2011Fleche924福岡

 今週末はFleche924福岡に参加するため福岡に行ってきた。結果は無事完走、初の九州遠征を楽しく走ることができた。

 思い起こせば去年の10/16、サイスタのブルベ愛好者が集まった飲み会の席で「Flecheを走りたい」と口走ったのだが、その時はただ言ってみただけ感が強かったものの、今年になってシン3さんの絶大なプランニングの御蔭で現実のものとなった。
 Flecheは通常のブルベとは違い、Max5人のチームを組んでチーム毎に24時間で360km以上のコースをそれぞれ設定し、最終的には同一のゴールを目指すというもの。
 チーム名は「チームサイスタ・ブルベスターズ」、メンバーはリーダーのシン3さんを筆頭におとぞうさん、つかぽんさん、タカトリさんと私の5人で当初編成されたのだが、残念ながらおとぞうさんはBRM913千葉600の名誉の負傷が癒えずにDNSとなってしまい残念の極み。残された4人でおとぞうさんの分まで頑張って完走しなければ。

 シン3さん入魂のコースはこちら。


 このコースは、私の実家近くをスタートし思い出の地をあちこち通過するので個人的に非常に楽しみだった。

 福岡へは前日入りで実家に泊まった。スカイマークを使ったのだが、チェックインカウンターで自転車は特別料金と告げられ1000円を支払う。もともと従価料金を払って丁寧に扱ってもらおうと思っていたのでちょうどよかった。実際福岡に到着した際は係員が手渡ししてくれたので安心だった。

 当日朝は快晴なるもちょっと涼しい。絶好のサイクリング日和だ。御袋に車で福岡空港まで送ってもらい、空港ロビーのコインロッカーの前でバイクを組み立てる。11時過ぎにスタート地点に設定した空港近くのセブンイレブンに向かう。到着すると既にメンバー全員が集まっていた。このメンバーが福岡で顔を揃えるというのもちょっと不思議な感じがした。

 スタート時間の12時にはまだ間があったのでとりあえず近くのラーメン屋で昼食。店主が我々のこれからの行動を聞いて驚いていた。ブルベを知らない人の標準的な反応だ。
 再びスタート地点に戻り、12時を確認して買い物をしレシートをゲット。いよいよスタートだ。まずは私は先頭に立つことに。PBPを完走した人間としてチームのために脚を使わせて頂く。
 福岡を自転車で走るのは初めてなのでかなり新鮮、見慣れた風景も車から見るのとでは随分と違って見える。思っていたより市街地は広く信号のストップ&ゴーを何度も繰り返し序盤の巡航速度はかなり遅い。1時間ちょっとを走ってようやく郊外に出て信号もぐっと減ってきた。昼過ぎの日差しはまだ夏の名残が残って強いが、気温がそれほど高くないので走り易い。
 山が目前に迫って来て徐々に登り始める。今回のコースの最も高い峠越えとなる坂本峠アタック開始だ。激坂ではないのでメンバーで談笑しながらのんびり上る。途中で佐賀県に入る。頂上近くなって道がどんどん細くなりちょっと心配になるが程なく坂本峠の道標が見えた。まずは手堅く峠越えを済ませ記念撮影。
 かなりの急坂を下ると今度はド平坦が延々と続く。吉野ヶ里遺跡の傍を通り、田んぼ風景が続く幹線道路を追い風基調で快調に進む。

 61km地点のPC1に到着、チェックタイムは15:09。序盤の市街地走行での遅れを挽回し20km/hを回復。補給を摂りつつのんびり休む。

 再び平坦基調を走り、国道207号線に入って海沿いに出る。久し振りの有明海を眺めながら走る。

 程なく111km地点のPC2に到着、チェックタイムは17:18。コンビニ傍に立っている太良町のキャッチコピーがやたら気になる。どうやったら月の引力が目に見えるんだろう。潮の満ち引きってことか?

 佐賀県と長崎県のほぼ県境に位置するPC2を出て、いよいよ長崎に入る。夕暮れの中を順調に走り諫早の市街地を抜け、長崎市街地を目指す。日も落ち暗くなってから長崎を予感させるアップダウンが始まる。坂の街長崎に入るのはどうやっても峠越えは避けて通れない。日見トンネルまでの長い登りをえっちらおっちら登って下って長崎市街に入る。路面電車の軌道を見て久し振りの長崎を実感する。今回のFleche中のミッション1は長崎ちゃんぽんを食すること。目指すは思案橋の「天天有」。久し振りの思案橋界隈は相変わらずの賑わい、ここをノンアルコールで通過するのは何とも勿体無い。19時半に天天有に着くと宵の口の店内はガラガラ、早速長崎ちゃんぽんと皿うどんを注文。奮発して1100円の「特製ちゃんぽん」にしてみたが750円のノーマルちゃんぽんの方が美味しそうに見えた。店の女中さんが店の前に停めてある我々のバイクを興味津々に眺めながら「偉いねえ」と褒めてくれた。ブルベの最中に色んな人から色んな言葉を掛けられたけど偉いと言われたのはこれが初めてかも。

 思案橋の喧騒に後ろ髪を惹かれつつ出発、長崎市街を後にする。次なるミッションは「稲佐山に登って夜景を観る」こと。

 市街地を出て直ぐ160km地点のPC3に到着、チェックタイムは20:58。ちゃんぽんを食べたばかりなのでジュースのみの補給。いよいよ稲佐山への登り開始だ。登り始めて改めてここが長崎であることを自覚した。過去長崎を訪れる度に登った宿への坂道と同じ激坂だ。

 この坂を自転車で登ることになるとは考えていなかったが、長崎を堪能するにはある意味もってこいのシチュエーションだ。Fleche中であることを一旦忘れてアタック開始。展望台は遥か上に見える。ところどころ10%後半が出て来てダンシングでやりすごす。20分程の格闘の末何とか長崎を征服することができた。展望台は多くの観光客で賑わっていたが、自転車で登ってきた我々に対して奇異な視線をそこはかとなく感じる。日本三大夜景の一つを堪能してミッション2も終了した。

 長い下りを終えると、一気に人気のない暗い幹線道路を走り始める。この頃になるとぼちぼち仮眠をどうするか考え始める。事前チェックは特にしていなかったので、ちょっと心配になる。通常の400kmブルベならば仮眠を考えずに20時間前後で走り切ってしまうのだがFlecheの場合、ゴール時間が24時間後と決まっているのでむやみに飛ばしても意味はない。ちょっとしたアップダウンを繰り返しながら郊外の幹線道路をひた走る。

 215km地点のPC4に到着、チェックタイムは0:38。気温がかなり下がってきた。半袖ジャージでは震える寒さ、やむなくウインドブレーカーを羽織る。ここで別のFleche参加メンバーに出会う。ちょっと御疲れの御様子、最初は5人だったそうだが2名はリタイヤしたとのこと、互いにエールを交換して別れる。

 PC4を出てからは仮眠できそうな場所を探しながらの走りが続く。東京待機のtakuya_aさんに仮眠場所のリサーチを頼むも適当な場所が見つからない。もうすぐPC5という所まで走ってようやく24時間営業のマックの看板を見つけてそこを目指して走っていると、24時間営業のまんが喫茶を発見、安堵して滑り込む。個人的にはまんが喫茶は初めてだが、ちゃんと個室とかあって何と畳の部屋もある。ちょっと狭いが横になれるのは非常に有難い。2時半の入店で4時まで仮眠することに。店内はちょっと寒くてうとうとした程度だったがそれでも疲れはそこそこ取れた。

 予定通り4時にまんが喫茶を発って程なく254km地点のPC5に到着、チェックタイムは4:34。寒いのでカップ麺を食べようと思ったら何と玉名ラーメンを発見!高校時代に学校帰りに必ず食べていた青春の味が遂にカップ麺になる時代が来たか、食べてみるとそこそこいけた。

 相変わらず想定外の寒さが続くが、カップ麺の御蔭で身体が温まった。疲労感もそれほどでもなく脚はそこそこ回る。アップダウンのある山間部を走っているうちに夜が明けてきた。ちょっと雲はあるが天気は全く問題なさそう。

 285km地点のPC6に到着、チェックタイムは6:51。残り80km弱で5時間、次のチェックポイントまで51kmで10時に付かなければならないので3時間、現状のチームの走りなら余裕の範囲だろう。
 唐津から再び海沿いの道をひた走る。途中で私がコースミスで2度ほどメンバーに迷惑をかけてしまったがタイムロスはなく、このまま順調にPC7まで…と思った矢先アクシデントは起こった。直線道路で軽トラが我々を抜いたと思ったらいきなり左折して進路を塞いだ。先頭にいた私は慌てて急ブレーキをかけたのだが、直ぐ後ろのつかぽんさんが止まり切れずに私の後輪に接触、そのまま落車してしまったのだ。つかぽんさんは右側に横倒しになりちょっと間動くことができずメンバー全員の血の気が引いた。軽トラを運転していたおばちゃんも慌てて車から降りてきて「全然気付かなかった」と平謝り(あの状況で我々に気付いてなかったのなら一体どこを見ていたんだ!)。
 急いでつかぽんさんの様子をチェックしたが左肘と左膝下に打ち身と擦過傷、左の太腿を打撲で痛みはあるものの何とか走れるとのこと。バイクも目立ったダメージはなく競技続行は可能で皆安堵した。折角のFleche完走をフイにするのは勿体無いので軽トラのおばちゃんには厳重注意で無罪放免、再び走り始めた。(後で聞いたらつかぽんさんは初落車とのこと。それを私はアシストしてしまったのは痛恨の極み)
 トラブルに見舞われたものの、結果的にロスタイムもリカバーで来て予定通り336km地点のPC7に到着、チェックタイムは9:55。ブルベカードに22時間後にこの場所にいたことの証明のためのスタンプを押してもらう。つかぽんさんは痛みはあるが完走は問題ないとのことで皆安心して出発。残り28kmを2時間弱、余裕だろう。

 福岡の副都心とも言える姪浜・百道を通過するがかなり信号待ちのストップ&ゴーが多くちょっと時間的に余裕がなくなってきたが、慌ててまたアクシデント発生では台無しなので安全第一で走る。
 そして無事にゴールのコンビニに到着!総距離は363.2kmでチェックタイムは11:48。Flecheのレギュレーション通りに走り切った。それにしてもほぼ予定通りのタイムテーブル、シン3さんの抜群のコース設定には脱帽だ。

 無事に走り終えていよいよ宿泊先のホテルを目指す。PC6からの向かい風基調で私の脚もほぼ売り切れ、リーダーシン3さんの牽きで凱旋ランとしゃれ込む。途中で昼食を摂ることにしたがつかぽんさんが「肉がいい」とのリクエストで焼肉屋に入る。私以外は全員焼肉ランチ(さすが筋金入りのブルべライダーだね!)だが、私は今回のブルベはちょっと食べ過ぎて胃の調子がいまいちなので冷麺で御茶を濁す。

 昼食も終わり、いよいよホテルへのアプローチ。私の待ちに待った懐かしの道との邂逅だ。通過する宮地浜は親父の実家があった場所の直ぐ傍で小さい頃里帰りの旅に遊びに行っていた思い出の場所だ。浜辺沿いの道に入ると、記憶にある通りの風景が目の前に広がった。幾つか新しい建物は目につくものの基本的には変わっていない。いつかは自転車でここを走ってみたいと思っていたが、こんなに早く実現するとは思っていなかった。明日、帰り際にもう一度ここを走るつもりだ。

 14時前に無事に神湊スカイホテルに到着、ブルベカードを問題なく受領されたでこれで本当に完走が成立してほっとした。早速部屋に入り速攻で風呂に入る。カラスの行水程度だったが、宴会までに少しでも体力を回復させるため直ぐにベッドにもぐり込む。
 2時間ほど仮眠を取って、18時から懇親会がスタート。チーム紹介をしつつビールで乾杯。当たり前だが走り終えた後のビールは旨いね。

 メンバーの皆と健闘を称え合い大いに盛り上がる。やっぱりこの時間はサイコーだね。PBPで同宿だった福岡在住のKさんと再会、旧交を温める。また、井出マヤさんとも楽しく談笑、彼女のブルベに対する情熱がビシビシ伝わってくる話に大いに触発された。あっという間の楽しい3時間が過ぎ、懇親会は終了。当然2次会をセットすべく、ホテルを出て買い出しに走るが最寄りのコンビニが徒歩15分。多分このインターバルで皆寝ちゃうだろうなと思いつつも買い出しを済ませ部屋に戻るとやはり皆さんぐっすり御休み。目を覚ましたタカトリさんを無理矢理突き合わせて軽く2次会を行って、夢の中へ退場(タカトリさん、ごめんね)。こうして楽しかった福岡Flecheは幕を閉じた。

 ブルベに限らず日頃走る時は殆ど独りだが、こうやってチームを組んで走るのも楽しい。普通のブルベとはまた違った楽しみ方が発見できて非常に有意義だった。また個人的に懐かしい地元の道をたくさん走れたのもとてもよかった。今回のFlecheで何から何まで全部やってくれたシン3さんと、一緒に走ってくれたつかぽんさん、タカトリさんには大感謝です!