Venova & EWI USB

 気が付けば7月も終わり。ブルベのないサイクリングシーズンが早3か月過ぎ去ったが、自転車通勤と近場の多摩湖CRばかりだが何だかんだでそこそこ乗れている。梅雨と言うより雨季と言うべき長雨がずっと続いていて距離稼ぎのために雨天ライドが凄く増えた。ブルベではないのにこれだけ雨の中を走ったのは今まで有り得ない。7月の最終日のニュースでは今月の日照時間が戦後最短だったそうだ。

 巷では新型コロナの感染者が全国的に確実に増えて第2波の襲来が最早疑い様のないところまで明確になっているのに政府はGo Toキャンペーンを前倒しするという愚策に走ってしまった。連日の感染者増の報道で当然消費者マインドは冷えたままで大して旅行者が増えるわけもなく、防疫対策もほぼ無策の放置状態で結局感染拡大も経済被害拡大も食い止められないという悪循環に陥ってしまっている。政府与党は無理矢理国会を閉じてしまい完全に沈黙、政府は機能不全に陥ったままだ。AJは9月からの活動再開を公式アナウンスしたものの、今の状況が続けば8月に入ってなお感染拡大が続き結局緊急事態宣言の再発動が避けられない事態まで状況が悪化する可能性は低くなく、そうなれば今シーズンのブルベ再開は断念せざるを得ない。政府がやるべきことをやった結果であればまだ納得できるが、失政に次ぐ失政を重ねた結果が今であり非常に腹立たしいというのが正直なところだ。まあコロナ禍については個人レベルでどうにかなるものではないので程々に事態を注視しつつも後は流れに任せつつ相変わらず御気楽に日々を過ごしている。

 

 ブルベのために費やす必要のない時間はそのまま音楽に振り向けられる日々が続いている。そんな折、いい加減にサックスを少し位は吹ける様にならないと拙いだろうと思い至り、何かしらテコ入れをしようと思い立った。基本は家で練習するきっかけを掴みたいということだが如何せんサックスは指使いが難しいし音が大きいので全く練習しようという気にならない。音が小さければ良いのかとヤマハのウインドシンセを買ってみたがこれも指使いが上手くこなせず長続きしなかった。今までS.Sax、A.Sax、WX11、WX7、WX5と手に入れてきたがどれ一つとしてモノにできていない。このままだと一生サックスを吹けずに終わりそうだがそれを何とかこの辺りで食い止めたいところだ。そこで以前から目を付けていたヤマハのVenovaという新しい楽器を試してみようと考えた。相変わらず先ずは道具から入る性格丸出しだが上手く嵌まれば練習し続けられるので自分の性質には逆らわず兎に角試してみようと、取り敢えずyoutubeでVenovaの演奏例を幾つも見てみたが単なるおもちゃではなくちゃんと音楽として成立する程のクオリティはある様だ。ならばもう実際に自分で試してみるしかない。値段的に1万円を切るものでそんなにハードルは高くない。ネットを徘徊してハードオフで適価の中古品を見つけて購入した。

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 これがVenova。ヤマハが開発したサックスを模して簡単にした様な楽器でリコーダーと同じ指使いでキーも少ない。マウスピース自体はソプラノサックスと全く同じものだから口はサックスそのものの練習になるし指はキーが少ないので取り合えずそれで幾つか曲が吹ける様になればそれをそのままA.Saxに移行しようという目論見だ。

 早速吹いてみた。が、音が全然出ない。プラスチックのリードが硬くて相当強く吹かないと上手く鳴らない。息をたくさん吹き込まなければならないので音が出ると当然大きな音になるのだがこれが想像を遥かに超える音量で驚いた。見た目は華奢で小学校の頃に使っていたリコーダー程度を想像していたのだが、まるで爆音である。この音量だと夜に練習するのは憚られる様に思う。更に音程を保つのがかなり難儀。指使いに行く前にまず普通にマウスピースを鳴らすだけで大変だ。これでは普通のサックスと同じではないか。
 何とか3日程頑張って吹いてみたがこりゃ駄目だという感じですっかり意欲が減退してしまった。残念ながらVenovaはサックスの代わりに練習できる目途は立たなかったと早々に諦めた。手元に置いておいてもこの先また使おうという気には多分ならないと思われるので恐らく近日中にオークションに出すことになるだろう。

 Venova導入作戦はあっけなく失敗に終わった。やはりサックスには辿り着けないのかと意気消沈していたらふと悪魔の囁きが聞こえた。「EWIはどうだろうか?」と。昔からEWIは気になっていたのだが、まずリードがなくてそれこそサックスとは別物だと敢えて目を背け続けていた。あくまでサックスを吹きたい人間にとっては邪道だという考えが支配的だった。しかしここに来て万策尽きた感がありありで、いよいよ邪道に手を出しても良いのではなかろうかという考えが頭をもたげてきた。ネットを徘徊していたらメルカリでそこそこの値段の中古を見つけてしまい勢いで買ってしまった。

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 これがEWI USB。上位機種の様に音源ユニットは付いておらず、コントローラのみ。USBケーブルでPCに接続してソフトウェア音源を鳴らす仕組みだ。ネットで使い方を調べてARIAという専用のソフトウェア音源をダウンロードして早速鳴らしてみたらあっさり音が出た。リコーダーの様な吹き心地で簡単に音が出るし息の吹き込み具合で素直に強弱が付けられる。キーは可動式のメカニカルキーではなくタッチセンサーなので軽いタッチで押さえられるので扱い易い。ちょっと練習していたら取り敢えず音階をオクターブ移動しながら吹ける様になった。専用音源の音もソフトウェア音源と全く期待していなかったがそれを裏切る程になかなか良い音で鳴っている。おー、これはなかなか良いかも知れない。取り敢えず数日間は毎日触る程に興味が持続しているのは良い兆候だ。使いながらARIAのシンセの音に物足りなさを感じてきた。EWIと言えば私的にはMichael BreckerやSquareの音を出したいと思うのだがそれとはかなりかけ離れている。ネットで色々と調べていると多くのEWI USBのユーザーはARIAではなくIFWという別の音源を使っていることが判明した。早速ネットの情報を頼りにIFWをダウンロードして来て音を鳴らせる様にセットアップした。

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 Minihostというソフトウェアを使ってIFWを鳴らすというやり方だがあっさりと音が出た。音色を色々と試してるとSquareっぽい音が幾つも出てきてちょっと感動した。こうなると早速曲を吹いてみたくなって来た。Squareの音が出たのなら先ずは”あの曲”が頭に浮かんだのでyoutubeで音取りをしながらたどたどしく練習し始めた。ここまで来るとなかなか楽しくなってきて毎日少しずつメロディーを練習し続け今に至っている。取り敢えず新しい楽器を導入して第一関門は突破したという感じだろうか。この楽器を使って以前からやりたいと思っていたある試みを実際にやってみようかという意欲が出てきたので取り敢えずそこに向かって練習していこうかと思っている。

 

 果たしてサックスまで辿り着くことができるだろうか?まずはEWIへの興味を消さない様にぼちぼち積み上げていこう。