今年の夏から再びトロンボーンを吹き始めた。
再開する前に最後にボントロを吹いたのは多分2019年中だったと思う。それまで細々と続けていた大学のサークルの残党崩れのジャズバンドがコロナ禍が始まってフェードアウトしてしまい全く吹かなくなってしまった。それ以前でもこのジャズバンドではバンマスをやっていたので楽器を吹くより喋ってばかりだったのでまともに吹いていたのはいつだったかと考えればもしかしたら20年近く前まで遡るかもしれない。本当に久し振りにボントロを吹いたら唇はふにゃふにゃでまともに音は出せないし、狙った音とスライドのポジションが一致せずに音を外しまくりでほぼ初心者同然の状態だった。もうちょっとましかと思っていたが淡い期待は見事に打ち砕かれた。
人間、使わない能力はすぐに失われる。大学の頃、毎夜の様に牌を握っていた麻雀は今では役の数え方や並べ方も覚えていないし、20年程前に仕事でプログラムを書いていた頃は2000行位のソフトウェア10数本分のソースコードが全て頭に入っていて夢の中でバグフィックスをしたことが何度もあったが今では自分の書いたコードが読めない。まあ麻雀とか仕事上の能力は自分のこの先の人生を考えれば多分もう必要ないだろうから失われてもどうということはないが、趣味の領域で過去できていたことができなくなったというのはかなり悲しいしこれを取り戻すのはかなりの労力を要する。幸いこの夏から新たに加入したバンドは月に2,3回練習する様なかなりの勢いのあるバンドなのでこの流れに乗せられていれば自ずとボントロを吹く時間が長くなってきて少しずつ音が出るようになってきた。音が出るようになってくると面白味が出てきてだんだん前のめりになってくる。この勢いを更にプッシュしようと、ふと新しい楽器を買うことを思いついた。
昔はビッグバンドで言うところの1番の音域を吹いていたのでテナートロンボーンで十分だったが、今のバンドでは3番辺りの低音に寄った辺りを吹いているのでこの機会にF管付きのテナーバストロンボーンを試してみたくなった。ただし細管のテナー用のマウスピースをそのまま使える細管か中細管のテナーバスにしたい。今持っているGETZENのテナーは社会人になって間もない時にバンドを立ち上げるためにすぐに楽器が必要となり当時こだわっていたシルバープレートの中古楽器を探して中古楽器屋を梯子してやっと見つけた物を衝動買いしたが、今回は学生の頃の吹奏楽部やビッグバンドサークルで憧れだったヤマハのカスタムモデルにしたいと考えた。条件が出揃って早速ネットで中後楽器を探し始めたが、ヤマハのカスタムモデルのテナーバストロンボーンの現行ラインナップには中細管がない。年式を過去に遡ってもなかなか見つからずヤマハのカスタムモデルの最初期の頃まで遡ってようやくYSL-8440というモデルに行き着いた。カスタムモデルの中細管はこれ以降作られていないので選択肢はこれしかないということになる。選択肢がないということは悩む必要がないし、この楽器が生産されていたのは1980年代で正に私が高校大学でトロンボーンを吹いていた時期にぴたり重なるから憧れの実現という意味でも文句なし。このモデルに決めてネットで中古の出物を探したら幸い幾つか見つかったので値段と状態が折り合うものを選んで購入した。

30数年振りに手に入れた新しいトロンボーンがこれ。外観的にはそこそこ傷があって小さな凹みが数か所あるがスライドはとてもスムーズで、チューニング管もすんなり抜けるしロータリーもきちんと動くので動作的には全く問題なしで一安心。それにしてもこの造形美、ただ眺めているだけでウキウキしてくる。

早速次の練習から投入。GETZENに比べて重いのは間違いないけれど予想していたよりは軽かったのでよかった。吹奏感はGETZENと大きく変わらず気持ち音が丸い感じがするこれがシルバーとイエローブラスの違いなのだろうか。やはりマウスピースが共通で使えるというのはかなり重要。そしてF管だがノーマルのB♭の7ポジ6ポジがF管だと2ポジ1ポジに来るのは革命的だと改めて認識。私の様に腕が短い人間にとってはかなり有利。このバンドはどんどんソロが振られてくるので、ソロがある曲は軽くて取り回しの良いGETZENで、ソロがなくてアンサンブル重視の曲ならヤマハという使い分けになるかな。まあ曲によって厳密に使い分けると常に2本持ち歩かなければならなくなるので実際にはその日の気分で、みたいな使い分けになりそうな気がする。

スライドに刻印された”Custom”の文字。学生の頃はただ眺めるだけの高嶺の花が40年の時を経て我が手元に来たというのは感慨深いものがある。
この楽器を手に入れて再びビッグバンドをやりたくなってきた。今度はバンマスではなくてソロもなくて3番辺りを吹いてただアンサンブルを楽しみたい。そんなのんびりしたボントロ的ジャズ人生の余生を送りたいものだ。RJBが更にメンバーを増やしてビッグバンドになるとかSMJOを若い力で復活させるとか、次の展開にちょっと期待しながらこの先のんびりボントロを吹いていこう。