BRM629埼玉400

 今朝は6時過ぎに目が覚めた。帰宅したのが2時過ぎで寝たのが3時過ぎだったから正味3時間弱の睡眠、いつもの通り夢なんだか覚醒しているんだがわからない状態を彷徨っていたので寝た気がしないのだが取り敢えずそれなりの時間に目が覚めたのは再来週のBRM713岡山1000のシミュレーションとしては良かった。身体の状態は疲労感はべっとりだが特に故障した個所はなさそう、引き続き自転車に乗ろうと思えば乗れそうだ。でも今日はブルベ本番ではないので休息日とする。
 昨日のBRM629埼玉400の走行レポートである。

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 前日金曜日は会社を午後休んであたふたと準備をしつつ、その前日木曜日の深酒の疲労を抜くためひたすら休息に充てる。本当ならブルベ直前の飲み会は断るのだが、その日は普段とは違うシチュエーションで仕事が一山越えて打ち上げ的要素が多分に含まれていたのでつい気を許したら4軒梯子して帰宅したのが午前3時。「やっちまったー」って感じである。
 二日酔いもさることながらモチベーションダウンが激しい。今回のブルベは超級山岳コースなのでこんな気力ではとても完走できそうにない。とにかく準備だけはして後は当日の朝、目覚めてから考えることにした。

 当日朝は2時に起床。予想通りモチベーションは低いままだが取り敢えず身体は動くのでもたもたと出発準備をして、スタート地点に向かう。
 スタート地点のニューサンピア埼玉おごせには3時過ぎに到着。暗がりの中にそこそこ人数が集まっていた。

 受付には何故かAJ千葉スタッフのシン3さんがいた。ブルベな姿だったが今日は見送りとのこと。この時間に遠方から自走で見送りなんて、正にブルベライダーしか持ち得ない特異な行動パターンだろう。

 今日のコースはオダックス埼玉主催のイベントで「スーパーアタック」の冠がつく超級山岳コースである。
往路

復路

 二度上峠、渋峠、菅平など超級の峠を幾つも組み合わせた総標高差が6600mもあるまあ無茶なコースである。

 エントリーした以上は少なくとも出走する、出走したからには完走を目指さねばならない。こういう心身の状態なんで目標は定めずにとにかくどんな形でもいいから完走することだけを考えて走る。

 定刻4時にスタート。暗闇の中を緩々と走り始める。数名のライダーが意気軒昂に飛び出して行くが追う気力がない。走っているうちに気分も乗ってくるだろうと我関せずでマイペースで走る。

 都幾川を抜ける頃に夜が明けてきた。今のところ雨の心配はなさそうだ。
 PC1までは約120kmと長くそこまでに最初の超級峠である二度上峠を越えなければならない。出生前にパンを食べたがハンガーノックが心配なので心拍を上げ過ぎない様に省エネモードで走る。
 70km程の平坦基調を走り、ぼちぼち山道に差し掛かる。

 勾配は然程でもないのだがいまいち脚が回らないのでいきなりギアを使い切ってしまう。こんなことでは先が思いやられる。

 二度上峠へのアタック開始。距離が書かれた標識が短い間隔で設置されているが、距離がなかなか減っていかないので妙な心理的プレッシャーがかかる。

 ペースを守って何とか二度上峠を越えた。
 ここから一気に軽井沢まで下って、下り途中のPC1を目指す。下りは結構寒い。

 軽井沢の気温は18℃、道理で寒く感じるはずだ。

 程無く116km地点のPC1に到着、チェックタイムは9:07。

 相変わらず胃は重く食欲が湧かない。取り敢えずおにぎり2個を無理矢理頬張ったが、これから渋峠へ30kmも登るというのにエネルギー補給ができないのは非常に心許ない。と思ったらなかなか良さげな携帯用補給食を見つけた。

 一口サイズなので食べ易いし、これ一袋で500kcalもある。補給食としては申し分ない。ちなみに価格は78円、安い!

 ちょっと長めの休憩の後、意を決してスタート。いよいよ今日の正念場、渋峠への30kmの登りである。
 PCを出て5km程下って登坂開始。

 まずは草津までの10kmを目標に脚を回す。のっけから勾配がきつく息が上がる。車通りが多く走り辛いので余計にきつく感じる。速度が10km/hを割り込み這う様に登る。序盤からこんな状態ではとてもこの先30kmをこなせそうにない。暗澹たる気持ちで脚を回す。

 必死の思いで草津に辿り着いた。ここで一息入れようかとも思ったが、何となく魔が差してそのまま先に進んでしまった。
 ここから若干勾配が緩やかになり少し気が楽になった。気温も標高が高くになるにつれて涼しくなって走り易くなり、ペースも安定してきた。先は長い、淡々と進む。

 目指すは白根山

 山頂は遥か先、霧に覆われている。

 白根山ロープウェイ乗り場。これに乗れば楽々山頂だがそういうわけにも行かない。

 風景が一変し、荒涼とした岩肌が目立つ。立ち昇る煙は硫化水素を含む有毒ガス。硫黄の臭いで気分が悪くなる。

 硫化水素ガスの噴き出し口。

 荒涼とした風景が続く。
 それにしても今日の天気がこんな曇り空で本当に良かった。もしこれが強烈な日差しが照り付ける夏日だったらとても身体が持たない。ボトルの水もあっという間に無くなっても補給する場所がなくとて走れたもんじゃないだろう。

 火山地帯を過ぎ再び緑の風景になったが山頂はまだまだ先、果てしない登りはまだまだ続く。遥か先の山肌にこれから登るべき道が見え、心理的に凄いプレッシャーがかかる。

 ようやく空が広くなってきて山頂が近いことが分かる。

 白根山山頂に到達、でもここは目指すべきピークではない。渋峠はまだもう少し先だ。
 一旦ちょっと下って再び登って遂にその頂に到達した。

 12:28、渋峠登頂に成功。登坂開始から3時間かけて標高差1500m、距離29kmを昇り切った。達成感に気分がちょっと上向いてきた。
 写真を撮って先を急ぐ。下り始めたが強烈に寒い!手がかじかんでうまくブレーキレバーが握れない。標高2000m超の山の素性がよく分かった。

 途中、水分補給のために立ち寄った志賀高原の売店の看板犬。ゴールデンレトリバーのくせに愛想がない。
 登りが長ければ下りも長い。途中のちょっとした登り返しを入れつつ30kmを一気に下る。下りでは日差しも出てきて、十分にスピードを乗せられたので登りで遅かった分を多少は取り戻すことができた。
 下り切ってからPC2のカヤの平キャンプ場までの登りが始まる。事前の地図読みでは距離は大したことはなかったはずだ。
 森の中の緩勾配を緩々と登って程無く到着。

 193kmのPC2に到着、チェックタイムは14:12。ここは有人チェックなのでスタッフさんにブルベカードチェックを受ける。コーラと御菓子を頂いて、短めの休憩で出発。とりあえず折り返し点まで来たのでリタイヤして引き返すということは考えなくてもよくなった。これは心理的に結構楽になった。
 次のPCまでは45km、ここから標高差1000mを一気に下るのでこの区間は楽に行けそうだ。
 下りの林道は細く急勾配、おまけに道の真ん中に排水溝の隙間が何か所も出てくるのでかなり神経を使わされて今一つ下りが楽しめなかった。
 下りを終えて下界に戻り、人里を走る。幹線道路には車通りも多く、一気に走り辛くなる。

 北信濃くだもの街道、確かに両脇には果物畑が多い。
 後半の山場、菅平への登り開始。この途中にPC3がある。勾配は思いの外きつく再びペースダウン。午後の日差しがきつく、かなり怠い。2日前の酒が今頃体中の毛穴から出てきている様で気持ち悪い。まだまだ身体は夏の日差しや暑さに順応できていない様だ。

 238km地点のPC3に到着、チェックタイムは16:15。楽勝のはずが2時間もかかってしまった。ここから次のPCまでは111kmとかなり長いので補給はしっかりと摂る必要がある。大盛りパスタをピルクルで流し込む。食事をしていると、何と6時スタートのKondoさんがやってきた!2時間差を250kmで詰められてしまった。やはり速い。
 長めの休憩の後、気合を入れてスタート。いよいよ菅平への12kmの登坂開始である。
 PCを出た直後から登り開始。

 菅平まで14kmって書いてある。地図読みでは12kmのはずだったのに、憂鬱になる。

 気温24℃、登りでは暑い。

 見上げる先にこれから走る道が見える。これだけで戦闘意欲喪失だ。勾配はきつく、10km/l以下でのろのろと進む。

 西日がきつく汗が止まらない。無駄に体力が失われている気がしてならない。
 もう少しで山頂という所で後ろからKondoさんが追い付いてきた。菅平の山頂でKondoさんにキャッチされた。

 17:53、菅平到達。何とか明るいうちにここからの下りをこなせそうだ。

 ボトルの水を補給するついでにジュースをがぶ飲み。旨い旨い旨い!
 ここから下界に一気に下って再び軽井沢を目指す。

 下り切った所で日も落ちて薄暮状態。軽井沢までは後30km。空は薄曇りだが路面には水が浮いている。ちょっと前に夕立が降った様だ。泥除けを付けていないので背中や尻があっという間に濡れてしまった。
 ここから軽井沢に向けてじわじわと長い距離を登っていく。勾配は大したことはないのだがとにかく長い。忍の一字で淡々と上る。

 軽井沢手前の気温は17℃。日も落ちたので肌寒い。
 浅間サンラインに突入。この道は2010年の600ブルベで昼間に走ったのだが酷暑で酷い目に遭わされて嫌な印象しかない。アップダウンが延々と続きいつ果てるともなく長い道が心理的に容赦ないダメージを与える。
 走り続けるがやっぱり果てしないアップダウンが延々と続き、じわじわと脚を削っていく。おまけに夜間走行で道路灯がないので猶更長く感じる。やはりこの道は全く好きになれない。思考停止して走り続ける。
 漸く軽井沢手前の幹線道路と交わったところで今度は雨が降ってきた。ここまで来て雨とは、全く参る。車通りの多い軽井沢市街地を淡々と走る。市街地に入って一旦雨は上がったので一安心。しかしサングラスが雨粒で使い物にならなくなり、裸眼で走ることを余儀なくされてしまった。
 とにかく310km地点の軽井沢の出口であるバイパスの下り始めまで登ってしまえばもう主要な登りはない。とにかくそこがゴールのつもりで走る。軽井沢市街を抜け、もう少しでバイパス下り始めという所で再び強い雨が降り始めおまけに濃い霧で視界が全く利かなくなってしまった。これから下りという所でこれは痛い。

 物凄い霧。短いながらも急勾配の最後の登りを終え、いよいよ決死の覚悟で長い下りに突入する。勾配はきつくスピードを殺すのが大変だ。自慢のGOKISOホイールは下りでも無類の転がりの良さを発揮するがこういう時はこの高性能が仇になって無駄にブレーキシューと握力を擦り減らせていく。路面状態が悪い所があちこちにあって物凄く神経を使う。
 標高が下がって来てようやく霧も晴れて、全身の緊張が緩んだ。碓氷峠越えの旧道と交わった所で急勾配の下りも終わり、ようやく人心地ついた。緩やかに下りつつPCを目指す。
 ここからのルートはブルベで何度も走っているのでコースも頭にしっかり入っているので心理的にかなり楽だ。小一時間走って最後のPCに到着した。

 348km地点のPC4に到着、チェックタイムは22:16。後50kmちょっと走れば今日の苦行から解放される。ここからは睡魔が心配だ。今までの400kmブルベでは眠くなったことはないが、今回は明らかな寝不足で来たのでこの先どうなるかわからない。取り敢えず缶コーヒーでカフェインを摂取する。
 短めの休憩の後、スタート。後2時間半走れば終わりだ。

 走りながら意外にまだ脚が回ることに気付いた。取り敢えず回るに任せて走ってみる。雨の心配もなくなり、最後の最後でちょっと調子が上向いてきた様で、勝手知ったるゴールまでのルートを淡々とひた走る。

 道路標識に東松山の文字が。ようやく戻って来た。

 都幾川を越え、走り慣れた県道30号をちょっと走ったら直ぐにニューサンピアおごせ方面へ右折、最後はあっけなく旅は終了した。

 0:40、ゴール。
 スタッフさんや先着していたKondoさんと会話しつつ認定手続きをする。

 無事に認定手続き終了、認定完走時間は20時間40分。最初はどうなることかと思ったが終わってみればこの時間で完走することができた。結果オーライである。

 Kondoさんは24時前にゴールされたとのこと、病み上がりの復帰戦でこんな無茶なコースを選んで17時間台で完走なんてやはり超人である。

 無性に腹が減ったのでラーメンを食べて帰ろうとそそくさとその場を後にした。

 夜中の2時過ぎにやっているラーメン屋と言えばここ位しかないがブルベ直後は旨い。普段の400kmブルベでは、深夜ゴールだと胃にもたれると思って食べなかったのだが翌日ハンガーノック症状で結構身体にダメージがある様なので今回は食べてみた。(実際に今朝起きてみるとハンガーノックの症状は全くなかった。胃にはもたれ気味だがやはりしっかり食べて寝た方が良さそうだ)
 ラーメンで腹が満たされた後帰宅、シャワーを浴びてすっきりして床に入った。

 この山岳ブルベを20時間台で完走できたのはかなり自信になる。再来週に控えているBRM713岡山1000はとんでもない山岳ブルベで前半400kmは今回のブルベに匹敵する登りがある。コースマップを眺めていてもどう走ってよいやら皆目見当がつかなかったのだが、今回これを完走できたことで何とかなるかも知れないと思えるようになった。

 とにかく走り出せば何とかなる。そういうことだ。