2020BRM126熊本200/レポート3:ブルベ翌日

 1/27(月)、6時過ぎに目が覚めた。外はまだ暗く微かに雨音が聞こえる。天気が回復していれば早めにホテルを出てもっと広範囲に散策をしようと思っていたが断念して二度寝する。何となくうつらうつらして次に時計を確認したのが7時半、窓の外を見るとどんよりと曇ってやはり雨が降っている。ぼちぼち帰り支度をしなければならないが何もする気が起きずにしばらくベッドの上でPCを眺めながらうだうだと過ごす。

 ホテルから玉名駅までは2kmちょっと、雨が降っているのでホテルでバイクを畳んでタクシーで駅に行くことも考えたが、やはりもう一度近場を見て回りたいので当初の予定通り肥後伊倉駅まで自走で行くことにする。今日のフライトは14:45なので余裕を見て10:30位に肥後伊倉の駅に着ける様に行動することにした。8時を過ぎてようやくベッドから起き上がりもそもそと帰り支度を始める。

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 9時にホテルをチェックアウト。風呂は良かったけれど部屋の割には料金はちょっと高かったな。

 パラパラと雨が降る中、面倒臭いので雨具は着ずにバイクに跨りぼちぼちと走り始める。一旦繁根木に行ってそこから高校への通学路をトレースすることにする。当時そのままの風景を眺めながら緩々と高校に向かう。

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 高校の直ぐ手前の交差点に出た。ここから見る風景も当時と殆ど同じ。と言いつつ、左手前の銀行が記憶とちょっと違っている。

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 高校傍のスーパーは建物は残っているがどうやら閉店している様だ。当時はコンビニなどなかったのでここで良く買い食いをしていたなあ。

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 もう一度校舎を正門から眺める。正門の両側に部活や個人のスポーツや文化活動の成績優秀者の名前がたくさん掲示してあったがその中に吹奏楽部がなかったのはちょっと残念。まあ俺が在籍していた当時も県大会でせいぜい銀賞止まりで取り立てて成績優秀ではなかったのだが。そろそろ立ち去ろうかと思ったら数人の学生が正門から出てきた。男子も女子も制服は当時のままで妙に安心した。現代の関東ではもう殆ど見かけることはない制服だが改めてこれを見ると、関東の今風の制服が何となく子供っぽく見えてしまう。

 高校を離れて別の場所に行こうかと思ったが、急に雨が強くなってきたので最短距離で自宅方面に向かうことにした。

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 メインの通り沿いにある玉名市文化センター。ここで吹奏楽部の練習をしたり、図書館の貸しレコードを借りて家でカセットテープに録音していたりしたなあ。

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 玉名市街を抜けて菊池川を渡る。このまま直進して寄り道せずに肥後伊倉駅に行こうかと思ったが、もう一度自宅のあった場所を見ておきたかったので左折してそこに向かう。

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 自宅の前まで来るとやはり何もなかった。改めて寂寥感が滲み出てくる。

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 そのまま中学校への通勤路を走る。自宅前からいきなりの登り坂だが、きつさの体感は当時と同じ気がする。毎日結構なヒルクライムの練習をしていたわけか。

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 一旦中学校を通り過ぎて学校の裏手辺りのこじんまりとした商店街の様な場所に来てみた。もう殆どの店が閉まっているような感じでひっそりと静まり返っている。ここも時の流れを感じる場所だ。

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 当時中学校の自転車繋がりの友達の親戚がやっていた自転車屋さん。今はバイクだけになっているみたいだ。

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 中学校に戻り裏門から眺める。この風景も変わらないまま。でも当時の不良が構内を闊歩していた様な野蛮な校風が改められて今は良い学校になっていることを願いつつその場を後にする。

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 10時半前に肥後伊倉駅に戻って来た。当初は天気が良ければ玉名から自走で熊本市内に行って当時自転車で行っていた熊本市内のサイクルショップを訪ねてみるというオプショナルツアーを考えていたのだが残念ながら断念。ぼちぼちバイクパッキングをする。

 バイクパッキングが終わった頃には雨は上がった。でも近くでは雷鳴が聞こえて何とも不思議なシチュエーションの中でしばし途方に暮れる。

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 後20分程で玉名を離れようかという頃になってやっと青空がちょっとだけ出てきた。矢野顕子の春先小紅はこの風景の中にある桜の木が満開になった時の記憶と結び付いている。当時この場所で実際にあの曲を聴いたことはない。何故この場所なのかは自分でも良く分からないのだがあの曲を聴くとまず最初に思い浮かぶのがこの場所なのだ。またいつかここの桜を眺めながらあの曲を聴くことはあるのだろうか。

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 ぼちぼち電車が来るのでホームに出た。

 ほんの短い時間だったが、しょうもない大人になって姑息にこそこそと生きているこんな俺でも溌溂として青春を謳歌していた時代が間違いなくあったことが再確認できて良かった。来て良かった。

 冷静に考えてみれば、重要なことは当時超える何がを作り出せたかどうかではなく感性とか情熱そのものを今も持ち続けられるかということなんだよな。でも絶対に取り戻せないものは薄汚く姑息なものに染まる前の魂。こればかりは一度染まるともう二度と元には戻せない。この事実に直面したというのが今回の遠征の肝かな。

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 11:08発の熊本行きに乗車。さらば玉名、またいつか。

 通常の遠征ならばイベントが終われば大抵とっとと家に帰りたいのだが、今回はそんな感じではない。かと言って玉名にいたいかと言うとそうでもない。名残惜しさが全くないと言えば嘘になるが、今の玉名は俺の居場所ではないことは分かっている。俺は一体どこにいたいのか、どこにいるべきなのか、どこに行きたいのかが良く分からない。の居場所を見失った感じ。時空の狭間に落ちたか。

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 11:30過ぎに熊本駅に到着。新しい熊本駅を見ると現実世界に引き戻された気がする。

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 熊本は再び雨が降り始めていた。風も結構強く荒れ気味の天気だ。駅前のバス乗り場に向かう。

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 11:40発の空港行きのバスに乗車。一昨日到着した時と違ってガラガラに空いていたので余裕で座ることができた。

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 バスの窓から熊本城が一瞬見えた。先の大地震で崩れて修復中の熊本城を見たかったが今回はその時間は取れなかった。高校の頃に玉名から自転車を走らせて時々訪れていたバイクショップは熊本城の割と近く。熊本市街にも色々と思い出はある。まあ熊本市街にはまた来る機会はあるのではないか。

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 12:35に熊本空港に到着。まずはバイクケースの預け入れ。ANA手荷物カウンターで手続きをした後自分で近くの保安検査機まで持っていてそこで預けるシステムだ。それ程混んでいなかったのですんなりと預け入れることができた。

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  フライトまで2時間近くあるので空港の外をちょっと歩いてみる。雨は止んだが風が非常に強い。これで飛行機が飛ぶのかちょっと心配になる。

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 御腹が空いたので、空港内のレストラン街で駄目押しのラーメン。今回の熊本滞在で飲酒以外の食事は全てラーメンだった。旨いのだが玉名で食べたラーメンとは明らかに違う。熊本ラーメンと玉名ラーメンは別物というのが改めて分かった。(関東で本物と自称する熊本ラーメンの店が2軒があるがいずれもここのラーメンとは異なっている。正直本物が何なのか良く分かっていない)

 玉名ラーメンはどちらかというと長浜ラーメン、久留米ラーメンに近いと思う。位置関係からすれば確かに納得できる。

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 搭乗口で待っている間に晴れ間が出てきたが風がどんどん強くなってきた爆風になっている。実際この空港に着陸できない便があってその飛行機を使った便が欠航になるという事態が発生している。幸い搭乗予定の便は着陸できた様で結構になることはなさそうだ。でも着陸できない程の風邪で無事に離陸できるのか?

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 定刻を若干過ぎているが取り敢えず登場開始、機上の人となる。

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 予定より10分遅れで離陸の見込み。さらば熊本、またいずれ。

 離陸直後から物凄い揺れ。今まで乗った飛行機の中で一番の揺れ具合かも知れない。正直生きた心地がしなかった。

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 16:35に無事に羽田空港に着陸。飛行機から無事に降りられて本当に良かった。

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 羽田空港の非常に長い出口への通路を歩いているといつも都会に戻ってきてしまったという気になって、ここまでの旅情がリセットされた様な気になる。

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 それ程間を置かずに輪行袋が出てきたが、何やら袋の中でホイールが固定されてなくて動いている様だ。あの飛行機の激しい揺れで固定用のストラップが切れたか。バイクの状態が非常に心配だ。

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 飛行機が遅れたので狙っていた時間のリムジンバスに乗れないかと思ったが何とか間に合った。17:05発の所沢行きのリムジンバスに無事乗車。首都高は多少渋滞していたが、平日の通勤時間帯に都心の電車に乗ることを考えれば全く問題はない。

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 19:00過ぎに所沢駅に到着。ここで輪行解除して自走で自宅に向かう。取り敢えずバイクを組み立ててみたが特段壊れている個所は見つからない。乗ってみたら問題なく走ったので一安心。

 4km弱の道程をのんびり走って19:40に自宅着。これにて初の熊本遠征は無事に終了した。

 

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 今回の熊本遠征、本来の主旨が飛んでしまったのは事前の予想通りと言えばその通りだが、本題のブルベの印象はそれなりに残ってはいるし総じて好印象だった。今回のコースは人里離れた田舎道というのは少なく、そこそこの生活圏の中の幹線道路が多かった様な記憶がある。それでも交通量や信号は関東圏を走り慣れた身としては全体的にかなり走り易かったのではないだろうか。そこそこアップダウンがあって獲得標高もそれなりの数字だが、明確な山越えは2回で比較的登り易い道だったしアップダウンもおとなしいものだったのでメリハリのあるコースだと思う。ブルベシーズンの序盤で脚慣らし的に走るには丁度良いコースだと思う。私的には九州の空気を十分に堪能できたので更に楽しめた。天気がいまいちだったのは残念だったが機会があれば是非また走りたいと思う。

 さて、これで初のR熊本さんのブルベを完走することができたので、残る未完走団体はAR四国さんとAJ長崎さんの2つとなった。今月中旬のAR四国さんのブルベには既にエントリー済みだし、7月のAJ長崎さんのブルベにもエントリーしようと画策中なので、今年中の日本の全団体のブルベエントリーの目途が立った。何とか首尾良く全完走をやり遂げたいところだ。

 

 次回ブルベはR東京さんのBRM208東京200 ぐるっと三浦半島。コース的には大半が走ったことのある所なのでどうということはないのだが、昨日から突如襲来した大寒波で当日は相当寒い見込みなのが不安材料。取り敢えず無事にスタートを切れるかどうかが焦点となる。次回詳報の予定。