2020Fleche1018日本橋/Report1:スタート前日まで

 11月に入って一気に寒くなったが今日はちょっと暖かさが戻って来て、午前中は半袖ジャージにレーパンで気持ち良く多摩湖CRを4周回走って来た。平常時と同じ様にそこそこ踏んでみたが左膝は全く問題ない。もう間違いなく完治したと言って良いだろう。一時は長期化も覚悟したが大事に至らず本当に良かった。今年はこの後もまだブルベが何本か残っていて来週末は沖縄で600kmを走ることになっている。新型コロナウイルスがここに来て急に感染拡大の兆候を示し第3波の襲来が見えてきており、果たして来週末はどういう状況になっているのか不安ではあるが取り敢えずは行くことを前提に準備を進めていかなければならない。その前に溜めている走行レポートをできるだけ書き終えておきたいところ。

 そんなわけでフレッシュ日本橋2020の走行レポートは以下の通り。

 

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[目次]

事前準備

 去年、3度目のPBPを無事完走した。PBPを完走するとR5000やR10000のアワードが欲しくなってくる。R5000もR10000も過去に2度手にしているのでもういいかという気もするのだが、せっかくPBPを完走してその他の必須条件もほぼ揃っているとやはり取れるものなら取っておきたいという流れになってくる。そこで私の前に立ちはだかるのがFlecheの完走認定である。

 正直に言うとFlecheはできれば避けたいブルベだ。まず走り出すまでの準備が大変。コースを考えメンバーを集めてスタートまでの段取りを整えるのにそれなりの労力を使う。そしてチームでまとまって完走するというのがまた大変。自分一人ならば速度や休憩のタイミングなど全て自分の制御下におけるが、5人のそれぞれ違う走り方を擦り合わせるのが案外難しい。休憩する人しない人、ちゃんとした食事をする人しない人、寝る人寝ない人など実際に一緒に走ってみると結構違うことが分かる。あと、当然ながら自分以外のトラブルも覚悟しておかなければならない。単純にリスクの発生確率が5倍になるということだ。チームでまとまって完走しなければならないルールとはそういうことだ。更にFleche固有のレギュレーションが結構大変だ。まずきっかり24時間に納めなければならないこと。Flecheの最低距離である360kmを例えば20時間でゴールして終わりということにはならない。これが結構きつい。私的には24時間なら寝なくても何とかならなくはないが徹夜というのは正直心身共に堪える年齢になっている。それと22時間目ポイントというのが必要でそこからゴールまでの2時間で必ず25km以上走らなければならないという特殊ルールがある。これは、どんなに時間的なマージンを稼いでも22時間目ポイントでそれが全てリセットされるということだ。2時間で25kmなら楽勝じゃないかという見方もあるが、この区間で何らかのトラブルが発生すればあっという間にシビアな状況に追い込まれるのだ。この24時間ジャストと22時間目ポイント&25km移動というルールの下で5人(最低3人)まとまって走ってゴールしないと完走認定が得られないというのは相当にハードルが高い。

 大変なのは過去2回Flecheを走った経験からある程度は理解しているが、とにかく走らなければ認定は得られないのでまずは出走する前提でリサーチを開始。過去2回は知り合いのチームに誘ってもらったので、今回は自分でチームを作ってみようかと思い立った。まずはどこのFlecheを走るかを決めなければならない。2020年のFlecheはR東京さん、AR日本橋さん、R熊本さんの3団体だが、近場に在住している人達でチームを作るとすればR東京さんかAR日本橋さんの二択。次にそれぞれの団体のナイスプレイスがどこかと考えるとR東京さんは石和で日本橋さんは日本橋だ。石和は周囲は山でどうやっても最後は登りゴールにならざるを得ない。私的には極力楽なコースを作りたく極力登りは排除したいので最終的には消去法でAR日本橋さんとなった(実はこの時点で東京都内の信号峠を余り深く考えていなかった)。

 ナイスプレイスが日本橋に決定したところでスタート地点の選定だが、距離はルール下限値の360kmで山は少なく基本ワンウェイで戻って来なければならないので交通の便が極力良くて前泊し易いところを漠然とイメージしたらまず思い付いたのは郡山だった。郡山駅前をスタート地点に設定して、我がオダ埼清水班の定番コースであるアタック磐梯山の一部ルートをイメージして猪苗代湖を回って入間まで南下して入間から東京都内に入るというルートを大雑把に引いてみたらまるで計った様に360kmに近いルートになった。若干短かったのでPCの場所を調整しながら距離が360kmをちょっと超える様に作り込んでいって上手い具合にルートを引くことができた。

 ルートができたら次はメンバー集め。基本は我がオダ埼清水班のスタッフや常連さんから声をかけてみようと始めたらカワダさん、クロサワさん、シムラさん、モリタさんが集まって来た。申し分ないメンバーが揃ってこれはかなり行けそうな手応えを感じつつ去年の年末に早速エントリーを行った。オフィシャルのコース精査で一度駄目出しを受けたものの指摘点を修正して再提出、2月半ばに最終的にコースがOKとなり無事にエントリーが受理されることとなった。

 確定ルートはこちら。

 距離合わせで郡山の駅前から若干離れた場所のコンビニをスタートし、猪苗代湖を北側から反時計回りに半周し白河、那珂川、真岡、加須、鴻巣、入間を経由し新青梅街道から都内に侵入し日本橋にゴールする360.1km。距離的マージンは0だから22時間目にPC7に辿り着けなければ即アウトだ。まあ少なくともコースがオフィシャルに承認された以上、コース通りに走れれば問題ないということだ。獲得標高は2800mとそこそこの数字になったが、大方の登りは走ったことがあって酷い激坂はなく、スタート地点の郡山は標高250mの位置にあるので物凄く大雑把な言い方をすれば全体的には下り基調のコースということになる。

 新型コロナウイルスの感染拡大が色濃くなってきた3月にクロサワさんの目の調子が思わしくなく残念ながら出走見送りとなり、代替メンバーとしてミノさんが参加ということになりメンバーチェンジの申請をオフィシャルに行った。そうこうするうちにコロナ過が決定的となりAJが全てのブルベの自粛を決定、9月末までの活動完全停止ということになりFlecheも10/18に延期となってしまった。

 9月下旬になってAJの自粛解除が確実となりFlecheも延期日程通りに実施される見込みとなったが、残念ながらミノさんが所用で参加できなくなってしまった。メンバー変更の期限が後3日と迫る中で代替メンバーを身の回りで探したが見つからず、止む無く駄目元でツイッター上で一般公募をしつつ4人で走る覚悟をしていた。メンバー入れ替えの締め切り期限の前日になってツイッター上でじょいさんという方から反応があってちょっと驚いた。早速コンタクトを取り手短に情報交換をしたところめでたく参加頂くことになった。即日でオフィシャルにメンバー変更の申請をし無事に受理され、メンバー変更期限のギリギリ滑り込みセーフで5人揃うことができた。じょいさんはR宮城のスタッフとのことで、ツイッター上のやり取りを見ていると私の知り合いともかなりの数で繋がっている様なので、初対面ということではあるが御近所さんだったということだろう。

 10月に入って郡山の前泊の宿を予約したり前日移動のレンタカーを予約したりと最終準備を行う中、10/13になってシムラさんが自転車通勤中にケガを負ってしまい出走が危ぶまれる事態が発生。こればかりはどうしようもないので取り敢えず推移を見守ることに。

 やはりFlecheはスタート地点に立つまでが本当に大変だということが今回も明確になった。まあ、なる様にしかならないので今更あがいてもどうにもならない。色々と覚悟を決めて郡山への移動前日を迎えることとなった。

スタート前日

 10/16(金)9時過ぎ、そろそろレンタカーの受け取りに行こうと思った矢先にシムラさんから連絡が入り怪我の具合が思わしくなくDNSとのこと。これで4人スタートが確定、残念だがこればかりは致し方なし。気持ちを切り替えてレンタカーを受け取りに所沢駅前まで徒歩で向かう。

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 所沢駅近くのレンタカー店でレンタカーの受け取り。事前予約で損壊等の保険を着けていたが、受付時に「更に免責フリーの保険を付けませんか?550円ですが」と勧められ、こういうデカい車は運転し慣れていないので素直に保険を付けた(これが後々重要な意味を持ってくる)。

 レンタカーを無事に受け取って一旦自宅に戻る。家の周りは狭い路地ばかりなので慎重に車を取り回して無事に家に到着、バイクその他を積み込んで、先ずはモリタさんをピックアップするために入間豊水橋に向かう。

 12時半前に入間豊水橋に到着するとシムラさんの出迎えを受ける。見た目には元気そうだがまあ腕の肉離れということなので24時間バイクで走り続けるのは無理というものだ。シムラさんと会話する中で、モリタさんが今回のFlecheでゴールまで行けないという事実を知って驚いた。以前モリタさんから業務命令で東京都内への往来禁止が出ているという話は聞いていたのだが最終的に現在も結局解除されなかったということらしい。もしじょいさんの参加が無くカワダさんとモリタさんと私だけの3人の出走だったとしたら既にスタートの段階でDNFが確定してしまうことになり、そのことが事前に分かってしまっていたら私としては走る意味をほぼ完全に失うこととなり独断で申し訳ないのだがこのFlecheはチームごとDNSさせてもらうことになっていただろう。そう考えるとじょいさんの締め切り間際の一般公募からの滑り込み参加は極めて重大な命綱だったということになる。改めてこの展開の妙を感慨深く振り返る。

 そうこうするうちにモリタさんがやって来た。バイクを積み込んでシムラさんの見送りを受けつつ入間を出発する。カメラと泥除けを忘れたことに気が付いて一旦自宅に戻る。家の直ぐ傍まで来て後数10mというところのせまい曲がり角でガリガリ!という戦慄の擦り音が後ろから聞こえてきた。あーっ最後の最後でやってしまった。さっきは上手く曲がれたのにと家に着いて車を確認したら右後輪のタイヤハウスの横に見事に大きな擦り傷を付けてしまった。忘れ物をしなければこんなことにならなかったのにと色々と激しく落胆しながら我が家を再出発、今度は南下してカワダさんのピックアップに向かう。

 国分寺の端辺りのカワダさんの自宅で無事にカワダさんもピックアップ、そのまま15時過ぎに国立付中インターから中央道に乗り、八王子で圏央道経由で東北道に乗って郡山を目指す。

 郡山インターを18時半前に降りて下道で郡山駅東口のレンタカー店を目指す。車を擦って店の人に小言を言われたり修理費を請求されるのを覚悟しつつ走る。

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 18:45、郡山駅東口近くのレンタカー店に無事到着。受付に恐る恐る行ったら、特に怒られもせず追加で付けた免責フリーの保険適用で修理費の請求もなく無事に無罪放免となった。ありがたい、550円に救われた!歳を取って自らの能力を過信せずに予防措置は極力講じておくことの大事さを改めて思い知った。

 バイクを降ろし、今日のホテルはレンタカー店と同じ並びで200m程の距離なので歩いて向かう。我々のホテルの前まで来た時、前から輪行袋を抱えた人がやって来た。もしや、と思ったらまさしくじょいさんだった。路上で唐突に初対面の挨拶を交わしつつ、取り敢えずこの後食事会で改めて合流することを確認しつつ一旦分かれてそれぞれのホテルに向かう。

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 我々の宿泊ホテルは郡山駅東口前のホテル・アルファーワン。アルファーワンは自転車を袋に入れれば部屋持ちこみ可なので簡易輪行袋に入れる。

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 19:20に取り敢えず部屋に入った。荷物を置いて直ぐにロビーに降りる。

 ホテルのロビーで4人合流して、取り敢えず郡山駅を目指す。歩き回る時間が勿体無いので駅中の手近なサイゼリヤを見つけて入る。

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 明日の感想の決意を込めつつノンアルコールで乾杯!

 じょいさんとは初対面とは思えない程の打ち解け振り、まあブルベ関係者という意味では既に仲間内なので当然と言えば当然か。食事をしつつひとしきり盛り上がった後は明日に備えて解散、ホテルに戻る。

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 部屋に戻ってシャワーを浴びてすっきりして、左膝に湿布薬を貼る。結局治癒せずに本番を迎えることになってしまった。まあこれは想定内だし、この状況下では少々膝が痛い位でDNSするという選択肢は当然ない。多少無理しても何とか明日は完走まで持っていくつもり。それにしてもここまで色々とあったが何とかスタートラインに立てそうな所まで漕ぎ着けることができた。ここまで関わって力を貸してくれた人達に感謝しつつベッドに横になる。明日は9時スタートなので、朝はゆっくりでよいのがありがたい。取り敢えずアラームを7時にセットして就寝。消灯時刻は23時前。