7/16、3:30に目覚ましの音で目が覚めた。取り敢えず布団の上に起き上がったがぼーっとして直ぐには動き出せず。正味5時間位は眠れたと思うが、疲労感というよりまだ覚醒し切れていないので動きが鈍い。布団の上で5分程ぼーっとして漸く身支度を開始。身体全体を見渡して大きなダメージはなさそうだが、手の甲の日焼けがひりひり痛いのと股擦れが若干痛むのが気になる。取り敢えず股にはオロナインを塗りたくり、尻全体にボルダースポーツを念入りに擦り込む。
4時過ぎに宿を出発。すぐ目の前のルートに復帰、再び走り始める。どうやら宿のあたりが登りのピークだったらしく、直ぐに平坦基調になってリカバリーペースで緩々と走る。走っているうちに夜が明けてきて、空が白々としてきた。
次のPCまでは14km程ともう目と鼻の先、クローズタイムは5:59なので間に合わないということはないだろう。
817km地点のPC7に到着、チェックタイムは4:54。
数名のブルベライダー達が先着していた。皆順調に行程をこなしている様だ。
ゴールまで残り200km弱、22:00までに辿り着ければ良いので時間的には余程のことがない限り問題はない。まずは確実にゴールすることだけを考えて、ダメージを負っている身体の各部位を温存させながらゆっくりと進むことにする。
次の通過チェックポイントまでは46kmなので補給も軽めで出発。この区間では大きな峠を1つだけ超える。おろちループを登るのだ。
緩々と登りつつおろちループを目指す。
気温は20℃、涼しくてとても快適。
おろちループが見えてきた。遥か頭上に橋脚が見える。あんな所まで登るのか。
おろちループを登り始める。ループなので勾配はそれ程でもない。のんびりと登っていく。
難なくおろちループを登り終える。終点付近におろちの石像が鎮座していた。
ここは標高727m。
再び広島県に入る。
さくっと下り終えると863km地点の通過チェックポイント6に到着、チェックタイムは7:24。
この場所は2日目後半に訪れたPC4と同じ場所だ。今日は平日なので出勤途中の人々が出入りしている。
次のPCまでは42kmと短く大きな登りは1つだけなので補給は軽め。ここからは昨日までの様な標高の高いハードな登りはもうないので相当に気は楽だ。ぶっちゃけ完走の手応えは十分に意識している。
PCを出て車通りの多い幹線道路をちょっと走って側道に逸れ、山道に入る。登りが始まるがここまで来てもう少々の勾配では驚かない。ペースでゆっくり登っていく。
ピークの丑の河トンネルに到達、と思ったらピークはこの後もうちょっと先だった。長い登りを終えると山間部のアップダウンをこなしていく。
夏の爽やかな山道サイクリング。漸く最終日になって山道を楽しめるようになってきた。
帝釈峡に差し掛かる。
風景を楽しめる余裕が出てきたのが何より嬉しい。
ここまで900km弱を走ってきたが脚が普通に回っているのは嬉しい限り。最終日ののんびりサイクリングをそこそこ楽しんでいる。鼻歌交じりにゆったりと山間部の道を流して走る。
アップダウンが終わって眺めの下りを終えると906km地点のPC8に到着、チェックタイムは9:47。
日も高くなり気温もぐっと高くなって汗が噴き出る。麦茶を1Lがぶ飲みする。
残りは後100km、次の最終PCまで51km、完走は間違いないだろうが不測のトラブルには十分注意、疲れていないつもりでも900kmの疲労・睡眠不足は確実に蓄積しているはずだから油断は禁物だ。
次の区間は大き目の峠越えは2つ。PCを出て直ぐに登りが始まる。
少し走って岡山県に入った。最後の県境の越境だ。
本格的な登りが始まる。勾配はきついが気分的に全然違う。楽しんで登れる。
区間1つ目のピークを通過。下りものんびりと楽しむ。
区間2つ目の登坂開始。山道の緑が清々しい。
山頂に到達するといきなり現れた懐かしい風情の御店。
こんな山の上にこの様な集落があるとは予想だにしていなかったので結構驚いた。でも何となく懐かしく風情のある町並みに心が和む。ここは吹屋という所らしいが今回のハードなコースの最後でちょっとした御褒美を貰った感じだ。
この短い町並みを通り過ぎると直ぐに下りが始まる。下りの途中の自販機でジュースを一気飲みして細く曲がりくねった林道をどんどん下る。
軽快に下っているといきなり目の前に現れた行き止まりの岩!ミスコースはしていないのに行き止まりとは、と一瞬焦ったが良く見ると岩の暗がりの先にトンネルがある。そう言えばキューシートに書いてあったびっくりポイントとはここのことかと気が付いた。岩のトンネルをくぐり先を急ぐ。
長い林道下りを終えると程無く957km地点のPC9に到着、チェックタイムは12:39。
遂に最終PCに辿り着いた。後60kmでいよいよゴールだ。麦茶1Lとプリンで補給。短めの休憩の後スタート。
最終区間も長い登りが1本ある。勾配はきついがこれ1本のみなので気持ちで越えてやる。
昼下がりのきつい日差しの中をえっちらおっちら走る。
PCを出てしばらく走った所で登坂開始。と思ったら頭上にループ橋が見える。あそこを走るらしい。
えっちらおっちらループを回っていたらいきなりチェーンが外れて脚を付いてしまった!ここまでの登りは全て脚付きなしでクリアしてきたのに最後の最後でチェーントラブルで脚を付くとは痛恨の極み。もう一度下って登り直してやろうかとも思ったが、心身共にまだ余裕のある状態で登っていたのでトラブルがなければ問題なく登れていただろうし、ループ橋をUターンするのは危険なのでここは思い止まって先を急ぐ。
ループ橋を含む最後の長い登りはこのピークで終了。後は細かいアップダウンと長い下りを残すのみ。とにかく脚を止めずに走り続ければプログラムは1つずつ確実にクリアされていく。
細かいアップダウンを消化しつつ走っているうち、幹線道路からとある広域農道へ入った途端に激坂に遭遇!これがまたきついのなんの、勾配だけで言えばもしかしたらこの1000kmの中で1番かも知れない。距離は短いが文字通り這う様にして坂にへばり付いて登る。ゴール近しと気が緩んで油断していた所に完全に不意を突かれた格好だ。全く最後の最後まで楽をさせてもらえない。これもまたコース作者の意図的な仕込みなのだろうか。
この激坂で温存していた脚をかなり削られて余裕がなくなってきた。何とかかんとかクリアして最後の長い下り区間に入る。
この頃になると、股擦れの痛みはどう座り方を変えても回避できなくなっていたし、掌の痛みも強く出てきた。更に両足裏の痛みと痺れが出てきて楽なライディングフォームというものがなくなってしまった。要するに自転車と直接繋がっている部位全てが傷んでしまった。
股擦れの痛みを回避するために尻にかかる体重を手足に分散して走り続けたため、今度は手足にダメージが蓄積されて痛みが出てきた格好だ。こうなるともうどうにも対処のしようがない。ゴールまで我慢して走り続ける以外ない。
長い下り坂は余り路面状態が宜しくない。窪みでバウンドする度に尻やら掌に激痛が走り叫び声を上げる。
苦痛の長い下りを何とかクリアしてほっと一息、後は平坦基調をひた走るのみ。
倉敷まで後26km。
都市近郊まで戻ってくると幹線道路の車通りが激しい。今までの閑静な山道が懐かしく感じられる。相変わらず路面は悪く、激痛は続く。激痛とは言いながら表層的な痛みなので我慢すれば走り続けられる。逆な言い方をすれば、膝などには全くダメージがなく脚はまだまだ回る。股擦れの痛みを緩和するためにペースを抑えた結果、体力を消耗せずに済んだということか。そう言えばこれだけ炎天下を走り続けたのに脚攣りは1度も起こらなかった。夏耐性がぎりぎりこのブルベに間に合ったということか。
何だかんだ言いながら完走まで持ち込めたのは相当な自信になる。
倉敷に入る。4日前にスタート直後に走った川沿いの道に戻って来た。もうゴールは近い。
ちょこっとした登り坂のピークで早島町に入る。もう数km。
20m先のサンクスがゴール。
15:50、ゴール!!我ながら良く頑張った!手の甲が日焼けで真っ赤に腫れ上がり酷いことになっている。掌の痛みも含めグローブを忘れたことがここまでのダメージを及ぼすとは予想だにしていなかった。
1000kmをノートラブル(サドルバッグ以外)で走り切った我がバイク。頼もしい限りだ。
麦茶を1Lがぶ飲みして人心地着く。
ゴール時間をブルベカードに記入。完走タイムは68時間50分。このタイムが速いのか遅いのか、よくわからないし、別に評価はどうでもよい。兎に角完走できたことが全てだ。これで全ての必須コラムの記入が完了した。
ちょっと休憩をしてスタート地点のゆるびの舎に向かう。ゴール地点からは目と鼻の先。
ゆるびの舎駐車場の受付に到着。ブルベ関係者は誰もいなかった。
ブルベカードとレシート全てが入った袋を投入。後は認定されるのを祈るのみ。
そそくさとその場を後にして、倉敷駅前のホテルに向かう。もう急ぐ理由は何もない、尻やら足先やら掌やらが痛いのでのんびりたらたらと走る。
無事にホテルに戻って来た。
ホテルにチェックインして、預けた荷物を出してもらいその場で直ぐに自転車をバラしてパッキングする。最初に入れた時の様にすんなり収まらずちょっと悪戦苦闘したが無事終了し部屋に入る。
部屋に入って汚れたウェアを脱ぎ捨てシャワーを浴びる。鏡で全身を見たらウエストが見事に引き締まり腹筋のシックスパックがはっきりと見える。PBPの時もそうだったが、我ながら驚く程にシェイプされている。(どうせ数日の暴飲暴食で元に戻るのだが)
シャワーを浴びてすっきりしたら猛烈に御腹が空いた。走っている最中に絶対にでかいステーキを食ってやるとずーっと考えながら走っていたので、早速ネットで倉敷駅近くのステーキハウスを探索。しかし適当なのが見つからない。諦めて焼肉に変更、駅傍の食べ放題ができる店を見つけて向かう。
今日は奇しくも私の誕生日、このブルベの完走は自分自身への誕生日プレゼントとしては上出来だ。ブリ旨の生ビールで祝杯を上げ、ひたすら肉を食べる。牛一頭位食べてやろうと意気込んでいたが肉は10皿、御飯は2杯であえなく撃沈、でもそれなりに満足して宿に戻る。生ビールは1杯だけにしたので、もし小腹が空いて目が冴えていたら2次会に行こうと目論んでいたがどちらも駄目で、ホテルでルートラボで今回のルートを眺めつつ反省会をしているうちに夢の中へ退場。