8/24(土)、6時半に目が覚めた。
割と常識的なフランス時間に目が覚めた。フランスを離れる日に時差ぼけが解消されるとは何ともタイミングが悪い。自宅に帰着するのは明日日曜の夜、一晩寝て翌日は2週間振りの出社だから時差ぼけでかなりしんどいことになるのは覚悟しておかなければならない。
ホテルのチェックアウトの時間を改めてチェックしたら、12:00であることが判明。ずっと11:00だとばかり思い込んでいたのだが、フライトが夜なので少しでも長く居られるのは非常に有難い。
パリ最終日の朝のホテルからの眺めは快晴。今回の渡仏は本当に良く晴れたなあ。今思い返せば、降られたのはスタート前日のRambouillet受付で冷たい雨に打たれながら寒さに震えて並んでいたあの1日だけだった。もう既に懐かしい思い出。
残り物の食べ物で簡単に朝食。このプリンらしきものはやはりプリンだったのだろうか。
今日のフライトは19:50、かなり時間があるのでホテルに荷物を預けて近場を観光しようかと考えたけれど、特に行きたい所はないしスケジュールを詰め込んで時間に追われて慌ただしくなるのも面倒なので見送り。12時にホテルをチェックアウトしたらそのまま空港に直行して空港でのんびり時間を潰すことにする。
突然、部屋の外でがけたたましいアラームの音が鳴り始めた。火災報知器の音の様だが、誰も部屋の外に出てこないのでちょっと様子見。しばらくしたら止まったので、どうやら誤動作らしい。巷ではこういうことは良くあることらしい。
PBP走行中の中抜けはあるものの9日間過ごした部屋は何となく馴染んで、そろそろここを出なければいけないと考えると名残惜しい。
12時前、さてそろそろホテルをチェックアウトするかな。家の帰り着くのは明日の21時。26時間後か、長いな。
チェックアウト。最後にパリ市の宿泊税を支払う。1泊€1.88で8泊分€15.04。フロントの人達の対応も良くて気持ち良く過ごすことができた。
ホテルを出発。小さい部屋だったが居心地は良かった。自転車の部屋入れもOKだったしwifiも問題なく使えたし、料金も立地を考えれば妥当ではないかと思う。次回もまたここに泊まりたいと思う。
バイクケースをゴロゴロと引き摺ってモンパルナス駅に移動。パリの下町のこの風景ももう見納め。
モンパルナス駅裏に出た。昨日見たエッフェル塔が今日もちゃんと同じ場所にあることを確認。
カタローニュ広場の風景ももう完全に自分のテリトリーの中の一部としてしっかりと記憶されることとなった。最早ここは特別な場所ではなくなった感じだ。
モンパルナス駅横の空港直通バス乗り場に到着。CDG空港行きは4番。隣のオルリー空港行きに間違って乗ってはいけない。バス停でバス会社のフリーwifiが使えるのは便利。
アシアナ航空はCDG空港のターミナル1。降りる場所によってトランクの場所が違うのは日本のリムジンバスと同じ。間違えて積んでしまわない様に気を付けないといけない。
ターミナル1は空港に着いて最初の停車ポイントで降車する。
料金は片道€18。私は既に空港到着時に往復チケットを購入済みなので問題なし。往復料金は€31、間違いなくCDG空港に戻ることになるので往復で買った方が絶対に得だ。
バスを待っていたら、バイクケースを持った優しそうな中国人御夫婦に話しかけられた。PBP参加者に参加されて残念ながら奥様の足首痛でDNFされたとのこと。私のバイクケースは小さいので欲しいと仰る。メーカーはどこか、シートポストを抜いて入れるのかとか色々質問された。また4年後再チャレンジですね。
程なくしてバスが来た。
まだ発車時間に間があるのか、運転手さんはバスを降りてどこかに行ってしまった。休憩かな。
10分程で戻って来て乗車開始。トランクにバイクケースを積み込んでバスに乗る。ほぼ定刻通り12:45に発車。
バスの乗客は店員の半分位、ゆったりと座れた。8日前、空港からバスに乗った時にはバイクケースがなかなか詰めなくて結局満席のバスの中にバイクケースを持ち込んで立ちっ放しでモンパルナスまで向かったことが懐かしく思い出される。
セーヌ川を渡る。
バスの窓から見える風景を適当に写真を撮ってもいちいち絵になる。バスに乗ったままパリ観光をしている様なものだ。
高速道路に出るとパリの観光地的な風合いが薄れ都会の無機質な感じが強くなる。醜悪な落書きの壁が延々と続くのもパリの別の側面でこのギャップが何となく面白い。凡庸な庶民の身からすればパリのこういう生活臭の漂う一面があることで、そんなに構えることなく街に入っていける。
1時間弱でCDG空港の第1ターミナルに到着。滞りなくここまで来ることができて、帰路のハードルをまた一つクリアできた。次のハードルはバイクケースの預け入れだ。
現在時刻は14時前、チェックインカウンターがオープンするまであと3時間位あるので慌てる必要はないが、先にチェックインカウンターの場所を確認しておこうと出発ロビーに向かう。出発ロビーは階下なのでエレベーターを使う。
エレベーターの場所がちょっと分かり難い所にあって少しの間うろうろしてしまった。案内表示が微妙に分かり難いと思うのは私だけだろうか。
出発便の案内表示にはちゃんと19:50発Seoul Incheon往きのアシアナ航空のフライトが表示されている。現時点ではオンタイムの様だ。
取り敢えずチェックインカウンターまで来てみたが当然ながらクローズのまま。場所は分かったので、ちょっと御腹が空いたこともあり暇潰しを兼ねて階下のフードコートに行くことにする。
CDG空港のターミナル1はフードコートの店はそれ程多くない。何となくジャンクフードが食べたくなったのでマクドナルドにする。
マクドナルドのオーダーはカウンターではなくどでかいタッチパネルのディスプレイで行う。日本語表示もできるのだがいまいち分かり辛いし、クレジットカードも認識に結構時間がかかるのでどうも余り便利とは思えない。
やっとオーダーできた。当然オーダーが無人でできるのだがら自動でオーダー内容が厨房に飛んで作られて、このレシートに書かれた番号が呼ばれるのだろうと思ったのだが一向に呼ばれない。
おかしいなと思ってカウンターに行ったらこのレシートを見せて初めてオーダーが通る仕組みらしい。何とも中途半端なシステムで脱力する。やっと品物が出てきて受け取ったら中にポテトが入っていなくて再びカウンターに行かねばならないなど、ここのマックのオーダーがなかなかハードルが高い。何とも面倒臭いことになった。
やっと遅い昼御飯にありつけた。
マックのハンバーガーはかなりデカくて重量もかなりなもの。フランスに来て最後の最後でメガに当たった感じ。€14.9というのは相当高いけれど、味も予想外に美味しくて手間はかかったものの最終的には満足できて良かった。
15時前にチェックインカウンターの前に戻る。、さて、これからカウンターがオープンするまでひたすら待つのみ。カウンターオープンまで2時間半。
椅子に座ってぼさーっと行き交う人達を眺めていたら、目の前に剥き身の自動小銃を持った兵士が2人目の前を通り過ぎて行った。おっかねえ。
16時過ぎになって、予定より1時間早いのに突如目の前に列ができたのでとりあえず並ぶ。どうやらカウンターがオープンしてチェックインが始まった様だ。さて、追加料金なしで無事に預け入れできるのか?
チェックインは無事完了。バイクは追加料金なしで預け入れできたが、保安検査でかなり細かくチェックされてちょっと焦った。取り敢えず難関を無事クリアしてほっと一息。身軽になって空港内をうろうろしていたらけーこさんに遭遇。東京直行便のフライトも同じ時間帯らしい。
搭乗口に到着。近くの売店で会社への土産を買って、飛行機に乗る前のミッションはほぼ完了。後は搭乗開始を待つのみ。
私の乗るアシアナ乗り継ぎ便とANA直行便はほぼ同時刻の出発なのに日本着が4時間違う。フライトチケットを押さえる時はコスト優先で時間差は余り気にならなかったが、いざ帰国の段になったらこの4時間が結構大きく思える。やはりケチらずに直行便にすれば良かったか?いや、そんなことはない。と、自らに強く言い聞かせる。
空港のフリーwifiでツイッターなどをつらつら眺めていると旅も終盤でトラブル発生している人が数人いらっしゃる様だが無事に帰国できます様に。PBP走行中に日本人参加者の最高齢の方が行方不明になって一時かなり心配したのだが昨日になって消息が判明したことを知ってほっとした。その方も無事に飛行機に乗れているとよいのだが。
19時を過ぎた。案外苦痛を感じることなく時間を消化することができて良かった。フランス滞在もあとほんの少し。
19時20に搭乗開始、機上の人となる。
さらばフランス、また4年後。
いよいよフランスを離れる時が来て、名残惜しいが思いの外さっぱりしていることに気が付いた。多分また来るだろうという確信めいたものがある様だ。少なくとも現時点ではまた4年後にPBPを走ろうという思いはある。
機体最後尾の席を押さえられたのはラッキーだった。リクライニングが全開で倒せるので長距離フライトでの疲労度がかなり軽減される。これだけでも飛行機が苦手な身にとっては精神的負担が軽減される。
トイレの傍だからうるさいので、ということでアイマスクと耳栓をくれた。これも有難いサービス。
離陸して1時間半程で最初の機内食。”伝統的牛肉料理”をチョイスしたらビビンバだった。流石韓国の航空会社だけあって非常に美味しい。
IFEで映画を一本だけ観て、後はひたすら寝て過ごす。
離陸して8時間半後、2食目の機内食。チキンはそこそこ美味しかった。
日本時間に戻って13時半に無事にインチョン空港に着陸。
クリアすべきハードルも残り少なくなってきた。次のハードルは乗継の保安検査。
往路ではすんなり通過したのに、復路の保安検査で相当しつこく調べられた。私の鞄の中は怪しい物で一杯らしい。
ショッピングフロアは相変わらずの人混み、特に何かを買うわけでもなく素通り。
さっきの保安検査でちょっとげんなりしたので直ぐに搭乗口へ。あれに乗って東京に帰る。出発は1時間半後。
何となく眠い、何となく御腹空いた、の無限ループ。椅子に座って、ぼさっとする。
ツイッターを眺めてみると、今回のPBP参加者の中でバイクケースのロストバゲッジが結構発生している様だ。こうやって見ると自分が遭遇する確率はそこそこ高い。って言うかまだ現在進行形だった。やはりコストをかけても直行便でリスクを減らすべきかな。
15時半前に搭乗開始、ほぼ定刻。
これが最後のフライト、2時間半で成田だ。
近距離フライトだがIFEはちゃんとしたものが付いている。まあ2時間半なので私的には殆ど見ないが。
離陸後1時間もせずにちゃんとした機内食が出て来た。このコチュジャンペーストをかければ何でも美味しくなるので便利。アシアナ航空は今回のフライトでは機内食にハズレはなかった。サービスもまずまずで仁川空港の乗継だから乗継時間もそこそこ短くてコストバランスも良かった。次回のフライト選定でも選択肢の一つになるだろう。
機内食を食べてちょっとうつらうつらしたらあっという間に成田。定刻通り18:15に着陸。
あーあ、帰ってきちゃったよ。一気に現実世界に引き戻される。でも少しだけいつもの日常風景が違って見える。無事にPBP完走を果たし、様々なハードルをクリアしてミッションを完遂したことが、またちょっと自分を成長させてくれた様な自信と経験が静かな誇りを持たせてくれて、泰然と世の中を見渡せている様な気になる。
さて、最後のハードル、果たしてバイクケースはちゃんと出て来るのか?と不安になったが、CDG空港の様にさんざん待たされるようなことはなく直ぐに出てきて一安心。これならもしかしたら18:35のリムジンバスに間に合うかもしれないと、大急ぎでリムジンバスのカウンターに向かう。
カウンターでまだチケット購入は可能と聞いて速攻で買って、幸いバス乗り場はチケットカウンターの直ぐ裏だったので18:35発のリムジンバスにギリギリ間に合った。
京葉道路が予想通り渋滞していたので遅着すると覚悟していたが、首都高に載ったら意外にスイスイ進むので前倒し到着できそうな感じ。鉄道と比較して30分以内の遅れで収まるなら乗り換えと満員電車のリスクのないリムジンバスを間違いなく選択する。バイク遠征帰路だと本当に楽だ。
10分前倒しで21時前に所沢駅着。疲れたのでこの後はタクシーで帰る。
21時半に自宅に帰着。これにて今回のフランス遠征は無事に終了した。
帰宅して簡単に荷物を整理して人心地ついて、スタート前に付けたリストタグを外した。
「これでオマエは自由の身だ。何処へでも好きなところに行くがいい」と言われた様な気がした。
何処へ行けばよいのだろう。もう少し拘束されていたかったな。目的を失った戦士の様に、少しの間途方に暮れた。
今回のフランスの旅は終わった。束の間の夢の時間は過ぎて、再び平凡な日常が始まる。でも頭の中には既に次のミッションが用意されていて、新たなチャレンジに向けて突き動かされていく。その静かな衝動が無くならない限り、また夢の続きを見ることはできるはずだ。来るべきその時まで、淡々と働き力を蓄えていこう。