PBP2019/Report 17:Stage 13,Day 3/Villaines-la-Juhel -> Mortage-au-Perche(85km/1097km)

 8/21(水)、18:00にPC11/ヴィレンヌ=ラ=ジュエルをリスタート。出発時間基準でぴたり予定通り。ここで今朝のスタート時点での1時間のマージンを食い潰した。このペースで行けば予定より遅れての到着となるのはまず間違いないが、あくまで無理しないペースを守って走ることを心掛ける。

f:id:gearmasher:20190822010034j:plain 出口のたくさんの観客やスタッフさんに見送られながらゆっくりと走り始める。

 まるでプロのロードレースの個人タイムトライアルのスタートの様な雰囲気。気分的にも盛り上がる。

f:id:gearmasher:20190822010608j:plain 街中を抜けていく間、街角の人達が声援を送ってくれる。街全体が応援してくれている感じがとても嬉しい。

 第13ステージはモルターニュ=オー=ペルシュまでの85km。次のPCが今日のゴールなのでもう一頑張りだ。予定通り18:00のリスタートで、日没の遅いフランスではあと2時間は暑いのでしんどい走りが続くので恐らく予定のペースよりは遅くなるはずだ。予定では22:00着だが1時間遅れの23:00に着ければ御の字という心持ちで走る。85kmとこの区間も長丁場だがノンストップで行く予定。PC直前は長い登りの山頂ゴールなのでそこまで確実に脚を残しておく必要がある。

f:id:gearmasher:20190822011317j:plain 街を抜けるといきなり広大に開けた場所に出てはっとする。高台の道から見下ろす様に眺める地平線は本当に遠く広い。北海道でもなかなかこういう風景は見ることができない。

f:id:gearmasher:20190822011609j:plain 1019km、アヴェルトンの街の入口にあった牧草の束で作られた巨大自転車のデコレーション。それにしても色々なアイディアを思いつくものだとつくづく感心する。

f:id:gearmasher:20190822011632j:plain 往路ではまだ暗いうちに通ったので電飾が点いていた。

f:id:gearmasher:20190822011722j:plain 明るい時に通過すると街もちょっと雰囲気が違って見える。街の人達の姿も見ることができた。

f:id:gearmasher:20190822011826j:plain この家もPBPの風景の中で私的に強く記憶に残っているものの一つ。4年後また是非見たい。

f:id:gearmasher:20190822012717j:plain 視界が開けているのでこの辺りの牧場はやたらに広く感じる。これだけ広いと夜などちゃんと牛達を集めることはできるのだろうか?

f:id:gearmasher:20190822012741j:plain 暑くてぼーっとしつつ進む。でも苦痛を感じる程の辛さはないので淡々としたペース。

f:id:gearmasher:20190822013359j:plain 途方に暮れそうな程に果てしない風景。往路では暗かったのでこんな風景とは分からなかった。

f:id:gearmasher:20190822013448j:plain 今回のPBP走行で気になっていた、路肩に書かれた水滴の様な形の白いペインティング。一定間隔でぽつりぽつりと書かれているのだが一体これは何だろう?

f:id:gearmasher:20190822014227j:plain 1028.5km、サン=ポール=ゴルティエの街を通過。

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 1035.5km、スジェ=ル=ガヌロンの街を通過。往路の夜の教会とは雰囲気がかなり違う。

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 緩やかに登る草原の丘越えの道。この区間ではこういう丘が幾重にも連なり緩やかなアップダウンがずっと続く。こういう道がPBPの象徴的な道の一つだ。多少へばり気味であるが、それでもこういう道を淡々と走るのは本当に楽しい。

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 一旦往路から外れ、別の道を走る。真っ直ぐな平坦基調が続く。

 尻の痛みが徐々に強くなってきて、サドルに座っているのがちょっと辛くなってきた。ダンシングの回数が増えて来た。あと4時間耐えれば苦行から解放される。とにかく今日のゴールまでもう一頑張りだ。

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 1048km、ラ=ユットの駅の傍の踏切を通過。線路が複線なので幹線なのだろうか。

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 ひまわり畑の道端の私設エイドにはたくさんの参加者が休憩中。西日の暑さが結構堪えている人は多そうだ。私も人のことは言えないが。

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 時刻は19:40、かなり日が傾き影が長くなってきたがまだまだ日差しはきつく暑い。あと1時間位は辛抱しなければならない。とにかく体温を上げない様にペースを抑えて淡々と走るのみ。

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 広いひまわり畑の花は皆、盛りを過ぎて種で重くなった頭を垂れている。夏ももう終わりだ。

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 緩やかな丘越えが続く。風景だけ見ていると果てしない気がするが、でも確実に終わりが近付いている。そう思わせるのはここを走るのはもう3度目という経験だろう。

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 1057kmの右折ポイント。ここに立っていて道を指示してくれる人がいたが、反射ベストがオフィシャルの物ではないのでもしかしたら一般の人なのかも知れない。いずれにしても有難いことだ。

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 フラットな地平線はまだまだ続く。本当に山は見えない。

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 1064km地点で再び往路と合流し遡る。西日に照らされて長くなった影と一緒にゴールを目指す。

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 夕暮れの遅い時間まで道端で応援してくれる人達。嬉しい、有難いの言葉以外見つからない。

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 前方に何となく見慣れた雰囲気の集団がいた。

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 近付いてみると全員が日本人の集団だった。この集団の中にカネサダさんの姿も。久し振りの日本語の会話が嬉しい。バテ気味でペースが上がらないのでしばらく一緒に走らせてもらうことに。R東京ジャージの人の赤いトサカがなかなか目立って良い感じ。

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 1074.2km、マメールの街中をうねうねと走る。久し振りに信号に出くわした。なかなか青にならない信号に随分待たされた。

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 マメールはかなり大きな街で抜けるのにそこそこ時間がかかる。人通りも多く賑やか。今日のゴールまではあと25km。

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 街を抜けて郊外に出ると再びフラットな地平線が広がる。時刻は21:10、西の地平に日が沈んだ。

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 夕焼けがオレンジから紺色に遷移していくこの15分程が至福の時間。これだけフラットな地平線でここまでクリアな夕焼けは滅多に見られない。正にプライスレスな風景。

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 辺りが薄暮になりナイトラン開始。いつの間にか日本人集団から抜け出し単独走行になっていた。日が沈んで気温が下がって来るといつもの通り調子が出てきて脚が回る様になってきた。ようやく俺の時間帯が来たか。そこそこペースを回復して快調に進む。

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 周囲の風景が木々に囲まれ、徐々に山っぽくなってきた。道も細かいアップダウンに変わり、今までのんびりだった走りがちょっと緊張感が出てきてそこそこ集中力が必要になってきた。

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 1088km、サン=ジュワン=ド=ブラヴーの街を通過。登り基調の途中の小さな街だ。

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 往路でも通った舗装したての綺麗な路面を走る。

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 1094km、ぼちぼち登りが始まった。勾配は5%に満たないが距離が長い。

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 直線的な登りを快調に登っていく。ここまで脚を温存したというよりは日が暮れて気温が下がり調子が一気に戻って来た御蔭で楽しく登ることができる。

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 緩やかに大きく左にカーブし始めるとゴールまで1km程。

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 見上げる山の裾野に街の明かりが見えてきた。モルターニュ=オー=ペルシュの街だ。今日も無事に走り終えられそうで安堵する。

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 モルターニュの街に入った。PCはもう目前。

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 PCのバイク置き場に一気になだれ込んだ。

 1097km地点のPC12/モルターニュ=オー=ペルシュに無事到着。

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 広いバイク置き場はたくさんの参加者でごった返している。まだまだここはボリュームゾーンの中の様だ。

f:id:gearmasher:20190822052220j:plain ちょっと歩き回ってやっとバイクを置けるスペースを見つけバイクを停める。そのままベッドに直行するつもりで必要な荷物を持ってまずはコントロールに向かう。

f:id:gearmasher:20190822052415j:plain 何かのキャラクターに似ているおじさんにチェックを受ける。でもそのキャラクターが誰なのか思い出せない。

f:id:gearmasher:20190822054454j:plain チェックタイムは8/21の22:22。到着時刻基準で20分の遅れだが、これはもう誤差の範囲といって良いのではないだろうか。西日の暑さと微妙ながらも向かい風基調の中でロスを最低限に抑えられたのは結果オーライというところ。

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 コントロールをクリアして次は食事。御腹が空いたのでしっかり食べるつもり。

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そこそこ混んでいたフードコートに並んで、食事をゲット厚切りハムとマッシュポテト、それとサラダ。どれもとても美味しいが、キュウリがとても美味しい。食事をしていたらナミキさんがやって来た。スタートして直ぐに後姿を見送ったからもうとっくにゴールしているだろうと思っていたのでちょっとびっくりした。ナミキさんは既にベッドも確保してシャワーを浴びてきたとのこと。歓談しつつ共に食事。ナミキさんの飲むビールがとても美味しそうだったがぐっと我慢。この人混みなのでベッドブッキングができるかどうか心配になったので、食事を終えて直ぐに席を立った。

 ナミキさんにベッドブッキングの場所を教えてもらったのに良く分からなくてうろうろ歩き回り、メインホールの入口にいた女性スタッフに場所を尋ねたら真顔で「ベッドはない!」と言い切られたので、目が点になって硬直したらその女性は直ぐに「冗談よ」と笑いながら言われた。この状況でまさかこんなジョークをぶちかまされるとは予想だにしなかったのでびっくりしたがなかなか面白かった。場所を教えてもらってメインホールの左のテントに行くとベッドブッキングの列ができていたので並ぶ。

f:id:gearmasher:20190822061715j:plain 幸いベッドは結構空いていて問題なくブッキング完了。ここからゴールまでの残り距離は120kmなのでこのまま一気に行ってしまおうという人が多いのだろう。明日の起床時間は予定通り5:00スタートとして4:30に起こしてもらう様に御願いする。

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 体育館の様な広いホールには薄っぺらいマットが敷かれていて毛布も薄い。でももうこういう環境にかなり順応して来たし、程良く疲れているし耳栓もバッチリ機能しているので問題なく寝られるだろう。今日も時間が勿体無いのでシャワーは無しで着替えも無し。サイクルコンピュータとスマートフォンの充電をセットし、尻の擦過傷の痛みがそこそこ酷いのでオロナインH軟膏を塗っておく。寝る前に明日の天気予報をチェックするが、雨の心配はなさそうで一安心。

 マットの上に横になって手足を伸ばすと、まだゴールしていないのに何とも言えない幸せな気分になる。明日は120km走るだけで終わりだと考えると、心理的な重圧が相当に軽くなっていることが良く分かる。今日ここまで辿り着いたことでヤマ場は越えたことをしっかりと自覚する。長かったこの旅もいよいよ終わりが見えて来た。今晩しっかりと寝て、明日は心身共にすっきりとして最終日を無難に楽しく走りたいところだ。しっかり耳栓をして睡眠態勢を整える。就寝時刻は23:30。