メガネの修理

 かなり前になるが、ずっと使い続けてきたメガネのツルが折れた。メガネは常用しているわけではないが、車に乗る時とテレビを観る時にかける。他にメガネはあるので困っているわけではないが、壊れたメガネは20数年前に初めて作ったメガネだったこともあって、そのうち修理してやろう棄てずにおいた。時々思い出した様にオークションで探してみるが、その当時のメガネ量販店で何の予備知識も拘りもなくコスト優先で選んだどうということはないフレームなので、まず見かけることはなかった。そんなこんなで月日は流れ、久し振りに思い出してオークションで検索してみたらなんと見つかった。ただ、送料込みで3,500円とそんなに安くない。そんなコストをかけてまで修理する必要があるのか逡巡する。初めてのメガネという意味では愛着がないわけではないが、弾き込んだギターの様な絶対的な愛着に比べれば取るに足らない。既に他のメガネがあるのでそれがなくても困らないし、もう1本欲しければもう少しコストをかければ新品が買える。普通に考えればそんなコストをかけて修理するのは馬鹿らしいと自分でも思うのだが、結局落札してしまった。

 結局のところ、修理すれば使えるものを捨てるという罪悪感と、修理するという行為でしか得られない娯楽性、そして再生して使い続けられる様になった修理品を手にした達成感と満足感がそういう判断に至らせた。とにかく修理がしたいのだ。

 修理するという判断が、必ずしも合理的な選択だとは限らない。コストや時間や手間を考えればむしろ合理的でない場合が多い。でも仕方がない、修理は趣味なのだ。