今朝は自転車通勤でリカバリーラン。まだ疲労感はあるが、故障箇所は皆無。特に尻の痛みがないのは嬉しい。雨の日の長時間ライドだと大抵尻の皮がふやけて擦過傷が酷くなるのだがそれがない。そう言えば”蟻の門渡り”の擦過傷もない。新しい溝着きサドルの効果なのか。気温もかなり下がってきて走り易くなった。さすがに夏も終わりかな。
そんなわけで宇都宮山岳ブルベ2日目のレポートである。
-
- -
9/8、5時前に目が覚めた。窓の外は暗いが、絶望的な雨音だけはしっかりと聞こえる。疲労感も二日酔いも大したことはないのだが、この雨音だけで充分にモチベーションダウンする。もう1時間くらいは眠れるのだが雨音が気になってベッドの上で陰鬱と寝返りを打つ。この雨の中を走り出すのはかなり難儀だが、DNSしたとしてどうやって宇都宮森林公園まで戻ればよいやら見当もつかない。うだうだと思い悩んでいるうちに時計も6時を回ったので諦めて身支度を開始する。
予め別のウェアを荷物に入れておいたのだが、この雨でどうせ直ぐに濡れてしまうのは勿体無いので昨日のウェアのままでいくことにする。生乾きのウェアは着た瞬間は非常に気持ち悪い。気温も低いので最初からレインウェアを着ておく。
宿のオーナーに見送られつつ、7時に出発。直ぐ傍のユースホステルに向かう。
ユースホステルの入口にはこれから再び雨の中に駆り出されるバイク達が静かに佇んでいる。
ロビーで受付。今日は出走人数が少ないらしく全員7:00のスタートとのこと。
ロビーでtakatoriさんに遭遇。まだ部屋着のままだが聞けば今日はDNSするとのこと。この雨、気温の中幾つも峠越えをしなければならないことを考えれば賢明な判断だろう。
スタートを待つ間、予め持参していたチェーンオイルをチェーンに注す。この雨だとどうせ長くは持たないはずなのでチェーンオイルを持って走ることにする。それにしても雨に備えてチェーンオイルとレインジャケットを持参したのに泥除けを付けなかったのは自分でも如何なる思考だったのか今更ながら理解に苦しむ。
いよいよ出走。確かに昨日より出走人数は少ない。
車検をパスして雨の中を走り始めた。
2日目復路のルート。
まず草津から下って前半に2級山岳を4つ程こなした後、後半は1級山岳ひとつを越えて超級山岳金精峠を越える。金精峠までは143kmでこの後は途中の短い登り返しを除けば宇都宮までひたすら下り基調だ。登坂標高差積算は4000m。
今日の勝負は143km地点の金精峠まで、ここまで10時間で到達できれば完走できる。
ユースホステルを出て直ぐに下り始める。結構な急勾配のワインディングロードを、濡れ落ち葉やグレーチングに気を配りながらそろそろと下る。快調なスピードで颯爽と下っていく幾人ものライダー達に抜かれて、あっという間に最後尾あたりに位置することとなった。先は長いので、他者のペースに惑わされずにマイペースで下る、
雨は酷くはないが止む気配はない。全身そこそこ濡れてしまえばもう雨は気にならなくなる。事前に確認しておいたそれぞれの峠のピークまでの距離を目標にして、ひとつひとつ峠をこなしていくことを意識しつつ走る。
10km程下った後、直ぐに1つ目の2級山岳を登り始める。登り始めて両脚に結構な疲労感があることに気付いた。昨夜は酔っ払ってコンプレッションタイツを着けることなく寝てしまったのは迂闊だった。ワイン1本空けた割には二日酔いはないなと思っていたら、こんなところで悪影響が出てしまった。序盤でこの疲労感だとそれなりにペースダウンを覚悟しなければならない。とりあえず目先の坂をえっちらおっちら上っていく。登り始めて暑くなってきたのでレインウェアを脱ぐ。
7:54、16km地点の暮坂峠を越える。
暮坂峠からの下りは結構長い。雨はそれ程酷くないので下りのスピードはそこそこ維持することができるのは有難い。
20km程下って登りが始まる。
のっけから急勾配で、いきなりの高負荷で両脚がびっくりする。事前の地図読みではきついのは序盤だけで後半は勾配が緩くなるはずだ。7km/h位のスピードでじわじわ登っていく。距離が進むにつれ目論見通り勾配が緩くなり一安心、ペースを守って登り続ける。
9:27、50km地点の大道峠を越えた。
ここから下ってPC1に向かう。PC1まで下りかと思いきや登りが始まった。事前チェックでミスリードしていたらしい。
赤谷湖までの登り。PC1は目前。
62km地点のPC1に到着、チェックタイムは10:06。赤谷湖を眺めながら補給を摂る。出発前に軽くバイクチェックをしたらリアのブレーキパッドが殆ど残っていないことに気がついて愕然とした。よく見るとブレーキシューに付いているエマージェンシーパッドがリムに当たって、リムの塗装が所々剥げかかっていた。事前準備では確かにブレーキパッドが前後とも減っていることに気付いていたが、後400km位は持つだろうと交換しなかった。しかし何本もの長い下り且つ想定外の雨の影響で予測以上にパッドがなくなってしまった。150kmを残してこの事態はかなりな不安材料だ。今更自分の見積もりの甘さ(貧乏性)を嘆いても仕方ないのだが、とりあえずフロントのブレーキパッドはまだ余裕があるので、ブレーキングをフロント重視にして下りのスピードを上げ過ぎない様に意識しなければならない。意を決して出発する。
PCを出て直ぐに登り開始。この登りも真っ直ぐな道で勾配はきつめ。
10:50、67km地点となる頂上の群馬サイクルスポーツセンターに到達。
下りは急勾配、ブレーキングに気を使いながらそろりと下る。とりあえずフロントブレーキはしっかり利くのでホイールロックさえしなければ余りリスキーに考えなくても良さそうだ。ただ路面状態には常に気を配っていなければならない。グレーチングとかマンホールとかで滑ると大事になる。
10km程下って4つ目の2級山岳の登り開始。勾配は普通。
11:35、81km地点の三峰山トンネルに到達。これで前半の4つの峠は終了。
この道は利根沼田望郷ラインという名前だが、どの辺が望郷なんだがピンと来ない。ただ車通りは殆どなく景色もそこそこで走り易いのは確か。
三峰山トンネルから10km程走って1級山岳登坂開始。10km程登る。
時折急勾配が出てくるが押し並べて普通の勾配。序盤の疲労感も薄れ、登坂のペースをしっかり掴んでいるので、精神的な苦痛は薄い。淡々と登る。
13:11、104km地点の背嶺トンネルに到達。
PC2まで一気に下る。
116km地点のPC2に到着、チェックタイムは13:43。ここまで7時間、残り90kmで6時間半。金精峠越えに3時間かかっても、下り基調の60kmなら3時間はかからないので完走の計算が立つ。何とかなりそうだ。
ここが最後のPC設定となっている。この後は休憩する予定はないので、ゴールまでの90kmを考えてパスタで補給。雨は相変わらずしとしと降っているし、止まると身体か冷えて寒くなったので再びレインジャケットを着て出発。
PCを出て直ぐに登りが始まる。いよいよ最後の超級山岳金精峠越え、距離26km標高差1100mの登坂開始である。この道は過去に1回登ったことがある。距離は長いが激坂ではなかったと記憶している。これが最後の大物峠だし脚もまだ残っているので、ここまでと同じ様にペースを守って淡々と登る。
中間辺りの丸沼高原に到達。この辺りで2名のライダーさんをキャッチ、競争しているつもりはないが相対的に自分が登れている様な気になってモチベーションが上がる。
菅沼に到達してとりあえず長い登りは終了。湖畔をちょっと走って金精峠への最後のアプローチだ。
16:07、143km地点の金精峠トンネルに到達。これで大物峠越えは全て終了、残るは176km地点の3級山岳滝ヶ原峠を残すのみ。
残り時間は4時間ちょっと、余力はあるし身体に痛いところもない、トラブルのない限り完走は間違いないだろう。
さあ、ここからは下るのみだ。まずは中禅寺湖まで一気に下る。ここからはブレーキング勝負だ。下り序盤からフロントブレーキでスピードを殺して、リアブレーキを当て利き程度で軽く握ってスピードコントロールする。後はバイクコントロールで重心移動でコーナーを綺麗に回ることを心掛ける。要するにダウンヒルの練習モードで走るということだ。
中禅寺湖に到達。いつの間にか雨も上がって何と日差しが出てきた!このままゴールまで晴れてくれればドラマとしてはばっちりな展開なのだが。
湖畔を過ぎていろは坂を下る。車通りは殆どなく安全に下ることができた。
いろは坂を下り終えどこぞの街中に入ると再び空は厚い雲に覆われ、更に濃い霧が出て視界が悪くなる。
街中を抜け再び山間部へ、最後の滝ヶ原峠へ登っていく。登りの途中で1人のブルベライダーさんに追い付いた。会話をしながら坂を上っていく。今朝のブリーフィングでは反対側から上ると凶悪な激坂だがこちらからだと勾配は緩いと説明していたが結構キツイ。でもまあ距離が短いことはわかっているので余裕を持って登っていく。
17:21、176km地点の滝ヶ原峠通過。正真正銘、全ての峠越えは終了。
すぐさま細い林道を下る。なるほど、これを登るのは相当に厳しい激坂だ。かのライダーさんはどんどん先を行くが、路面状態が悪くブレーキの不安がある手前、リスクは取らずにゆっくりと下る。しばらくすると彼の背中は見えなくなった。
日も暮れてあたりは暗くなってきた。山間部を抜け人里をひた走る。途中後ろから断続的に妙な音が聞こえるので止まって見たらサドルバッグが外れかかってリアブレーキに被さっていた。どうやらさっきの下りの途中のグレーチングでバウンドした時の衝撃でベルトが外れたらしい。外れたベルトがリアホイールに当たって音を立てていた様で、もしベルトがホイールに絡まっていたら危ないところだった。サドルバッグを付け直し、気を取り直して再スタート。
すっかり夜の闇に包まれた郊外の道を走って、ようやくゴールのニューサンピア栃木に辿り着いた。とりあえず入口近くの駐車場前の建物に近付いていくがどうもブリーフィングの説明と違う様子だ。確か中国の漢詩の様な壁があると聞いていたが見当たらない。しばらくうろうろ当たりを走り回って見たがよくわからない。ゴールに辿り着いたのにこんなところでタイムロスをするとは何とも情けない。もっとちゃんとブリーフィングの説明を聞いておくべきだった。
更にうろうろしてどうやらこの建物ではないことにようやく気付いて一旦入口に戻り敷地の更に奥に向かった。すると暗い明かりながらもホテルのロビーのような入口が見えた。
漢詩の壁があった!
バイクを停めて建物に入ると、ちょうどAJ宇都宮のスタッフさんに遭遇、ゴール受付まで案内して頂いた。
部屋に入って無事にゴール受付を済ませる。これで晴れて完走だ。チェックタイムは18:36、完走時間は11時間36分だった。
味噌汁や御菓子を頂いて、預けた荷物を受け取りその場を後にした。
ニューサンピア栃木を出て、昨日のスタート地点の宇都宮森林公園まで戻る。
田野町交差点を過ぎて直ぐの登りは相変わらずきついが、400kmの山岳ブルベを走破した後は気分良く登る。
夜に走るジャパンカップのコースは真っ暗。
無事に車まで戻ってきた。着替えてバイクを積み込み、ほっと一息。帰途に着く。猛烈に腹が減ったので、時間も早いし宇都宮にいるので餃子を食べて帰ろうとも思ったが、御腹一杯で眠くなると拙いので、とりあえず地元まで戻ることにする。
帰りの高速でも普通に運転でき、思った程疲労感がない。高速を降りて何を食べるか考えたが、前回のSR600の時に失敗したカレーのリベンジでココイチに向かう。
アサリと白身フライのカレー、御飯400g、卵サラダ付きを食す。満腹満腹。
帰宅してバイクをざっと水洗いし、ドロドロのウェアを洗濯機に放り込んで後始末終了。これにて2日間の宇都宮遠征は終了した。
6月から9月にかけてBRM629埼玉400、BRM713岡山1000、SR600Fujiそしてこの宇都宮山岳200km2Daysを走り終えた。さすがにもう今年は山はいいかなという感じである(まさか渋峠を3度も登ることになろうとは、2013ブルベのスケジューリングの段階では自分でも全く気が付いていなかった)。
これだけ山を登れば、何となく山の登り方がわかってきた様な気がする。とりあえず今言えることは「スピードは遅くても脚を回していれば必ず山頂に着く。ペースを守って淡々と登れば苦痛は軽減される。4時間あれば大抵の峠は越えられる」ということかな。
それにしてもリアブレーキパッドがなくなったのは余計だった。ぎりぎり最後まで使い切るという貧乏性はバイクの消耗品で発露してはいけないということを今回思い知った。(と言いつつ確かこれと同じ様なことを以前の反省で書いたことを思い出した。多分この貧乏性は死ぬまで治りそうにない)