[目次]
- 宿泊2/黒石温泉->PC9/傘松峠(24.6km/521.2km)
- PC9->PC10/キリストの墓(60.7km/85.3km/581.9km)
- PC10->ゴール/八戸駅(30.9km/116.2km/612.8km)
- ゴール後~帰宅まで
- 総括
宿泊2/黒石温泉->PC9/傘松峠(24.6km/521.2km)
10/2(金)、3:40に目が覚めた。予定よりかなり早いので二度寝しようかと思ったが目が冴えてしまって眠れそうにない。昨夜は22時前には眠りに落ちたので恐らく6時間位の睡眠は取れたのではないかと思う。このまますんなり動けそうだったので布団から起き上がり、昨日買ったパンを食べながら身支度を開始する。気温は10℃に満たない感じだったのでアームウォーマーとニーウォーマーを着ける。
寝静まった旅館をこっそりと出て出発準備。
今日のルートは黒石温泉を出発して十和田湖を経由して八戸駅にゴールする115.8km。
今日の山越えは2つ、序盤24km地点の1040mの八甲田山笠松峠と62km地点の十和田湖後の675mの秋田県境境越えで獲得標高差は約1800m。標高も距離も一昨日昨日に比べて半分なのでかなり気楽、今日の最高標高地点も序盤で終わらせてしまえるのもかなりの好材料だ。距離が短いので基本は補給休憩を入れずに一気にゴールを目指す。すんなりいけば午前中の内にゴールできると思う。
10/2の4:10にリスタート。
寝静まった温泉街を抜けて橋を渡る。
橋の上から月を見る。昨日ここに着いた時は東の空だったのに今朝は西の空に傾きかけている。空には星が出て雲は見えない。今日も快晴の様だ。
0.9m、コースに復帰、直進方向に進む。
コース復帰してから直ぐに登り基調になる。25km弱の長いヒルクライム開始。
10.0km、勾配がぐっときつくなり7%前後の坂が続く。時刻は5時前、東の空がかなり白んできた。
時折10%の坂が出て来る。この登りは距離が長いだけでなく勾配もそこそこキツイ。疲労感は殆ど感じないが昨日の後半で左膝に痛みが出始めたので負荷をかけ過ぎない様にそろりそろりと登って行く。
気温は恐らく一桁台後半だが、登りで身体が温まっているので寒さは感じない。むしろ爽やかで気持ちが良い。登りのコンディションとしては非常に良い。快晴の夜明けまでのこの時間帯は精神衛生的に物凄く良い。ブルベを走っていて良かったと思える貴重な時間だ。
13:4km、雪除けトンネルを抜ける。
14.7km、7%の真っすぐな坂は休むところが無くて視覚的にもなかなかのインパクトだが序盤で脚もフレッシュなので楽しい。早朝の清々しい空気の中で気分も上々だ。
15.3km、青森市に入った。右側に見えるのはこけしか?山頂までは10kmを切った。市境を過ぎたら一旦下りになった。折角上ったのに勿体無い。
17.0km、トイレがあったが素通り。
5時半現在の気温は8℃、体感的にはそれ程寒く感じない。風は右から吹いている様だが大して影響はない。
長い橋の上から見る山々はなかなかの眺望。凛とした冷たい空気と人気の全くない静かな高地の雰囲気は清々しい孤独感でとても良い。
17.2km、こんな高いところにこんなに長い橋を架けるのはなかなか凄い。車通りの全くない真っすぐな道を淡々と進む。
橋を渡り終えると再び登り開始。
19.1km、国道103号に合流して十和田湖方面に右折。PCまであと5.5km。
5%前後の坂が続く。勾配に適度なメリハリがあるので走り易い。
20.6km、酸ヶ湯温泉に入って来た。結構な車が止まっていて、早朝から人影も多い。ここは賑わっている様だ。
早朝から山歩きをしようという人が結構いる様だ。今日は天気も良くて最高のコンディションではないだろうか。
前方に噴煙らしきものが見える。硫黄の匂いがきつくなってきた。
21.3km、地獄沼を通過。蒸気が激しく立ち上っている。八甲田山も活火山なのか。
地獄沼直後の左カーブがなかなかの激坂。
朝日が出てきた。PCはもう直ぐ。
24.6km/521.2km地点のPC9に到着、チェックタイムは10/2の6:19。
長い長いヒルクライムを終えての達成感と最高の天気の下の冷たく澄んだ空気と美しい風景が最高のサイクリングシチュエーションを作ってくれている。こんなにも絶好のコンディションはそうそうない。気分最高。通過証明用の写真を撮り、しばし周囲の風景を眺めて出発する。
PC9->PC10/キリストの墓(60.7km/85.3km/581.9km)
次の目的地は60.7km先のPC10”キリストの墓”!?何故キリストの墓が日本にあるのか意味不明だが特に知りたいとも思わないのだが取り敢えずそこがPCに設定されている以上は行かねばならない。
笠松峠を過ぎると直ぐに下りが始まった。ここから先15km程の長い下りとなる。
5%前後の直線的な下りが続くが車通りが余りないのでそれ程緊張せずに下ることができる。十和田湖までは25km。
38.5km、あっという間に10km以上を駆け下りてきた。指切りグローブの指先が冷たくなってブレーキレバーを握り辛くなってきた。そろそろ下りはいいかな。
川沿いに降りて来て、ここまで森で遮られていた日差しがぱっと照り付けてきた。日差しが出て来ると急に眩しく暖かく感じる。
40.9km、ここを右折して橋を渡るとこのSR600コースのタイトルになっている奥入瀬渓谷に入っていく。 下り基調はここで終わり。
十和田湖まではあと14km。平坦基調をぼちぼち進む。
ひんやりとした渓谷沿いを走る。夏ならば絶好の避暑地といった風情だがこの季節だとちょっと涼し過ぎるか。
路面は左側の山からの滲み出しで路面がしっかり濡れている。この山の含水量は相当なものらしい。この渓谷の源と言ったところか。朝日が届かないのでまるで雨模様の天気の中を走っている様な錯覚に陥る。
微妙に登り基調だがほぼ平坦と言って構わないこの渓谷沿いは適度にワインディングして風景も良くサイクリングには最高のシチュエイションなのだが路面が悪いのが玉に瑕と言ったところ。恐らく山からの滲み出しが冬場に凍ってアスファルトが割れて傷んでしまうのだろう。
渓谷の沢が直ぐ傍で水の流れる音が爽やかに響く。これでもかという程に森林浴をする。
時々微妙なアップダウンが出て来る。脚があるうちはメリハリがあって楽しい。
もう少し季節が進むと紅葉の季節となってまた風景が違うのだろう。この渓谷に日差しが入って来る時間帯に走ると更に気持ち良さが増したかも知れないがまあ贅沢は言うまい。
49.0km、雲井の滝を通過。
距離的にそろそろ奥入瀬渓谷の道も終わりそうだ。
54.7km、十和田湖畔に出た。13.7kmの奥入瀬渓谷が終わって左折、十和田湖畔を走る。
穏やかな十和田湖畔を眺める。昨日は日暮れ前で寂しげな感じだったが、今日は爽やかな眺望を満喫。
58.6km、国道454号に乗り換えて五戸・迷ヶ平方面に左折。あっという間に十和田湖畔から離れる。
曲がり角にあった駐車場のトイレで用を足す。これでもうゴールまでトイレに寄る必要はないだろう。休憩なしで直ぐに出発する。
曲がった途端に登り開始。これが最後のヒルクライムとなるはず。事前の地図読みでは距離4.8km、平均勾配6%弱のイメージ的には定峰峠をちょっとだけ厳しくした感じか。
適度にワインディングした登りは確かに定峰の雰囲気に似ている。左膝が微妙に痛くなってきたものの脚は十分に残っているので楽しく登って行く。
所々で8%、7%の看板が出てきたり瞬間的に10%越えの急勾配が出てきたりとなかなかに登り応えのある坂だが私的にはこういう登り坂は好みなので楽しく登れるのがとても良い。
63.4km、あっという間に山頂に到達。秋田県に入ってそのまま下りに入る。これでこのSR600の最後の山越えが終了した。
長い下りを快調に下る。車通りもなく勾配もそれ程きつくなく見通しも良いのでノーブレーキでも安心して下れるのが非常に良い。
67.2km、再び青森県に入った。下りはまだまだ続く。
道路標識に八戸の文字が出てきた。八戸まではあと56km。
真っすぐな下りをノーブレーキで突っ切る。爽快!
76.6km、いきなり10%の登り返しが出てきた。1km弱の急坂がなかなかにキツイ。
おまけ的な丘を越えて再び下り基調。順調に距離を消化していく。
下り勾配が徐々に緩んできて人里に降りてきた。下りもそろそろ終わりか。
八戸まではあと42km、どんどんゴールが近付いてくる。
新郷村の中を通過。キリストの墓の案内が出てきた。PCはもう直ぐ。
85.3km/581.9km地点のPC10に到着、チェックタイムは10/2の9:15。
キリストの墓が何故ここにあるのか、この公園内のどこかに謎解きの解説文がきっと書いてあるのだろうが、それをわざわざ読みに行くのも馬鹿馬鹿しい気もするので、取り敢えず通過証明用の写真を撮って、気温が上がって暑いのでアームウォーマーとニーウォーマーを外して直ぐに出発する。
PC10->ゴール/八戸駅(30.9km/116.2km/612.8km)
さあ、後はゴールを目指すのみ。八戸駅までは30.9km、疲労感も殆どないのでこのまま一気に走り切るつもり。気温は18℃、日差しが強くて体感的にはもっと高い。
88.5km、新郷村の中心部を抜けていく。直進方向に進む。
90.3km、五戸市に入った。
ナビのバッテリーが切れたので止まって交換。現在時刻は9:30で残りは25km足らずだから11時にはゴールできるだろう。気持ち的にはかなり余裕がある。
道脇のリンゴ畑。赤く色付いたリンゴは収穫間近だろうか。
平坦な国道454号をひた走る。順調に距離を消化していく。
今日の走行距離が100kmに到達。大きな山を2つ越えての5時間42分は上出来。最終日まで疲労を溜めずに上手く走ってくることができた証左だろう。
100.6km、こんなところを国道4号が通っているのか。国道4号は遥かに長い道だということを今認識した。
五戸の街中に入って来た。この先の101.1km地点の交差点を三戸方面に右折。
103.4km、微妙な真っすぐな登り坂から八戸方面に左折。
徐々に風景が人里が連なる様になってきた。信号も車通りも増えて街が近付いていることを実感する。
105kmを過ぎてグリーンロードに入った。この広域農道は車通りが多くてスピードも速いという事前情報を聞いていたが、正にその通り。大型車の通行も多くてちょっと怖い。
アップダウンもあってなかなかにスリリングな道だ。車通りさえなければそこそこ楽しい道なのにちょっと残念。
112.4km、どうやらここでグリーンロードは終わり。道路標識には地名はないが右折方向に進む。
113.1km地点を左折して県道20号に乗った。だんだん道が太くなってきて交通量も増えてきた。いよいよ終わりが近い。
114.3km、国道454号に再合流して八戸市街方面に左折。ゴールまであと2km。
JR戦を越える陸橋をえっちらおっちら登る。左膝にはっきりとした痛みが出てきたがもうあと10分足らずでこの旅も終わりだ。長かった様な短かった様な、そこそこ心身共に余裕を持ってゴールできそうな感じで名残惜しさが結構ある。もうちょっとだけ余計に走りたい気もするが先ずは最後まで確実に走り終えたい。
115.8km、国道454号を離れて右折、駅へ向かう。いよいよファイナルアプローチ。
ここを左折すれば駅だ。つい10日前にアタック八戸のゴールで見た風景と全く同じ。正にデジャヴだ。
八戸駅に無事に戻って来た。
116.2km/612.8km地点のゴールに到着、ゴールタイムは10/2の10:43、完走時間は53時間43分だった。
ゴール後~帰宅まで
さあ、家に帰ろう。ゆっくり完走の余韻に浸る間もなく、間髪入れずに行動開始する。
先ずは八戸駅の中二階のコインロッカーに2日前に預けた荷物を取り出す。
すかさずバイクパッキングを開始。
20分程でバイクパッキング完了。そのまま切符売り場に行って新幹線の切符を買う。
改札をくぐる前に昨日もらったクーポンを使って駅弁を買いホームに降りた。
一番高い駅弁は先週のアタック八戸で既に食べていたので二番目に高い駅弁にした。
12:16発の新幹線なのでまだ十分に時間があるのでホームで弁当を食べることにした。随分と大きく重い弁当だなと思ったら加熱剤が入っていて食べる前に温めるタイプの弁当だったのだが、加熱剤が不発で全然温まらなかったのでがっかり。無理矢理破いて強制過熱してやろうかとも思ったがここで火傷でもしたら馬鹿馬鹿しいので止めた。
冷たくてもまずまず美味しかったのでまあ良かったということにしておこう。
定刻通り到着のはやぶさ22号に乗車。
新幹線は思いの外混んでいて乗車率は5割位。輪行袋を手元に置くことはできず止むを得ずデッキに置いた。
新幹線のデッキに輪行袋を置く時、車掌さんに一声かけておくと、各停車駅でどちら側のドアが開くか教えてくれるので助かる。ちなみに八戸から大宮までだと盛岡は右でその後は全て左なので移動は1回だけ。
席に座ってようやく落ち着いた。首尾良く完走を果たした達成感と安堵感がじわじわと湧いてきた。スマーフォンでツイッターを見ながら走行中に応援メッセージを送ってくれた人達に返事などを書きながらのんびりと寛ぐ。
14時半過ぎに大宮駅に到着。ここから埼京線、武蔵野線と乗り継ぐ。
15時半過ぎに新秋津駅に到着。ここで輪行解除して自宅まで自走。再びバイクに乗ると左膝が結構痛い。もう慌てる必要は全くないのでゆっくりゆっくりペダルを回して16:15に自宅に到着。これにてSR600奥入瀬遠征は無事終了した。
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総括
コロナ禍の影響で今年は駄目かと思っていたSR600を何とか走ることができて先ずは良かった。SR600を2泊3日で走ろうと思うと最低でも前泊、場所によっては後泊も必要となるので週末だけでは収まらずスケジュール調整が難しい。今回は上手い具合に有給休暇を週中に持ってくることができたので平日だけの走行プランを組むことができ、ブルベ自粛明けの過密スケジュールの合間を縫って予定を入れる事ができた。
さて、奥入瀬の感想だが事前の情報通り確かに仮眠宿と補給ポイントの選択肢が非常に少なかった。走行プランを組み立てる段階で先ず苦労するコースではないかと言える。ルートを大きく外れない場所に宿を見つけようとすると、ブルベで多用しているビジネスホテルの類はまず見つからない。小さな旅館や民宿は大手旅行サイトではそれ程掲載されておらず、また最終チェックイン時間が早い所が殆どなので到着時間が読み辛いサイクリング移動だと使い辛いということもある。仮眠宿の設定には苦労したが最終的には268.8km地点と496.6km地点に見つけることができた。一日目の268.8kmの移動はかなり厳しく宿の最終チェックイン時間の22時に間に合うかどうか微妙だったか、獲得標高差の割には高い山もなく穏やかな登りばかりで、後は信号が殆どないので巡航速度を高く設定しなくても移動時間が計算できるという好条件であることが分かった。当初は5時スタートで17時間移動を見積もっていたが結果的には15時間40分となった。移動距離的には初日さえクリアできれば2日目は227.8km、3日目は116.2kmとハードルはぐっと下がるので余裕を持って走ることができるだろう。
補給ポイントもなかなか難しい。行程上にコンビニは殆どない。極たまに通過する小さな集落内の個人商店が数軒あったが時間によっては営業しておらずまたトイレも無いので非常に使い辛い。一方、飲料の自販機と公衆トイレは思った以上に見かけた。補給食を携帯しておいて飲料は自販機、トイレは見かけたら済ませるということを心掛けていればそれ程苦労せずに済むのではないかと思われる。
山岳だが、仮眠宿の設定最優先で走行プランを組み立てた結果として標高1500m八幡平が2日目の序盤、1000mの八甲田山が3日目の序盤に配置されたのは非常に良かった。リスタート直後で心身共にフレッシュな状態でその日の最難関をクリアしてしまえるのは走行プラン的に非常にメリットがある。今回それが見事に嵌まったのは本当に良かった。山岳の難易度という意味ではやはり八幡平の登りが一番ハードだろう。途中で休憩できる場所があるので小刻みに行けば攻略できる。あと私的に厳しいと思ったのは402.4km(Qno.47)から県境までの15km程のアップダウン区間が想定外にきつかった。短いが10%を越える激坂が連発する鋸の歯の様なアップダウンが全く頭に入っていなかったので凄くきつく感じた。ここは予め覚悟しておいた方が良いと思う。
気候的には今回は9月末から10月頭の走行となったが最低気温は一桁台まで落ちたので人によっては冬装備は必携だと思う。今回は幸い雨は降られなかったが、もし雨で八幡平を越えることになるとこの季節だとかなり辛いことになるのではと思う。無難に走ろうと思ったら9月までに走っておくのが良いかと思われる。
総じてこのコースは全体的に交通量も信号も非常に少なく、若干の工事区間を除けば路面が悪い所は殆どなく非常に走り易い道の連続で風景も良い所が沢山あってとても楽しかった。私的に今回は天候に恵まれたということもあって非常に好印象が残った。以前走った福島や紀伊山地も全体的には走り易い印象だがコース的に福島はPC11前のグラベル激坂区間、紀伊山地は那智勝浦本宮線の荒れた林道が玉に瑕的に非常に走り辛かったのがちょっとだけネガティブポイントとして残っている。それ程難易度の高くないSR600のコースとして私的に走った中では紀伊山地、福島、奥入瀬が挙げられるが、宿設定は難しいがコースがベストな奥入瀬を取るか、宿設定はやり易いが一部グラベル区間のある紀伊山地か福島を取るかという選択になるのではないかと思う。
さて、次のブルベは我がオダ埼清水班のBRM1010埼玉600㎞アタック二本松だ。私的に今年のSRを賭けた600kmブルベ一発勝負となるが、次回詳報の予定。