SR600Mt. Aso/Report 2:Day 1/スタート・肥後大津->椎葉(239.8km)

[目次]

スタートまで

 4/30(火)、5時前に目が覚めた。睡眠時間は十分ですんなりと布団から起き上がる。窓の外を見るとまだ薄暗いが雨は降っていない様だ。このまま雨無しでスタートできるかも知れないと思いつつウェアに着替える。気温は15℃近くある感じで寒さは感じないので半袖ジャージとレーパンだけで問題なし。昨日買ったパンを食べつつ準備をする。

 5時半過ぎにフロントに荷物を預けて一旦チェックアウトしてホテルの外に出てみたら雨が降り始めていた。結局雨スタートなのかとがっかり。まだぱらぱらとした小雨程度なのでレインウェアは着ずにスタート地点に向かう。

 スタート地点に到着、6時ジャストのレシートをゲットするためしばし待機。

 1日目は肥後大津をスタートしまず阿蘇に上ってそこから南下し五木村を経由して西に向かい宮崎県に入って椎葉村にゴールする239.8km。

 大きな峠越えは4つでうち3つは1000m級、何といっても200kmを超えてから最高標高地点となる1480mの椎葉越に上るというSR600阿蘇全体を通しての最難関が初日からやってくる。獲得標高も初日が一番大きく5000mを消化しなければならない。とにかく今日を走り切ることが重要だ。

 6時ジャストのレシートをゲットできた。これで準備は整った。あとは走り出すのみ。

スタート/PC1ローソン肥後大津駅南店->PC2/阿蘇駅(24.9km)

 6時過ぎにいざスタート、と思ったら雨が本降りになってしまった。結局こうなるのかと落胆しながら、寒くはないのでレインウェアは着ないまま走り始める。さあ2泊3日の始まりだ。気合を入れていこう。最初の目的地は24.9km先のPC2、標高500m位まで上ることになる。

 国道57号を西に向かって進む。走り始めてすぐに上り基調になる。雨は降っているが風は追い風基調なので完全な悪条件というわけではない。

 2.8km、ミルクロード入口交差点を通過。復路は左から来てゴールに向かうことになる。ここに戻ってくるのは明後日の昼過ぎかな。無事に戻って来たいところ。

 電光掲示板の気温は19℃。これなら濡れても寒くない気温だが、標高が上がってくるとどうなるか。

 勾配3%前後の緩くまっすぐな坂を淡々と上っていく。雨だけでなく霧が出てきた。

 11.9km、右手に石碑が見えたが周囲の風景が全く見えない。

 14.1km、この辺りで勾配が緩んだ感じ。1~2%の緩斜面を進む。

 国道57号は朝からそこそこ車通りが多い。平日の出勤時間帯ということか。

 道の駅阿蘇まであと1km。そこに阿蘇駅もあるはず。

 24.8km、阿蘇駅前交差点を左折すればPCだ。

 PCが見えた。

 24.9km地点のPC2に到着、チェックタイムは4/30の7:33。まずは最初のPCをクリアしてちょっとほっとした。

 駅前のワンピースのキャラクターの像も通過証明なので念のため写真を撮っておく。トイレに行って一息ついてすぐに出発する。

PC2->PC3/阿蘇山上広場(15.3km/40.2km)

 PCを出てさっき右から来た阿蘇駅前交差点を直進。次の目的地は15.3km先のPC3。阿蘇の山の上まで更に500m以上上ることになる。

 県道111号に乗って阿蘇の街中を抜けていく。街を抜けるとすぐに上り開始。

 5%を越えるまっすぐな坂が続く。

 29.8km、森を抜けて草千里に出た。

 この雨の中、牛がのんびりと草を食んでいる。天気が良ければこの風景は全く違ったものに見えただろうに返す返すも残念無念。

 昔、車で何度か草千里に来たことがあるがその時のイメージを何となく思い出した。天気は違うが赤牛の感じが当時のイメージのままで何となく懐かしい。

 勾配が7~8%になってなかなかにきつい。ダンシングを交えながらえっちらおっちら上っていく。

 上るうちに霧が出てきた。霧というよりは雲の中に入った感じだ。

 34.6km、県道298号との分岐を通過。直進して更に上っていく。

 火口まで3.5kmか、頂上が近くなってきた。

 37.3km、ピークに到達した様で下りに入っていく。

 37.8km、草千里駐車場の入口を通過して更に下っていく。周囲は真っ白で何も見えない。

 39.9km、再び上りになって熊本・高森方面への分岐を通過。一旦PCに向かって直進し折り返した後ここを右に進むことになる。PCはもう目前。

 40.2km地点のPC3に到着、チェックタイムは4/30の9:03。

 1100mを超える山頂は予想していた程寒くなかった。これならレインウェアを切る必要はない。まずは通過証明用の写真を撮ってから周囲を見渡してみる。天気が悪いので観光客は殆どいない。すぐ近くにバイクが2台停まっていたので同業者か?と思ったら軽装の外人が2人いて”写真をとってあげようか?”と話しかけられたけれど辞退してすぐに出発する。

PC3->PC4/グリーンロード南阿蘇(27.8km/68.0km)

 PCを出発して今来た道を引き返す。次の目的地は27.8km先のPC4だがその前に13.5km先に休憩ポイントを設定してあるのでまずはそこを目指す。

 40.6km、先程の分岐まで戻って熊本・高千穂・高森方面に左折する。ここから長い下りが始まる。

 路面が濡れている上に視界が悪いので全開で下れない。晴れていたらと思うとひたすらがっかりしつつ慎重に下っていく。

 43.2km、細くて長いトンネルを下り基調で抜けていく。

 標高が下がってきて雲を抜けた様で視界良好、雨も止んでかなり走り易くなった。更に下っていく。

 52.7km、熊本・大津方面に右折して国道325号に乗る。

 今下ってきた北の方を見上げると青空が見えている。雨雲は去ったということか。PCはもうすぐ。

 53.7km地点の休憩ポイント1に到着、チェックタイムは4/30の9:39。

 ここに辿り着いた途端に空は雲が切れて青空が出て来ておまけに日が差してきた。ようやく天気が回復して気持ち良く走れるのかと一気に気分が上向きになった。浸水したシューズを脱いで靴下を絞りつつ20分程の休憩の後出発する。

 休憩ポイントを出て県道39号を熊本方面に進む。改めてPCを目指す。残り距離は14.3km。

 向かう先の山の上は雲に覆われている。またあの中に突入することになるのか。

 56.7km、県道28号を超えて本格的に上り始める。2つ目の1000m級の峠越え開始か。PCは山頂なので11km位上ることになる。

 上るうちに雨がパラパラと落ちてきた。さっきの晴れ間は一体何だったのかという感じ。

 8%のまっすぐな上りが続く。車は全く走っていないので落ち着いて上ることができる。

 ずっと8%位の坂が続いている。休むところがあまりないのでこの上りはなかなかきつい。

 更に標高が上がると10%超えが出てきた。

 10%の坂が続く。まだ山頂までは3km位あるので大変だ。PC4ヒルクライムはかなり上り応えがある。

 まだまだ10%超えが続く。雲の中に入った様で視界が悪くなってきた。

 67.7km、西原村に入った。PC目前になってようやく勾配が緩んだ。

 67.9km、ピークに到達した様で下りに転じた。PCはもう目前。

 68.0km地点のPC4に到着、チェックタイムは4/30の11:21。何とか11kmのきつい坂を上り切ってほっと一息。通過証明の写真を撮ってすぐに出発する。

PC4->PC5/道の駅通潤橋(30.2km/98.2km)

 PCを出て下り始める。次の目的地は30.2km先のPC5。

 この下りも濡れた路面と雲の中の視界不良で全開で行けないのがちょっと辛い。上りのロスを取り戻せない。

 76.5km、下りを終えて吉無田高原方面に左折。

 78.0km、御船町に入った。再び上り開始。

 勾配は5%に満たない感じでさっきの坂に比べれば平地のように感じる。

 80kmを過ぎて下りに転じ、霧の中を慎重に下っていく。

 85.1km、下りを終えて突き当りを山都方面に左折して県道57号に乗る。曲がってすぐに上りになった。

 曲がってすぐに山都町に入った。

 5%前後の坂をぼちぼち上っていく。雨はともかく雲の中から早く出たいところ。

 88.7km、延岡、高千穂方面に左折して国道445号に乗る。曲がってすぐに下りになった。

 国道445号を延岡に向かって進む。国道に乗って車通りが出てきたがそれ程ストレスはない。

 90.7km、県道152号との分岐を過ぎて再び上り。

 92.9km、ピークを過ぎて下りになった。

 緩く下るうちに霧が消えて雨が上がった。これはありがたい。

 96.8km、山都町上寺交差点を延岡・高千穂方面に左折して国道218号に乗る。

 97.4km、山都町城平交差点を右折して国道218号を離脱。

 98.1km、山都町の街中の細い道を抜けて通潤橋方面に左折し県道180号に乗る。PCはもう目前。

 98.2km地点のPC5に到着、チェックタイムは4/30の12:46。

 昔九州にいた頃には通潤橋という名前は良く知っていたが実際に見るのはこれが初めてかも知れない。天気は悪いが結構な観光客で賑わっている。通過証明用の写真を撮って一息ついて出発する。

PC5->PC6/大通峠(56.2km/154.4km)

 PCを出発してすぐに右折して県道180号を離脱。次の目的地は56.2km先のPC6だがその前に18km先に休憩ポイントを設定してあるのでまずはそこを目指す。

 99.2km、突き当りを左折して再び南下開始。

 101.2km、松橋方面に左折して再び国道218号に乗る。

 国道218号を下り基調で進む。

 102.6km、再び上りが始まった。

 上っていく先の山にはまたしても雲がかかっている。

 104.7km、2km程上ってトンネルに到達。現在気温は18℃、半袖ジャージにレーパンでも多少濡れても大丈夫な体感なのはありがたい。

 トンネルを抜けて美里町に入った。再び雨がパラパラと降り出した。そのまま下りに入る。

 いくつかトンネルを抜けながら長い下りを進んでいく。

 112kmを過ぎて橋を渡ったところで再び上り。

 113.7km、ピークを通過して下りになった。休憩ポイントはもうすぐ。

 休憩ポイントが見えた。

 116.4km地点の休憩ポイント2に到着、チェックタイムは4/30の13:39。

 汗はそれ程掻いておらずトイレが近い感じなので水分補給は控えめでエネルギー補給はしっかり行う。休んでいるうちに雨量がちょっと増えてきた。15分程の休憩の後出発。

 休憩ポイントを出て再び国道218号に乗り改めてPC6を目指す。残り距離は38km。

 119.4km、氷川・泉方面に左折して国道443号に乗る。この氷川というのはもしかして氷川きよしの由来なのだろうか。

 123.4km、川沿いの平坦基調を進む。

 進むうちに徐々に上り基調になってきた。勾配は緩いまま。

 127.4km、ピークを越えて八代市に入った。

 川沿いの下り基調を順調に進んでいく。

 雨はパラついているが車のほとんど走っていない静かな道は走っていてなかなか楽しい。

 138.1km、下り基調が終わって東陽町南交差点を五木方面に左折して県道25号に乗る。

 県道25号に乗って再び上り基調、五木までは33km。

 勾配1~2%位の緩い勾配の川沿いの道をぼちぼち進んでいく。

 144.5km、この辺りから徐々に勾配が上がってきた。いよいよ大通峠へのヒルクライム開始か。ピークまでは8km、標高差700m位上ることになる。

 進むうちに勾配が5%前後になってきた。

 向かう先の山にはやはり雲がかかっている。

 九十九折の山道をあんなところまで上るのか。勾配が更に上がって7~8%、時たま10%を超える急坂が出てきた。この峠越えもかなり上り応えがある。

 標高が上がってくるにつれて徐々に霧が出てきた。

 152.6km、ループ橋が見えてきた。本格的に雲の中に入った様で視界がかなり悪い。

 7%位の勾配のループ橋を渡っていく。

 周囲の風景は全く見えない。晴れていたらさぞかし絶景なのだろうが想像するしかない。

 154.0km大通トンネルに入る。どうやらピークに到達したか。PCはこのトンネルを抜けたところ。

 PCが見えた。ほっと一息。

 154.4km地点のPC6に到着、チェックタイムは16:25。

 周囲を見回したが特に何もないので通過証明用の写真を撮ってすぐに出発する。

PC6->PC7/道の駅子守唄の里五木(14.4km/168.8km)

 PCを出発して南に向かって下り始める。次の目的地は14.4km先のPC7。

 視界が悪いので慎重に下っていく。

 158.3km、下ってきて突き当りを人吉温泉・頭地方面に左折。下りは更に続く。標高が下がって雲から抜けた様だ。

 川沿いの下り基調を順調に進む。

 165.8km、工事迂回で右折して橋を渡る。

 橋を渡って左折して川の右側を進む。

 なかなかにダイナミックな地形。川沿いの道は災害等で通行不能になると迂回が大変だ。

 下り基調が終わって微妙なアップダウンをこなしながら進んでいく。

 迂回指示の看板に従って左折して橋を渡る。

 橋の上から今来た道を振り返る。こういうところに道や送電鉄塔を立てるのはさぞかし大変だろう。

 167.4km、橋を渡り終えて再び県道25号に合流し右折、コース復帰する。

 再び川の左側を進んでいく。空には青空が見え始め当面雨の心配はなさそう。

 168.5km、川辺川を渡る。

 橋を渡り終えた直後を人吉方面に右折すれば直ぐにPC。後程PCで折り返してここを左に進むことになる。

 168.8km地点のPC7に到着、チェックタイムは4/30の16:59。

 ここは休憩ポイントも兼ねているのでジュースを買って携帯プロテインバーで補給する。再び浸水してしまったシューズを脱いで靴下を絞って不快感を解消する。

 トイレを済ませて20分程の休憩の後出発する。

PC7->PC8/椎葉越(39.4km/208.2km)

 PCを出て再び国道445号に乗り今来た道を戻り始める。次の目的地は39.4km地点のPC8、今日の最難関の峠越えとなる椎葉越。この時間から標高1400m超まで上るのは間違いなく夜になるので覚悟を決めておかなければならない。

 169.0km、先程左から来た交差点を直進する。

 

 170.2km、直進方向は通行止めなので美里・泉方面に左折して川を渡る。 

 橋を渡り終えて突き当りを右折。

 微妙なアップダウンをこなしつつ川の左側を進む。

 川にかかる橋は皆似た様な吊り橋。

 時たま工事信号に引っかかる。片側通行ができるから問題はないがこの先想定外の通行止め等があると迂回ができずにDNFになるリスクがあるのが不安材料。

 172.7km、橋を渡って左折して更に国道445号を進む。

 空には青空が出てきた。この時間になってようやく雨の心配がなくなったか。超級山岳で雨がないのは非常にありがたい。

 川辺川の右側を上流に向かって遡っていく。

 176.3km、左折して再び橋を渡り山都・美里方面に進んでいく。

 進むうちに上り基調になってきた。そろそろ峠道に入って来たか。

 182.9km、橋を渡って右側を走ったと思ったら直ぐにまた橋を渡って左側に移る。

 道が細くなって山道らしくなってきた。

 183.6km、また橋を渡る。川幅が狭くなって橋が短い。

 橋を渡ってすぐにダムを通過。

 185.3km、集落に入って道が広くなった。

 186.1km、集落の外れまで来ると再び道が狭くなった。

 188.0km、平家トンネルに入る。長さ758mは結構長い。

 一旦勾配が緩んでほぼ平坦基調を進む。峠道はまだ先だったか。

 190.6km、橋を渡って樅木・平家の里方面に左折して国道445号を離脱、県道159号に乗る。

 曲がってすぐに更に橋を渡って樅木方面に左折、更に県道159号を進む。

 進むうちにはっきりとした上り基調になった。こんどこそ峠道に入ったか。山頂までは17km。ドライバーのいないダンプカーが道脇に止まっているのがちょっと不気味。

 時刻は18:45、まだ明るいが直ぐに暗くなるだろう。薄暮が残るうちにどこまで上れるだろうか。

 人気のない山道に自販機がぽつんと置いてあるのは何やらちょっと不気味な感じがする。

 上り基調の緩いアップダウンをこなしながら県道159号を進んでいく。これ位の勾配でピークまで行けるのなら楽なのだがそんな甘いことにはならないだろう。

 いよいよ薄暮が消えてきた。暗くなってからが正念場。

 197.6km、鶴富屋敷・椎葉越方面に右方向に進む。ここから椎葉越への最終アプローチ開始か。ピークまでは11km、標高差も700m残っているのでまだまだ先は長い。

 薄暮が消えてあっという間に真っ暗になった細い山道を進んでいく。勾配が急にきつくなって8~10%の坂が続く。これで10kmはかなりしんどいぞ。

 道の半分が崩れ落ちた状態の場所がいきなり出て来てびっくりする。これはかなりハードな設定になっている。バランスを崩して落ちたりしない様に慎重に通過する。

 アスファルトの上に土砂が堆積した場所が出てきた。落車したりパンクしたりしない様に慎重に通過する。

 舗装部分が8割位崩れてなくなっている場所が出て来て更に驚く。右側に大きくはみ出せば車は辛うじて通れそうだが見た目にかなり怖い。こんな状態で通行止めにならないのが凄い。要するに迂回路がないということなのだろうが。アスファルトが残った部分を恐る恐る通過していく。

 200.4km、分岐を右折して更に上っていく。ここで時刻は19:35、通常のBRM200kmだとギリギリセーフという感じか。

 真っ暗で周囲の様子が全く分からない。時折横でガサガサという音が聞こえたり鹿の様な鳴き声が聴こえたりするのでいきなり動物が飛び出てきそうでちょっと怖い。

 勾配10%を超える急坂でこの土砂区間はきつい。落車しそうなので素直に降車して徒歩で進む。

 国道455号を逸れてから1時間半近くが経過。標高1000mを超えたがまだ400m位上らなければならない。7km/h前後の忍耐の走りが続く。

 相変わらず土砂区間が出て来る。ここでパンクをすると悲惨なことになるので押し歩く。この山道でのトラブルは絶対に避けなければならない。気の抜けない走りが続く。

 標高1300mを超えて雲の中に入った様で霧が出てきた。雨は降っていないがいよいよ悲壮感が増してきた。今日のメインイベントはやはり手ごわい。距離的にはPCまではあと1kmちょっとのはず。

 208.2km地点のPC8に到着。チェックタイムは4/30の20:53。

 何とかかんとか上り切った。国道455号を逸れてから、距離18km標高差900mの悪路ヒルクライムを2時間40分で攻略、これで今日のメインイベントは終了。周囲を見渡すと真っ暗な中に車のスモールライトが見えてびっくりした。こんな時間にここに車がいるとは思いもよらなかったが、向こうもこっちに気付いていたらびっくりするだろう。今の時間がほぼ21時だと今日の宿に着くのは23時頃になりそうで、最終チェックイン時間の22時にはどうやっても間に合いそうにない。ここでは携帯電話の電波が弱いので下ってから宿に電話を入れることにする。山頂は思った程寒くないので半袖ジャージのままで下ることにする。通過証明用の写真を撮って一息ついて出発する。

PC8->宿泊1/鶴富屋敷(31.6km/239.8km)

 再びバイクに跨って宮崎県側に下り始める。落車のリスクという意味では上りより下りの方がはるかに高いのでせっかくここまで来て怪我をしたら元も子もないので気を引き締め直して慎重に下って行く。

 宮崎県側の道は熊本県側に比べて綺麗と公式ホームページに書いてあったように思うが、上りで見た様な土砂区間があった。勾配がきつい上に急カーブが多く路面には落ち葉や小枝や小石が散乱しているのでブレーキをかけっ放しの状態で下らなければならず上りで失ったタイムを取り返せない。そして時たま出て来る道を左右に横切る排水溝の鉄格子の蓋の目がとても粗くてタイヤが嵌まりそうになって非常に危ないのには困った。取り敢えず標高が下がって来て雲から出て視界良好になったのはありがたい。

 標高が更に下がって来て綺麗な路面が出て来る様になってきてちょっと走り易くなった。

 224.3km、突き当りを上椎葉方面に右折。ここで長い長い下りが終わった。16kmの急な山道を50分かけてクリアして全身の緊張が解けた。ここで一旦止まって宿に電話を入れて23時頃に到着することを告げた後リスタート。平坦基調の川沿いの道を進む。

 226.9km、左折して橋を渡り県道142号に乗る。

 228.2km、県道142号を道なりに進んで橋を渡る。今日の宿の鶴富屋敷まではあと11.5km。

 道路灯の全くない橋に連なる反射板の列が何となく空港の滑走路っぽい感じがする。

 右手に川があるはずだが良く見えない川沿いの曲がりくねった平坦路を快調に進む。ここに来て急に脚が回る様な感じになったので勢いに任せて踏んでいく。

 平坦基調だが微妙なアップダウンのあるワインディングロードは走っても走っても同じ様な道が続いて終わる気配がない。しかしサイクルコンピュータの距離計は確実にカウントアップしているのでそれを信じて踏み続ける。

 236.9km、もう少しで今日のゴールというところで急坂が出てきた。10%近い上りをえっちらおっちら上っていく。

 ちょっと上ったと思ったら今度は急な下りになった。道の真ん中に側溝が走っているので段差でハンドルを取られない様に慎重に下って行く。

 238.7km、分岐を右折して一旦コースから離脱、椎葉村の中に入っていく。宿まではあと1km。

 寝静まった椎葉村の集落の中を進む。取り敢えず初日は無事に終えられそうで安堵感が広がって来た。

 宿の傍まで来たが宿がどこにあるのか良く分からない。ナビの案内の通りに進もうとすると激坂が出て来て上って見ても宿らしき建物は見当たらない。何度かその辺りを行ったり来たりして別の枝道から入ってようやく宿に辿り着いた。

 239.8km地点の鶴富屋敷に到着、チェックタイムは22:45。

 部屋に入ってホッと一息。まずは風呂。脱衣場で酔っ払いの地元のお兄さん2人と会話。私のバイクウェアを見て俺もロードバイクに乗っていると上機嫌で話していた。貸し切り状態の大浴場で暑い湯船に浸かる。湯がじんじん沁みて来て思った以上に身体が冷えていたことを認識した。初日終盤の夜の椎葉越を無難にクリアできた達成感と明日からのプレッシャーが軽くなって相応の開放感に浸りつつ風呂に入るのは極楽極楽。

 風呂に入ってスッキリして部屋に戻って来た。チェックインの時に何か食べるものを売っていないか聞いたら何もないとのこと。ここまで何も食べずに来たと言ったら旅館の女将さんがおにぎりを作ってくださって今日の分と明日の朝の分を部屋に置いておいてくれた。フロントにお礼を言いに行ってからありがたくいただく。おにぎりは勿論のこと、もしかしたら自家製かも知れない漬物の盛り合わせがこの上なく美味しい。宿の人の心遣いに感謝感激、とても幸せな気分になった。食事を終えて電装品を充電器にセットして明日のスタートを7時に決めてアラームを6時半にセットして布団に潜り込む。消灯時間は0時前。