. 8/14(月)、朝5時前に起床、予報通り雨。遂にこの日が来てしまった。LELのダメージがまだ回復できていない状況でSR600を走るなんてどうにもこのプランは無謀だったとイギリスから帰国して10日間ずっとうじうじ後悔し続けてきたがここまで来たらもう逃げ場はない。覚悟を決めて車に乗り込み、5時過ぎに自宅を出発。
7時直前に宇都宮森林公園に到着。宇都宮もしとしとと雨が降っている。もしかしたら宇都宮は降ってないかもと淡い期待は裏切られたが、まあ8月の酷暑はないと思えればあながち悪くはないと前向きに考える。
PC1スタートの写真メールをAJ宇都宮のスタッフさんに送って7時過ぎにスタート。
今シーズンからSR600のレギュレーションが一部変更になり、制限時間が従来の<50時間プラス総獲得標高差の10000mを超えた部分で500mにつき1時間>から<総獲得標高差に限らず一律60時間>に変更された。SR600KNの公式総獲得標高差が12,591mなので旧制限時間は55時間だが、せっかく60時間になったので2泊3日の走行プランを立ててみた。250km+250km+100kmで仮眠ポイントを探索したところ、1泊目は津南、2泊目は渋川に宿が見つかった。初日は金精峠、坤六峠、三国峠等を越える総獲得標高差4900m、239.3kmを走る。
森林公園から下って田野交差点を右折、まずは34km先のPC2滝ケ原峠を目指す。
雨は降り続いているが土砂降りという程ではない。取り敢えず全身一通り濡れてしまえばもうそれ以上不快にはならないので走っているうちに気にならなくなる。
川沿いをぼちぼち走る。LELの後遺症は今のところ解消した様に思われ、言われてみれば疲労感は残っている感じがなくはないが、取り敢えず予定通りスタートを切って走れていること自体が安心材料。
この先からぼちぼち登りが始まる。PC1までは10km程。
滝ケ原峠は1,2度走ったことがあるが終盤の勾配がかなりきつかった印象がある。暫くは緩い勾配が続く。
直線的な登りが続く。スタートして最初の登りということもあって脚はまずまず回っている。
残り2km位で勾配がぐっときつくなる。10%を超えている感じ。若干ワインディングになった。
9:10、34.7km地点のPC2滝ケ原峠に到着。証明写真を撮って直ぐに出発。
下りの道は細く急勾配、路面が悪い上にウェット状態で落下物が多いのでブレーキをかけっ放しでそろりそろりと下る。
下りが終わって足尾・中禅寺湖方面へ。
この交差点を右折、既にぼちぼち登り始めている。
左折していろは坂に突入する。中禅寺湖までは8km程。
勾配は緩く5%位、緩やかにワインディングしながら登って行く。
いろは坂の登りはテンポを作り易く走り易いので割と楽しい。
時々きつい勾配が出てくる。
黒髪展望台通過で5km消化、中禅寺湖まであと3km。標高が上がるにつれて霧が出てきた。
明智平通過。
明智第二トンネルに突入。登りのトンネルは距離が長いと結構辛い。
10:41、中禅寺湖に到達。
霧で霞んだ湖畔は観光客もまばら。
湖畔の平坦基調が終わって再び登りが始まる。金精峠までは12km。いつの間にか雨は止み、路面も乾いている。
戦場ヶ原も雨は降っていない。快適に進む。
戦場ヶ原を過ぎていよいよ金精峠へのアプローチ開始、頂上まで7km。再び雨が降って来た。
勾配5%以上の坂が延々と続く。視界の先にこれから向かうルートのガードレールが見えて結構プレッシャーがかかる。
今登ってきた道を振り返るとなかなかの標高差に妙な達成感が湧いてくる。山頂までもう少し。
11:39、69.1km地点のPC3金精峠に到着。
標高1843m、取り敢えず今日の最高標高地点をクリアして気が楽になった。ちょっとの間の休憩で汗冷えして寒い。証明写真を撮影してリスタート。
トンネルを通過して下りに入る次のPC4までは24km程下る。
下るうちに雨は上がり路面も乾いて来た。
更に下るうちに日差しが出てきて天気が一変、さっきまでの雨が別の日の様だ。
24kmの長い長い下りが終わって、この先を国道401号方面に右折する。PCは目前。
通過証明はこの先のコンビニのレシートで行う予定だが、念のためここでも通過証明写真を撮っておく。
94.4km地点のPC4に到着、チェックタイムは12:34。
パンと水分補給をして20分程休憩の後出発。
序盤の雨でオイルがすっかり流れてしまったチェーンが乾いてキュルキュルと音を立て始めたので、路肩に停車して注油。不快音が消えてすっきり。
PCを出て7km程を緩く登って県道63号方面に左折、ここからPC5坤六峠への登りが始まる。頂上までは約13km。
登り始めて直ぐに雨が降り始めた。結構強い雨でスコールの様だが10分程で上がった。
路面が再び乾き始めた。5%前後の登りをぼちぼち登って行く。
時々勾配がきつくなる。直線的に登って行くが勾配のメリハリがあるのでそれ程登り難くはない。
8月にしては涼しい中を順調に登る。曇りならばこの季節はベストコンディションだ。
坤六峠方面に左折。頂上まで5km。
多少勾配がきつくなったが、ワインディングになったのでペースは変わらず。
14:28、94.4km地点のPC5坤六峠に到着。
証明写真を撮って直ぐに出発。峠の頂上でみなかみ町に入る。次のPC6までは約38kmの下り基調。
下るうちに再び日差しが出てきた。下りで路面が濡れていないというのは非常にありがたい。順調に進む。
藤原ダムを通過。PCまで残り10km。
西日が強くて結構暑くなった。夏らしい天気に多少バテ気味。
順調に下ってあっという間にPC6に着いたが最初はみなかみ町歴史民俗資料館が分からずにちょっとオーバーランしてしまった。
15:55、153.6km地点のPC6に到着。証明写真を撮って直ぐ近くの休憩ポイントに向かう。
PC6から200m程下ってちょっとだけコースアウトした所のコンビニを予め休憩ポイントとして設定していたので予定通りここで休憩。
ファミリーマート名物の丼プリンとコーラを補給。ちょっとバテ気味だったので30分近く休憩して出発。
コース復帰して県道270号に入って直ぐに登り始める。まずは仏岩トンネルまで7km程を登る。
関越自動車道の高架をくぐる。高速上を走っている時は気付かないが下から見上げるとかなり高い。
5%位の勾配を直線的に登って行く。
仏岩トンネルを通過して一旦下る。
目の覚める様な赤い橋を渡る。
国道17号に合流。ここから三国峠への登りが始まる。頂上までは12km。久し振りの三国峠越えとなる。
猿ヶ京温泉を通過。
新三国大橋が見えてきた。
三国峠まであと10km。
勾配は緩いが距離がかなり長く感じる。
屋根が出てくると山頂が近付いてきたという印象がある。
空がすっかり雲に覆われ薄暗くなり、おまけに雨が再び降り始めた。下りで雨はやっかいだ。できれば明るいうちに下り切ってしまいたいところ。
三国トンネルが見えた。漸く長かった登りが終了。
18:05、181.9km地点の三国峠に到着。取り敢えず今日の大物峠越えはこれで終わったのでだいぶ気が楽になった。雨が強くなりそうな気配なので急いで証明写真を撮ってトンネルに向かう。次のPC8越後湯沢まで25kmを下る。
小雨がぱらつく中、下り始める。路面に水が浮く前に下り切ってしまいたい。気温19℃、汗冷えして寒く感じる。
苗場通過。左の居酒屋に行ったことがあるが壁にユーミンのサイン色紙がずらりと並んでいた覚えがある。
真っ直ぐな下りをどんどん下る。明るいうちに下ってしまいたいのだが雨が降っていて路面が悪いのでスピードを殺さなければならないので全身が緊張する。
湯沢の街が見えてきて勾配も緩み、全身の緊張が解けた。PCまでもう直ぐ。
207.5km地点のPC8に到着、チェックタイムは19:12。
下りで身体が冷えて結構寒い。パンを一つだけ食べて10分程の休憩で直ぐに出発する。
人の往来の多い湯沢の街中を更に下っていく。今日の宿まではあと30kmちょっと、あと2時間弱で今日の仕事も終わりだ。
湯沢の街を抜けた辺りで雨が降り出しあっという間に土砂降りになった。国道17号は車通りも多く結構神経を使わされる。最後まで楽はさせてくれそうにないか。
石打の街中で国道17号を左に逸れて今日の最後の峠越えとなる十二峠への登り開始。距離は5kmに満たないが雨の夜間走行の5%以上の勾配はかなりきつく感じる。
登り基調の十二峠トンネルに入った。このトンネルを抜ければ峠も終わるはずだ。
山頂通過。これで今日の峠越えは終了。宿までの20kmは下り基調だ。
雨も小降りになって急勾配の下り坂を注意しながら下る。
そこそこ下って来た時、急カーブの前で減速しようとブレーキをかけた瞬間にバランスを崩しあっという間に左半身が路面に叩き付けられた。ゆっくり下っていたつもりだったが急勾配の下りの途中で結構スピードが出ており、何が起きたのか理解する間もなく横倒しになったが、ヘルメットもアスファルトに打ち付けてかなりの衝撃だったのでとっさに「これは大事になったか!?」と動揺した。
対向車が通りかかって「大丈夫ですか?」と声がかかり取り敢えず大丈夫と答えながらバイクを引き起こし路肩に寄せる。その直後、後続の車が降りて来たので慌てて合図をして止まってもらい、道に落ちていたヘルメットのバイザーやらを拾い集める。後続の車が通り過ぎようとした時、パンという破裂音がしたので落としたボトルを踏まれたのが分かった。車の助手席の女性が申し訳なさそうに潰れたボトルを拾ってくれたが悪いのは暗闇に落としたこっちなので御礼を言いつつ出発してもらった。
車がいなくなってちょっと落ち着いてから、ヘッドライトを外して被害状況を確認する。
路面を見ると長方形のマンホールがあった。濡れたマンホールの蓋で前輪がスリップしてコケたということだな。
バイクは両側のSTIレバーがゆがみハンドルステムがずれていた。左が路面にぶつかって曲がったのは理解できるが右がどうやって曲がったのかはちょっとわからない。それ以外の部分については取り敢えず異常は無さそうだったので、STIを力ずくで元の位置に戻し、ハンドルのゆがみを修正して走行可能状態にはなった。
次に身体のチェック。左半身を全体的に打ち付けたが、左肘と左膝の外側から出血してるのが確認できた。それと右親指が突き指的に痛いが何とかハンドルは握れそう。左肩や左腰も打ったが、骨折とかはなくそれ程酷い打撲ではなさそうだ。ウェアの破れはなく、ヘルメットも割れているといったことは無さそうだ。
総じて何とか走行継続できそうだったので一安心。宿まではあと17km程、とにかくまずはそこに辿り着くことだけを考える。その場で落とし物がないかもう一度確認して、リスタートする。(実はこの時重要な物を落としていたのだが気付いていなかった)
まだ下りは続いているが、痛む右手でブレーキレバーをしっかり握ってそろりそろりと下る。バイクはスムーズに進むのでどこかが歪んでいるといったことはなさそうで一安心。
落車の動揺もかなり収まり落ち着きを取り戻した頃に津南の街に入った。宿はもう目前。
21:00に津南駅近くの宿に到着。
早速チェックイン。バイクは玄関の中に入れさせてもらうことができた。
部屋は和室でとても良い感じ。
おにぎりは予め夜食として用意されていて有難い。近くにコンビニ等はなく、取り敢えず宿の中で買える柿の種とジュースで夕食を揃える。まずは温泉に向かう。傷に沁みるのは避けられないが温泉に入らないという選択肢はどう考えてもあり得ない。貸し切り状態の温泉で身体を洗い流し湯船に浸かる。傷口は最初は痛かったが慣れてくればどうということはない。のんびり御湯に浸かって心と身体の疲れを癒す。極楽極楽。
絆創膏が部屋に備え付けられていたのは有難い。応急処置をして何となく落車が無かったことにできた様な気になった。
夕食を食べながら落車を振り返る。久し振りの大落車だったが衝撃の割には怪我はそれ程酷いものではなく、バイクも走行に支障がない程度で済んだのはラッキーだった。夏の山岳ブルベでボトルを1本失ったのは痛いが、とにかくDNFをせずに済んだのは本当に良かった。身体の状態は明日起きてみないと分からないが、とにかく今晩はゆっくり寝ることができるのを素直に喜びつつ、明日の起床時刻を5:30としてアラームをセット、23:30に消灯する。