MGM2018/Report 3:スタート前日

 8/18(土)、3時間程寝て目が覚めた。時計を見たら2時過ぎ。まあ、時差ぼけだな。変な夢を見て、目覚めたらスペインだったのでとても変な気分。日常と非日常が混ざった虚構の夢を見て、目覚めたらこれまた現実だけど非日常なスペインにいたという虚構と現実と日常と非日常が混濁したこの妙な気分は殆経験したことがないので形容し難く、対応の仕方が難しい。まあ、何とかしなければならない状況でもないのだが。二度寝しようにも眠れないのでPCを開いてツイッターをチェック。北海道2400も1200もそろそろ終盤か。天気も回復したみたいなので、走行中の皆さんには最後まで頑張って走り抜いてほしいところ。北海道1200&2400と日程が被っていると良かったなあと改めて思う。走行中は単独が好きだけど、同じ時に誰かがどこかで頑張っていると考えると精神的なエネルギーになる。これもまたブルベの面白味の一つ。

 またちょっとうつらうつらして目が覚めた。もう直ぐ5時だけまだ真っ暗。朝は遅いのか。

 更にまた1時間位うつらうつらした。6時半だけどまだ真っ暗。ネットで調べると日の出は7時半位だから明るくなるのは7時位か。外気温は15℃位で寒くはない。そう言えばスペインは今サマータイムなのか。外では鶏が鳴いている。鳴き声は日本と同じ。

 眠ったのかそうでないのか良く分からないうちに時間だけが過ぎて外が明るくなっていた。時計を見ると8時過ぎ。ちょっと御腹が空いて来たけどスーパーの開店時間は9時。MGMの前日受付は10時~14時を選択していたので先に面倒臭いことを終わらせてから食べ物と買い出しに行こうと決めてベッドから起き上がった。ドロップバッグの中身を最終確認し、ウェアに着替えて9時に部屋を出た。

 フロントに行ってストレージルームの鍵を開けてもらいバイクを出してホテルの外に出た。

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 今朝のEl Molarは快晴。涼しくて気持ちが良い。

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 車も人もそこそこ往来があって、そこはかとなく朝の活気を感じる。

 9時過ぎ、ドロップバッグを背負い、スタート地点のTorrelagunaという街まで自走開始。

 Torrelagunaまでは15km位だが結構アップダウンがある。とにかく行ってみよう。

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街中を抜ける。つい左側走行になりそうになるが進入禁止の標識に気付いて慌てて右側通行。

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 快晴でカラッとしていて涼しく爽やかな空気、サイクリングコンディションとしては申し分ない天気、時差ぼけでぼぉっとしつつも気分は上々。

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 隣街までは登り。ちょっと疲れ気味で脚は余り回らないのでしんどい。

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 牛のマークは家畜横断注意ということか。

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 日陰に入るとホント涼しい。この爽やかさは確かに高地にいるという気がする。

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 街を抜けると鹿の標識。野生動物飛び出し注意ということかな。

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 長い下りに入ると素晴らしい眺望。茶色と緑の入り混じった広大な大地が地平線まで見渡せる。ちょっとこの解放感は写真では表現できない。5km程の長い下りを終えて平坦基調になった。復路はこれを登って帰らなければならないのかと思うとちょっとげんなり。

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 Torrelagunaの街の入口。道の両側の花が印象的。

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 街の中心部へと進む。TorrelagunaはEl Molarと似た様な雰囲気の街だ。

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 10時過ぎにスタート地点に到着。ここは街のスポーツ施設の様だ。まだ参加者の姿はまばら。

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 バイクを停めてドロップバッグと必要書類を準備する。

 ここでルーターが機能していないことに気が付いた。データsimが繋がっていない様だ。色々と試行錯誤するが駄目で、ここでのネット接続は断念。

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 早速建物の中に突入。スタッフが数人いたがまだ受付が始まっている様子はない。英語が話せる女性のスタッフから、まだ担当者が着いていないのでもうちょっと待ってと告げられる。何となくスペインらしいのんびりした空気。

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 外では10名程の参加者達が談笑しながら受付開始を待っている。PBPやLELに比べたら遥かに小規模なのには拍子抜けした。

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 15分程経って何となく受付が始まったので列に並ぶ。

 私の番になったのでまずはリストに出走サイン。参加者グッズとドロップバッグの専用の袋を貰う。オフィシャルサイトからダウンロードした誓約書や健康証明書は必要ないと言う。なんだ、高い費用を払って入手する必要も無かったか。

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 自分の名前や住所を書き込んだドロップバッグに中身を移し替える。当初持って走る予定だったレインウェア上下は多分そんなに必要にはならないだろうと判断してサドルバッグからドロップバッグに移す。ドロップバッグをスタッフに渡して取り敢えず受付作業は全て完了。

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 ブルベカードとここの施設利用の回数券と各PCの緊急連絡用の電話番号リストももらった。

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 参加者が三々五々到着してのんびりと受付作業が進む。こじんまりとしてアットホームな雰囲気。本来の姿はこれでPBPやLELの規模が大き過ぎるのかも知れない。

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 受付が終わった後、独りのイタリア人ライダーから「日本でランドネはいつやるんだ?」と聞かれた。最初ランドネの意味が解らなかったのだがよくよく聞いてみると1200kmブルベのことだった。「ちょうど今、北海道でやっているよ」と答えると「そうか。日本を走りたいんだ。日本に行くのが楽しみだ」と答えてくれた。

 40分程で一連の受付作業が終了し、ホテルに帰投する。

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 Torrelagunaの街の中心には教会があった。この辺はフランスと同じ様な感じか。

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 街を出ると荒野の道になる。

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 向かうべき先にはさっき下って来た登り坂が見える。これを登らないとホテルの帰れない。

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 登り開始、斜度はそれ程でもないが如何せん長い。まだ疲れがあるのできつく感じる。えっちらおっちら登って行く。

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 地元のサイクリストか「オラ!」と一言かけて颯爽と抜いていく。こっちは「オラ…」と返すのが精いっぱい。

 1時間半前は涼しくて爽やかだったのに今は日差しもきつく暑い。やはり昼からの気温がかなり高くなる様だ。暑さも相俟って余計に登りがきつい。

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 何とか登りをクリアしてEl Molarの街に戻って来た。

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 ホテルに戻って参加者グッズの中身を確認。ブルベカード、施設使用回数券、反射ベスト、ジャージ2枚(1枚は無料で貰えるがもう1枚は別途購入した)、ブルベカードケース、リストバンド、ボトル。

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 明日からこの欄を一つ一つ埋めていく地味な作業が始まるのか。そう考えるとなかなかにしんどい。

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 さて昨日スペインに着いてから何も食べていなかったので、食べ物を買いにスーパーに行く。

 そこそこの品揃えのあるスーパーなのに何故かサンドイッチ類が全く置いていない。フランスのスーパーにあったたくさんの種類の具沢山のサンドイッチを食べるのが楽しみだったのにちょっとがっかり。仕方が無いのでフランスパンとサラミソーセージを買って御茶を濁す。

 

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 レジで精算時の会話。

私「Hola!」

女性店員「Hola!」

女性店員「Bolsa?」(袋いる?)

私「Si」

女性店員「Gracias!」

私「Gracias!」

 たったこれだけの会話だけど、ちゃんと意味が理解できた上で自然な流れで会話できたことに自分でもちょっと驚きつつも、何か自分の存在がこの街にちょっと溶け込めた様な気がしてちょっと嬉しくなった。

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 やっと食べ物にありつけた。コーラがとても美味しい。サラミが思いの外美味しくてどんどん食べられる。でかいパンだし2食分のつもりで買ったのに完食しそうな勢い。食べながらツイッターを見ていると北海道2400の参加者が続々ゴールしている。何だかんだで結局全部食べてしまった。

 食後、また繋がらなくなっていたデータSIMの設定に再トライする。色々試行錯誤していたらやっと安定して繋がった様だ。走行中もこのままだと良いのだが、こればかりは行ってみなければ分からない。

 御腹も満たされたので取り敢えず昼寝しようとベッドに横になる。これから24時間は休息に充てられるのは本当に有り難い。まだ疲労感がしっかりあるのでひたすら寝て過ごす。

 ベッドに横になったもののなかなか眠りに落ちない。2時間程ベッドの上でうだうだしながら過ごす。ハードワークを控えての時差ぼけというのは精神衛生上非常に宜しくないのだが、PBPだってLELだってこういう状態からちゃんと完走できたじゃないかと自己暗示をかける。

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 ようやく眠りに落ちて3時間位昼寝。夢を見たのでそこそこ眠れた様だ。ちょっとすっきりしてスーパーに買い物に出た。昼間のパンの御陰で空腹感は全くないが、持って走る補給食のためのクッキーとか夜食代わりのスナック菓子を買って戻って来た。

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 21時近くの夕刻はちょっと暑く感じるが過し易い。これからバルでビールを飲もうという気にさせる絶好のシチュエーションだが勿論今晩も自粛。全ては走り終えてからだ。

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 眠気はないので取り敢えずシャワーを浴びてすっきりして、スナック菓子を食べながらPCを見つつうだうだと過ごす。

 今日はスタート地点までの往復30kmしか自転車に乗ってないし、それ以外はホテルでうだうだして大汗掻くことはなかったし、水分は結構摂っているつもりだけど尿の量が絶対的に少ないし色も濃い。乾燥した気候だから汗を掻いても気付かないということか。

 スタートまで24時間を切った。24時間しかないと思うか24時間もあると思うかで今この瞬間の気の持ち様は変わるのだが、どうしても前者になってしまう。睡眠不足が解消していない様で頭はすっきりしないし身体的にもはっきりと自覚する疲労感がある。本当にこの状態でスタートできるのか?スタートしたとして走り切れるのか?不安は募る。とにかく横になって身体を休めるより外はない。眠気は余りないが取り敢えずベッドに横になる。消灯時刻は23時頃。