BRM511埼玉600

 ブルベを終えて2日経つがまだかなりの疲労感で身体を動かすのが億劫だ。それでも昨日の状態から比べれば相当ましになった。昨日の朝起きた時はもう身体はボロボロ。右足裏痛、右膝痛、股擦れ、腰痛、両肩痛、首痛、両手の痺れ、両目の痛み・充血、胃のむかつき、日焼けによる痛み等々、ここまで全身くまなく痛めつけられたブルベはちょっと記憶にない。大事を取って昨日今日と自転車通勤を控えたが明日再開できるか微妙だ。
 そんなわけでBRM511埼玉600の走行レポートである。

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 5/11土曜日、朝4:30起床。外は薄曇、気温はちょっと肌寒い感じだがこの程度なら半袖ジャージにレーパンで問題なく走れそうだ。5時前に家を出てパンを頬張りながら車を走らせる。5時半前にスタート地点の入間市豊水橋下に到着。人数的には若干少なめだがいつも通りの賑わいである。

 受付担当の美女と珍獣。

 今日のコースは、入間を出発して北上し碓氷峠を登って軽井沢を通過、白馬を越えて上越まで下って市街地で折り返し、妙高でホテル泊して佐久を経由して入間に戻ってくるルート。前半の峠越えがそこそこきつい山岳ブルベである。
Start->PC3

PC3->通過チェック

通過チェック->Goal

 ブリーフィング、車検を終えて定刻6:00にスタート。体調的にはどことなく疲労感があって気分的にもちょっとテンション低め、今週の水、木曜日が仕事で午前様になってしまい生活のリズムを崩して睡眠不足になってしまったことが影響しているものと思われる。でもまあ600kmブルベなので折り返し過ぎでホテル泊なのでその部分では気は楽だ。しかし今日の不安材料は雨である。事前予報では今日の行程では昼過ぎ、ちょうど軽井沢を走っているであろう辺りから雨が降り始め、そこそこの雨量で深夜、恐らく上越に到達した辺りまで間断なく降り続く見込みだ。前回のBRM420埼玉400での雨の印象が色濃く残っているし、雨量にもよるが雨の峠越えはかなりナーバスだ。
 PC1までの区間距離は96kmと長いがとりあえず平坦基調なので問題はないだろう。たらたらと走りつつ無難に距離を消化ていく。途中、路面の悪い所を走る衝撃でサドルバッグがタイヤに当たり始めた。見るとサドルバッグが変な形にぶら下がっているどうもパッキングがうまくないらしい。止まって直すのも面倒なのでとりあえずPC1までは我慢して走ることにする。

 妙義山。霧のベールで覆われている。

 96km地点のPC1に到着、チェックタイムは9:52。

 補給を取りつつサドルバックのパッキングをやり直す。この手の形状のバッグにはバッグの先端までしっかり詰め込んで仕舞わないとバッグの真ん中辺りでくの字に曲がってしまって本来の形状を保てない。このバッグの予想外の弱点を見つけてしまった。

 パッキングに手間取って長い休憩の後スタート。

 ちょっと走って碓氷峠登り口に到達、ゆるゆると登り始める。雨は降っていないが路面には水が浮いている。勾配が緩いので曇りなりに風景を楽しみつつ走る。

 めがね橋。SR600のチェックポイントの一つだ。

 すんなり碓氷峠を越えて軽井沢に入る。

 軽井沢は14℃、それ程寒くない。
 軽井沢を抜け長い下りに入る。そこそこ車が多くて走り辛いが体力は温存できる。途中で雨が降り始めた。予報通りだ。まだ小雨程度なのでそのまま走り続ける。市街地走行は信号待ちや渋滞でかなり走り難い。走行するうちにいよいよ本降りになってきた。高速道路の高架下でレインウェアを身に着ける。

 178km地点のPC2に到着、チェックタイムは12:55。


 サドルバッグと泥除けをうまく組み合わせようと色々と思案していたが、単純にサドルバッグに袋を被せればいいことに気が付いて今回のブルベで早速試した。
 ここからいよいよ白馬に登り始める。気合を入れて雨の中に漕ぎ出して行く。

 PCを出てから直ぐに登りが始まる。とりあえずペースを崩さずに淡々と走る。雨は本降りだが強くなる気配は無いので余り気にならなくなった。体感温度も寒いということはないので走行には支障はない。

 白馬村に入る。
 3つの峠を無難に越えてPC3に到着した。

 221km地点のPC3に到着、チェックタイムは16:27。

 ここまでまずまずのペースで来ている。いうより既に全行程の1/3となる200kmを消化したが時間的に短く感じられる。ここでオダックス埼玉のスタッフさん達に出会う。今回のコース作成者のリュウさんは「この先が本番。きついぞー」とプレッシャーをかけつつPCを先発していった。とりあえずここで大盛りパスタでしっかり補給を取る。休憩して汗が冷えると寒くなってきたのでそそくさと出発しようと思ったら前輪のパンクが発覚。

 がっかりしつつチューブを交換する。作業が終了し気を取り直して出発しようとしたら、そこに2名の警官が現れて話しかけてきた。「何かのイベントか?」とか「どこに行くのか?」とか矢継ぎ早に質問してくるので何か様子が変だと思って聞いてみたら、ここまでの道の途中でロードバイクとぶつかりそうになった車のドライバーから通報があったらしく、その周辺を調べていたら我々ブルベ一行に遭遇したらしい。キューシートを見せてここまでのルートを説明したら、どうやら現場はコース上ではなくとりあえず我々の潔白は証明された。
 思わぬハプニングの連続に時計を見たら1時間以上が経過、想定外の大休止になってしまった。

 今度こそ再スタート、17時半になって暗くなる中ゆるゆると走り出した。次のPC4までは95kmだが峠を3つ越えて30kmも走れば残りはひたすら下りなのでそれ程のプレッシャーはなかった。ルートラボの地形図をおぼろげに思い出しつつ峠道を登っていく。最初の登りで高度が上がるにつれて徐々に勾配がきつくなってきた。完全に日も落ちてナイトランとなり、降り続ける雨の中をえっちらおっちら登っていく。どうも頭の中の地形図よりかなりキツイ。それでも何とか1つ目はクリアして下り2つ目の登坂開始。2つ目もやはり10%程の勾配がちょくちょく出てきてキツイ。白馬までとは大違いのきつさだ。アタック白馬というサブタイトルを真に受けて、既に難所は過ぎていると思っていたが大間違いだった。2つ目の峠も何とか越えて下り、ちょっと登った所の交差点の標識を見て愕然とした。そこには「戸隠」の文字が!何と3年前に始めての600kmブルベとなるアタック北信で死ぬ思いで越えた戸隠の登りが今日のコースに入っていたことを今初めて気が付いた。背中に走る戦慄を覚えつつ10%超の激坂に必死に喰らい付く。途中、坂の上を見上げると1人のブルベライダーが脚を付いて止まっている姿が目に入った。負の引力に引き寄せられる錯覚に陥り、こっちも思わず脚を付きそうになったが必至に堪えて登り続けた。ようやく勾配が緩くなり魔の激坂との死闘は終わった。今回のブルベのサブタイトル「アタック白馬」は「アタック戸隠」の間違いだ。コース作成者の確信犯的なネーミングの意図が見えた様な気がした。

 ここまでが約40km、即ちここから50kmは延々と下ることになる。登りがキツイなら下りもキツイ。雨の降り続く真っ暗なダウンヒルをスピードを殺して下る。常に緊張しているので下りは余り有難くない。国道18号に出て直線的に下って行くのだが路面が悪く、段差でバイクが跳ねまくる。時折車が猛スピードで抜いていくのを間合いを計ってやり過ごす。アイウェアは水滴の乱反射で司会は最悪、命懸けのダウンヒルが延々と続く。
 必死のバイクコントロールで全身が緊張しっ放しで首やら肩やら腕やらが痛い。尻の皮が擦過傷状態で痛い。結構悲惨な状態である。兎に角下り切れば折り返しの上越PC4に辿り着く。そこから10km足らずでホテルなので、そこまで気持ちを切らさないことだけを考えて走る。
 視界の先に街の明かりが見えてきて漸くゴールが近いことを確信した。勾配も緩くなり全身の緊張が緩んだ。市街地に入りちょっと走ってPC4に到着した。

 316km地点のPC4に到着、チェックタイムは22:11。

 PC3で思わぬタイムロスをしたものの、この分なら23時までにはホテルに入れそうだ。ホテルでの補給食を買って直ぐに出発した。
 325km辺りの妙高のビジネスホテルには23時前に到着。5:00起床5:30出発とすれば5時間近くは寝られる。部屋に入って濡れたウェアを脱ぎ捨て風呂に入る。股擦れが酷く水をかけただけで激痛が走る。何とか我慢して洗い、オロナインH軟膏を塗りたくる。軽く補給食を食べ、持参のタブレットPCでインターネットを眺めつつ24時前に就寝。

 翌朝は4:30に目が覚めた。眠気はそれ程ではないが目が充血して痛い。全身の疲労感もそこそこあってちょっと辛いが走れないことはない。尻の痛みはかなり改善されて何とかなりそうだ。
 5:30にホテルを出発。曇天で路面はまだしっかり濡れているが雨は降っていない。予報ではこの後晴れるはずだ。

 チェーンの油がすっかり流れてしまいキュルキュルとやかましい音を立てている。今回うっかりチェーンオイルを忘れてしまったことを激しく後悔、この音を後10数時間も我慢しなければならないかと思うとかなり憂鬱だ。
 ホテルを出てちょっと走って後半の最初の登りに突入、距離は長いが勾配は大したことはないので淡々と走る。とりあえず時間的には若干の余裕があるはずなので焦りはない。

 雲が切れて青空が見え始めた。峠を越えて下り始めた頃にはすっかり晴れて気持ち良い天気になった。
 下り切った所で千曲川沿いの道に出た。

 道沿いの菜の花。
 千曲川沿いの道は平坦かと思っていたが結構アップダウンがあってきつい。しばらくアップダウンをこなした後、ようやく平坦路になった。

 千曲川

 サイクリングロードに入る。昨日の天気が嘘の様に穏やかな晴天の下、のんびりと流す。

 408km地点の通過チェックポイントに到着、チェックタイムは9:07。

 とりあえず1時間程の貯金があるので慌てる必要はない。腹ごしらえをして出発する。

 ここから80km先の最後の峠越えまで少しずつ標高を上げていく。昨日の疲れが残っていてペースは上げられないが、心拍はLSDレンジのままでのんびり走るので悲壮感はない。

 遠くの山並みを眺めながらゆったりとした気分で走る。

 途中、100円ショップを見つけたのでチェーンオイルがないか立ち寄ってみたらおあつらえ向きな物を見つけてゲット。

 チェーンノイズが消えてすっきりした。


 そのうち勾配がはっきりしてきて山道に入る。新緑の木々が清々しい。

 とある峠の山頂にあった湖。ここでのんびりと釣糸を垂らすのも悪くない。

 下りの途中のリンゴ畑。

 山間部の田園風景。今回のブルベで印象に残った風景の一つ。

 山間部を抜け佐久方面への幹線道路に出た。追い風基調で順調に進む。

 470km地点のPC5に到着、チェックタイムは12:34。

 クローズタイムより1時間のマージン。ここから15km登れば今回のブルベの大きな峠越えは全て終了する。正直疲れているが峠を越えてしまえば残りの100kmちょっとは下り基調なので何とかなるだろう。

 PCを出て直ぐに登りが始まる。

 この道は国道299号線、真っ直ぐ行けば秩父を抜け正丸峠を越えて飯能に着く。が今回のコースは途中で道を逸れ遠回りをする。最後の峠越え、大山峠を目指す。

 古谷ダム。ここから道を逸れて大山峠への最終アプローチに入る。

 静かな山道に気持ちの良い風が時折吹き抜ける。そこはかとなく楽しく落ち着いたサイクリングの醍醐味を満喫する。チェーンオイルを買っていなかったら、ノイズで台無しになるところだった。

 山頂目前、新緑の林の中の気持ちの良い登りも終わりだ。

 昨日の凶悪な戸隠の激坂に比べて実にジェントルな大山峠だった。
 ここから一気に下る。細い林道の悪い路面と時々現れる対向車に注意しながら、どんどん下っていく。
 30km程下った所から再び山道に入る。あれ?事前の地図読みではもう峠はなかったはずなのに…と思っている傍からどんどん登り始め、短いながらも10%超の激坂が目の前に現れた。

 何とかピークに到達。もう登りは終わったと思っていたところにこれはちょっと堪えた。
 最後のおまけ的峠を越え再び下り基調で距離を稼いでいく。途中、吉井で昨日通った国道254線に出た。ここから往路を逆行してゴールに向かう。昼過ぎで気温もかなり上がっている。昨日の冷たい雨とは打って変わって今日は暑い。まるでヒートショックをかけられた様で身体がうまく順応できない。下り基調も終わって平坦基調になり、風も向かい風で途端にペースが落ちた。この身体のだるさは昨日の疲れかと思っていたがどうもそれだけではないらしい。暑いのだが腕は汗を掻いていない。どうやら汗腺が開いていなくてうまく汗を掻けない。今年はゴールデンウイークも寒かったのが影響している様だ。さっきまでの山道の快適さはどこへやら、幹線道路をぐったりしながらだましだまし進んでいく。

 548km地点のPC6に到達、チェックタイムは16:36。

 バイクから降りると足元がふらつく。ここは最後のPCで残り56kmでゴールなのでちょっと補給して直ぐに出発するつもりだったが、バテ気味なので長めの休憩に切り替えた。

 20分程の休憩の後出発、一路ゴールを目指す。

 見慣れた風景に戻って来た。日もかなり傾き、このペースだと明るいうちにゴールするのは無理そうだ。

 県道30号のバイパスに入った頃日没。残りは15km程。
 この頃になって漸く腕に薄らと汗が出てきた。日も落ちて涼しくなったこともあって少し体調が戻って来たので、少しペースを上げて走る。

 日も落ちて暗くなり、再びライトを点灯して入間の街並みに入っていく。視線の先に豊水橋へ連なる車の列が見えた。いよいよ今回のブルベも終わりである。

 橋を渡り河川敷へ降りてゴール。何とか無事にゴールできた。ゴールタイムは19:18、完走タイムは37時間18分だった。

 ゴール直前まではちょっと調子が戻って来てまだまだ走れる感じがあったがゴールしてバイクを降りるともう10mも走れない。とにかく股擦れが痛くて再びサドルに跨るなんてあり得ない。認定手続きを完了し、激ウマの実だくさんスープを頂きながら漸く人心地ついた。

 終わってみれば完走だったのだが、やはり昨日の白馬から上越までの上り下りは心身共に消耗した。次のBRM601埼玉600はもう少し楽に走りたいものだ。