最初のエレキギター

 ふと思い立って、屋根裏に寝かせていた一番最初に手に入れたエレキギターを引っ張り出してきた。

 ヤマハのSF-3000というモデル。
 これは確か高校1年の時に親に買ってもらった。本当はヤマハのSG(予算的に最下位モデル)が欲しかったのだが訪れた店には置いてなくて、店の在庫の中から予算内に収まるものとを選び出したのがこれだった。今だから言えるが、その当時は私的にはギターと言えばヤマハのSGしか頭になかったので買った直後から何でこんなものを買ってしまったんだろうとうじうじ後悔し続けていたものの、それでもカシオペアや高中正義を片っ端からコピーしまくってガンガン弾き倒していた。大学卒業までこれ一本で通してステージに立ったこともあった。手持ちのギターの中で一番弾いた時間が長いのは間違いなくこれだ。
 社会人1年目で遂に念願のヤマハSG-1000を手に入れてからは、あっけなく主力ギターの座を明け渡し殆ど弾くことはなくなっていた。

 結構手荒に扱っていて2、3度落とした記憶もあるのでさぞかしボロボロだろうと思っていたが、思っていた程酷くはなかった。それでも落とした時の深い打痕はやっぱり数か所残っていた。

 ピックアップとエスカッションは元々白だったが、廉価版は白で安っぽいと思い込んでわざわざ黒く塗っていた。塗料が中途半端に剥げて余計にみっともない感じだ。

 トーンポッドはバイサウンド用のプッシュ-プッシュスイッチになっているが、落とした時にトーンポッド直撃で壊れてハンバッカーにできなくなったまま。

 ヘッドの突板はボロボロだがまあ想定の範囲内。ペグも多少動きは渋いが継続使用はできそうだ。トラスロッドカバーの星形のシールが高校生の青臭さを醸し出している。

 ネックは意外に真っ直ぐだった。フレットは結構減っているがまあ打ち替えてまで使う程の物ではない。

 ストラップピンはオリジナルはカッタウェイ部分だがボディーバックに付け替えている。こっちの方が抱え易い。

 自作のバッファー回路をつけてアクティブサーキット化している。

 折角久し振りに引っ張り出したのだから、修理して弾けるようにしようと考えた。
 今後もそれ程弾く機会もないだろうから、パッシブサーキットに戻してトーンポッドを交換することにしたが、ついでにピックアップとエスカッションを黒に変えて、高校生の頃のコンプレックスを解消してやろう。

 ピックアップはヤマハ製の中古を入手。マグネットはアルニコだ。オリジナルはフェライトだがこれも廉価版の証で高級品はアルニコだという高校時分の刷り込みに従った。

 エスカッションもヤマハ純正。しかも縦方向の角度調整可能な3点止め(昔のヤマハ製に拘るとここは重要)。

 スイッチ付きボリュームはオリジナルと同じプッシュ-プッシュスイッチではなく、プッシュ-プルになったが動作的には同じなので問題なし。

 早速作業開始。

 まずはピックアップとエスカッションを交換。

 次にサーキットをいじる。バッファー基板を外して、トーンポッドを交換。バイサウンド機構はオリジナルはタップ接続(直列に接続されている2つのシングルコイルのうち1つをキャンセルして1つのシングルコイルピックアップとして鳴らす方式)だが、試しにパラレル接続(2つのシングルコイルを並列にして2つとも鳴らす方式)にしてみることにした。これだと出力はタップ接続よりは落ちないのでハンバッカーとのレベル差を小さくできるし、音的にはストラトのハーフトーンみたいになるのでそれもいいかなと考えた。

 2時間程時間をかけて完成。
 早速アンプに繋いでみる。一発で音が出た。まだ半田付けの腕は衰えていない様だ。トーンポッドの動作確認、パラレル接続だと確かにハーフトーン的な音が出る。目論見通りで満足。
 久々に握ったネックが妙にしっくりくるのはまだ身体がこの弾き心地を覚えているからか。懐かしいギターの感触にしばし戯れる。

 つい数日前にオークションで手に入れたハンドメイドの木製ギターラックに納めてみた。このギターラック、狭いスペースに上手い具合に嵌まってくれてなかなか具合がいい。それにしてもこうやって並べてみると結構な本数だな。決して集めているわけではないのだが、いつの間にかこうなっている。また妙な夢を見なければよいのだが。