度までテンションを上げて縦振れを取っておく。そして反フリ側のテンションを上げながら横振れを取りつつリムのセンター出しをして完成させる。
約4時間かけて一度は完成させたものの、振れは取り切ったもののスポークテンションが不揃いになってしまい、出来栄えとしては過去に組んだ時と同じレベルの”並”の仕上がり。集大成としては不満足な出来栄えに納得がいかず日を変えて再度テンションを緩めて組み直すことにした。
再び調整開始。一度調整に失敗したリムは変なテンションがかかってしまい変形してしまっているので調整は更に厄介だ。例によって部屋の暖房を切り集中して慎重に少しずつ作業を進めていく。
最終的には振れを取り切ってスポークテンションもそこそこのバラツキの範囲に収めることができ、今まで組んできたリアホイールとしてはベストな出来になった。完ぺきではないがまあ自己満足なところまでは持って行けたので良しとする。
完成したホイール。重量はフロント760g、リア1000g。確かに手持ちのホイールに比べたら重いが、それでもせいぜい+300gといったところでそれ程がっかりするレベルではない。バイク全体でみれば後日コンポーネントをデュラ9000に乗せ換え、サドルバッグを軽量タイプに変更する予定なのでそれだけでホイールの重量増を相殺できると踏んでいる。
明日はいよいよ試走の予定。問題なければ明後日のBRM217埼玉200にいきなり投入の予定である。