STAR TREK

 昨夜、「STAR TREK」の劇場版第1作目を初めて見た。

 SF映画好きで、普通に生活していれば情報が流れてくる大抵の作品は観てきたし、STAR TREKも何本かは見ていたのでシリーズは全て観終えた気になっていたのだが、実はまだ観ていないのがあった。

 元来「STAR WARS」フリークで、映画全6作は勿論アニメやTVシリーズ版も含め殆どをDVDで揃えているのだが、世に言うSTAR WARSファンとSTAR TREKファンとの2分化現象に合致したのか正直関心は薄かった。(音楽で言うと、J-Fusion好きでCasiopeaフリークだがThe Squareには関心がなかったと言うより敬遠していたという感じだ)

 歳を重ねて来て、若い頃に持っていた偏狭な拘りがかなり薄れて来てそれまで受け入れられなかった音楽や映画が適当に楽しめるようになって来た。
 そんな折、ふとSTAR TREKの映画作品歴を調べてみたら何本か観ていないものがあることに気付いて、中古DVDを買い集め始めた。(レンタルDVDを借りる値段の倍くらいで手に入るので何度も観る分には安上がりだ)

 第1作は1979年の作品だから34年前になる。静的で淡々と流れる展開だが退屈はない。何せ古い映画なのでSFXがショボイのは当然だが、それが阻害要因にはならない。
 30年前の映画にネタバレ注意なんて今更ないだろうが、冒頭から登場する正体不明の巨大な敵の正体が徐々に明らかにされていく。敵が自ら名乗る「ビージャ」という名前、超知的生命体なのに発信されるのはなぜかラジオ電波、敵の目的は「地球にいる自分の創造主」に応答を求めている…等が少しずつ分かって来て、終盤でいよいよ敵の主体に遭遇してあっと驚く展開。

 最近のCGてんこ盛りの視覚的リアリティーを追求した、スピード感溢れるというよりかなりアクロバティックな映像は思考する間を与えられずただそれに乗っかるだけ、勿論それはそれで楽しいのだが、視覚的訴求が乏しい中で練られたストーリーが観る者の想像力を刺激し駆動させながら展開していくSF映画には今の映画にはないロマンがある。
 小さい頃に星空を見上げて漠然と感じた宇宙の悠久の広大さに想像力を掻き立てられ、そんな頃に観た「STAR WARS」に強いロマンと憧憬を抱いてきたが、その当時に作られた「STAR TREK」をこの歳になって今初めて観て、その当時の別の新しい宇宙観に触れられるなんてある種のタイムスリップ感で不思議な感じだが、とても新鮮で嬉しいことだ。

 その当時、1977年に打ち上げられたヴォイジャー1号は今年太陽系を離脱し更に外宇宙へと今も飛行を続けている。遠い未来、どこかの知的生命体と出会うことはあるのか、あるいは人類が再会することはあるだろうか。

http://www.lizard-tail.com/isana/archives/text/essay10.html