PBP2011参加レポート14:第11ステージ

第11ステージ:TINTENIAC〜FOUGERES(区間距離:54km、総距離:921km)

 夕暮れの薄暮が消えかける直前の20時半頃スタート。次の区間は区間距離が54kmと短いので気持ち的に余裕がある。しかし3回目の夜間走行に突入し、睡眠も絶対的に不足して疲労も相当蓄積しているので、再び睡魔に襲われるのは必至。問題はどこで来るかだ。夜道を淡々と走っていると、徐々に睡魔が忍び寄ってくるのが分かる。単調で街灯のない田舎道を走っていると、遠くに時折見える前走者のテールランプの微かな赤い光を目で追いながら走る以外にやることがない。突然道路の傷んだ部分にタイヤを取られてバイクが大きく振動して、はっと我に返ることもしばしばだ。

 とある街に入った。中心部を通り過ぎる時、一軒のバールの前にたむろしていた若者が一人近付いてきた。「ハイタッチか?」と思って準備する。彼は左側から近付いてきたのでスピードを落としつつ左手を差し出した。すると酔った彼はハイタッチではなく、何か叫びながら私の腰に手を当て押し始めた。ツールの山岳ステージで登りであえぐ選手に観客がよくやるあれである。想定外の行動にちょっとびっくりしたがこれも有難い応援の一つ、御礼を言いながら後ろ手に手を振った。いやあ、目が覚めた。

 目的地も近くなってきたところで一人のライダーと合流、何となくペースもあってしばらく一緒に走る。ふと見ると彼のサドルバッグにはブラジルの国旗がつけられている。おお、ブラジルかあ!個人的にブラジル音楽を演るバンドをやっていることもあってか妙な親近感を感じる。頭の中ではマシュケナダがリフレイン。

 ほどなくして無事にFOUGERESに到着。チェックタイムは23:27。ライダーの数はまばらだった。腹の空き具合は微妙だったが、ここから先は体力勝負、とにかく食べられる時に食べておこうとレストランに向かう。往路ではここのレストランに寄らなかったのでわからなかったが、行ってみるとメニューも豊富で他のコントロールポイントに比べて最も充実しているように思えた。メインディッシュはラザニアとハムの煮込みが美味しそうだったので両方頼むと、それぞれ一切れずつだと思っていたのに二切れずつよそってくれて皿の上が凄いことになってしまった。それまでに茶碗一杯のスープとサラダを取っていたので物凄い量になってしまった。
 それとここで初めてコーヒーに手を出した。私は無類のコーヒー好きなのだが、いつの頃からかコーヒーを飲むと途端に胃が荒れて痛くなるという悲しい性質の持ち主である。しかし、この先の睡魔との闘いに備えて、眠気覚ましのカフェイン摂取のため敢えてタブーに手を出した。
 食事はそこそこ美味しいのだが、如何せん量が多い。さすがに食べ切れなくて少し残してしまった、不覚。久し振りに飲むコーヒーは旨い!果たしてこの先胃が痛くならずに目覚まし効果を発揮してくれるだろうか。30分程休憩を取る。