2013BRM413埼玉400

 今朝起きると昨夜の深酒と土曜の400kmブルベの疲労が重なってどよーんとした身体の重さを感じ、気分的にもかなり憂鬱な月曜日を迎えた。一旦は自転車通勤の準備をしたものの右膝に微かな違和感を感じたので、週末の400kmブルベを睨んでここは無理をせずに車通勤に切り替えた。昨日のバンド練習&飲み会は2ヶ月に一度の楽しいイベントなのだが、400km走った後に楽器を持って三鷹まで行ってひとしきり吹いてから深酒はさすがにちょっとヘヴィーだった。
 そんなわけで400kmブルベレポートである。

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 朝は5時半に起床。今日のスタート時間は8:00なのでそれ程早起きをしなくても済んだ。天気予報通り寒い。昨夜までウェアをどうするか決めかねていたが結局長袖裏起毛ジャージにレーパン&レッグウォーマと指付きグローブということにした。
 スタート地点の川口市の埼玉学園大学前の神根運動場に7時過ぎに到着。先日のBRM323埼玉300もここがスタート地点だったがその時と同じくらいの賑わい。
 受付&ブルベカード記入を滞りなく済ませ、ブリーフィングまでストレッチなどしながらのんびりと過ごす。気温は低いが快晴の日差しを浴びると暖かいので携帯用のウインドブレーカーは必要ないだろうと置いていくことにした。

 今日は新コンポーネントDURA-ACE9000の初の実戦投入、30kmちょっとの試走でいきなりの400kmだが自分のメカニックの腕を信用することにする。
 今日のコースは川口を出発し、利根川沿いをひたすら東に向かい、もうちょっとで銚子という辺りで南下し九十九里浜に沿って走り、九十九里浜の南端辺りで折り返し、往路と全く同じルートを戻る。「フラっと九十九里浜」というサブタイトル通り、総標高差300m程のド平坦なコースだ。
往路

復路

 問題は風。事前予報では日中は南東の風なので往きは向かい風基調だが帰りは追い風基調になるはずだ。平坦コースとは言え風が分からないので目標完走タイムは手堅く19時間切りに設定する。

 ブリーフィングが終了して車検、長蛇の列ができた。

 オダックス埼玉のYさん登場。

 定刻8時ちょうどにスタート。ゆるゆると走り始めた。川口から越谷、野田への市街地ルートはもう何度も走っているのでしっかりと憶えている。日も高くなって車通りも多く信号にちょくちょく引っ掛かり少しばかり走り辛い。シフトチェンジの操作は非常に軽くスパスパと決まる。市街地で操作回数が多くなるとその良さが実感できる。ホイールの転がりの良さも含めバイクは絶好調、走っていて非常に楽しい。
 信号待ちなどで数人の集団ができるがいつも通り風除けなし走行なので前走者に付かない様に間を空けて走るのだがド平坦コースのせいなのか皆ペースは速めなのでペースが掴み辛い。ちょっとオーバーペース気味だ。野田市街を抜け利根川沿いのサイクリングロードに出る。風は大したことはなく気持ち良く走ることができる。
 走り始めてからずっとサイコンの心拍表示がおかしい。200bpm前後の値が出続けている。最初はセンサー部の電極が乾いてちゃんと測れないだけかと思っていたが、そこそこ汗を掻いても直らないので壊れたかもしれない。心拍コントロールができないのはちょっと厄介だ。それ以外はすこぶる順調、ちょっとオーバーペースな感じだが気分に任せてどんどん走る。

 79km地点のPC1に到着、チェックタイムは10:59。次のPCまでは50kmなので軽く補給をして出発する。

 ちょっと走って再び利根川を渡る。ここからしばらくは利根川沿いをひたすら走ることになる。路肩に割れたガラス瓶が落ちている所がちょくちょくあって神経を使う。走るにつれ徐々に向かい風がはっきりしてきて巡航速度が30km/hを割り込んでしまった。まだまだ先は長いのでむやみに風に逆らって脚を使い過ぎないように淡々と走る。

 川沿いの道は風景が単調でちょっと飽きてきた。1時間半走ってようやく川沿いを離れた。雲が多くなって日も陰り気味になり向かい風が冷たく感じる。昼を過ぎても気温は余り上がっていない様だ。恐らく10℃台前半だろう。


 129km地点のPC2に到着、チェックタイムは12:55。

 ここではしっかり食事をしようと大盛りパスタとピルクルを購入。のんびり食べながら長めの休憩を取る。

 30分近くの休憩の後スタート、休憩中にやってきた1人のブルベライダーさんも短い休憩の後同時にスタートした。走りながら言葉を交わしたが、この先の旭町にカレーうどんで有名な店があってそこに立ち寄るとのこと、でも14時までしかやっていないらしくちょっと際どい様だ。この方は序盤で何度か御見かけしたが確かに焦り気味の走りだったがそういう理由だったのか。私は満腹でペースも上がらないので先に行って頂く。

 PC2を出て直ぐに今日の最大の峠越え、と言っても標高差50m足らず距離1kmちょっとの登りだが妙に新鮮な感じがする。向かい風の影響もあってか先行するライダーさんのペースも上がり切れていない様だ。時計を見ると13時半近くだが、旭町まではまだ距離がある。先行者さんに追い付いて残り距離を聞いてみると後11km位とのこと、かなり際どい。折角ここまで来たのに目当てのカレーうどんが食べられないのはかなり残念な話になるので、先頭を牽かせて頂くことにした。郊外の畑の中の幹線道路はそこそこ向かい風はキツイが10km位なら何とかなる距離なのでエースをゴール前まで連れて行くアシストになった気分でテンションを上げて走る。牽き方が下手なので反って迷惑になってしまったかもしれないが、とりあえず14時10分前に旭町の町に入ることができた。別れ際に名前を教えて頂いたが、何と海外ブルベ経験も豊富なオダックスジャパンの重鎮Iさんだった。文字通りエースをアシストできて光栄だった。何とかカレーうどんを食べられることを祈りつつ、再び1人で九十九里浜を目指す。

 旭町を抜けると直ぐに九十九里浜に沿った道に出た。と言っても海は見えない。向かい風は相変わらずだが、海岸沿いではなくちょっと内陸に入ったところのルートは家やら木々やらで風が弱められるのでありがたい。50kmを2時間かけて淡々と走る。日は傾いてきたがまだ十分に高い。この分なら夕暮れ前に九十九里浜を見ることができそうだ。

 200km地点のPC3に到着、チェックタイムは16:04。ここからはまだ海は見えないが、100m足らず先に九十九里浜がある。休憩中にオダックス埼玉のスタッフさんが到着、チェックを受ける。スタッフさんと談笑しつつ休憩の後、出発。折り返しの前に九十九里浜を見に行く。

 浜辺の手前の道路には風で飛ばされた砂が厚く堆積してタイヤを取られてコケそうになった。

 まだ日のあるうちに無事に九十九里浜を見ることができた。滞在時間は1分、写真を撮って帰途に着く。まだ半分だがこれから追い風だと思えばちょっと気は楽だ。たった1分海岸にいただけなのにチェーンが砂を噛んでジャリジャリと音を立てている。こんな状態で後200kmも走らなければならないかと思ったらかなりナーバスになってしまった。

 戻りは追い風基調、走っている間にチェーンのジャリジャリ音もかなり解消され快調に進む。これから九十九里へと向かう後続のライダーさん達と手を上げて挨拶を交わす。途中で大怪我から復帰されたUさんを御見かけした。元気に走る姿はこちらもとても嬉しくなる。

 九十九里沿いを離れ旭町を抜けた辺りで夕暮れとなった。残りは150km、ナイトラン開始だ。

 再び唯一の峠を登ってPC2と同じ場所となる270km地点のPC4に到着、チェックタイムは19:06。先着していた小径車を駆るライダーさんと言葉を交わす。見た目にも重そうな小径車で先頭近くを走っているのは凄いの一言。先発のライダーさんを見送りながらおにぎりを頬張る。気温もかなり低くなってきて、ウインドブレーカーを置いてきたことをちょっと後悔する。次のPCまでは82km、今日の一番きつい区間になるので気合を入れてスタートする。

 走り始めは汗も冷えてかなり寒い。爪先も冷たくなってきてシューズカバーが欲しい位だ。とりあえず身体が温まるまで脚を回して行く。

 再び利根川沿いを走り始める。昼間も単調だったが、夜は更に単調に感じる。ただ、夜間走行になって体感速度が上がった分速く走れているというか楽に走れている感じがあるのでそれ程苦痛ではない。時々猛スピードで抜いていく車に神経を使わされるが、それ以外は淡々とナイトライドを楽しむ。成田空港が近いのか、低空で飛ぶ飛行機のライトが何度も空を横切っていく。夕暮れ時には空高かった細い下弦の月もいつの間にか沈んでいた。

 首や肩や腰がこわばって痛むがひどくはない。両膝に若干の疲労感を感じるが問題はなさそうだ。そう言えば今日はまだ一度も脚は攣っていない。たまに訪れる信号待ちで軽くストレッチをして身体をほぐす。尻痛や股ズレも今のところはない。
 300km地点を20:20頃通過、ちょっとペースは落ちたが後100km走るだけの脚は充分残っているので悲壮感はない。ここまで来て予想外のハイペースで来ている。19時間どころか17時間も切れそうだ。あわよくば16時間切りも・・・と思ったが、明日のバンド練習や次週の400kmを考えるとダメージをできるだけ減らしたいので無理せずに走る。

 長かった利根川沿い走行も橋を渡ってようやく終わった。利根川を離れてから徐々に寒くなってきた。やはりウインドブレーカーを置いてきたのは失敗だったようだ。

 PC1を通過、残りは80km。

 352km地点のPC5に到着、チェックタイムは22:26。寒いのでホット缶コーヒーを飲む。後50km弱なので気分的にはかなり楽だ。PC手前でナビの電池切れ表示が出ていたのでここで交換。折り返しのPCで一度交換したので時間的には充分持つはずだが・・・、と思ったらナビの電源が入らない。慌てて別の電池に再度交換したら無事に立ち上がった。どうやらスペアの電池に充電していない使用済みを混ぜて持ってきてしまったらしい。短めの休憩で出発するつもりがナビのトラブルで時間を食ってしまい身体が冷えてしまった。気合を入れ直して出発する。

 走り始めてしばらくすると身体が温まってきてPCに着く前に感じていた寒さを感じなくなった。この時間で気温が上がるというのはなさそうなので、もしかしたらさっきのはハンガーノックの兆候だったのかも知れない。
 再び利根川に戻ってきて、芽吹大橋を渡る。ここまで戻って来るとゴールは目前な安堵感がある。風のない土手のサイクリングロードを静かに走り抜ける。
 深夜の野田市街は車通りもなく走り易い。

 醤油工場の街灯。今日はうまく撮れた。
 越谷市街も車通りは少なく、信号に引っ掛かりつつものんびり走ることができる。道端の豚骨ラーメン屋の旨そうな匂いに空腹を大いに刺激されるが、黙殺して通り過ぎた。
 川口市街に入り残り距離も5kmを切った辺り、深夜の道路を逆走してくる自転車が2台もいてうち1台は無灯火、ゴール間近の凱旋気分に水を差されてしまった。
 日付は変わってしまったがそれでも0時台に戻って来られるとは予想していなかった。最後の交差点を左折し神根運動場の駐車場に滑り込んだ。
 12:45ゴール。完走タイムは16時間45分だった。無事に認定手続きも終了し安堵した。先着していたトップの人は12時5分前にゴールしたとのこと、また、小径車の人もゴールしていた。御2人とも速い速い。と言いつつ16時間台で走り切った私自身も自分でも驚く程に速かった。身体に大きなダメージもなく多少の余力も残しながらもこの時間での完走は出来過ぎもいいところだ。GOKISOホイールの真価はこの400kmブルベでも如何なく発揮された。
 次週の400km第2弾もこの感じで走れるなら、と考えるとプレッシャーも多少和らぐ。心地良い疲労感と予想以上の好走に大いなる満足感を得つつ川口を後にした。

 帰宅して背中に付けた心拍センサーを見たら単に電極から外れていただけだった。がっかりしたと同時に壊れていなかったので安心した。