1001Miglia2024/Report 2:イタリアへ移動

 8/13(火)、いよいよイタリア遠征の当日が来てしまった。朝は普段通りに起床して自転車には乗らず揃えた携行品をひとつひとつ確認しながらバックに詰めて午前中は終了。昼食を食べて2時間程昼寝をしてから目覚めて以降もそのまま横になってうだうだと過ごしつつひたすら休養に努める。

 18時に覚悟を決めて自宅を出発する。輪行ケースを引き摺って最寄り駅まで1kmちょっと道程を徒歩で向かう。今日のフライトは成田から23:05なので3時間前に到着する計算。

 最寄り駅に到着。鉄道を乗り継いで成田空港に向かう。リムジンバスで行きたかったのだが現状所沢-成田空港線は全便運休なので使えないのが痛い。

 地元の夕暮れ風景をぼんやりと眺める。ここに戻って来るのは12日後、物凄く先の様に思える。出発当日になってどっとプレッシャーが増して来た。しかしここから逃げ出す度胸もない。引かれた動線の上を耐えて進むことしかできない。飛行機に乗って離陸してビールを飲むと解放されることが経験的にわかっているから取り敢えずそこまで辛抱する。

 西武池袋線に乗車。車内はガラ空きなので輪行ケースのスペースは問題なく確保。

 池袋から山手線を乗り継いで日暮里駅に到着。ここから京成スカイライナーで成田空港に向かう。

 19:45発の京成スカイライナーに乗車。

 20:25に成田空港第2ターミナルに到着。

 久し振りの成田空港。多分2019年のPBPの渡航時以来か。

 出発ロビーの人は少なめ。この時間だとこんなものか。

 チェックインカウンターを確認。ヘルシンキ行きのフィンエアーのカウンターはD。

 Dカウンター前に着いたら長蛇の列。これは想定外。

 40分近くかかってようやくチェックインカウンターに辿り着いた。バイクケースは追加料金なしですんなりと預け入れができて一安心。

 成田空港はチェックイン後にバイクケースを自分で大型手荷物検査場に持って行かなければならない。検査機を無事通過して預け入れ完了。まずは第一関門突破。

 次に両替だが、大半の両替所は21:30に閉まってしまい開いている店を探すのに手間取った。何とか一つ見つけて駆け込んだ。

 両替完了。ここのところずっと円安で戦々恐々としていたが渡航直前になって急激に円高に振れたのがまるで奇跡の様に見えた。€1=165円はまずまずか。取り敢えず€400を確保して、去年のPBPの時の残り€170と合わせれば1001Migliaのジャージ類が現地現金決済であることを考慮しても何とかなるだろう。

 両替も完了し特にやることもないのでそのまま保安検査場と出国審査を通過して搭乗口に向かう。

 22:15に搭乗口に到着。かなり混んでいる。チェックインの時に席は何も聞かれなかったがチケットを見たら窓側だった。これは拙いことになった。事前に有料の座席予約をしようかと思ったがほとんど埋まってなかったので搭乗率が低いのかと止めたのは失敗だったか。

 今日乗る飛行機はこれ。フィンエアーは初めて。

 ヘルシンキ空港に行くのは勿論初めて。トランジットとはいえ初めての国に降り立つのはちょっと楽しみ。

 30分程の待ち時間の後、登場開始。

 着席。これでもう退路は断たれた。このまま進み続けるしかない。非日常モードに切り替わりつつ気持ちもそこそこ前のめりになって来た。

 搭乗率はほぼ100%、隣の席には乗客がいるのでこれから13時間上手く凌いでいかなければならない。

 IFEで機内サービスをチェック。一部のソフトドリンクを除き飲み物は食事時の1杯を除いて全て有料。機内Wi-Fiも有料でフィンエアーは国際線のLCCという感じ。エアチケット代が他に比べて随分安かったのが頷ける。まあトイレの心配があるのでどうせ飲めないからむしろ好都合。

 ほぼ定刻通り23時過ぎに離陸。一路フィンランドへ。

 離陸後1時間程経って最初の機内食。すき焼き的な牛肉料理で普通においしい。

 飲み物はビールにした。トマトジュースはなかったので国際線の楽しみのレッドアイは作れず。Sandelsというビールはフィンランドの定番らしい。まあ普通の味。

 食事を終えて直ぐに耳栓をして就寝モードに入る。

 IFEの映画などは全く観ないで何度か目を覚ましつつもひたすら寝に徹して10時間余りが経過。フライトマップで飛行経路をチェックするとロシア上空を迂回して北極圏を飛んでいる。戦争はひたすら迷惑でしかない。

 IFEで乗り換え情報を確認できるのはかなり便利。乗り換え時間は1時間44分だから問題はないだろう。

 着陸前の2回目の食事はトマトソースのオムレツ。コーヒーと共に食す。

 フライトカメラで地上を見る。陸と海の複雑な地形はこれがフィヨルドなのか。どうやらノルウェイ上空を飛んでいる様だ。

 窓を開けると爽やかな夜明け。眼下には北欧の大地が広がっている。

 定刻から若干遅れて8/14の6時にフィンランドのヘルシンキ空港に着陸。日本との時差は-6時間。

 ヘルシンキの朝は快晴。ボーディングブリッジに降りるとかなり涼しい。さすが北欧という感じ。

 乗り継ぎ案内に従って進む。案内表示には日本語がある。

 階下の乗り換え口に降りていくと何やら混雑している。

 乗り換え口の保安検査は激混み。これは結構時間がかかりそうだ。

 保安検査で引っ掛かり荷物を開けさせられてしまい30分程かかってやっと保安検査場を抜けると目の前に味千ラーメンの店があった。

 19番搭乗口を目指して進んでいく。

 北欧の国らしいディスプレイ。

 フィンランドと言えばやはりムーミンか。

 乗り継ぎ便の搭乗ゲートに行く途中で出入国審査があった。

 ここにも長蛇の列ができている。保安検査場の列はそれなりのペースで進んだがこっちは全く進まない。早朝のためか複数あるゲートのうち1か所しか開いておらず、しかもそこの審査官の対応が滅茶苦茶遅い。一人を審査するのに何分もかかっている。列には数十人が並んでいてこのペースでは自分の番まで相当の時間が必要になる。8時ジャストのフライトまでは残り40分位だがどう見ても間に合いそうにない。フライト時間の差し迫った人達が地上係員の誘導で優先レーンに並ぶがゲートは一つしかないので結局はその一人の審査官の審査を待たねばならず全然早くならない。痺れを切らした客が地上係員に詰め寄るが並んで待つしかないと押し戻される。空港職員は役人としての審査官には何も言えないということの様だ。ちょっとこれは酷いな。

 私のフライトも残り15分を切って優先レーンに並んだもののやはり列は遅々として進まない。審査官の所作を見ているとどう見ても意図的にのんびりやっているとしか思えない。これはもうどう見ても間に合わない。まさかこんなところでトラブルに巻き込まれるとは全く想定していなかった。

 結局8時をちょっと過ぎたところでやっと自分の番が回って来て、他の人よりは短時間で済んだものの今更という感じで入出国審査を通過した。駄目元で搭乗ゲートまで走ってみたものの到着したらやはり待っていてはくれなかった。

 初めてのフィンランドはあの審査官一人のせいで嫌いになりそうだ。激しく落胆しつつ、とにかくミラノまで飛ばなければどうにもならないのでまずはトランスファーサービスカウンターに行ってみる。

 トランスファーサービスカウンターには先程の出入国審査の犠牲者達が並んでいた。ここで同じ便に乗ってた1001Miglia参加者のa143753さんと出会う。a143753さんも犠牲者の一人。

 フィンエアーのサービスカウンターでは特に何か言われるわけでもなく追加料金もなく代替便を用意してもらうことができた。現時点で出発ゲートが決まっていないので後程確認せよとのこと。直ぐにリカバリーされて非常に有り難いのだが代替便は16:10発なので7時間半程待たなければらならなくなった。そして先にミラノに飛んで行ったであろうバイクを無事に受け取れるのか不安が付きまとう。

 仕方がないので取り敢えず空港内を歩いてみるが直ぐに飽きて座る所を探す。

 人通りの余りない区画にドーム型シートがあったのでここに籠ってひたすら時間が過ぎるのを待つ。この世で一番消化しにくいものは時間だみたいなことが銀河鉄道999のどこかに書かれていたのを思い出したが今まさにそれを痛切に思い知る。

 この時間を利用してiPhoneに現地用simカードをセット。取り敢えずorangeからアクティベートした旨のメッセージが直ぐに届いたので繋がったということか。フィンランドでは繋がったが問題はミラノに着いてから繋がるかどうか。

 シートの傍にキックボードと自転車のあいのこの様な乗り物が止めてあって、時々空港職員らしき人が乗って行った。

 長時間じっと座っているだけだと空港内の冷房で寒くなって来た。半袖Tシャツにハーフパンツ以外の衣類は持って来ておらず、このトラブルの先に風邪を引いたという展開になると極めて馬鹿馬鹿しいことになるのでアームウォーマとレッグウォーマーを装着する。恐らく出番はないだろうと思っていたがこんな形で使用されるとは思いもしなかった。

 15時過ぎまで何とか時間を潰してフライト1時間前になったので搭乗口に移動する。待っている間にミラノのホテルの周囲のスーパーマーケットの閉店時間を調べたがみな21時閉店で食べ物を買えない可能性が出てきたのでこの売店でジュースやサンドイッチを念のため買っておく。

 空腹感はあるけれどホテルにチェックインして落ち着いてからゆっくり食べることを当面のモチベーションとするのでここでは食べない。

 フライトの搭乗ゲートをチェック。16:10発のミラノ・マルペンサ行きの搭乗ゲートは19A。

 別のムーミンショップの前を通過。それにしてもこれの日本名”ニョロニョロ”というのはもう少し考えた方が良かったのではないだろうか。

 搭乗口に到着。搭乗はボーディングブリッジではなくバスで行くタイプ。

 見たことのない航空会社が多数。Barticとはバルチック艦隊のバルチックなのか?

 定刻になって登場開始。今度こそミラノに向かう。

 バスに乗り込んで飛行機に向かう。

 バスを降りて飛行機に乗り込む。

 座席は最後尾。

 搭乗率は6割位か。

 定刻通りに離陸してミラノに向かう。

 ヘルシンキからミラノまでは3時間のフライト。搭乗までじっとしていた時間が長かったせいか飛んでいる間はそれ程退屈することもなく時間はすんなりと過ぎて行った。

 定刻通り18:10にミラノ・マルペンサ空港に着陸。遂にイタリアに降り立った。イタリアとフィンランドの時差は-1時間で日本との時差は-7時間。イタリアらしくアルマーニの広告に出迎えられる。

 ミラノは曇りだが18時でも日はまだ高い。

 経路案内に従って手荷物受取所に向かう。歩いている間にiphoneをチェックするとちゃんと電波を捕まえてデータ通信をしている。orangeのデータsimがイタリアで機能していることを確認して一安心。

 5分程歩いて手荷物受取所に到着。

 回転台が回り始めて荷物が出てきた。

 回転台の傍の自転車のマークのあるスペースの横のドアから10分待たずして輪行ケースが出てきた。取り敢えず外観的な損傷はなさそうで一安心。a143753さんの輪行バッグも出てきた。無事に荷物を確保して次は鉄道移動。a143753さんも鉄道を利用するということで一緒に駅に向かう。

 ”TRENI/Trains”という鉄道の案内表示を辿って進む。

 矢印が下に向いている。階下に降りろということか。

 エレベーターに乗る。

 鉄道駅は地下1階。

 鉄道のマークを追って更に進んでいく。

 切符売り場のある鉄道のロビーに出た。ミラノ市街直通のマルペンサ・エクスプレスに乗るのが次のミッションとなる。ここでは2つの鉄道会社TRENITALIAとTRENORDがあるが、マルペンサ・エクスプレスはTRENORDなのでこちらの自動券売機で切符を買う。

 こちらはTRENITALIAの券売機。こっちではない。

 こちらがTRENORDの券売機。まずはイギリス国旗のマークをタッチして英語表記に切り替える。

 ミラノ中央駅に行きたいので左上の"MILANO CENTRALE"をタッチ。

 今すぐ乗るので今日の日付をタッチ。

 一番早い時間をタッチ。

 一番上が一番早い列車なのでこれをタッチ。

 大人1枚なのでAdultの+を一回タッチ。

 往復切符を買うかどうか聞いてくるのでNOをタッチ。

 切符が確定するので”GO TO PAYMENT”をタッチ。ミラノ中央駅までは€13。

 領収書が必要な場合はYESをタッチ。

 支払方法でクレジットカードの場合は”BANK CARDS”をタッチ。

 画面の右側にタッチ決済のクレジットカード用の接触部があるのでここにカードをかざすと自動的に決済が完了する。

 しばらく待つと切符が出てきた。

 無事に切符が買えた。

 イタリアの場合は切符を買っただけでは駄目で乗る前に切符に打刻しなければならない(予習済み)。自動打刻機が券売機とは別にあるので画面の下の部分に切符をタッチしてチェックマークが表示されれば打刻完了。打刻を忘れると車内でチェックされた場合に罰金を取られる可能性があるらしいので注意。

 エスカレーターで階下のホームに降りていく。

 乗るべき列車をチェック。ミラノ中央駅行きは19:13。

 先に出発するa143753さんを見送る。スタート地点でまた会いましょう。

 イタリアの車両はフランスと同じ様な作りなので馴染みやすい。

 乗るべき列車の到着をしばし待つ。

 定刻通りに列車が到着したので乗り込む。結構混んでいる。

 フランスと同様、スリが多いらしいので周囲に注意しつつ居場所を確保。

 輪行ケースの持ち込みも問題なし。何とか鉄道移動の関門も突破できそうだ。

 窓から見える風景は日本やフランスと大きく変わらない感じ。ここまでで”イタリアに来た!”という強い実感は余りない。

 フランスと同様に鉄道沿いの壁の落書きが酷い。日本も同様、落書きは世界共通か。列車にも落書きされている。

 ミラノ・ポルタ・ガリバルディ駅に停車。マルペンサ・エクスプレスはここにも停まるのか。

 20:10にミラノ中央駅に到着。移動時間は1時間弱。無事に鉄道移動ミッションは完了。

 今乗ってきた列車を振り返る。

 映画で見る様な駅の風情にヨーロッパに来ていることを何となく実感する。

 改札口を抜けてロビーに出る。

 駅舎の内部は歴史的建造物の様な作りになっている。実際歴史的にかなり古い感じだ。

 ここは2階の様だ。どうやって下に降りて良いか分からなかったので止む無く輪行ケースを担いで階段で降りる。

 駅の外に出られた。駅の周囲はかなりの人で賑わっている。

 iphoneでホテルまでの経路を確認しつつ徒歩で移動開始。振り返って駅舎を見ると外観もなかなかの風格。

 300m程歩いてホテルが見えた。これは近い。移動距離が短いのは非常に助かる。

 20:25に無事にホテルに到着。早速チェックイン、日本からのオンライン予約がちゃんと通っていて問題なくチェックインできて一安心。

 部屋に入ってほっと一息。ようやく日本からの長旅が終わった。Door to Doorで33時間半の移動時間だった。ヘルシンキでの足止めがなければ8時間早くここに辿り着いていたはずなので改めてあの出入国審査官にムカつく。と今ならぎりぎりスーパーマーケットの閉店時間に間に合いそうなので間髪入れずに部屋を出て駅に戻る。

 駅地下のスーパーマーケットに駆け込んで何とか食料の買い出しに成功。ホテルを確保し食料の確保までできたのでこれで今日やるべき最低限のミッションは完了した。

 買い出しを終えて駅の周りをちょっとだけ散歩してみる。

 駅の正面はかなり立派な門構え。

 駅の周囲は歴史的な建物とモダンな建物がうまく並立している感じでさすがミラノという感じ。やっとイタリアに来たという実感が湧いてきた。辺りをもうちょっと見て回りたかったけれど事前にミラノ中央駅の周辺は治安が悪いという情報をもらったので暗くなる前にホテルに戻る。

 部屋に戻ってシャワーを浴びてすっきりして遅い夕食。いつもはイベント前には飲まないのだが今日は思わぬトラブルでメンタルが振り回されたのでビールを飲んでテンションを回復させる。美味いビールとサンドイッチを口にしてようやく落ち着いた。ホテルのwifiも開通して持参のPCも使えるようになった。残念ながらバイクの組み立てと試走は明日に持ち越されてしまったけれどそれ以外のやるべきことは全部やったので気分的にはかなり持ち直した。今日のトラブルは確かに想定外だったけれど、去年のPBPの時にフランスに着いてモンパルナスで電車トラブルで足止めを食って長時間待った挙句にヴェルサイユまでしか行けずに結局ヴェルサイユからサンカンタンまでバイクケースを引き摺って歩いて夜中2時前にやっとホテルに辿り着いたことを考えれば全然大したことはないと割り切ることにする。

 食事を終えてうだうだと過ごすうちに何となく眠くなってきたのでそのままベッドに横になる。消灯時刻は22時過ぎ。