2014BRM709北海道1200:第3ステージ/北見〜富良野(222km)

 7/12、朝5時前に目が覚めた。昨夜は雑魚寝だったし部屋の明かりは終始ついたままだったが、布団の数の割には寝ている人が少なかったせいか思いの外しっかり眠れた様で眠気はない。疲労感も余り感じない。

 布団の上でタブレットPCを見ながら今日はどうやって富良野に移動するかうだうだ考える。今回のコースを戻るとすると富良野までは距離的に260km位だが、往路で雨の中を走ったせいか正直もう一度走りたいと思えないので、自走に踏み切れないでいた。輪行するなら北見駅は直ぐ近くで便利だし、北見から旭川で乗り換えて富良野までと言うコースで5時間ちょっとで約5000円で行ける。久しくやってない鉄道の旅も悪くないなあと気持ち的にはかなり輪行に傾きつつあった。ふと、北見から旭川に行く道はどんなのかgoogle mapで見てみたら国道39号線で1本で行ける様だ。ルートラボでコースを引いてみると距離は165kmだが1000m級の峠を越える。旭川から富良野までは一昨年のパラダイスウィークの時に通ったルートを反対に走れば、あの時土砂降りで何も見えなかった富良野の風景が楽しめるかも知れない、と俄かに走りたくなってきた。その時の道は国道237号線で距離は約60km、北見-旭川の165kmを足せば225kmで200kmブルベと思えばそれ程のインパクトはない。ブルベコースを戻れば260kmだから40km弱短いし、獲得標高だってブルベコースも2000m位は登るのでそれを考えれば1000mの峠一本なら大したことはない。
 というわけで土壇場で今日の自走が決定した。ルートはこんな感じ。

 国道39号と国道237号と覚えておけばいいので簡単だ。

 そうと決まれば、走り始めは早い方がいい。そそくさと準備をする。食堂ホールでちゃりけんさんと会話、朝から自走組は続々出発しているとのこと。

 朝食の準備が着々と進んでいるみたいだったが、7時半からなのでまだ時間がかかる。朝食は諦めて出発することにした。
 スタッフさん達に挨拶をすると「もうちょっとで朝食が食べられるので食べて行けば」と声をかけられるが、朝食を食べてぼやぼやしていると1時間は出発が遅れるので、ここは誘惑を振り切って出発する。

 7時ちょっと前に北見PCを出発。

 曇り空の下、緩々と走り始める。北見の市街地は数km先。

 国道39号線に出た。左折して旭川に向かう。

 北見市街地の商圏はそこそこ広い。旭川まで157km。

 右膝の調子がちょっと心配だったが、微妙に痛い気はするものの無理をしなければ問題ないレベル、200kmは走れそうだ。

 左の歩道を実用車の高校生が、反対車線の歩道を実用車のサラリーマンが並走している。こっちは抑え気味とは言えロードバイク乗りに互角のスピードで走るとはなかなかのものだ。それにしてももう数kmはこの並走状態が続いているが一体どこまで通勤通学するのだろうか。北海道の通勤通学は大変そうだ。


 何となく登っている感じがする。

 留辺蘂に入る。

 何の畑だろう?ジャガイモかな?

 石北峠まであと41km。緩やかとは言え41kmの登りは流石北海道。

 9時を過ぎて少しずつ雲が切れてきた。いい感じ。

 ちょっと御腹が空いて来たので北見のPCで貰ったスポーツ羊羹を食べる。食べ易いサイズだし補給食としては最適だ。

 そうこうするうちにすっかり晴れた。

 ようやく北海道らしい清々しい夏空になった。のんびり走りながら爽やか空気を満喫する。輪行していたら危うくこの絶好のサイクリングを逃すところだった。

 ひたすら続く緩やかで真っ直ぐな登りの道は意外に飽きない。こういう環境ならば自転車で走るという行為そのものが楽しい。ブルベを完走してアワードを手にするという大きな目標が潰えてしまい走る理由がなくなったのだが、輪行するより自走したいし走れば楽しいと感じる自分はやはり自転車に乗るのが好きなんだと改めて自覚する。
 こういう経験をすると、ブルベ以外の旅サイクリングをやってみようかなと思わせる。

 ちょっとだけ勾配がきつくなっていよいよ石北峠の最終アプローチ開始。





 ようやく半分。でもなんか登りがとても楽しい。




 山頂までもう直ぐ。


 10:45、石北峠到着。

 なかなか楽しい峠越えで満足。天気も良くて最高のコンディション。

 演歌の流れるいかにもな売店でクマザサソフトとコーラで休憩。確かにササと言われればそういう味がするが、抹茶ソフトと言われれば納得する味だ。

 このアングルから見る我がバイクはなかなか格好良い。
 ひとしきり休憩して出発。

 緩やかだけど長い下りを気持ち良く下る。

 下っているうちに徐々に空が曇って来た。

 大雪ダム通過。

 層雲峡通過。観光客はまばら。

 お、こんな所に豊水橋が。

 北海道では自衛隊車両がガンガン走っているが、こんな物騒なものを剥き出しで運んでいる車両に遭遇。地対空ミサイルか?往路では戦車を積んだ車を見たし。

 時たま現れる工事区間が半端なく長い。片側通行でかなり脚を使わされる。

 しばらく走っていたら前方の路肩に止まっているブルベライダーらしき人を発見。近付いてみたらAJ岡山代表の澤田さんだった。路肩の窪みに嵌って前輪をパンクして往生してるとのこと。修理を御手伝いさせて頂く。澤田さんのバイクは650Cサイズだったのでちょっと嬉しくなる。修理を終えて御話ししていたら、澤田さんはこれから富良野に行って花畑を見たいとのこと、同じ方向なので御一緒することにした。

 誰かと一緒に会話をしながら走るのは久し振りだ。そこそこのペースで前を牽きながら走っているのに、澤田さんは息を乱すことなく普通にお喋りしながら付いてこられる。去年の岡山1000走行中にさらっと追い抜いていかれたあの健脚はやはり本物だ。年齢的にも私より一回り近くも上とは俄かに信じ難い。

 会話しながら走っていたらあっという間に旭川に着いた。富良野方向の空に黒い雲がかかっていて、2年前の土砂降りを思い出して一抹の不安を覚える。

 国道237号線に出た。美瑛までは19km。

 ぼちぼち走っていたら美瑛町に入った。
 ちょっと走った所の道脇に観光庭園があったので入ってみることに。

 ラベンダーとヒマワリがなかなかいい感じ。




 綺麗は綺麗なのだがちょっとイメージと違う。広大な丘にどこまでも広がる一面のラベンダー畑という様なものを想像していただけに、ここはちょっと人工的で観光客が多過ぎだ。

 澤田さんのバイク。
 ひとしきり見て回りつつ休憩して出発する。

 この道は交通量が多く路肩も余り良くないので神経を使う。澤田さんも怖いと仰っていた。
 途中で反対車線走行中の2名のブルベライダーとすれ違い手を振る。これから旭川に向かうのだろうか。

 富良野っぽい風情。小麦畑か?

 向こうに見える山は十勝岳か。

 走りながら岡山のブルベコースの話を伺う。澤田さんの誌的なコース紹介の文章に女性の作ったコースだしさぞかし走り易いのだろうと思っていざ走ってみるととんでもないハードなコースだった去年の岡山1000を経験し、その余りのギャップに驚いたが、実際に澤田さんの御話しを伺ってみるとやはり内に秘めた一本筋の通ったコースに対するポリシーが伺い知れて得心した。「難関を越えれば美しい風景に出会える」、去年の岡山1000のコースは正にそういうコースだった(正直なところ美しい風景を楽しめたのはほんの僅かだったが)。

 そうこうするうちに富良野市街に到着。

 澤田さんはこのまま札幌を目指して走り続けるということでコンビニで一旦休憩。既にブルベのコースに出ているのでこのまま西に向かえば札幌だ。

 元気に出発する澤田さん。道中御気を付けて!

 澤田さんを見送り、直ぐ近くの今日の宿を目指す。


 スキー場までの最後の登りをこなして無事に宿に到着。
 早速チェックイン。建物の中にバイクを入れさせてもらえたのは有難い。風呂に入ってさっぱりして夕食に向かう。宿の御主人に聞くと、メイン通りの両脇しか店はないとのこと。もうブルベは終わったし、明日は130km走ればゴールだしそれ程早起きをしなくてもよいので今日は飲もうとちょっとだけ意気込んで外に出た。

 富良野市街の夜景。

 メイン通りにはぱらぱらと人がいて話し声が聞こえるのだが、皆中国語だ。日本語が全然聞こえない。
 メイン通り唯一の居酒屋風情の店に入る。店に入って「一人」と告げたがどうも雰囲気がおかしい。店の中に客はそこそこいるしもう少し活気があってもいいはずだが妙に静かでどうも空気が重い。カウンターが空いているのだが「料理に時間がかかりますが」とあまり歓迎されていない様子。他に行く所がないので「ビールは飲めますよね」と言ったら取り敢えずカウンターに通してくれた。

 まずはビール。旨いけどちょっとほろ苦い。プロジェクトは未完に終わったので残念会、やはり満足感には大きく欠ける。
 隣に座っていた客が店主に向かって無言で手招きして私の飲んでいるビール瓶をいきなり指さしたのでちょっと驚いたが、どうやら中国人らしい。って言うか店の中の客は殆どが中国人らしい。店の従業員は慣れない応対で右往左往している様だ。取り敢えず肴は手の掛からないものを塩辛と酢の物を注文したのだが、酢の物が出てくる気配はないので、流石にこりゃ駄目だとビール2本飲んだところで早々に店を出た。
 話には聞いていたが、ここまで中国人観光客が多いとは思わなかった。観光地も色々と大変だ。
 飲み足りないので辺りを歩いて店を探すが、そもそも数がないしあっても大抵閉まっている。困って坂の下の国道まで下りて道端を見回すと、さっき休憩したコンビニの先に店らしい明かりが見えたので行ってみたら台湾料理店だった。御腹も空いているしもう何でもよかったので入る。

 久し振りのチンタオビールで仕切り直し。

 餃子の台湾豆腐。台湾料理は想定外だったがこれはこれで悪くない。中国人だらけの店から逃げ出して台湾料理屋に落ち着くというのもなんの因果か。

 唐揚げが食べたかったのだが単品を頼むと量が多過ぎるので、生ビールのセット品だったらちょうど良かろうと頼んでみたらかなりの量が出て来て参った。台湾キュウリも凄い量。ここまで来て大食い峠に嵌るとは迂闊だった。
 何とか完食して残念会終了、店を出た。

 パンパンの腹を抱えてこの坂を登り返すのはかなりきつい。

 何とか宿に辿り着き、そのまま就寝。時刻は恐らく23時前だと思われる。