MGM2018/Report 8:Stage 5,Day 2/Cistierna-Cangas de Onis(101km/538km)

 8/21(火)、0時過ぎにスタッフの女性に起こされた。特に頼んだわけではなかったのだが「0時だけど大丈夫か?」と聞かれたので「あと2時間寝る」と言ったら「分かった」と言って立ち去った。再び眠りに落ちる。

 再び目が覚めた。時計を見ると1時半過ぎ。眠いが二度寝はできそうにないので起きることにした。まだ身体はちゃんと覚醒していない様で動きは鈍いが、昨日ここに辿り着く直前に痛かった身体各所はそこそこ回復して痛みは感じない。睡眠時間は正味4時間ちょっとだと思うが、やはり寝れば何とかなるか。

 ドロップバッグを元に戻し、昨日の夕食の残りを食べて外に出た。気温は低いが10℃は超えていると思われ寒くは感じなかったのでアームウォーマー&ニーウォーマーは着用せず。

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 2時過ぎにリスタート。

 2日目はGijonまで行って折り返し再びここに戻って来る366km。獲得標高は5000mを超えるハードな山岳ブルベとなる。特に折り返してからのC8/Cangas de OnisからC9/Cistiernaまでの101kmは、標高差1000m超、距離40km超の超級山岳を越えねばらならずしかも夕刻の最も暑い時間帯に重なるというMGMの中での最難関ステージとなる。ここを越えて再びここで仮眠を取ることができれば完走が見えてくるはずだ。

 次のPCまでは101kmと長いが後半は長い下りなのでちょっと気楽だ。時間的に日差しは全くないはずなので暑さの心配を全くしなくても良いのも安心材料だ。

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 まだ寝静まっている街中を静かに走り抜ける。

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 ちょっと走ると意識もシャキッと覚醒して身体も動き始めた。支度している時は動作緩慢だったけどいざバイクに乗るとちゃんと走れるようになるから不思議だ。身体各所も特に痛みはなくそこそこ回復している。心配だったのは昨日終盤で痛み始めた右膝だったが、1日目から膝をやってしまうと非常に大きな懸念材料を抱えることになってしまうのだが、幸い走り始めは痛みは殆ど感じない。まだ怪我までは悪化していない様子だ。今日も嫌という程登らなければならないので、とにかく踏み過ぎに注意する。

 街を出ると登り基調。真っ暗な中ぼちぼち登って行く。夜風が気持ち良く快適に登ることができる。昨日の終盤の苦痛がまるで他人事の様に思える。

 星空はやはり素晴らしい。満天の星空の中、大きく光る北斗七星を眺めながら走る。

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 スタートから454km地点、Cistiernaから17km程走ってCremenesという街を通過。

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 前方に闇の中に明るく浮かぶ施設が見えて来た。

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 近付いてみると変電施設の様だ。綺麗だがちょっと不気味。

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 勾配1~2%の緩やかな登りが延々と続く。左側は山の様だが右側は谷になっている。この地形もずっと続いている。ナビの画面を見る限り右側は川の様だが暗くて見えない。

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 岩盤をくりぬいたままの様なトンネルが出て来た。

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 どうやらダムの上の道を走っている様だ。

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 再びトンネル。トンネルの中は暖かく感じる。

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 左側はダム湖のはずだが暗くて全く見えない。

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 幾つかのトンネルを抜けながらじわじわと標高を上げていく。

 登って行くうちに心地良い涼しさがだんだん寒さに変わって来た。指切りグローブの指先や爪先がちょっと冷たく感じる様になってきた。

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 Cistiernaから29km、Horcadasという街を通過。暗闇の中にふわっと浮かぶ街の明かりがちょっと幻想的。

 Cistiernaから45kmを過ぎ、寒さが本格化して来た。私的には10℃を超えていれば半袖ジャージ&レーパンで凌げるのだが、体感的にちょっと辛くなってきたということは恐らく気温は1桁だろう。まだこの先登りが続くので通りかかった街中の明かりの下で一旦止まってアームウォーマーとニーウォーマーを着用する。

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 勾配が徐々にきつくなり区間最高標高地点への登りが始まった。気温は更に下がってちょっと耐えられなくなってきた。恐らく気温は一桁中盤位か。

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 暗闇の中、再び停まってウインドブレーカーとスタート地点で貰ったMGMの反射ベストを着込む。MGMベストを携帯しておいて良かった。レインウェア上下はドロップバッグの中なのでもう着るものはない。これ以上寒くなったら対処の仕様がなく我慢して進むしかない。

 はっきりとした登りをえっちらおっちら登って行く。寒いことがむしろありがたい。前向きなモチベーションをしっかり持って着実に標高を稼いでいく。

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 7km程の登りを経て最高標高地点と思われるPonton峠に到達。スタートから493km地点。

 ここから長い下りが始まる。40km以上下りっ放しのはずだ。真っ暗な山道を集中して下る。登っている時は感じなかったが、下りに入って身体が冷えるとウェアを着こんでいる身体はともかく指先と爪先が冷えて痛くなってきた。これはもう冬だ。足はともかく指付きグローブを持ってこなかったのは失敗だった。

 指先が冷たくなって感覚が鈍くなりブレーキレバーを握るのが辛くなってきたが、急ブレーキをかけなくて済むようにスピードを殺しながら慎重に下り続ける。

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 1時間程かけて30kmを下り、ちょっと勾配が緩んだ。524km地点、Camporriodiという小さな街を通過。

 勾配が緩くなってようやく全身の緊張が緩んだ。ブレーキレバーを握りっ放しにしなくても良くなったの楽になった。落ち着いて進む。

 10時間後には再びここを登らなければならない。1時間も続く下りを登り返すのには一体何時間かかるのかと考えるとナーバスになる。

 暗くて良く見えないがナビを見る限り右側は川らしい。川沿いの道を緩い勾配ながら更に下って行く。

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 Cistiernaから94km、橋を渡る。時刻は7時、ようやく空が白んできた。雲が多い。

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 PCのあるCangas de Onisまであと4km。

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 Cangas de Onisの街に入った。街は薄っすら霧の中にある。そこそこ大きな街の様だ。

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 路面がしっかり濡れている。ちょっと前に雨が降った様だ。濡れた路面を見るのがとても新鮮。

 街中の枝道に入りナビの案内の通り目的地に辿り着いたものの、コントロールらしき場所が見当たらない。行き過ぎたかと思いちょっと引き返したものの何もない。案内板もないので、これは困ったぞと辺りをうろうろしていたら、進行方向の更に先から参加者がやって来たので、どうやらPCはもっと先にあるのが分かった。取り敢えず枝道の更に奥に進んでいく。

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 ようやく案内板を見つけて安堵する。

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 538km地点のC6/Cangas de Onisに到着。

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 暗くて良く見えないがどうやらここはスポーツ施設の様だ。

 早速コントロールでブルベカードにチェックを受ける。

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 チェックタイムは8/12の7:23。予定より30分早い到着。

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 ちょっと御腹が空いたので何か食べようとコントロールの横のフードコートを見たがパンと飲み物しかなさそう。とりあえずパンとコーラを買う。€3の朝食、その場で焼いてもらったパンは美味しかった。どんよりと曇った朝靄の中、30分程休憩する。