MGM2018/Report 17:ゴール翌日

 8/24(金)、2時。もう走る必要はないのに、やはりこの時間に目が覚めた。全力で二度寝する。

 次に目覚めたのが6時、三度寝はできそうになく1時間位ベッドの上でうだうだする。身体各所の状態は、ピンポイントで痛むところはないが両脚の疲労感はもとより腰の疲労的鈍痛が酷くなっている。ベッドから起き上がるのが一苦労。両手薬指、小指の痺れは相変わらず。今朝はバスに乗ってマドリッド市街に行こうかと思っていたけどちょっとこれは見送りか。明日の朝また荷物背負って空港まで自走しなければならないことを考えれば、少しでも回復しておかないと拙い。

 加えて今朝は消化器系がかなり不快。昨日のビールの影響が多少あるかも知れないが、明らかに疲れている感じだ。よくぞゴールまで持ってくれた。もし途中で食べられなくなっていたら間違いなく終わっていた。(実際、仮眠明けの起き抜けの状態で毎回吐き気に近い感覚があったのでちょっとヤバいかなとは思っていた)

 PCを眺めながらベッドの上でうだうだしているだけで時間が過ぎていく。折角スペインまで来て多分もう二度と来ることはないのに、せめてマドリッドくらい観ておかなくて良いのかという強迫観念が無きにしも非ずだが、もう気合を入れて何かをしようという気力がない。怠惰に任せるのみ。

 11時頃になって部屋の電話が鳴り、部屋の掃除をしたいというのでその間散歩に出かける。

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 ホテルの外に出ると、暑い。取り敢えず右下り方向に歩き出す。

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 ちょっと歩くと街の中心部、役所前。

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  役所と教会のある場所は大抵街の中心らしい。そこそこ人がいるが皆観光客なのだろうか。

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 当てもなくただ街中をぷらぷらと歩く。

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 人通りの少ない路地を歩いてみる。

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 3、4階建ての建物が多いが、これは皆アパートなのだろうか。

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 日本だとただのごちゃごちゃした裏路地で終わってしまいそうだが、スペインだと何となく雰囲気があって絵になる。歩いているだけで旅行気分が十分に味わえる。

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 妙齢の女性が二人、大きな声で楽しそうに会話しながら歩いている。何とも長閑な風情に和む。

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 ここから向こう側は住宅街の様だ。最初にこの街に入った時は小さく思えたが住宅地も広く結構大きい。

 30分程歩いて街を散策してみたがアジア人は全く見かけず、英語も聞こえてこない。観光の街という感じではなさそうだ。

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 街中の壁に貼られていた、恐らく迷いネコの捜索願いの張り紙。

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 今日ここからバスに乗ってマドリッドに行くはずだったバス停。一応バス停までは見ておこう。

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 マドリッドからはちょっと離れた街なのか、バスの本数はそれ程多くない。

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 帰り際にスーパーに寄って買い物。空腹感はあるのだが消化器系が不調で何を食べて良いのかわからないのでオレンジジュースとヨーグルト飲料だけ買って帰って来た。小一時間街を歩いて、何となくスペイン観光をした気分は味わえたので満足。

 フランスでもデカいサイズのヨーグルト飲料が美味しくて滞在中何本も飲んでいたのだが、ここでも美味しい。あとは出発前に買ってあったポテトチップスの残りを食べて御茶を濁す。

 断続的に昼寝しつつ、基本的にはベッドの上で横になったまま午後も時間が過ぎていく。

 夕方近くなって来たのでベッドから起き上がって、荷物のパッキング開始。サドルバッグとデイパックに荷物を詰め分けて、明朝は起床して直ぐに出発できるように準備する。

 パッキングが大方終了して、打ち上げ本番の店をネット検索で探してみる。フランスではまだムール貝を食べられてないけれど、まだ行く機会はありそうだが、スペインは多分これっきりなのでしし唐の素揚げとアヒージョは絶対に食べて帰りたい。今夜がラストチャンスなので失敗は許されない。グーグルマップで近場のバルの写真を片っ端から見て回ったら店のメニューの写真がアップされている店を見つけた。

 ホテルから近いので距離的にも問題はない。

 写真のメニューをよく見たらちゃんとタパスの料金が書いてある。昨日の店は大皿だったけどタパスはおつまみサイズなので多分小皿なはず。小皿だと色んな種類が食べられる。そして目当てのピミエントス・パドロンを探したら、あった!この店に決定だ。それからネットと手元のスペイン語の教本を駆使してタパスで注文できそうな料理全16品を翻訳しメモして事前準備は完璧だ。ついでに明日のフライトのオンラインチェックインを済ませておく。

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 明日は早朝にホテルを発つので早めに始めようと、勇んで店に行ったら20時からと言われすごすごと撤退。既にその店のメニューは事前解析済みなのであくまでそこに拘りホテル待機。

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 20時になったので再び店を訪れた。今度はすんなり着席。

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 まずはビールを注文、そしてメニューを御願いしたら事前チェックしたメニューと違うものが出てきていきなり出鼻をくじかれてしまったがスマホの写真を見せて「このメニューはないの?」と聞いたら「ああ、そっちのメニューね」と写真と同じメニューを持って来てくれた。これで事前準備が水の泡にならなくて済んだ。

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 独り打ち上げ本番開始!良かった、ビール旨い。体調イマイチだから楽しめないかと思ったけれど安心した。

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 店の中を見回すと、鳥の剥製があった。と思ったら動いたので驚いた。鷲の様な大きな鳥。

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 遂に御対面!シシトウの素揚げ。左はチョリソのフライ。卒倒する程旨い!ビールのつまみには最高だ。やっと本懐を遂げることができた。単身スペインに乗り込んで無茶な1200kmを身体をボロボロにして走った甲斐があった。この達成感・満足感はちょっと言葉にできない。私的には、人間らしく生きるには目標を定めてクリアするというプロセスは必要だと強く思う瞬間。

 しし唐というよりは小さなピーマンという感じ。旨過ぎる。チョリソのフライも旨いウマイ。

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 ビールを御替わりしてタパス第2段。左から牛肉の煮込み、キノコのアヒージョ、小ハゼの揚げ物。どれもシンプルな味付けだけど塩味がビシッと効いてビールとの相性は抜群、基本的にビールオンリーの私にはもってこいのつまみだ。

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 のんびり寛いでいたら店がそこそこ混み始めた。家族連れが多いが、白いポロシャツを着た店主と思しき恰幅の良い男性が客に鳥を触らせている。これも店の余興か。

 バルは楽しいし安い。(勿論日本対スペインの購買力平価は考慮されなければならないが)もしスペインに住むようなことになったら俺は速攻で駄目人間になりそうだ。

 疲れた身体にビールの酔いが回って、重圧から解放された完全ストレスフリーのふわっとした至福の時間がゆったりと流れる。この時間を体感できるシチュエーションを整えるのは普段の日常生活ではかなり難しい。要は事前準備の労力と高額な渡航費用と異文化との接触による精神的ストレスと実走行による心身の疲弊がその後の打ち上げの感動を含む精神的充足感に釣り合うかどうかだ。今回のMGM遠征は幸いにして後者が勝った。やはり来て良かった。でももう次は無理、こんなにきついブルベは二度と走れない。今回が最初で最後だ。

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 タパスメニュー16品全部食べてやろうかと思ったけど、わずか5品で打ち止め。1品がかなりの量なのでとても食べ切れない(パンを外してもらったらもうちょっと行けたのに、残念)。流石に疲労感には勝てず酒量もビール大ジョッキ2杯と白ワイングラス1杯で名誉の撤退を決意、店を後にする。

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 El Molarの最後の夜景を眺めつつホテルに戻る。名残惜しいが、明日もう一仕事しなければならないので寝なければ。

 部屋に戻ってPCを開く。航空会社からメールが来ていたので開いてみた。うへえ、明日の帰国便、MADからHKGが2時間遅れのリスケジュールだって。乗継便に全然間に合わないじゃないか。こういう時はどうなるんだ?最後の最後でトラブル発生か?

 多少の不安を憶えつつも、なるようにしかならんと割り切って寝る。消灯時刻は23時頃。