SR600Fujiレポート1:スタート~宿泊

 今朝は5時過ぎに目が覚めた。眠い。外は快晴、開け放った窓から涼しい微風が入って来て気持ちいい。二度寝したいところだが、今日は夏休みの最終日、今日中にやってしまわなければならないことが幾つかあって、8/15から走ったブルベのレポートを書くのもその一つ。夏休みの宿題を残さぬように早速書き始めよう。

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 今年から日本でも新しいカテゴリーのブルベが開催されることになった。”Super Randonnées600”である。詳しい説明は下記を参照頂くとして、

http://audax-saitama.org/SR600/SR600.html

このブルベの要点は下記の通りである。

1.距離は600km
2.累積標高差は10,000m以上
3.規定時間は50時間だが、累積標高差が10,000mを越えて500m増える毎に1時間加算。
4.コントロールポイントのオープン・クローズ時間はなし。(要するに通過チェックのみ)
5.開催日は固定されておらず、出走者が事前申請により走行日を自由に設定できる。

 R10000の必須条件の一つになっているこのSR600(ランドヌール部門限定)を今年中にクリアしておきたかったので、ブルベ開催の少ない8月のちょうど会社の夏休み中となる8/15に出走日を定めた。
 SR600のコースは現在日本で3か所設定されているが、スタート地点が最も近いSR600Fujiを選択、スタート時間は走行プランを検討した結果4:00と決めた。
 コースはこちら。

 碓氷峠、渋峠、菅平、美ヶ原、霧ヶ峰、白樺湖、麦草峠、野辺山、河口湖・山中湖など、メジャーな峠や高原を繋いで走る盛り沢山のコース。累積標高差は11,105km(オダックス埼玉公表値)で、規定時間は52時間である。個人的には以前から美ヶ原へは一度登ってみたいと思っていたので楽しみだ。ほぼ中間地点の上田市街で宿泊する走行プランを組んだ。

 8/15、朝2:30に起床。ちょっと眠いがそそくさと身支度をして出発、スタート地点の高尾駅に車で向かう。高尾駅近くのコインパーキングに4時前に到着、スタート時間の4:00が迫っていたので急いで準備をして、高尾駅傍のコンビニに向かう。ここで買い物をした時のレシートに打刻されている時刻がスタート時間となる。

 自分以外誰もいないスタート地点。通常のブルベとは違い新鮮な感じだ。レシート打刻時刻は4:09。買ったパンを食べ、ボトルにスポーツドリンクを詰める。4:20、緩々と走り始める。いよいよスタートだ。

 走り始めて程無くして夜が明けた。

 名栗の気温は21℃。涼しくて実に清々しい。

 ここから最初の峠でPC1に設定されている山伏峠への登坂開始。勝手知ったるこの峠でまずは今日の調子を見る。脚は良く回るし体調的には全く問題はない。今日からサドルバッグを前回まで使っていたsuewからキャラダイスの「SuperC Audax」に戻したのだがダンシングでも重心が振られず非常に走り易い。重さはsuewの3倍だが重量増を全く感じないのが良い。重量が気にならなければ圧倒的に使い易いキャラダイスの方がいい。今回のコースをこのサドルバッグで走破できれば、これでサドルバッグ問題は解決である。
 登坂途中で、ローディーに抜かれつつ挨拶をされる。早朝練習だろうか。

 さらりと46km地点のPC1山伏峠に到着。今日のコースのPCは全て写真証明となるため早速写真を撮る。チェックタイムは6:44。写真のみが証明となるので走行中や走行後のカメラトラブルに対応するため、今回は普段の携帯デジカメとは別のデジカメ持参の2台体制を敷く。
 山頂には、先程抜かれたローディーと同じジャージのチームが集まっていた。早朝練習だろうか。撮影中に、そのローディーが近寄ってきて「抜く時にGOKISOハブが見えたのでびっくりしました。私も使ってますが最高ですよね」と声をかけられた。

 PC1を後にして秩父まで一気に下る。

 秩父のセメント山。

 秩父を抜け山間部に入る。気温28℃だが体感はもっと涼しい。

 杉ノ峠。ここを越えて藤岡まで一気に下り、吉井を目指す。

 100km地点の休憩ポイント1に到着。今回のコースの殆どのPCでは補給できないので、別に休憩ポイントを事前に設定しておいた。通常のブルベの様のそれらを目指して走るべく予め走行プランを練っておいた。今日は平均巡航速度12km/h見当の規定時間だし、PCのオープン・クローズ時間がないので余り時間に追われる必要はない。各休憩ポイントではのんびり過ごすつもりだ。長丁場なので体力温存が最優先だ。常にボトルを満水にして腹の中にもたっぷり水分を貯め込んでおく。山岳地域で水分がなくなったら致命的なので水分補給は常に意識しておく。

 休憩ポイントを出て軽井沢を目指す。碓氷峠までのルートは何度も走っているので余裕を持って走れる。

 今日の妙義山。霞がかかっている。

 通過する度にここはどこだろうと思うのだが、帰ると忘れてしまう。今回やっとチェック、「碓氷峠鉄道文化むら」という所らしい。

 碓氷峠へのアプローチ開始。この途中のめがね橋がPC2に設定されている。

 134km地点のPC2めがね橋に到着。チェックタイムは11:07。結構な数の観光客で賑わっていて車通りも多く、写真撮影にちょっと手間取る。
 撮影後直ぐに出発。引き続き碓氷峠を目指す。

 碓氷峠旧道は勾配も緩く走り易い。木々が夏の日差しを遮ってくれるので涼しく登れる。個人的に好きな峠道の一つだ。
 碓氷峠に到達、軽井沢まで下る。

 軽井沢市街は大渋滞。どうやらショッピングモールへ向かう車の車列の様だ。折角軽井沢に避暑に来ているならもっと違う所に行けばいいのに。
 軽井沢は暑い。30℃は越えている様だ。
 中軽井沢駅前を左折して北軽井沢を目指す。途中に1つ峠を越える。

 ボトルの水がかなり減っていたので、予定外のコンビニで補給を入れる。

 前回のBRM810千葉200では脚が攣りまくって酷い目にあったので、今回は塩分補給のための事前準備をしておいた。早速食べてみるが、キャンディーかと思っていたらラムネ菓子の様に噛み砕いて直ぐに飲み込めるので非常に食べ易い。走行中でも問題なく食べられるので、これは重宝しそうだ。取り敢えず今のところ脚攣りの兆候はないので安心だ。

 この登りの勾配は結構きつく、道幅が狭い上に車通りが激しいのでかなり走り辛い。えっちらおっちら登っていく。

 この辺りは上信越高原国立公園らしい。

 山頂到達、北軽井沢へ下る。

 180km地点の休憩ポイント2に到着。ここからいよいよ草津・渋峠へのアプローチである。
 コンビニで買い物をして出てきたら、SR600のフレームバッジを付けたバイクが到着していたのでちょっと驚いた。ライダーさんと会話を交わす。

 このライダーさんはAJ宇都宮が設定したコースのSR600を走行中とのこと、ここでSR600Fujiとコースが重なっている様だ。

 暑いので冷製パスタで補給。
 かのライダーさんは渋峠を反対方向から越えて来て、全行程の終盤に差し掛かっているとのこと。走行中は他のブルベライダーに遭遇するとは思っていなかったので、同じ様に頑張っているSR600チャレンジャーの姿を目の当たりにできて元気が出てきた。御互い頑張りましょうとエールを交換して先発する。

 まずは草津までの10kmをしっかり登る。先日のBRM629埼玉400で初めて渋峠を登った時、ここから草津まで登りがきつかったことはしっかり憶えている。いざとなったら草津で休憩を入れるつもりで、気持ちに余裕を持って登る。

 草津まで8.5km、まだまだ先は長い。前回と同じく車通りが多くて神経を使う。昼下がりの日差しがきつく、ボトルの水がどんどんなくなる。これはやはり草津で休憩を入れないと駄目そうだ。登るにつれて雲が出てきた。路面も濡れていて雨が降った形跡がある。御湿り程度の雨なら有難いが、ゲリラ豪雨だと非常に困る。

 程無くして草津に到着。前回程苦しまずに登ることができた。前回同様、ノンストップで渋峠を目指そうかとも思ったが、ここは余裕を見て予定外の休憩を入れる。

 ボトルは確実に満水にしておく。この先20kmの登りでは補給は全くできない。

 休憩の後スタート、いよいよ本日のメインの峠越えである渋峠を目指す。ここがPC3だ。
 草津までよりは勾配は緩く登り易い。ペースを崩さず登っていけば十分に攻略可能だ。日は完全に陰り気温も十分に涼しい。日差しが照り付ける苦しい登りを想定していたがこれは嬉しい誤算だ。
 途中、数台のSR600宇都宮コースのチャレンジャー達が下って来たのとすれ違った。挨拶を交わす暇がなかったが、そのうちの1台のバイクは黄緑基調、確か見覚えがある。この時期にチャレンジしているライダーは多そうだ。

 白根山ロープウェイの登り口。
 渋峠は時間を意識しながら登る。9月出走予定のBRM907宇都宮200は渋峠がゴールの超級山岳ブルベであり、今日のコースは渋峠が200kmをちょっと過ぎた位の位置になるのでちょうど良いシミュレーションになる。ここまでを13時間半で走ることができればBRM907も完走できる目途が立つというわけだ。今のところ何とか時間内で来ているが、それ程余裕があるという状況でもない。大崩れしない様にペースを守って登る。
 少し前から尻の痛みが多少出てきていた。前回の千葉ブルベでの擦過傷が完治しないまま今回の臨んだのでそこがまた痛くなった様だが、酷くなっていく感じでもないのでそのまま走り続ける。

 火山地帯。前回と天気が同じなので同じ様な風景が広がる。ただし今日の方が硫黄臭がきつい。かなり息苦しい。

 登っていくうちに雨がぱらついてきて、更に霧が深くなってきた。

 白根山に到着。渋峠まで後4km程。
 雨の量がそこそこになってきた。これから長い下りというのについてない。

 遂に208km地点のPC3渋峠(日本国道最高地点)に到達、チェックタイムは17:05。スタートが4:00として13:05の走行時間、200kmブルベだと辛くも完走といったところだ。密かに16時着を目論んでいたりしたのだが、スタートが遅れたり休憩を多めに入れたりと1時間遅れになってしまったが、まあSR600走行中ということであれば妥当なところだろう。
 悪天候のためここには観光客は皆無、そそくさと写真を撮り。直ぐに下り始める。

 下り始めた途端に雨が強くなってきた。路面は所々川の様になっていて非常に神経を使う。これでは下りの恩恵が得られない。ブレーキシューが減り気味だったのが気になりつつもそのまま今日に臨んだのだが、ウェット状態でこの長い下りでブレーキシューが急に心配になって来た。これを予見して交換してくればよかったと後悔するが時既に遅し。ブレーキングに気を遣いながらそろそろと下る。
 標高が高い分気温が低い上、雨のために体感温度がかなり低く寒い。レインジャケットが必要なくらいだ。
 進行方向の遠くの空が明るくなっているのでしばらく走れば雨は止むはずだ。

 ひとしきり下った後予想通り雨は上がり、全身の緊張が緩んだ。日もかなり傾き暑さに苦しめられる心配はなくなった。PC4までひたすら下る。


 235km地点のPC4道の駅「北信州やまのうち」に到着、チェックタイムは17:55。再び雨が落ちてきたので、写真だけ撮って直ぐに出発する。

 次は今日最後の峠越え、菅平への登りである。ここがPC5に設定されている。
途中241km地点に休憩ポイント3を設定していたがボトルの水もまだ十分にあったのでスルーした。


 菅平まで22km、日も暮れてナイトラン開始。

 菅平までの登りが始まる。序盤から勾配は結構きつい。このルートもBRM629で走っているので何となく憶えている。
 ちょっと疲労感が出てきたし喉も乾いていたので、予定していなかったBRM629のPC地点のコンビニで休憩を入れる。

 水分だけと思っていたが、マンゴープリンが目に留まり無性に食べたくなったのでうっかり手に取ってしまった。店長と思しきレジの女性がBRM629の時のことを憶えていてくれて、会話を交わす。菅平高原には大雨洪水警報が出ているとのこと、ちょっとビビる。

 のんびり休憩して再スタート、直ぐに登りを再開する。
 雨は降っていないのでひとまずは安心。勾配はきついが暗いので先が見通せなくてそれと分からず心理的には楽だし、何より日中の強烈な日差しがないので走り易い。菅平の登りは夜の方がいい感じだ。


 270km地点のPC5菅平高原に到着、チェックタイムは20:39。前回よりかなり楽に上る終えることができてほっとした。

 前回同様、ジュースを一気飲み。旨い!

 これで今日の登りは全て終了。後は上田市街まで一気に下るのみだ。

 菅平の街中は合宿中の学生と思しき連中がたくさんいて、時折道の真ん中をぷらぷら歩いているので危ない。向こうは自転車が走ってくるなんて全く想定していないだろうからこちらが気を付けて避けなければならない。つまらない所で神経を使わされる。

 菅平の街を抜け、下りが始まる。結局雨は降らずに路面も殆ど濡れていないので問題なく走れるのはありがたい。ここでは夜間にもかかわらず結構下りの恩恵を受けることができた。
 どんどん下ってあっという間に上田市街に到達。目指す宿は292km地点の左折ポイントの直ぐ傍だ。

 程無く宿に到着、到着時刻は21時半を過ぎたあたり。チェックインしてウェアを脱ぎやっと楽になった。まずは近くのコンビニに弁当を買いに行き、それから温泉に入る。汗を流してすっきり、大浴場には泡風呂が充実していて脚やら腰やらを癒す。極楽極楽!!600km以上のブルベの際、中日にちゃんと宿で風呂に入り布団で寝ることは私的には絶対欠かせない。でないとひ弱な私は翌日絶対に走り出せない。

 温泉で癒された後、買ってきた弁当を食べつつ持参のタブレットPCでツイッターをチェック。たくさんのメッセージが入っていて嬉しくなる。個々に返事をしたいところだがどうもWi-Fiの電波が弱く途切れてしまう。最近Wi-Fi設置を謳っている宿は多いが、駄目な所も結構多い。諦めて身体の手入れ、尻の患部にオロナインを塗り込み、両脚に医療用のコンプレッションタイツを履く。履くとバレエのダンサーみたいになるのがいただけないが、ブルベ途中の疲労回復には欠かせない。
 現状では尻の痛み以外に故障個所は見受けられない。疲労感は意外に少ない感じだ。何より今日は一度も脚攣りは発生しなかった。益々前回の千葉200のコンディションの悪さが際立つ。

 翌朝の起床時間を4:30に設定して11時半に消灯。