8/19(月)、15:20にPC3をぼちぼち出発。滞在時間は約30分程。PC出発時間基準のタイムマージンは1時間40分。
さっきの区間でちょくちょく見かけたイタリア人の2人組。御喋りしながらのんびり走っていたかと思いきや、凄いスピードで飛んで行ったりしていた。走り方が面白い。
第5ステージはルディアックまでの85km。アップダウンが若干きつくなる。これが今日の最終ステージ、これをこなすと仮眠を含む大休止を取ることができる。あと5時間頑張ろう。
PCの出口。ブレストは左へ、パリは右へ。流石にまだこの時間だと右に行く人はいないか。
タンテニアックの街中を抜けて行く。この役所の様な建物は良く憶えている。
この街の中にも自転車のディスプレイがたくさん飾られている。
何故かサンタクロース。下ハン持ってレーシーなフォームだ。
フランスの街の家々はこじんまりとしているが本当に綺麗。さりげなく整えられてたくさんの花がでしゃらばずに上手く配置されている。こういうのは文化に根差したセンスというのだろうか。日本人には真似できない。
366km、ラ・ボッセーヌという街を通過。街中の速度警告表示は25km/h。サイクルコンピュータの数値と大体合っている。
ちょっと長めの登り坂をえっちらおっちら登って行く。勾配は5%弱、距離は2km弱といったところ。
370.3km、ベシュレルの街中を通過。街の人の応援が嬉しい。子供達とハイタッチ。
ベシュレルの街から見えるTV電波タワー。PBPの行程で見ることができる2か所のタワーのうちの一つ。メインはPBP唯一の山越えの頂上にあるタワー、明日見ることができる。
タワーを間近に見ながら長い坂を下って行く。
PBPでの私的にちょっとした楽しみの一つに紫陽花を見るということがある。フランスの紫陽花は色が濃くて深みがある感じがするのだが、今年はどこも枯れかけていてパサパサに乾いている。これはもしかしてちょっと前の酷暑の影響なのだろうか。ちょっと残念。
真っ直ぐで緩やかなアップダウンが続く。車通りが多いわけでもなく分岐点も殆どないのでぼさーっと走っても何の支障もない。
今のところ疲労感は薄くまだまだ脚は回る。向かい風基調は相変わらずだが強くなることはなく、それ程走行の支障にはならない。少なくとも1時間以上のマージンは稼いでいるので、ここで無闇に向かい風に逆らって踏む必要はない。明日に疲労を残さない様に淡々とLSDペースで進む。
"OCM CYCLO"とはサイクリングクラブの名称か?右横のはクラブ所属の参加者名簿だろうか。
380km、メドレアックの街の入口で住民の出迎えを受ける。
街の中心の教会と周囲の建物が見事に調和して美しい街並み。いちいち絵になる風景。
この建物はぱっと見割と最近建てられた新しいものの様に見えるが、こういう古い感じの建築様式で建てられるのか。街の景観に配慮した建築ということに必然的になると思われる。
見たこともない不思議な形をした鉄塔。巨大ロボットっぽくて今にも歩き出しそう。
387km、ケディヤックの街の出口辺りに人だかりのPCの様な場所があったが、スタッフらしき人が「No Control」と言っていたので素通り。どうやらサービスポイントの様だ。
D166という幹線道路を南下。幹線道路だけあって車通りがちょくちょくある。
393.3km、右折してD166を離れる。フェラーリもどきの赤いヴェロモービルがなかなか格好良い。
右折して直ぐに入ったル・パルソンという街には私設エイドが連なっていた。
カメラを向けると嬉しそうにしている。今のところはまだ疲れはないので素通り。
ベルギーの2人組と何となく脚が合ってしばらく一緒に走る。
前回も見たル・パルソンの街の端の巨大な人物画。この絵が誰なのか分からないがそもそもこの巨大な建造物は何だろう?サイロ?
395.2km、サン=メアン=ル=グランの街中で右折。大きな街で人通りも多く結構賑わっている。
街を抜けた後もぽつぽつと私設エイドがある。取り敢えず日中はいざとなったら補給の心配は無さそう。しかし私的には私設エイドに今まで一度も立ち寄ったことはない。
昨日の21時にスタートしてから400kmを消化した。経過時間が20時間だからグロス速度で20km/hはかなり順調に来ている。
道脇にひまわりがちょこっと見えた。今回のPBPでひまわりを見たのは初めてかも。ルディアックまであと50kmちょっと。
401km、ラウンドアバウトでない交差点もちょくちょく出て来る。郊外の交差点には信号はまずない。
空には雲が多いが西日はまだ高く日差しは強い。微妙に暑くてちょっとぼーっとする。
408.3km、イフォーの街を通過。
リカンベントと普通のバイクを足した様な珍しいタイプのタンデム車。そう言われてみればタンデム車の乗車人数の数だけナンバープレートがあるのか。そりゃそうだね。
417.2km、メネアックの街を通過。微妙な登り坂を上がって教会の前を左折。
後ろから日本語で声を掛けて来たトレインがやって来た。見るとオダ埼ブルベにもよく参加してくれる強脚カップルさんだ。PBPに参加していたのか。いつもの様に結構な勢いで抜いて行った。トレインの中に、さっきまでずっと近くを走っていた女性が混ざっているのに気が付いた(写真中前から2番目)。この区間をこの女性と2人で何となく抜きつ抜かれつでタレ気味な先行者達をかわしながら走っていた。下りと平地で追い抜かれ、登りで抜き返すというのを何度も繰り返していたので良く憶えていた。まだ脚はそこそこ残っているのでちょっとこのトレインに乗ってみることにした。そこそこのスピードで回っているトレインにツキイチしていたら、日本人の彼氏が前に行けと指示するので「50過ぎのオヤジに牽かせるのか?若者は優しくないなあ」と冗談半分に苦笑いして取り敢えず先頭に出て牽く。久し振りに踏みを入れて脚を回してちょっと走ったらトレインからあの女性が切れてしまったと後ろのカップルから声を掛けられた。千切るつもりは毛頭なかったのだが申し訳ないことをしてしまった。更に後ろの彼女から「さっきの人、女性に見えるけれど男性なんですよ」と教えられてびっくりした。後姿はすらりと細身だし手足は長いし白くてつるつるだし金髪だしどう見ても女性だと思っていたのにまさかでも男性だったとは。その後トレインは解散し再び単独走行に戻った。
走っているうちにちょっと空が暗くなったと思ったら大粒の雨が落ちて来た。今度こそ降られるかと思ったが、またしても5分程で止み、ほんのちょっと濡れたが直ぐに乾いてしまった。
428.6km、プリュミューの街を通過。この道脇の紫陽花は比較的まだ綺麗に咲いている感じ。
前回この辺りでイナガキさんに会ってちょっとだけ一緒に走った。イナガキさんは「さっきまで吐いてて調子悪いんだよ」と言いつつ突然ダッシュをかますなかなか御茶目な走りをしていたのを思い出した。前回PBPの懐かしい思い出の一つ。
ルディアックまであと20kmを切ったところでサイクルコンピュータの電池切れ間近の警告表示が出た。GPSの実走ログを記録しているのはこれだけなので途切れると後が面倒臭いことになるので止む無く外してモバイルバッテリーで充電する。サイクルコンピュータが見えなくなるのはちょっと不便だがナビがあるので実走行に支障はない。
アップダウンの登りが長い。もう2km近く登っているのにまだ続く。結構しんどくなってきた。
もう直ぐ19時だがまだまだ日は高い。西日がそこそこきつくて暑さがちょっと堪える様になってきた。ここまで22時間走り続けて流石に疲れて来たか。やっと登りの終わりが見えてホッとする。
441km、ルディアックの案内表示が出て来た。今日のゴールまであと10kmちょっと。ここから先は下り基調。
443.4km、ルディアック手前のラウンドアバウトがもう直ぐ。
このラウンドアバウトをゆっくりと回る。ここを回るともうゴール着いた様な安堵感がある。PBPの第1日目は無事に走り終えられそうだ。
445km地点のPC4/ルディアックに到着。前回同様たくさんの観客やスタッフに出迎えられ嬉しくなって疲れも忘れてしまう。到着予定は21時だったので1時間50分程早く着くことができた。
バイクを停めてまずはコントロールに向かう。
ブルベカードに時間とスタンプを捺してもらう作業はいつもと同じだが、一つずつ欄が埋まって行くのを見るのはいちいち達成感があって精神衛生上非常に宜しい。
チェックタイムは8/19の19:19。
さあ、今日の仕事は終わった!まずは食事。
一旦駐車スペースに戻って寝床に持って行く荷物をフロントバッグやサドルバッグから抜き取る。周囲は多数の観客が鈴なりで参加者の出入りを眺めている。
毎回のことながらこの熱狂振りにはちょっと圧倒される。自分がプロのロードレーサーになった様な錯覚を覚える。こういう雰囲気にどっぷりと浸かれるのもPBPの醍醐味の一つ。
フードコートの長い列に並ぶ。待ち時間はそれほど大したことはない。
飲み物コーナーにはビールが並んでいてかなり飲みたくなったがぐっと我慢。全ては完走を果たしてからだ。
メインディッシュはチキン。ライスにはトマトソースをかけてもらった。明日の朝用にデニッシュとバナナとミネラルウォーター。これで€15ほど。コーラは余り冷えていなかったがそれでも充分旨い。走り終えた後のコーラは最高。食事をしながらゆっくり休憩。
食事を終えて広場に出た。次はベッドブッキング。今回はオフィシャルの仮眠所を使うつもりだが、もし一杯だったら前回同様ドロップバックに入れたツェルトを裏庭に張ってその中で寝るつもりだ。ドロップバッグを受け取り、ベッドブッキングの受付に行くと予想に反してベッドはがらがらに空いていた。前回以上に参加者が多いのでベッドが埋まっているのではないかと心配だったが全く杞憂だった。まだ明るいので多くの参加者は更に先を目指すのかも知れない。ベッドを申し込む際に起床時間を申告して、その時間にスタッフに起こしてもらうシステム、明日の起床時間を3:30と申告する。ベッド代は€5。今回は少しでも長く寝るためにシャワーは割愛、着替えるのも面倒なのでウェアを着たまま寝てみることにする。着の身着のままで果たしてちゃんと仮眠できるのかこれも実験の一つだ。
広い体育館の様な建物の中一面にベッドが並べられている。人の出入りが頻繁なのでやはりそこそこ煩い。
ベッドはデッキチェアの様な物で一見クッション性は悪くなさそう。薄い毛布が1枚支給されている。電装品の充電をセットして念のためリストウォッチのアラームを3:30にセットする。持参した耳栓をどこに仕舞ったか忘れてしまって見つからないので止むを得ず持っていたティッシュペーパーを丸めて耳に突っ込む。遮音性はいまいちだがないよりは遥かにましだ。早速ベッドに横になって寝に入る。就寝時刻は20時半過ぎ。