MGM2018/Report 18:スペイン最終日~帰宅まで

 8/25(土)、6時に目が覚めた。全身の疲労感はまだしっかりと自覚できるが昨日よりは多少ましか。当初はホテルを出発するのは7時の予定だったが、フライトが2時間遅れとなることが事前に分かったので9時に変更。まだ外は真っ暗で特にやることもなく、PCを開いてネットチェック、ベッドの上でうだうだする。

 ここから空港へのルートをどうするか、昨日も色々と探していてまだ決めかねている。往きに選んだルートの後半10kmの未舗装区間はとても走れたものではなくもう2度と走りたくないので別のルートを探したのだが相当遠回りをして迂回するか高速道路と思しき道を使うかの二者択一となった。少ないネット上の情報ではスペインの高速は自転車走行可能な道もあるということらしく、走行禁止の標識が無ければ大丈夫(黙認?)らしい。

 このルートの高速道路っぽい道の入口に自転車進入禁止の標識がないことはGストリートビューで何度も確認した。最終的には高速道路っぽい道を走ることを決断。疲労が強く残る身体で重い荷物を背負って走るには移動距離は極力短くしたい。ここは賭けに出るしかない。ルートデータをナビに転送して覚悟を決める。

 8時半になり出発の準備。最終的に荷物をまとめ、サイクルウェアに着替えて忘れ物がないか部屋中を見て回る。全て確認し終えて部屋を出る。

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 フロントにはMGMのスタートの日に見送ってくれた女性がいた。バイクをストレージルームから出してもらい、まだ指に力が入らない手でもたもたと装備をバイクに取り付ける。

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 9:20、ホテルを出立。4泊の滞在だったけれど随分と長い時間を過ごした様な気がする。とても居心地の良いホテルだった。

 この坂を300m上がったら直ぐに街の出口になる。短い間だったけれど、El Molarには色々な思い出ができた。ブルベの基地としてでなければこんな名前も知らず交通の便の悪い片田舎の街には来ることはなかっただろう。偶然の巡り合わせだが、初めてのスペイン旅行を印象深いものにしてくれた。かなり名残惜しい。
 Adios, El Molar!

 バイクに跨ってペダルを回し始める。身体は重く両脚にははっきりとした疲労感があるが何とか回すことはできる。左手は相変わらシフトレバーを指で押せず変速がしづらいが何とかなる。スペイン最後の多少スリリングな40kmライドを楽しむこととしよう。

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 El Molarを出てから直ぐに高速道路っぽい道に入った。入口には確かに自転車進入禁止の標識はなかった。後は覚悟を決めて走るだけだ。

 道に入って直ぐに下り基調。往路は随分ときつい坂を登ったから確かに戻りは下りのはずだ。長い下りを快調に下る。路肩は広くて横を車がビュンビュン抜いて行っても恐怖感はない。

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 15km程走って3車線の文字通り高速道路になった。本当に自転車がここを走ってよいのか不安だが、往路のあの悪路を走ることを考えればこっちの方が全然楽だ。21km地点でM-50に逸れる、M記号の道は間違いなく走行可能なのでそこまで行ければリスクから逃れられる。

 100km/hの車がどんどん抜いていく高速道路を走るのは多分ここでしかできない体験だ。

 走りながら何となく後輪に違和感。尻がフワフワする感覚はもしかしたらパンクか。タイヤを見るとそれ程潰れていないのでスローパンクかも知れない。まさか高速道路の上で止まるわけにもいかないし、できれば途中でパンク修理で止まることなく空港まで辿り着きたい。路面の凹凸に注意しながら走る。

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 21km地点、M-50への分岐に辿り着いた。このまま真っ直ぐR-2方面へ進めば空港はもっと近いのだが途中で料金所があるのでそこを通る勇気はない。遠回りだが往路のルートに合流するM-50を選択する。

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 M-50に入ってここは高速じゃないよという標識を見て一安心。気が緩んだが穴に車輪を落として、あっという間に後輪が潰れてしまった。あーあ、結局パンクさせてしまったか。

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 観念して路肩に止まってパンク修理。MGM走行中はノートラブルだったが最後の最後でパンクするとは。でもまあMGM中でなくて良かったと喜ぶべきか。チューブを交換して出発。

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 日は高く登り徐々に暑くなってきた。27km地点でM-111に合流方向へ。M-111は往路で走った道だ。

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 緩い下りをぼちぼち下る。どんどん空港に近付いていく。スペインのバイクライドに残された時間は1時間を切っている。

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 遥か向こうに高層ビル群が見える。多分あそこがマドリッドの中心街。遠巻きではあるがマドリッドを観られたので何となく満足。

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 M-111に合流してちょっと走ったら楽しそうに会話しながら走っているMTBの集団に抜かれた。抜かれ際に挨拶を交わす。多分サイクリストに遭遇するのはこれが最後かな。と思って見送ったら向こうがスピードを緩めたのでこっちが追い付いて、何やら話しかけてくる。スペイン語なのでさっぱり分からないが「日本人か?写真撮ろうよ」みたいなことを言っている様だ。道端に止まって皆で記念撮影。別れ際に「日本の友達、さよなら!」と言ってくれてとても嬉しくなった。スペインのサイクリングの終わりにちょっとした交流ができてとても良かった。走り始めてから自分のカメラでも集合写真を撮ってもらっておけば良かったとちょっと後悔する。

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 滑走路下のトンネルに入る。空港の敷地内に入って来た。残り5kmを切った。

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 茶褐色のスペインの大地の風景もそろそろ見納め。

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 飛行機が見えて来た。

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 空港の建物が見えて来た。かなり長い建物だ。あそこに辿り着けばスペインライドは完全に終わり。最後の数分間を感慨深く楽しむ。

 スペインの乾いた風と茶褐色の大地、強い日差しをしっかりと心に焼き付けてスペインライドは終了。名残惜しいけどここまで、バイクを降りる。

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 11:20、9日前に出発した場所と同じ、マドリッド空港の関係者の駐輪場に無事帰還。途中パンクしたけれど自走作戦は成功。ホッとした。

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 手荷物預かりカウンターでバイクケースを受け取る。料金は€120と聞いてびっくりした。でもまあ冷静に考えれば9日間だからそんなもんか。どうせ他に選択肢はなかったのだから必要経費と割り切るほかはない。

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 20分程でバイクパッキング終了。これでスペイン自走作戦は完遂した。目論見通り事が運んで大変満足。

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 カートにバイクケースを乗せてチェックインカウンターに向かう。次なるミッションはバイクケースの預け入れ。

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 マドリッド空港は本当に広い。チェックインカウンターまで結構歩かされた。

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 大型荷物のカウンターに並ぶ。バイクの絵柄表示もあるので預け入れは問題なさそう。

 私の番になって早速チェックイン。カウンターの係員の女性は「これはバイクか?」と一言質問して「そうだ」と答えると、サイズも重さも計らず中身も確認せずに引き受けてくれた。随分フランクな扱いで助かる。フライト2時間遅れの件について尋ねると「よくわからんが大丈夫だからとにかく行け」みたいなことを言われて乗継便も含めて発券された。不安だがどうせ選択肢はないしただ前に進むのみ。

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 ベルトコンベアに横倒しになった我がバイクケース。復路でも破損なく無事に成田まで戻って来ることを願うのみ。

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 バイクケースの預け入れが無事に終了してホッとしたら、どっと疲れたのでどこか休めるところを探して歩く。取り敢えずショッピングモールに入ってみる。

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 取り敢えずフードコートでパンとコーラを買って椅子に座り休憩。ホテルを出発してから3時間、やっと人心地付いた。

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 休憩後、関係者への土産を買って特にやることもないので搭乗口に行ってしまおうと出国審査を受けて矢印の案内表示を頼りに歩く。目指す搭乗口の番号に向かって歩いているのに何故か途中で見失い何度も同じところを往復してしまっている。本来分かりやすいはずの空港内なのに迷うとは相当勘の悪い人間なのかも知れないと落胆しながら道を探していたら、エレベーターに乗って階下に降りるというルートだった。やっとわかって一安心。

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 階下に降りると列車の乗り口が。そう言えば到着した時も列車に乗ったことを思い出した。

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 乗車時間はせいぜい2分位か、あっという間に到着。

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 搭乗口に向かう道すがらで見かけたヘッドフォンとかデジカメとかの自販機。こんなものも自販機で買えるのか。

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 搭乗口に到着。結構混み合っている。時刻は12時、ここに辿り着くまで何だかんだで結構時間を費やし待ち時間は余りない。

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 これから乗る飛行機はちゃんと着いている。機材遅れで更にディレイするということは無さそうだ。

 席に座って乗継便のチケットをよく見たら既にちゃんと後発の便に振り替えられていたので一安心。チェックインで地上係員に色々聞いていた時「こいつ何言ってんだ?間に合わないわけないじゃん」って思われていたかもしれないな。乗継が同じ航空会社だと最近は余り心配しないでも良さそうだ。ただ振替便のフライトが15:10、香港着が9:05なので香港空港で6時間程待たなければならず、成田着が夜になる。遅れること自体は仕方ないとしてもリムジンバスに乗れる時間では無くなるのが非常に痛い。バイクケース抱えて歩くのは非常にきつい。

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 20分程待って搭乗開始。結構ぎりぎりだったな。パンク修理が長引いていたら結構きわどかった。

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 定刻通り機上の人となる。さらばスペイン。短い間だったけど非常に印象深い滞在だった。

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 いつもの様にビールとトマトジュースでレッドアイ、もう馬鹿の一つ覚えだけど止められない。

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 機内食はビーフシチューっぽいのをチョイス。長粒種の米があの独特の風味でなかなか美味しい。

 食事後もなかなか寝付けず、IFEで映画を見て過ごす。インサイド・ヘッドとドクター・ストレンジの2本。

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 香港時間で8/26の朝7時、寝不足でぼおっとした頭で朝食。食べ終えると1時間程で香港に到着だ。

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 定刻通り9時過ぎに香港空港に到着。相変わらずトランジットの保安検査場は長蛇の列。でも時間は余りあるので全然問題なし。

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 取り敢えずショッピングモールを歩いてみるが特に買いたいものもなく御腹も空いていないので、歩き回るのも疲れるし近場の人気のない搭乗口の長椅子に座ってスマホでネット検索したり横になってうとうとする。なかなか時間は潰れない。確か松本零士の銀河鉄道999の漫画の中に「この世で一番消化しにくいものは時間」とか言ったセリフがあったのを何となく記憶しているがホントその通りだと思う。取り敢えず4時間潰してフライトの搭乗口に向かうことにする。

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 搭乗口は長い建物の端なのでかなり歩かされた。

 右手小指と薬指の痺れがなかなか解消しない。左手もちょっとだけ出ている。ネットで調べたらどうやら「肘部管症候群」っていうのが当てはまりそうだ。もうちょっと様子を見て解消しないようだったら医者に行かなければならないかな。

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 建物の中に鳥がいて、飛び回っているが結局窓の傍に止まって恨めしそうに外を見ている。どこから入ったのだろう。出してやりたいがどうすることもできない。

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 窓の外には高層マンション群が見える。いかにも香港らしい風景。

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 成田行きの便も遅れはなし。15時前に搭乗開始して予定通り15時過ぎに離陸。後は成田に向かうのみ。

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 レッドアイにはアサヒスーパードライは不向きかな。

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 機内食はカレー、日本蕎麦は相変わらず茹で過ぎだけどそれ程不味くはなかった。香港成田間は4時間だからそれ程退屈する間もなく、予定通り20時半に成田に着陸。

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 成田に降り立った途端あっという間に現実世界に引き戻される。これから2時間以上かけてバイクケースを引き摺って帰らなければならないことを考えるとげんなりする。

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 飛行機を降りてから入国審査までが本当に遠い。1km位歩かされている感じだ。

 入国審査は自動機でやってみた。便利と言えば便利だが対面審査とそれ程時間差があるとは思えない。あと自動機だと入国スタンプがない。自動機の傍で記念にスタンプだけ押してもらえるサービスがあり結構人が並んで押してもらっていた。私は押してもらわずにそのまま通過。

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 バイクケースはすんなり出てきた。

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 到着ロビーに出て来たのが21時過ぎ、残念ながらリムジンバスの最終は20:30でやはり間に合わなかった。電車を乗り継いで帰らなければならない。ここからが重労働。

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 スカイライナーはかなり混んでいたが取り敢えず一番早い21:12発の列車の席が取れたので一安心。

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 日暮里でJR山手線に乗り換えるのが大変、エレベーターがあるから上下方向は何とかなるが結構な距離を歩かされる。ホームに出ると22時でも結構蒸し暑い。汗だくで電車を待つ。

 やはり自転車があるときはリムジンバスが圧倒的に楽だな。その意味でマドリッド発のフライト遅延は非常に痛かった。

 山手線は空いていてバイクケースの置き場所に困らなかったのは幸い。

 池袋でJRから西武池袋線に乗り換えでこれまた結構な距離を歩かされる。バイクケースを引き摺ってよろよろと進む。もうしんどい。西所沢に着いたらタクシーに乗ろう。

 池袋線も急行がそれ程混んでいなくてバイクケースは邪魔にならずに置けたので良かった。

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 23時過ぎに西所沢着。タクシーに乗ろうと思ったら全然来なくて15分程待たされてやっと乗車。23時半に無事帰宅。11日間に及ぶスペイン遠征はこれにて終了。Misson Complete!