3本目のGodin/Multiac Nylon SA

 前回の話の続き。

 ナット幅50.8mmのGodin/Multiac Grand Concert SAを手に入れてからしばらくの間弾き続けていたが、解放弦との組み合わせのポジションは押さえ易くなったもののセーハーは押さえ難くなったのはなかなか克服できない。たかだか2か月位で克服しようなどどいうのがそもそも鍛錬が足りなさ過ぎるのは良く分かっているのだが、若い時の様に根気も集中力もないので直ぐ安易な方向に逃げようとしてしまう。Godinにはもう1種類のエレガットのラインナップがあって、ナット幅43.5mmのASC Slim SAとナット幅50.8mmのMultiac Grand Concert SAの中間に位置するナット幅47.6mmのMultiac Nylon SAというギターがある。歳を食って来て金で解決しようとする性根が我ながら気に食わないと思わなくはないのだが、勢いの付いている時はもう止められない。とにかく試してみたいのだ。例によって中古の出物を探したが国内では見つからず、海外を探したらGodinの原産国カナダのショップでアウトレット品が国内定価の半値以下で売られているのを見つけて即注文。1か月程で無事に届いた。

 これがGodinのMultiac Nylon SA。3本目のGodinもMIDIドライバー内蔵のものを選択、やはり生ギターとの音とシンセの音をミックスして鳴らしてみたいという思いは強い。
 海外輸入のダメージは皆無で、アウトレット所以の外観的不具合は言われて良く見なければ判らない程の極小さなもので、こんな程度の傷で新品が半値になるなんてちょっと信じられない。
 早速試奏。うん、ネックの握り心地は握り易くなったもののGrand Concertの運指に比べるとちょっと窮屈な感じはしなくはない。でもセーハーはぐっと押さえ易くなった。もう一つ大きな違いに気が付いた。一言で言うとネックが遠くなったのだ。

 2本並べてみると良く分かるのだが、ブリッジの位置が左側のGrand Concertの方が低い。即ち、ギターを抱えた時にネックが右側にオフセットする。ボサノヴァギターは基本コードワークでハイフレットは余り使わない。即ち多用するローフレットが身体に近くなり左腕に余裕ができて弾き易いのだ。しばらくGrand Concertを弾き慣れていたので、Nylon SAを抱えた時左手が遠くなってかなり違和感を感じた。3cm位ネックが遠くなった感じだ。Godinのホームページの製品紹介でGrand Concertはボディーとネックが12Fジョイント、Nylon SAは16Fジョイントとそれぞれ書いてあったがデザイン的なものかなと余り気にも留めていなかったがこんな大きな違いがあると知って目から鱗が落ちた思いだ。
 そこそこ弾き比べてみた差し当たりの印象はネックの幅はNylon SAの方が扱い易いがネックの位置はGrand Concertの12Fジョイントの方が断然弾き易い。さて、どっちのギターが本当に弾き易いのか、2本手に入れても良く分からなくなってきた。時間をかけて弾いていくうちにいずれはどちらかに収斂していくのかも知れないが、さてどうなることやら。

 以前、ギターのことは大方分かっていて手元に置くべきものは見切ったと偉そうに書いてしまったが全然分かっていなかった。前言撤回、もっと弾いてもっと知識を深めよう。ギターの世界は奥深く、広大だ。