5/7(土)、朝5時半に目が覚めた。そんなに慌てて起きる必要もないのでもう少し寝ようかとベッドの上でうだうだするが、二度寝はできそうにないので起き上がる。7時間位たっぷり寝たので身体的には全く問題ない。
外はどんよりと曇り雨が降っている。最終日は残念ながら雨天走行か、やむなくレインウェアを着る。
ぼちぼち準備をしてホテルをチェックアウト。
なかなか良いホテルだったなあ。次に泊まる機会はあるのだろうか。
小雨が降る中、6時半に走り始める。まずは86km先のPC23を目指す。
今日のコースは初山別からオロロンラインを稚内まで北上し宗谷岬まで行く132km。
登りはアップダウンレベルで獲得標高は300mに満たない。昨日までに比べたら今日は楽勝。イメージ的にはツール・ド・フランス最終ステージの凱旋ランの様なものだ。
ただ、昨日の轢き逃げの報もあり、最後まで何が起こるかわからないので気を抜くわけにはいかない。
稚内まで104km、午前中のうちに着いてしまいそうだ。
真っ直ぐな道を淡々と進む。雨も淡々と降り続いている。シューズの中もしっかり濡れたがもう数時間でゴールかと思うと全く気にならない。
遠別の街に入る。ぼーっと走っていて直進してしまいミスコース。(あとで写真を見直したらちゃんと右折って書いてあるじゃないか)
天塩町に入る。雨が強くなってきた。
空腹感が出てきたので昨日の御菓子の残りを食べながら走る。
天塩の中心部。2年前は快晴だったが今日は雨なので随分と雰囲気が違う。2年前はこのまま直進して内陸部を走ったが、今回はこの先の交差点を左折して海沿いを走る。
あっという間に天塩町を抜け、天塩川を渡る。
再びオロロンライン。追い風で快調に走る。道の先に風力発電の林が見えてから並びかけるまでに物凄く時間がかかる。とにかく真っ直ぐで長い道。
雨が上がって雲の切れ間から青空が見えてきた。
稚内まであと48km。強い追い風で心拍リカバリーレンジでも軽く30km/hオーバーで楽々走る。
いつの間にか道脇の電信柱の類もなくなり、人工物が殆ど目に入らないひたすら真っ直ぐな道を延々と走り続けるのはとても不思議な感覚。こんな道を走れるのは日本でもここだけじゃないだろうか。(でももし向かい風でここを走ったら地獄の様な印象になったに違いない)
5月だというのにまだ肌寒く、曇った空の下は海と平原とを分かつ真っ直ぐな道しかない荒涼とした風景が延々と続く。でももう少し経てば爽やかな夏が来るのを予感させる前向きな寂寥感がある。こんな雰囲気を楽しめただけでもここまで走って来た甲斐があったというものだ。
久し振りの信号。本当に久し振り。それにしてもここに信号を作って意味があるのか?
後ろからシムラさんがやって来た。久し振りの再会。数日前には膝の痛みで苦しんでいた様だったがこの走りだときっと復調したに違いない。快調なシムラさんのペースに付いて行くと膝を壊しそうなのでそのまま後姿を見送る。
微妙にアップダウンが出てきた。
稚内まであと26km。もう直ぐPC23。
2304km地点のPC23に到着、チェックタイムは5/7の9:54。
ここで再びシムラさんに会う。
こうほねの家はとりあえず今の時間帯は誰もいない休憩所の様だ。通過立証のための写真を撮って建物の中でシムラさんと歓談しながらしばし休憩。シムラさんも2年前の縦断を完走しており、今回は余裕綽々な感じ。30分程休憩の後、出発。
快調に走り出したシムラさんの後ろ姿を見送り、ぼちぼち走り始める。
稚内まであと14kmオロロンラインももうそろそろ終わり。
ぼちぼち街らしい建物が道の両側に見え始めた辺りで、前から来た車の中で手を振っている人がいるのが見えた。すれ違ってみたらシロキさんとBAJを既に完走していたイズミさんだった。どうやらこのままコースを遡って巡回するみたいだ。
もう稚内も目前というところで登りが出てきた。久し振りの登りで妙に嬉しくなった。稚内に入ったら宗谷岬までは再びド平坦なのでこの峠がこのBAJで最後の登りとなる。ちょっと感慨深いヒルクライムだ。稚内まであと7km。
暑くなったので稚内市街に入って直ぐのコンビニで一旦停まり、レインウェアを脱ぐ。
そのついでにBAJ最後の豆パンを食す。今回も良く食べたなあ。
身支度を整えて出発。いよいよ宗谷岬への最終アプローチだ。
国道5号を右折して、あとは国道238号を28kmひたすら進む。強い追い風基調は2年前と全く同じ状況、ということはゴール後稚内に戻るのが物凄く大変ということだな。
半島の先がゴール。強い追い風でどんどん近くなっていく。
半島の付け根の風力発電を過ぎるともうゴールまでは一本道。
宗谷岬の標識を過ぎる。
もうあと5分程でゴールする。特段湧き上がる様な感動もなく、無事にゴールに辿り着いたという安堵感ともうこれで終わってしまうのかという名残惜しさが入り混じった淡々とした達成感を感じながらペダルを回す。結局ゴールまで身体の故障もなく疲労感もなく無難に走り終えることができそうだ。
無事宗谷岬の駐車場に到着した。早速ゴール記録の写真撮影のため時計のある売店の入り口にバイクを止め、写真を撮る。
5/7の12:03、ゴール。完走時間は195時間3分だった。
シムラさんを始め数人の先着者がいたのでしばし御互いの健闘を讃え合いつつ歓談。
御約束の記念碑の前で記念撮影。
曇りがちの昼下がりの日本最北端の地は観光客もまばらでちょっと寂しい風情。
2年前に買い損ねていた売店で最北端証明書を購入する。一枚100円。
30分程休憩した後、シムラさんと一緒に稚内まで戻ることにした。
風が物凄く全然前に進まない。2年前より風は強そうだ。
シムラさんと先頭交代をしながらじわじわと進む。この感じだと稚内まで2時間近くかかるだろう。まあ15時のチェックインまで時間は充分にあるので慌てる必要はない。
スタートからゴールまで全行程を独りで走ってきたので人と一緒に走るのはなんだか新鮮だ。
これから宗谷岬にゴールする参加者とぽつぽつすれ違う。手を振って御互いの健闘を讃え合う。
戻る間に全部で10数人とすれ違っただろうか。皆が無事に完走するのを見届けられるのは何とも嬉しい瞬間だ。
ようやく稚内市街に戻って来た。途中で御飯を食べて行くと言うシムラさんと別れて、一人ホテルに向かう。
ホテルには14時半過ぎに到着、チェックインまでまだ間があるのでこの時間を使ってバイクをパッキングすることにした。
バイク輪行ケースは無事に鹿児島から届いていて一安心。ホテルの人にバケツに水を汲んできてもらいバイクを水洗いしながら、30分程かけてバイクパッキング完了。早速チェックインする。
予約は和室素泊まりだったか、ツインの洋室にアップグレードしてもらえるとのこと、有難い。ついでに明日の朝食を付けてもらうことにした。大浴場の準備も急いでやってもらえるとのこと、いろいろ配慮してもらって重ねて有難い。
部屋に入ってウェアを脱いだ解放感はひとしお。何だかんだ言ってやっぱり無事に完走を果たした達成感と満足感はしっかりと感じる。もう必要がなくなったウェア類やバイク装備を輪行ケースの中に仕舞い込んで人心地付いたところで、フロントから大浴場の準備ができたとの連絡があったので早速向かう。
貸し切り状態の風呂で汗と汚れを洗い流し、湯船にのんびりと浸かる。走行中の風呂も極楽だったが、ゴール後の風呂はもっと極楽極楽だ。両腕両脚の日焼けもだいぶ落ち着いて痛みもかなり和らいできた。
風呂から上がってすっきりして、今日の打ち上げの店をネットで探す。今日はサッポロクラシックを飲みたかったので、2年前の店とは違うところを探す。サッポロクラシックが飲めるという口コミの店はそんなに数はなかったが、ホテルから歩いて行ける距離に1軒見つかったので、そこに狙いを定めホテルを出た。
外に出たら風は相変わらず強い上に雨がぱらついていた。ホテルで借りたビニール傘が強い風で壊れてしまった。
1km程歩いて目的の店に到着、営業していて一安心。
まずはビール。サッポロクラシック生。五臓六腑に沁み渡る旨さ!この一口目の旨さを堪能するために走行中はひたすら我慢した甲斐があった。
ビールを飲んで、無事に完走できた達成感がじわじわと増してきた。この瞬間のために2350kmを走って来たのだ。この充実感・満足感は他に得難い。
まず魚介酢。帆立貝柱と北寄貝。旨い旨い。
いかゲソ揚げ。今まで食べてきたものは何だったんだって位旨い。
きゅうりのビール漬け。ピリッと辛くてしゃきっと旨い。今まで食べたことがない味。
いか焼き。寺泊でいか焼きの香ばしい匂いを嗅いでずっと食べたいと思っていた。ボリューム満点で御腹一杯。
生ビールをジョッキ4杯飲んで、四肢にじんわり酔いが回って痺れる感じが実にいい。
最後にエビス黒の小瓶を飲んで締め。大変美味しゅうございました。
ほろ酔い気分で店を出て、ホテルに戻る途中でまだちょっと御腹が空いていたので2年前に行った牛丼屋に寄る。
麻婆茄子牛丼のセットを食べて独り打ち上げ終了。ホテルに戻る。
部屋に戻ってベッドに横になりネットチェックしていたらぼちぼち眠くなってそのまま夢の中へ退場、就寝時刻は21時過ぎと思われる。