[目次]
ゴール翌日
7/15(月)、4時半に目が覚めた。起きる必要は全くないのにこの時間に目が覚めてしまう。体内時計はまだブルベ走行モードのままなのか。
今朝の北見。市中の道路の路面は濡れているが。雨は降っていない。青空も垣間見える。ブルベの翌日なんて、まあこんなもんです。
二度寝をしようと思うが全く眠れそうにないので、PCでネットを徘徊。ネット通販でBBを注文しておく。帰ったらバイクメンテの途中で交換だな。
連休最終日のバカ高い復路便をケチって北見にもう1泊する予定を組んだのだが、この1日完全フリータイムの予定は事前に殆ど考えていなかった。何をするか改めて思案する。バイクが使い物にならないので徒歩で動ける範囲となるとどこだろう?取り敢えず電車異動で網走をリサーチする。
うだうだと過ごすうちに時計は8時を回り、先ずは面倒な仕事を片付けておこうと、バイクのパッキングをやりにホテル1階の屋内駐車場に向かう。
2日間雨の中を走ったバイクはドロドロ。仕舞うのはなかなかの大仕事。汚れを落としつつ分解しバイクケースの中に収納していく。
30分程かけてバイク収納完了。面倒な仕事をやっつけてすっきりした。
バイクケースを部屋に持って上がり、再び何処に行くかリサーチ。ツイッターで呟くと数人の知り合いが色々とリアルタイムでアドバイスをくれるのが有難い。
10時になり、空腹感も極大に達し何となくプランも出来上がったのでホテルを出発する。電車で網走に行ってみることにする。
電車に乗る前に北見散策ということでツイッターで教えてもらったハッカ記念館に行ってみる。
北見駅南口から1km弱の所にあった。ホテルから徒歩で、ちょっと迷って20分位かかった。電車の時間が迫っていたので外から建物を眺めるだけで通過。
北見駅南口に到着。ぱっと見て駅なのかどうか良く分からない。
この建物には券売機も改札も待合室も何もない。どうやら北口への通用口としての機能しかなさそうだ。歩いて北口に向かう。
北口に到着。当たり前だが駅らしい。
時刻表。登りも下りも1時間に1本あるかないかといったところ。
切符を買って改札を通過。切符にスタンプを捺してもらう。人の手による改札なんて何年振りだろう。
乗るべき列車はあれらしい。
10:46発の網走行きに乗車。1両編成。1両だと編成とは言わないのかな。1両の列車ってコンパクトでカッコ良く見える。
久し振りのボックス席。何となく高校の時の電車通学を思い出して懐かしくなった。
都市の鉄道以外で鈍行に乗るのは何時振りだろう?最後に乗ったのが何時でどこだったか全然思い出せない。こういうのは乗っているだけで充分観光気分が味わえる。鉄の気持ちがちょっとだけ分かった気がする。
1時間10分程で網走駅に到着。
一昨日昨日と自転車で通過中に一瞬だけ見た風景を立ち止まってまじまじと眺めているのは何となく感慨深い。駅には人もまばらで閑散としている。
まずは主目的の昼御飯。事前のリサーチで目星を付けた店に徒歩で東に向かう。北見ではまだ曇りがちだったが、網走はすっかり晴れて結構暑い。歩いているとちょっと汗が出て来た。
その店は網走駅から1km程の商店街の中にある。網走で食事と検索したらたくさんの記事がヒットした有名店らしい。そろそろ昼飯時なのでさぞかし行列しているだろうと思って覚悟していたら、店の前に行列はなくすんなり入店。広い店内も数人の客がいるだけで閑散としていたので拍子抜け。
ここは基本洋食の店だが海鮮丼と洋食のセットが売りでボリューム満点ハイCPが売りらしい。確かになかなか豪華だけれど良心的な価格のメニューがずらり。
ビーフとミックス丼のセットを注文。肉と海鮮が一度に食べられるなかなか贅沢なメニューで量もそこそこあって非常に満足。食べている間にどんどん客が入って来てあっという間に満席、やはり人気店だった様だ。
ブルベ腹がそこそこ満たされて店を出た。期待を裏切らない良心的な店だった。また網走に来ることがあれば是非また食べに来たい。
取り敢えず昼御飯だけ事前に目的地を定めていたがその後のことは何も考えていなかった。北見戻りの列車は14時半発なので1時間半程の時間で何ができるか、取り敢えず海を見に行こう。
海までは結構距離があった。1km弱歩いて海の近くまで来た。
海の直ぐ傍の河口には漁船が何艘も停泊している。
漁船を間近で見るとなかなか武骨でカッコ良い。
この船でどこまで行くのだろうか。小さいが意外に遠洋まで出て行きそうな雰囲気がある。
ここからだと海は河口の堤防越しにしか見ることはできない。直接海辺に出ようと思うと更に東に向かってそこそこ歩かなければならない様なのでこの風景で我慢する。
河口には釣り人の姿がぽつり。観光客の姿も見えず閑散としている。北の果ての夏の、長閑でちょっと寂しい感じの雰囲気が網走の旅情を色濃く感じさせてくれる。
何となく漁船を見学に来た感じだ。考えてみれば漁船なんて間近でまじまじと見たことは今まで殆どなかった。これはこれでなかなかに面白い。
この船は先端に銛の発射装置が付いている。捕鯨船なのか。奇しくも日本がIWCを脱退したばかりのこの時に捕鯨船を見ると妙なインパクトがある。
海をひとしきり見て駅方面に戻る。
戻る途中に駅近くの駅前通り沿いのバイクショップの前を通り過ぎた。スポーツバイクに強そうなので昨日ここに立ち寄ったらBBを交換できたかも知れない。
まだ微妙に時間があるので網走拘置所に行ってみることにした。駅を通り越して西方向に歩く。
時間が微妙なので小走りで2km程移動して網走刑務所に到着。この門構えは北海道パラダイスウィークの途中で立ち寄った時に見た記憶のままだった。初めて自転車で北海道を巡った時に見た風景が幾つか強く印象に残っているのだがここもその一つ、とても懐かしい風景。
刑務所なので殺風景なのは当たり前だが北海道らしい風景を見ることができて満足。5分程眺めて駅に戻り始める。ちなみに観光地としての昔の網走刑務所はまた別の場所になってここから更に遠いのでちょっと行けそうにない。
刑務所傍の橋から眺める網走川。祝日の昼下がりには人気もなく静か。ここにも長閑でうら寂しい旅情が漂っている。
駅に戻って切符を買い列車を待つ。
大正元年は1912年だから107年前か。昭和生まれからすると大正ってそんなに古く感じないが100年以上前と聞くとかなり昔だな。
さて北見駅に帰る。14:32発の列車に乗車。今度は2両編成。網走滞在2時間半だったがちゃんと観光をした気分になれた。
車窓から眺める北海道は自転車で走っている時程の解放感はないが、それでもぼさーっと気を抜いてのんびり眺められるのがとても良い。
思えばブルベ遠征はちょくちょく出掛けるのに自転車無しでの観光なんて全くしたことが無く、国内だともしかしたら今回が初めてなのではないだろうか。若い頃は出不精旅行嫌いでまさか自分がこんなことをするとは思いもしなかったが、やってみると案外楽しい。歳を取って自転車に乗れなくなったらこういう旅をするのも悪くないな。
16時前に北見に戻って来た。
朝来た道と違う道で、商店街の中を通ってホテルに戻る。休日なのにシャッターが下りたままの店も多く人通りも少ない。
街角にオホーツクサイクリングステーションの幟とバイクスタンドが置いてあったが、それらしい店は傍にはなかった。
ホテルに戻ってベッドに横になりしばし休憩。のんびりしながら今夜の打ち上げ本番の店の最終選定作業に入る。北見は焼肉の街、特にホルモンがメジャーということなので打ち上げはホルモン屋に決定。狙いの店を定めて18時過ぎに電話したら人気店らしく現在満席、席が空いたら電話をくれるとのことでホテル待機。
19時前に店から空席ができたと電話が来たので早速出発。北見の街は良い感じに暮れて来た。
徒歩10分足らずで店に到着。店に入ると結構混んでいて賑やか。
着席するとパーソナルな火鉢が出て来た。
まずはこれ。サッポロクラシックの瓶。これが置いてあるというのも店選定の重要なファクターとなった。
やはりやはり、サッポロクラシックの瓶は圧倒的に旨い!これを飲む度に確実に旨いとの印象が強くなっていき、私的には間違いなくNo.1のビールとの確信を持つに至った。このビールを飲む瞬間が遠征ブルベ完走の最高の御褒美だ。正にプライスレス。
北見焼肉の基本は牛サガリ、豚ホルモン、タマネギなんだそうで、早速その基本を注文。豚ホルモンは下味も付いて無くプレーンな感じ。
正直なところ豚ホルモンに対しては余り良い印象は持っていなかったのだが、これは旨い、ウマイです。変な臭みは全くなく食べ易い。都会で変なものを食べてずっと不味いと思い込んでいたがこれは目から鱗が落ちた。
私的にはホルモン好きで食べる時は牛ホルモンばかり食べていたのだが、牛ホルモンと豚ホルモンを食べて比べて見る。残念ながら違いは良く分かりませんでした。どちらも旨い。でも値段は豚ホルモンの方が安いので豚ホルモンを更に追加注文。
最高のビールでほろ酔いになり旨いホルモンを好きなだけ食べる。今まであちこち遠征ブルベで打ち上げをやって来たがここ北見が一番かも知れない。正にこれに味を占めてまた来たいと思った。
1時間半程しっかり楽しんで1次会は終了、店を後にする。今日は昼御飯も食べたしそんなに食べられないだろうと食べ放題コースを選択しなかったのだが勘定を締めてみると食べ放題料金を軽く超えてしまっていた。これは目測を誤った。次回は絶対食べ放題にしよう。
さて2次会。一昨日サトーさんに北見はバーテンダーの街と教えてもらったので、一人位あっておかないとスマホで北見のバーマップを見ながら街中をふらふらと徘徊する。
目星を付けた店を数軒見て回ったがことごとく休業、今日は連休最終日の夜なので客は来ないとどこも休みにしているのだろうか。ジャズバーの類は全く見つからないので面倒臭くなって残念だか北見バー訪問は断念してホテルに帰投することに。
ホテル近くのコンビニで缶ビールを買ってホテルに戻る。晴れ渡った夜空にはぽっかりと満月が浮かんでいる。これがブルベ走行中だったらなあ、とは今更言わない。
ホテルの部屋に戻り軽く2次会開始。のんびり飲みながら今回の2日間のブルベを反芻する。
今回もさんざん降られた。でも、雨の原野を走るのは最早北海道ブルベの醍醐味であり旅情だ。完走し終えて、風景を反芻して聴こえてくるのはやはりPat Metheny GroupのFarmer's Trust.。この曲名を見て改めて思うのはタイトル通りに作者と聴き手のイメージが相当に合致していると思われる。Farmer's trust、貧しくとも慎ましく大自然に感謝を持って生きる。現世に擦れ巻くって姑息に生きる俺にその曲を聴く資格はないのかも知れないが、せめて、そういうものに対する憧れだけは持っておきたいね。たとえ偽善者と呼ばれてもね。残念ながら家にはLPしかないのでiphoneには入れておらず今聴くことはできない。早くCD買わなければ。
程々に酔いが回って良い感じに睡魔が襲って来たので、そのまま夢の中へ退場。消灯時間は23時前と思われる。
帰宅日
7/16(火)、5時前に目が覚めた。どうやってもこんな時間に目覚めるとは、やはりこれは歳だな。今日また一つ歳を取ったが、この歳になると誕生日は嬉しくない。強いて言えばこの歳まで生き長らえたことは喜ばしく思えなくもないが、誕生日はむしろ来て欲しくない。この辺で時間が止まって欲しいところ。そう言えば去年の誕生日も北海道にいたことを思い出した。
今日の東京戻りのフライトは9:50、それに乗るためのバスは北見駅発8:10。昨日のうちにパッキングは大方終了しているのでぼちぼち最終的な出立準備をしつつ残り時間を過ごす。
ちょっと余裕を見て7時半にホテルをチェックアウトする。料金もリーズナブルで駅から徒歩圏内で居心地も良くCPは高いホテルだった。次回来ることがあればまたここにしよう。
4泊もするとこの風景もすっかり見慣れて馴染んでしまったのでここを去るのが名残惜しい。
7:45に駅前のバス乗り場に到着。ちょっと早過ぎたか。
今日は平日、通学時間帯で学生達の列を眺める。純朴な感じが遠い昔に九州の片田舎で学生だった頃の時分を思い出し懐かしくなる。
8時過ぎにようやくバスが来た。北見空港に降り立った時の様に自分でトランクを開けバイクケースを積み込みバスに乗り込む。
定刻通りバスは発車。さらば北見、また来るよ。
今回も北海道の解放感をしっかりと楽しむことができた。来て良かったと改めて思う。
8:50、女満別空港に到着。
空港にはサイクルステーションなるものがある様だ。
*後日調べたらここでレンタサイクルとか輪行バッグの預かりサービスをやっているらしい。これはサイクリストには便利なサービスだ。
まずはバイクケースの預け入れ。列も短くそれ程時間もかからずにすんなりと完了。
そう言えば往きは飛行機に乗り遅れたんだっけ。遠い昔の出来事の様な気がする。
終わって見れば女満別空港から北見市街のホテルへの移動は大きい輪行ケースを抱えていても、非常にスムーズで楽だった。北見発着のブルベのアクセスの良さを体感できて非常に有益だった。
展望デッキに上がってみた。これに乗って帰る。
保安検査場入口にこんなものが。網走監獄の御土産は手錠がポピュラーなのか。
定刻に搭乗、機上の人となる。次に北見に来るのはいつだろう。また是非自転車担いで訪れたい。
12時前に羽田着。東京は雨。
女満別空港の搭乗口から出口までの短さに比べたら、羽田はとてつもなく遠い。ここを歩いているうちにどんどん現実世界に引き戻されていく。
うわあ、回転台に乗ってバイクケースが出て来た。これは初めての経験かも知れない。
リムジンバスに乗るには30分以上待たなければならず、この時間がもったいないので鉄道移動を選択。今回初めて京急空港線に乗ってみた。平日の昼の時間ということもあるが、結構混んでいてバイクケースを持って乗るのがちょっと心苦しい感じ。品川乗り換えの山の手も同様でちょっと肩身の狭い思いをした。
ようやく西武池袋線に到着。都心をバイクケースを引き摺って移動するのは本当に大変。時間がかかるがやはりリムジンバスが楽だということを改めて思う。
ガラ空きの西武線に乗って最寄り駅に到着。
バイクケースを引き摺って14時半前に自宅に帰着。間髪入れずに車に乗って行きつけのつけ麺屋に直行。
帰宅したらどうしてもこれを食べたかった。食べ慣れた安定の美味しさにホッとする。
ブルベ腹もしっかり満たされ15時過ぎに帰宅、これにて4泊5日の北海道北見遠征は無事に完結した。
---
以前から是非走りたいと思っていたAJ北海道さんの北見シリーズを今回ようやく走ることができた。基本的に北海道遠征はそれなりにコストがかかるのでどうしても1000km以上の超長距離ブルベを選択するのが常なのだが、短い距離でも数本連続で走ることができる設定になるとそれなりに御得感が出てきて遠征費用をかけても元は取れる気がする。
コース的にも1日目の200kmは平坦基調、2日目の300kmは山がちのメリハリの付いた設定で、北海道の雄大な農地や原野を走り抜ける車も信号も殆どない道をこれでもかと堪能できる北海道ブルベの魅力が凝縮された2日間となっている。その意味で北見シリーズはなかなかオイシイ企画だと思う。
女満別空港から北見市街へのバイクケースを持っての移動も非常に楽で移動の労力は最低レベルだと私的には思う。札幌線に比べると飛行機代が高く感じるのが唯一のネックだが、それもこの北見シリーズの旨味を考えればかなり薄められると思う。
ブルベ初心者や遠征初心者の方で、北海道は走ってみたいが1200kmやパラダイスウィークはハードルが高いと思っている方には正に打ってつけの企画だと思う。北海道の道は本当に走り易く、サイクリング天国・ブルベ天国なんだということをこういう優良企画を通じて是非体感して頂ければと思う。勿論私自身も来年以降、絶対にもう一度参加したいと思う。
次のブルベはR東京さんのBRM803東京200金太郎(夜)。コース的には過去に走ったことがあるので熟知しているが、私的には夜スタートのブルベは余り得意ではないのと、ブルベ200本目の完走が懸かった大一番で、それなりにプレッシャーのかかるブルベとなる。PBP前の最終チェックの場でもあり色々な意味で重要なこのブルベの詳細はまた次回報告の予定。