SR600Kii Mountains World Heritage/レポート5:ゴール翌日~帰宅/総括

[目次]

 帰宅まで

 5/4(土)、5時前に目が覚めた。6時間位熟睡して眠気もなくすんなりと起き上がる。昨夜は結構呑んだつもりだったが二日酔いは殆どなく、全身にははっきりとした疲労感はあるものの倦怠感ではなくしっかりと身体を動かした証の心地良いものだ。

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 ホテルの窓から見る景色は朝焼けが終わった辺り、今日は文句無しの快晴だ。

 フライトは7:00、1時間前の6:00には関西空港についておきたいのでのんびりしている時間はない。昨日のうちにパッキングは殆ど終わらせてあるので、手早く着替えて忘れ物が無いかどうか辺りを見回して部屋を出た。

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 5時半にホテルをチェックアウト。ほぼ泉佐野駅の傍で料金もリーズナブルで居心地も良くバイクも部屋の中に入れられる文句無しのホテルだった。次回泉佐野スタートのブルベに参加することがあればここを選ぶだろう。

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 朝の冷たい空気が凛として清々しい。半袖Tシャツ1枚でも寒くはなく気持ち良い。いい季節になって来た。街中には人影はなくバイクケースのキャスターの音が通りに響く。

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 あっという間に泉佐野駅着。近いというのは移動距離が少なくて済むので本当に有り難い。

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 ちょうど日の出。

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 ホームには人はまばら。

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 程無く電車が来た。短い泉佐野滞在だったが楽しかった。

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 この時間なのに車内は結構混んでいる。最後尾の車両に何とか邪魔にならないところにバイクケースを置くことができた。

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 りんくうタウンを見ながら電車は進む。関西空港までは2駅。

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 電車は10分かからずに関西空港駅に着いた。6時過ぎに関西空港のターミナル1に到着、急いでチェックインしなければ。

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 ANAのカウンターは長蛇の列、ある程度予測していたとはいえやはり混んでいる。ゴールデンウィークど真ん中だから仕方が無いか。

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 手荷物カウンターでチェックインした後に、バイクケースと一緒に保安検査場に行って改めてX線検査を受けて荷物を預けるというのが関西空港での手順。空港毎にバイクケースの扱いが異なるのは面白い。

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 早朝にもかかわらず搭乗口は賑わっている。

 空港で帰京する飛行機を待つ時間が心地良い。事をやり遂げ目論見通りの結果を出して帰還する時の静かな充足感というのは次の新たな挑戦を考えるための下地として必要な要素の一つだと思う。

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 定刻通り7時に搭乗、機上の人となる。

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 羽田-関空間のフライトは今まで飛行機に乗った中で最も距離の短いものだと思う。上昇したら直ぐに下降する感じ。ドリンクサービスを受けたらあっという間に羽田についてしまう。

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 8時過ぎに羽田着。東京も良い天気。

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 バイクケースを無事受け取って到着ロビーへ。残念ながらリムジンバスは1時間以上待たなければならないので鉄道で帰ることにする。山手線が通勤時間帯になるがゴールデンウィーク中の土曜日がどんなものか予想がつかないのでちょっと心配だ。

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 取り敢えずモノレールは空いていたので問題なし。

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 浜松町駅の山手線ホームは人もまばら。さて、電車はどうか?

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 通勤混雑の心配は完全に杞憂に終わった。車内はガラガラ休日モードでバイクケースの置き場所はすんなり確保できた。

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 池袋で西武線に乗り換え。

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 西武線の方が若干混んでいたが先頭車両に問題なく置くことができた。これで鉄道移動の障壁は全てクリアすることができた。

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 10:30に最寄り駅に帰着、バイクケースを引き摺って11時前に無事自宅に辿り着いた。

 この時間に帰って来ることができたので通常の休日の様に残り時間をたっぷり使えるのが有難い。これにてSR600紀伊山地の関西遠征は無事終了した。

総括

 SR600紀伊山地を走り終えて4週間が経過した。振り返ってみれば、楽しかったという思いが強く残り、苦しかった・辛かったというイメージは殆ど無い。時間が経って記憶の改竄が進んでしまったと言ってしまえばそれまでだが、冷静に振り返っても走り易くて楽なコースだったと思う。”楽だった”というと随分と驕った言い方に聴こえるかも知れないが、勿論SR600なりの難易度を加味した上で、実際に他のSR600を走った経験上の感想である。

 コースを振り返って、まず最初に言いたいのは、サイクリングにベストな道が行程の大部分であったことだ。

 世界遺産とか神社仏閣にはとんと疎いし興味もさっぱりないのだが、人里離れ山深く車通りも信号も殆ど無い道をこれ程までに堪能できたコースは他に記憶が無い。走った時期が5月初旬ということもあり、新緑に埋め尽くされた山々の中を静かにひたすらサイクリングに集中して走り続けることができたことが走り終えた後の好印象に繋がっていることは間違い無い。

 山越えの配置も良い塩梅に分散されて集中的に脚が削られ消耗する様な厳しさはない。玉置山や護摩壇山はそれだけを取ってみれば非常に厳しい山ではあるがSR600の性格上、そういう山が幾つかは組み込まれて当たり前と言えば当たり前だがそれらをうまく散らすことによって全体としての難易度を上げないというのはコース作りの妙だと思う。

 私的には今回実際走ってみてちょっと大変だったと思ったのは、県道45号の悪路の林道、玉置山の登り、PC11からPC12の間(これはコースではなく私的に暑さにやられたことによる)、護摩壇山登りの後半、護摩壇山からの下りだが、それ以外は難所というところはなかった様に思う。

  今回は2日目に勝浦から野迫川まで行く走行プランとしたが、実際に走ってみて護摩壇山越えがナイトランになり、且つ下り区間が真っ暗闇でかなりスリリングで冷汗を掻いた走りになったことを考えれば、2日目は龍神温泉泊まりにして、翌日朝一番で護摩壇山を登るというプランにした方が良いかも知れない。今回龍神温泉への到達時間が19:10、ホテルのせ川到着時間が22:05だったので丁度3時間分を3日目に繰り越す格好になる。今回3日目は6:30スタートでゴールが14:12だったことを考えれば、龍神温泉スタートを5:00にすれば16:00ゴールという計算が成り立つ。私的にはできるだけ最終日を軽くしたいという考えで走行プランを考えるのだが、今回実際に走ってみて3日目は実質高野山までの30km分しか山岳部分がなかったのでこれに護摩壇山を足しても3日目の負担が激増するという程までには行かず、むしろ3日間のバランスが最も取れてナイトランの時間が減り危険も減らせるというベストな走行プランになるのではないかと思われる。次回走ることがあれば、この改良プランで走ってみたいと思う。

 あと、スタート地点がりんくうタウンというのは、関東在住の身からすれば良かったと思う。今回初めて関西空港への飛行機移動を試みたが、関西空港からりんくうタウン、また、私的に前後泊のホテルのある泉佐野駅までは鉄道2駅でわずか7分という乗車時間で移動が極めて楽だったのは、遠征の難易度を下げるということで極めて重要なファクターだと思う。

 他にこのコースの優位店は走行期間が他のSR600に比べて長いということだ。関東の3つのSR600は冬季閉鎖区間の開通時期が遅かったり火山の影響で頻繁に通行止めになったりとなかなか安定的な開催期間が確保されるのが難しく、ゴールデンウィーク中の走行ができない。SR600KWとSR600SMはゴールデンウィーク中に走ることができるというのは私的には有難い。

 総じてこのSR600紀伊山地のコースは秀逸だと思う。もしかするとコース設計者さんの意図とは違うかも知れないが、SR600のレギュレーションである総獲得標高差10000m以上をぎりぎりで抑え、上手く配置して極力難易度を上げない様にしてサイクリングに適した道で繋ぎ、且つ距離的に仮眠ポイントの宿を確保可能なポイントを通し、そして世界遺産巡りというテーマを上手く盛り込んだこのコースはコース設計者さんの素晴らしい仕事だと思う。このコースは現存する5つのSR600のコースの中で最も難易度が低く走り易いコースだと思う。難易度が低いというのは私的には最大級の賛辞のつもりだ。厳しいレギュレーションを優しく作ってできるだけ多くの人が完走できる様にするというのはコース設計者の腕の見せ所の一つだと思う。今回このを走ってみて、万人が完走できるSR600のコースが作れたら良いなあと改めて思った。勿論、600km、10000m、60Hというレギュレーション自体がシビアではあるが、それをクリアしつつジェントルで後味の良いコースを作ることがブルベ主催者の端くれとしての最終目標の一つだ。

 SR600はハードルが高いと思われがちで、挑戦するのをためらっている人も少なからずいるかと思う。確かに山は厳しいかも知れないがランドヌール部門の制限時間は60時間、即ち2泊3日で走ればよいので毎日200kmずつということもできる。考え様によっては通常の600kmブルベよりも楽な場合もある(私的には今回が正にそれ)。多少経験値が少なくてもまずはやる気、事前にリサーチしてしっかり計画を立て準備してイメージを膨らませて臨めばそれなりに走ることは可能だと思う。案ずるより産むが易し、何事にも必ず最初はある。まずは思い切ってチャレンジしてみて欲しい。その際にはこのSR600紀伊山地を是非御勧めする。

 走り終えてブルベカードと通過証明写真は主催者さんに送付済み、認定通知は今年10月以降ということなのでメダルも含めて楽しみに待つことにする。ちょっと前に主催者さんからこのSR600紀伊山地の完走メダルを18種類、全てのPCの図柄を採り入れたものと作成するとの告知があったでちょっと驚いた。これまた世のチャレンジャー的ランドヌール・ランドヌーズ達を挑発する様な企画をぶち上げて来たなとちょっとニヤリとしてしまったが、私的には年齢的・経済的に見ても流石に18回走るのは無理なので、60歳になる前にもう1回は走りたいなと思うに留めておこう。

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 今回の行程で今まで未踏の県であった和歌山県と三重県を走ることができた。これで近畿地方全てをブルベで走ったことになる。

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 これで残る未踏の県は香川、徳島、高知の四国の3県を残すのみとなった。今年10月開催のAR四国さんの1000kmにエントリーして全国制覇を今年のうちに達成したいところだ。

 SR600紀伊山地を無事に完走できてまずは今年前半のメインイベントはクリアできた。次の目標は8月中旬のPBPだ。3度目となるフランス遠征を確実に成功させるべく準備を進めている。取り敢えずホテルとフライトは押さえたので、後は本エントリーをしてドロップバッグを申し込んで、携行品を取りこぼしなく揃えることに注力する。

 

 次回ブルベはBRM511群馬200、既に過去日で完走を果たしているが次回詳報予定。