PBP2019/Report 21:ゴール翌日

 8/23(金)、5時過ぎに目が覚めた。この時間に目覚める必要は全くないのに、身体はまだブルベ走行モードになっているらしい。

 御腹空いた。今猛烈に食べたいものは、所沢大勝軒のつけ麺。未だかつて大盛りを注文したことはなかったが今なら多分食べられる。川越二郎でも勿論良い。駄目元でパリで二郎系のラーメン屋がないか検索してみたがまあ当然ない。兎に角手持ち行きつけのラーメン屋に行きたい。昨夜の独り打ち上げで食べたムール貝、美味しかったのだが日本で過去に食べたものと比べて飛び抜けて美味しいという程ではなかったというのが正直なところ。でも取り敢えず3度目のパリにしてようやく本懐を遂げられたという意味は非常に大きい。食べ物で言えば去年のMGM完走後に食べたしし唐の素揚げは抜群に旨かった。あれは現地じゃないと駄目だ。ムール貝を食べたらもう他に食べたいものが思いつかない(あるにはあるがコスト的に意識の埒外)。近くのスーパーで食べたいものを見繕って部屋で食べるのが良いかな。今日の打ち上げ続編も部屋呑みにしよう。

 今回キャッシュを300€近く持って来たが今日時点でもう半分使っている。全て食費。これ以外にもクレジットカードで支払った分もあるので相当な額になる。やはり円換算にするとヨーロッパの食費はとんでもなく高い。イベントが終わったら急に現実的な経済観念に戻ってちょっと寒くなった。

 目が冴えてしまって二度寝できそうにないので、ツイッターでPBP走行中に頂いたたくさんのメッセージを改めて読み返しながら返信を書く。今回のPBPも独りで走っている時間帯がかなり長かったのだが、PCで休憩中にメッセージを読むと非常に元気付けられる。しんどいブルベだと気持ちを繋ぐ助けになる。本当に有り難い。メッセージをくれた皆さん、本当にありがとう!

 今日は完全フリータイム。特にこれと言ってやりたいことはないのだが、まあパリ市街の観光かな。過去2回フランスを訪れてはいるがまともにパリ観光をしたことが無いので今回はそこそこ観て回ろう。今日は体調的に自転車に乗れなくはないのだが、自転車だと行動が制限されるので今日は自転車ではなく歩いて観光することにする。改めて地図を見たら本当にパリの中心部に泊まっていることが分かった。観光名所を歩いて回れそうな感じだ。

 乗らないと決めたら出掛ける前にバイクパッキングを済ませる。面倒なことを先に片付けてしまうとかなり気分的に軽くなる。

 バイクパッキングを終え、特に何をするわけでもなくうだうだと過ごしていたら11時になったのでホテルを出発する。

f:id:gearmasher:20190823180652j:plain パリは今日も文句無しの快晴。

f:id:gearmasher:20190823181600j:plain モンパルナス駅近くの裏路地にはレンタルバイクのステーションがあった。結構な台数がずらりと並んでいる。

f:id:gearmasher:20190823182240j:plain パリ市街に向かう前に、明日のCDG空港行きのバスの時間をチェック。30分おきに出ていることを確認。結構本数は多いので特にトラブルは発生し無さそうで安心。

f:id:gearmasher:20190823182616j:plain モンパルナス駅の裏のカタローニュ広場から既にエッフェル塔が見える。まずはあれを目指して歩く。カタローニュ広場からは3kmちょっとの距離。

f:id:gearmasher:20190823182947j:plain パリ市街近郊の落書きは結構酷い。場所によってはやたらめったら書いてある。ここなどはビルのガラスに書かれている。どうやらこのビルは廃屋らしいが、それにしてもちょっと酷い。

f:id:gearmasher:20190823183144j:plain グーグルマップのルートを参照しながら歩く。パストゥール通りを北上。街並みはシャンゼリゼの辺りとこの辺ではあまり違いが分からない。パリの街全体がこんな感じなのかも知れない。

f:id:gearmasher:20190823183927j:plain

 通りに沿って公園の様な区画がずっと続いているのだが、その一角で中東のどこかの国の様な人達が集まって旗を立てて皆でシュプレヒコールを上げている。民族運動か労働運動か、何だろう?もう少し歩くと歩道を塞ぐ様10数人の黒いスーツに身を包んだ中東系の厳つい顔立ちの男達が立っていて、どう見てもマフィアの集まりにしか見えなくてかなりビビりながら脇を通り過ぎた。この辺りは中東系の人達が多く住んでいるのだろうか。

f:id:gearmasher:20190823184018j:plain ちょっと古めかしい鉄橋は鉄道の起動の様だ。

 パリの街並みは面白い。歴史に裏打ちされた古き良き様式美と近代の無粋さが秩序と無秩序の絶妙なバランスで街全体を美しく御洒落に形作っている。でも決してよそ行きではなくて多くの人達が実際に暮らしている普段使いの生活感があって活気がある。こういう街をただ歩いているだけでかなり楽しい。

f:id:gearmasher:20190823184249j:plain 大きなラウンドアバウトの交差点。Esplanade Jacques Chaban-Delmasという場所らしい。

f:id:gearmasher:20190823184338j:plain こういう大きな通りが放射状に交差する場所だと、通りの先に何があるのか見渡せるのが良い。北方向に見える建物は軍事博物館らしい。

f:id:gearmasher:20190823184612j:plain 当面の目的はエッフェル塔なのでとにかくエッフェル塔を視界に入れながら進む。サックス通りの真ん中を歩く。

f:id:gearmasher:20190823185207j:plain サックス通りを進んだら広い議事堂の様な区画に行き当たってエッフェル塔方向に進めなくなった。ここはエコール・ミリテール(旧陸軍士官学校)だそうだ。

f:id:gearmasher:20190823185340j:plain 取り敢えず右方向に迂回する。学校の構内に楽器を持った制服姿の集団が歩いているのが見えた。軍楽隊の様だ。

f:id:gearmasher:20190823190012j:plain

f:id:gearmasher:20190823190049j:plain 噂に聞いていた電動キックボードが結構走っている。普通の舗装路はともかくこういう石畳は乗り難くないのだろうか。

f:id:gearmasher:20190823190722j:plain エッフェル塔がかなり近付いてきた。

f:id:gearmasher:20190823190853j:plain ブルドネ通りを歩く。歩道をセグウェイが走っている。これもレンタルなのだろうか。

f:id:gearmasher:20190823191520j:plain

 エッフェル塔の直ぐ傍の公園に入った。渡仏3回目にしてようやくエッフェル塔に辿り着いた。間近で見ると思っていた以上にかなりデカい。

f:id:gearmasher:20190823191855j:plain

 下から見上げると最下層の空間はかなり広い。橋脚の骨組みはかなり細かく複雑な構造をしている。この細かい部分は単なる装飾なのか強度に影響しているのか興味があるところ。

f:id:gearmasher:20190823192211j:plain

 橋脚部分にはレストランや売店などがあって賑わっている。上層部の展望台に登れるようだが、エレベーターには長蛇の列ができていた。流石にパリの代表的な観光名所の一つとあって、人出は半端無い。塔の周りの遊歩道上ではエッフェル塔のミニチュアやキーホルダーなどを剥き出しで地面に並べてキャッチセールスをやっている人達が多数たむろしていてちょっと微妙な雰囲気、まあ観光地となるとどこもこういう感じなのかもしれない。ひとしきり塔を見上げて満足したので、今度は凱旋門を目指す。距離は2.5km程。

f:id:gearmasher:20190823192804j:plain 立ち並ぶ建物の中に壁一面が緑に覆われた不思議な建物があった。Vertical Garden Wallという観光名所の様だが、確かに垂直の緑の壁だね。

 ブランリ通りを東に向かって歩いていたら前からイーチョさん達がやってきた。イーチョさん達は凱旋門からエッフェル塔に向かう途中とのこと。私と逆の観光経路だ。すっかりパリの街に溶け込んで違和感はまるでない感じ。

f:id:gearmasher:20190823192830j:plain この通りにも電動キックボードがあった。聞いた話ではスマートフォンのアプリからレンタルできるらしい。ちょっと試してみたい気もするが詰まらないトラブルになりそうなので止めておく。

f:id:gearmasher:20190823193505j:plain アルマ橋でセーヌ川を渡る。前回自転車でパリ市街に入ろうとした時、道が良く分からなくて自動車専用道路とかに迷い込みそうになってなかなかセーヌ川を渡れずかなり苦労した思い出がある。徒歩だとそういう心配が無いのでかなり楽だ。

f:id:gearmasher:20190823193650j:plain 市街地に大きな川が流れているというのはロンドンと似ている。テムズ川とビッグベンを見た時にロンドンらしさを感じた様に、フランスもセーヌ川から見たエッフェル塔の景色がなかなかにフランスの象徴的な風景の一つ。

f:id:gearmasher:20190823194548j:plain 何となく道なりに歩いていたら、騎馬の銅像のある交差点に出た。てっきりナポレオンかと思ったらジョージ・ワシントンの像だという。何故ここにこんな立派なアメリカ大統領の銅像があるのか不思議だ。

f:id:gearmasher:20190823195851j:plain

 あれ?エッフェル塔の正面に来てしまった。凱旋門は反対側なのに道を間違ったらしい。ここは何処かというとトロカデロ庭園らしい。セーヌ川の挟んでエッフェル塔を正面から見ることができる。道を間違ったのが幸いしてなかなか見応えのある風景を見ることができた。これもまた観光。

 ここの広場でも中東と思われるどこかの国の国旗が掲げられアラビアっチックな割と新しめの音楽がガンガンかけられた何かのデモンストレーション的なステージがあった。パリのど真ん中でこういう場面があちこちであるというのはちょっと想像していなかった。パリ市街は人種のるつぼ。美しい観光地の街並みの中で多人種が暮らすダイナミズムがそこかしこに漂っている。ヨーロッパの歴史は戦火の歴史と言われる程長い歴史の中で争いが絶えなかったが、確かに地理的にも様々な国の民族が陸伝いに行き交う立地の中にあって多数の民族の文化や宗教が摩擦と調和を繰り返しつつ今日に至っている。パリはテロ発生の非常に多い場所であることを思い出し、思わず周囲を見回してしまった。

 改めてグーグルマップでルートを確認し、凱旋門に向かう。

f:id:gearmasher:20190823201846j:plain 凱旋門に到着。前回は自転車でこの周りを走って、とにかくこのラウンドアバウトを走ることに無我夢中で凱旋門を眺める余裕は殆どなかった。今日はゆっくりと見ることが出る。

f:id:gearmasher:20190823202136j:plain 道路を横切って凱旋門の下に行く。結構距離があるので走って向かうのにはなかなか勇気がいる。

f:id:gearmasher:20190823202221j:plain 凱旋門を下から見上げる。細かい装飾が多数施されて相当に手がかかっていることが一目でわかる。

f:id:gearmasher:20190823202224j:plain

 ここも観光名所、道を横断して来るのが大変だがかなりの人数がいる。

f:id:gearmasher:20190823202416j:plain

 シャンゼリゼ通り側から見る凱旋門。ここはツール・ド・フランスの表彰式で表彰台のバックにそびえ立ち時にはライトアップされてその存在を際立たせて見せてくれる。私的にも強く印象に残っているパリの情景の一つ。これを間近に見るとパリにいるという実感が強く湧いてくる。

f:id:gearmasher:20190823202529j:plain 凱旋門から見るシャンゼリゼ通り。ツールの最終ステージで見る時はそんなに距離を感じないのだが、こうやって見るとかなり長い。しかも結構下っていて高低差がある。

f:id:gearmasher:20190823202753j:plain 再び道路を横断してシャンゼリゼ通りの入口からもう一度凱旋門を眺める。

 振り返って今度はシャンゼリゼ通りを下ってコンコルド広場に向かう。一応コンコルド広場が最終目的地だ。

f:id:gearmasher:20190823203239j:plain シャンゼリゼ大通りは歩道も広くて歩き易い。でもまあ基本的にはレストランとショッピングの通りなのでそういうものに興味のない人間にとってはどうということはない。取り敢えずパリ随一のメインストリートを歩いてそこの雰囲気を味わうというのが主たる観光の目的となる。でもまあ歩いてその街の雰囲気を感じ取るというのが私的には一番の観光の様な気がする。たかだか数時間ではあるが、何となくその街を肌身で感じて理解したという気になれる。

f:id:gearmasher:20190823204420j:plain この古くて立派な建物はホテルらしい。今も営業しているかどうかは分からない。

f:id:gearmasher:20190823205034j:plain

 ここまで10km歩いてきて流石にちょっと疲れてきて脚も痛くなってきた。かなり御腹も空いたし、もう十分にパリの街の空気を吸ったのでもう観光はいいかなあという気になった。

 通りの向こうにコンコルド広場が見えているが、前回は自転車で到達しているし(前回そこで派手にパンクした)、またパリに来ることはあると思われるのでその時の楽しみとして取っておこう。

f:id:gearmasher:20190823205039j:plain 丁度ここは地下鉄のシャンゼリゼ駅なのでここからホテル近くまで地下鉄で一気にワープすることにする。幸いシャンゼリゼ駅はホテル最寄のペルネティ駅までの直通路線が通っている。

f:id:gearmasher:20190823205911j:plain 自動券売機でチケットを購入。要領はモンパルナス駅の券売機と大体同じ。ICクレジットカードが使用可能で、区間内は一律料金€1.9。

f:id:gearmasher:20190823210011j:plain シャティヨン方面行のホームに降りる。

f:id:gearmasher:20190823210843j:plain 駅のホームでは日本語のアナウンスが流れていてちょっとびっくり。

f:id:gearmasher:20190823211223j:plain こういう案内表示は日本の鉄道と大差ないので違和感なく乗ることができる。

f:id:gearmasher:20190823212142j:plain

 15分足らずでペルネティ駅の到着。とても近い。

 ホテルに戻る前にもうすっかり行きつけになったMONOPRIXで昼食と夜の部屋飲み用の食料の買い出しをする。MONOPRIXの手前でPBP参加の若い二人の日本人青年に会った。まだゴールしたばかりの様なそのままの姿で自転車に乗っていた。ゴール近くのホテルから戻って来たばかりだという。これからそれぞれ分かれて別の場所にサイクリングに行くのだという。こんなに若い時分から海外遠征を経験できるなんて何とも羨ましい限り。それにしてもブルベに参加する若い人が増えたなあ。20歳代でPBP完走してしまったら、その先は一体どこまで行ってしまうんだろうか。末恐ろしい。

f:id:gearmasher:20190823220816j:plain

 ホテルに戻って遅い昼食を摂る。デカいサンドイッチとごちゃまぜサラダとサラミソーセージとYOP。もう馬鹿の一つ覚えという内容の食事。でもこれが美味しいんだな。デザートにプリンを買ったつもりが確かにプリンの様な味はするが米粒の様なつぶつぶの入った今まで食べたことの無いちょっと不思議な食べ物だった。

 今日のパリ観光はちょっと疲れたがなかなか楽しかった。

 今日歩いたルートはこんな感じだ。

 昼食を食べてベッドに横になってそのまま寝落ち。

 

 19時前、ディープな昼寝から覚醒。

f:id:gearmasher:20190824031259j:plain

 パリ最後の夜は質素に部屋呑み。(と言っても金額的にはそんなに安くはないが、外に出るよりは安い)

 メニューはサラミ2種にごちゃまぜサラダ、チーズ盛り合わせ、チョコとジャムのクッキー、ポテトチップスというちょっとジャンクなつまみばかりだが全部並べるとなかなかに豪華。冷蔵庫の能力不足でちょっと冷えが足りないけれどビールはやはり旨い。

 ごちゃまぜサラダは昼に食べたものと内容が違うがとても旨い。適当に色々なものを混ぜている様に見えてこれは計算ずくなのか、どれを食べてもマッチングが良くて本当に旨い。チョコクッキーのイチゴジャムバージョンも旨い。マーマレードも含め何故これを日本で売らないのか謎。絶対におかしい、何か訳があるはずだ。

 ホテルの部屋の窓を開けて呑むと充分にオープンカフェな雰囲気。雑踏の音がそこそこ賑やかで良い感じ。部屋でフランクな格好をして誰にも気兼ねすることなくのんびり呑むのは気楽で良い。ノートPCでPBP走行中に撮った写真を眺めつつ思い出を振り返りながらぼちぼちと呑む。

 酔っ払わないうちに明日のフライトの事前チェックインを済ませておく。バイクパッキングも既に終えてあるし、かなり気楽。フライトは明日19:50なので今夜酔っ払って寝過ごしても大丈夫な程度のマージンはある。

 ゴールしてから丸1日以上が経過したが、現時点で疲労感はそれ程でもなく身体各所の痛みは尻の表層部の擦過傷的痛みが残っている。今回のPBPも序盤オーバーペースで右膝が痛み出し、中盤で落ち着くものの、後半尻が痛み始め尻を庇うと今度は両足裏が痛み始め、掌が痛み始め、逆に踏めなくなるので膝が回復するという毎度のパターン。でもそれ以外はきつかった割には身体的なダメージは少ないと思われる。

  窓の外から聴こえてくる、市街地のパトカーのサイレンの音を聴いているだけで何となく気分が盛り上がる。パリにいるというのを否応なしに実感できて最高のロケーションだ。帰国したらリュック・ベッソンとかジャン・レノとかニヤニヤしながら観そうだ。

 のんびりビールを飲んていていい感じに酔いが回って来た。通常はほぼビールオンリーな俺だが珍しく白ワインが飲みたくなった。時間的にもうMNOPRIXは閉店したし、ちょっと失敗した。

 最終日は冒険活劇映画のエンドロールの様な時間を楽しんだが、どの曲が相応しいかずっと考えながら走っていた。最終的には2曲に絞られた。まずはPat MthenyのCathedral in a Suitcase。

 もう1曲はPat Mehteny GroupのFirst Circle。

 どちらもメセニーというのが興味深い。メセニーの音楽は絵が浮かんでくるし広大な空間が想起されるものが結構ある。まあ昔は相当固めて聴いていたのでしっかり刷り込まれているということもあると思う。

f:id:gearmasher:20190822171211j:plain

 ヤバいなあ。ほろ酔いでメセニーを聴いていたら昨日の映像がフィードバックしてきてじわじわ感動して来た。映像と音楽が一度結びつくと、その音を聴くたびにあの時の感覚が蘇って来る様になる。堪らんなあ。

f:id:gearmasher:20190822041420j:plain

 夕焼けの風景も本当に良かった。頭の中ではPat Metheny GroupのFirmer's Trustがずっと鳴っていた。私的には北海道ブルベの夕暮れ時の脳内BGMの定番なのだが、今回のこの風景にも完璧にマッチング。今聴き返しているけれど、写真を見ながらモルターニュ=オー=ペルシュに向かう途中の夕焼けの情景を思い出しじわじわ感動している。

 死の床に伏していよいよとなったら多分この曲はかけてもらうことになると思う。もう身体は動かないけれど、この曲に結び付いた自分の目で確かに見た風景を思い出しながら逝ければ多分幸せかな。その時のために今せっせと記憶のストックを作るために頑張って走っている様なものだ。

 ヤバい、ビールが足りない。2Lあれば十分だと思ったが見積もりが甘かった。

 明日は日本に帰る。現実世界に戻って、こつこつと働いて稼いで人間関係を無難に整えて休日を確保できる環境を作って、せっせと走って体力と健康維持に努め、そして次の夢を見る準備をする。夢と現実の差があるから現実世界でやっていける。人生、ギャップが大きい方が楽しいのさ。

 残念ながらビールが無くなったのでこれにて打ち上げは終了。品の良い大人になるためには腹八分目で止めておく。

 歯を磨いてそのままベッドに倒れ込み夢の中へ退場。就寝時刻は2時前と思われる。