新バイク完成!

 ゴールデンウィークもぼやぼや過ごしていたら明日が最終日。5/2〜4の雨が痛かったが、自転車に乗れない代わりに新バイクの組み立てにじっくり取り組むことができた。そんなわけで新バイクの完成レポートである。

 去年の終盤から何となく新しいフレームの構想を練り始めていたのだが、具体化するのは次期デュラエースが発売されるであろう2年後くらいかなあと思っていた。が12月にとあるショップでチタンフォークなるものを見つけて事態は急速に進展し始めた。
 もともとロングライド専用で且つ長く乗り続ける(極端に言えば”一生物”)つもりで非アルミ金属フレームにしようと思っていたのだが、フォークもカーボンではなく非アルミ金属ということであれば現状だとクロモリフレーム&フォークということになる。チタンフレームは一般的だが何故かチタンフォークは今まで見たことがなかった。メジャーなチタンフレームメーカーもチタンフォークをラインナップしているところはなさそうだ。何か理由があるのだろうが、クロモリフォークができるのだからチタンフォークだってできないことはないように思える。そんな時に某ショップでチタンフォーク&フレームのフルオーダーをやっているのを見つけ、値段も手頃だったこともあり取りあえず問い合わせてみたところ、こちらの希望は大方適えられそうだったので後はどんどん話が進み結局オーダーすることとなった。
 結果として、この某ショップで作ったフレームは残念ながら返品となってしまった。この顛末の仔細は省く(一言で言えばショップ側のミスでオーダー通りの物が出来上がらなかったということだが、返品に至るまでに少々不快な思いをしたこともあり顛末をブログにきっちり書いてやろうと思っていたのだが今度の新しいフレームを見た時にもうどうでもよくなった)。

 不幸にして新フレーム導入計画は頓挫したわけだが、一旦ついた勢いは止まるわけもなく間髪入れずに次のフレームビルダーの選定に着手した。今回のトラブルは台湾のフレーム製作者に取り次ぎをする某ショップのいい加減な対応が招いたので、そういうミスコミュニケーションを極力防ぐ意味でも、国内のフレームビルダーに絞って選定することにしたが、そこで俄かに注目したのがチタンのTiGである。

http://www.titanium-tig.com/html/bike.html

 以前から名前だけは知っていたが、国内のチタンフレームビルダーのメジャーPanasonicの陰に隠れて、実際にフレームを目にしたことは皆無だったので注目することはなかった。最初のきっかけは返品フレームの修正をTiGに問い合わせたことだったのだが、よくよくホームページを眺めてみると色々と興味深いことが分かってきた。まずはこの会社がチタンの扱いに精通してるらしいこと、そして使われている素材がこの会社オリジナルのUTT75という”純チタン”ということだ(今乗っているメインバイク「VLAAMS/BERG Ti-1」もチタンだがこれは3AL-2.5Vというチタン合金だ)。純チタンのメリットがどうなのかよくわからないが、”純”っていうのが取りあえずいいじゃないか。チタンフレームは素材のパイプはともかく溶接の良し悪しでフレームの耐久性が決まる(昔はPanasonicも溶接部分のクラックでリコールされたことがある)ので、やはり素材の扱いに精通した会社だと安心感が違う。

 もう一つの選択肢は言わずと知れたクロモリのケルビムである。そもそも次期フレーム導入計画のトリガーは去年ブルべの折に今野製作所を訪れたことであった。小さい頃から良く知っていたケルビムのクロモリフレームの素晴らしさを再認識し、所有欲を掻き立てられた。

 どっちで行くか悩んだが、今まで乗っていたBERG Ti-1においてチタンフレームの良さ、何と言っても素材剝き出しで錆びず傷付かず、雨風に長時間晒され続けた過去のブルべでも使い勝手の良さを十分に体感したし、素材色そのままフレームカラーが良い(実のところクロモリにした時に何色にするか悩み過ぎで決められなかった)ので最終的に今回もチタンをチョイスすることにした。(勿論ケルビムに乗る夢を捨てたわけではない。歳を取って人生最後の道楽バイクを作るならケルビムにしたいと思っている)

 早速TiGにオーダーを打診、某ショップとは違って木目細かいやり取りを繰り返し(実際に使用するフロントフォークやヘッドパーツを送付して寸法を実測して図面を修正するなどした)、オーダーフレームの最終図面が4月中旬に出来上がった。

 この最終図面を基に製作を依頼、出来上がりは1か月後の5月中旬と見定め、佐渡ロングライドが初の実戦配備になるだろうと目論んでいた。

 が、嬉しい誤算でゴールデンウィークの初日4/28の夜にいきなり届いたのだ。何と2週間ちょっとで仕上がった。きっとTiGの製作者さんが何とかゴールデンウィークに間に合わせようと頑張ってくれたに違いない、感謝感激である。
 翌朝、早速箱を開けフレームをチェックする。

 まずは各所の溶接部分、予想以上に綺麗な仕上がりだ。

 手持ちのBERG Ti-1と比較してみると、その差は歴然。BERGも悪くはないがTiGはそれ以上だ。特にシートステイ/チェーンステイとリアエンドの溶接部分は良く見ないとわからない。

 今回の新フレームは、まずジオメトリ的には現行BERG Ti-1をベースに、

1.シート角を75°から74°に変更
2.チェーンステイを390mmから375mmに変更

した。1.について、ライディングポジションがこ〜ぢ倶楽部でのレクチャーを受ける過程でかなり後ろ乗りになってサドル後退量が大きくなったのでシート角を寝かせることで適正なサドルレール位置でセッティングできるように目論んだ。2.についてはシートチューブと後輪の隙間をロードバイクらしく狭くすることを目論んだ。変速性能的にも直進安定性にもマイナス方向に働く変更だが、決戦用バイクのORBEA DIVAのチェーンステイ375mmを実際に試してみて実使用上問題なかったので、見た目重視で変更した。ついでにトップチューブはホリゾンタル換算500mmのまま据え置いたがシート角を寝かせ且つ現在のサドルとBBの位置関係を保てば現状より5mm程ハンドルが近くなる計算になる。これはロングライド専用ということでもうちょっとコンフォートなポジションにすることを目論んだ。

 あとは、TiGのOZ-R210というモデルをベースに、

1.ヘッドチューブをインテグラルに変更
2.ダウンチューブをφ34mmに変更

した。1.については現行BERGと同じ仕様に、2.については現行BERGがφ42mmのチューブが使われていたが、650Cサイズのフレームでは剛性がオーバースペックな感じがしたので、一回り細くしても問題ないだろうと判断した。

 フレーム単体重量は1280g、現行BERGが1250gだったのでそれより軽くなるかと思ったがちょっと期待外れ。でもこのバイクで軽さを追求するつもりはないので許容範囲だ。フレームのデカールはカッティングシートで”Titania”と貼られている。ロゴ自体は嫌いではないが、細かい部分が剥がれそうでちょっと心配だ。


 今回フォークは、EASTONのEC90 AEROを選択。これはTTバイクやトライアスロンバイクに使われそうなフォルムでオーソドックスなバイクには不似合いだが、ロングライドの最大の敵である向かい風にちょっとでも有効であればという思いで敢えて選択した。

 4/30より組み立て開始。部品は既に揃っているので数日かけて少しずつ確実に組み上げて行った。

 そして5/3に完成。

 ボリュームのあるエアロフォークは、太いヘッドチューブとマッチして意外に違和感がない。そしてシートチューブと後輪の隙間が埋まりロードバイクらしくなった。そもそもフレームを新調する動機はこれだったといっても過言ではない。

 5/4に雨の間隙を突いて家の周りを軽く試走。部品の組み付けは全く問題ない。翌日の本格試走は問題なく行けそうだ。

 そして今日、午前中にいつもの荒川CR100kmLSDにTitaniaで出発。ポジションは目論み通りで新しいバイクだがかなりしっくりくる。ロングライドを意識してBERGよりハンドルを高めにセッティングしたのがちょっと違和感があるが直ぐに慣れた。今日の荒川は北風が強く早速エアロフォークの実力を試す機会が訪れた。結構強い向かい風だが、それ程苦にならない。まあ20km/hちょっとの速度域ではエアロフォークの効果なんて大したことないだろうが、エアロフォークを使っているという思い込みプラセボ効果が出てくれれば目的は達せられる。
 乗り味はBERGと大きく変化は感じられないが、ポジションがちょっとコンフォートになった分かなり乗り易い。フォークの変更はハンドリングがセンシティブになる方向だが大きな変化はない。リアセンターが詰まったことによる直進安定性にも変化はない。両手放し走行でも左右のどちらかに偏った体重移動は必要なく真っ直ぐ走る。フレームの精度の良さが確認できた。総じて取り回し易い素直なバイクだ。
 今日の100km程度の試走ではこれ位の事しかわからないが、これから200km超のイベントで乗って見ていろいろ見えてくるだろう。差し当たり来週末は200kmブルべ、その次の週は佐渡ロングライド210kmが控えているので本格的なインプレッションはそこからだ。

 去年の年末からほぼ半年かけて新バイク完成に漕ぎ着けたが、途中の紆余曲折で正直ストレスに感じていた部分もあり、ようやく解放されてすっきりしたという思いも強い。これで当分機材で悩むのは止めにしてただ無心に走りを楽しみたいところだ。と言ってる傍から早ければ今年の後半から新型デュラエースが発売されるらしいし、試してみたいサドルがひとつだけあるし、自転車弄りを趣味とする限りこの呪縛からは逃れられそうにない。