SR600Mt. Aso/Report 5:ゴール翌日/総括

[目次]

帰宅まで

 5/3(金)、5時過ぎに目が覚めた。昨夜は20時前後に寝落ちして何度か目を覚ましつつもこの時間まで寝た。昨夜はこれでもかという位無茶苦茶な設定の夢を5本立て位観て我ながら自分の脳の想像力に感心している。疲れている時にはたいてい無茶苦茶な夢を見るのだが昨夜もかなり疲れていたということだろう。昨日ゴールした後は身体的ダメージはそれ程感じなくて割と余裕だったなあと思っていたけれど、一晩寝て起きてみたら歩くのが億劫な程に全身ガタガタでSR600相応のダメージを負っていた。この後熊本空港まで自走だが2kmの坂を荷物を背負って上れる気が全くしない。

 6時半になったの1階の朝食会場に向かう。

 朝食はバイキング形式で和食を選択、家庭料理的な総菜の種類が豊富でどれもとても美味しいのでたくさんお代わりをしてしまった。予約時は素泊まりだったのだが昨日チェックインする時に朝食を追加しておいて正解だった。

 食事を終えてエレベーターに乗ろうと思ったらこんなことを言われてしまったので仕方なく階段で5階まで上る。身体バキバキでなかなかにしんどい。

 今朝の熊本は快晴。気温も低めでとても爽やか。スタートからゴールまでこの天気だったら最高だっただろうが、まあブルベはだいたいこんなものだ。最終的に完走してしまえば何でもよい。帰りのフライトは13時なのでホテルにはチェックアウトまでいることにする。午前中のフライトがタッチの差で取れなかったのは痛かった。あと2時間ゴロゴロして過ごす。

 10時前にホテルをチェックアウト。スタート地点から物凄く近いし部屋は広いし自転車を部屋の傍まで持って上れるしご飯は美味しいしとても居心地が良く文句なしのホテルだった。もし次にまた来ることがあればまたここに泊まりたい。

 荷物を背負い覚悟を決めて熊本空港に向かって走り出す。

 肥後大津駅傍のホテルから熊本空港までは7.2km。2.3kmで平均勾配約6%の坂が勝負所となる。果たしてSR600を走ってガタガタの身体で10kg近い荷物を背負って上ることができるのか?

 0.3km、肥後大津駅を通過。看板には阿蘇くまもと空港駅と大きく書いてあるけれどこっちの方が正式名称なのかな?

 0.4km、スタート&ゴール地点のコンビニを通過して国道57号を横切る。

 住宅街を抜けていく。それ程大きくない街とその傍の住宅街の感じが昔住んでいた熊本県玉名市の雰囲気に似ている。これが懐かしい雰囲気を醸しているのだろう。

 住宅街を抜けると麦畑。もう収穫直前な感じ。

 昨日走った草千里の開放感にはかなわないけれどこの麦畑の開放感もなかなかのもの。10分程自転車で走ってみたが身体ガタガタの割には案外普通に乗れるのでちょっと拍子抜け。空気も爽やかで気持ち良い。

 2.3km、左折して国道443号に乗る。

 往路と同様国道443号は交通量が多い。

 3.3km、県道202号を横切るといよいよ上りが始まる。

 これが熊本遠征最後の上り、有終の美を飾れるかな?

 7%位の橋をぼちぼち上っていく。シッティングでもインナーローで脚を回せば何とか行けそう。

 4.0km、菊陽町に入ったところで登坂車線が始まった。

 4.6km、勾配が10%近くになってきつい。ここが踏ん張りどころ。

 200m程で急斜面が終わって5%程度に戻った。何とか乗り切ったか。

 5.7km、阿蘇くまもと空港方面に左折、ここで上りは終了。やった、何とか乗り切った。

 ちょっと下って滑走路下のトンネルをくぐっていく。

 6.8km、左折するとすぐに阿蘇くまもと空港。

 空港が見えた。

 10:34、阿蘇くまもと空港に到着。これにて熊本サイクリングは全て終了。ほっとしつつバイクパッキングに取り掛かる。

 もたもた作業して30分ちょっとでパッキング完了。腰が痛い。

 チェックインからのバイクの預け入れはすんなり完了。フライトまでは1時間半あるので余裕。

 空港内をうろうろしつつ熊本遠征最後はラーメンで締めたいと思いラーメン屋を探す。前回熊本空港に来たのは2020年のBRM126熊本200だがその時と随分印象が違う気がする。できたばかりの様な真新しさを感じる。フードコートは保安検査場を通過した後の搭乗口ロビーにあった。

 フードコートのラーメン屋は味千と桂花の相乗りの店だったが何となく味千を選択。まあ普通に美味しかったが昨日食べた大津のラーメン程の感動はなかった。

 13:10のフライトまで搭乗口の前の椅子に座って待つ。案内表示にもくまもん。遅延表示はくまもんが謝っているのが微笑ましい。

 搭乗口ロビーのフードコートや土産店がここまで充実している地方空港はちょっと珍しいのではないか。やはり最近リニューアルされたのではないかと思う。

 定刻に登場開始。

 今日乗る飛行機。

 さらば熊本空港。次に来るのはいつだろうか。

 この3日間走り回った九州の山々を見下ろす。走っている時の記憶が何となく蘇ってきて、楽しかった印象が強く残るSR600阿蘇だった。何となく後ろ髪を引かれる感じも九州人ならではというところか。

 14:37、あっという間に東京湾上空。着陸態勢に入る。東京も快晴で遠くにスカイツリーが見える。

 14:40、羽田空港に着陸。定刻通り。

 地方空港にはないこのスケール感が如何にも羽田空港という感じ。

 降機してから到着ロビーに移動する通路を歩いているうちにあっという間に現実世界に引き戻されるのはいつものことか。

 手荷物受取場に来た。輪行袋が出て来るのが遅いとリムジンバスに間に合わない。

 と思ったら回転台が回り始めたと同時にあっという間に出てきた。最近羽田では輪行袋は回転台の傍ではなく特殊手荷物カウンターに運ばれてくることが多いので最初からそちらで待つ方が良い。

 のんびりとリムジンバスのチケットを買って乗車口には20分の余裕を持って到着。

 外は風がかなり強い。

 予定通り15:35発のリムジンバスに乗車。ここまでは完璧に事が運んでいる。

 バスに乗ってひと眠りできるかと思ったが、眠気が来ないので車内wifiに接続してスマートフォンでネットを徘徊しながら過ごす。以前からメガネのレンズの内側下に脂が付着するのが気になっていて、かけている時は頬に当たっていないのに何故だろうと不思議に思っていたら手前のものを見るためにメガネを持ち上げた時に額に当たっていたことに今気がついた。こんなところで長年の謎が解けるとは。

 17:07、所沢駅に到着。首都高も外環も渋滞は全くなくロスタイムがなくこれなら鉄道移動と時間的には変わらないので乗り換えのないリムジンバスの優位性は圧倒的だ。

 ここで輪行解除して自走で自宅に向かう。自転車には特段の問題はなく一安心。

 17:45に帰宅。これにて熊本遠征は無事終了。

総括

 SR600については私的に10種10本というアワード獲得を目指しているので、過去に走ったことのないコースを選んで走ることになるのだがこのコース選びが徐々に難しくなっている。SR600のコースの難易度は単に獲得標高差の数値だけでは判断できない様々な要素で決まってくる。まずは山岳の厳しさだが上りは勿論だが下りが厳しいと上りと同じ様にタイムロスが発生するので厳しさが倍増する。次に仮眠ポイントの設置場所を含む走行プランが立てやすいかどうかだが、私的に日中走って夜は寝るという通常の生活サイクルを維持できるレイアウトに仮眠宿が見つけられなかったり、そもそもコース上に仮眠宿が余りないものも存在するのでこれも重要なファクターとなる。そして走行可能期間も重要で、山岳部の走行可能期間が短い場所だと期間が限定されるのも難易度を左右する。もうひとつはコースの災害耐性だが、これは走行中の予期せぬ大雨等でルートが通行止めになって迂回が困難になる場合にDNFするしかないというリスクが高いコースは必然的に難易度が高くなることになる。これらを全て考慮して私的には総合的な難易度の低いコースを選んでエントリーしてきているので必然的に残り少なくなるにつれて難易度が上がって来る。

 今回のSR600阿蘇に関していえば上記のコース選択の中にあって初日の仮眠宿の設定が難しかったものの九州ということで走行可能期間が長いということで比較的エントリーし易いという認識だった。しかし、去年エントリーした段階では自然災害による通行止め区間の影響で走行中止の状態が続いていたので当初予定の今年のゴールデンウィークに果たして走れるのか懸念されたが、4/1に再開されて無事に出走することができた。

 まず走行プランについては初日の設定が難しく距離でいけば椎葉越を超えた後に設定することになるのだが難易度の高い最高標高地点を夜に越えることになるので椎葉越の手前で仮眠するかでかなり悩んだ。最終的には夜の椎葉越のリスクを取ることで獲得標高と走行距離でバランスの取れた240km+240km+120kmの2泊3日という理想的なレイアウトにすることができた。

 実際に走って見ての感想だが、まず、全般的に”勾配7~8%”の上りが殆どだったという印象が強く残っている。標高が高く長い上りが続くはっきりとした山越えが多かったがその主要部分が7~8%だった様に思う。関東在住の私の守備範囲で言えば定峰峠はあまりなく白石峠ばかりだったという感じだ。タイムアタックする白石峠はかなりきついが時間を気にせず無駄に脚を削らない様なペースで何度も白石峠を上っているとそのうち順応してくるという感じで進んでいくうちにこの勾配が当たり前になってきつく感じなくなっていた。この勾配に慣れてしまえばコースの大半は素直な上りばかりで上り易かったと思う。ただし椎葉越と椎葉村の後の迂回路とPC10の手前の迂回路は別だ。椎葉越は公式ホームページに記載の通りの荒れ具合で普通に考えれば通行止めのままだろうと思う状態だったので夜間は勿論のこと昼間の走行も慎重に慎重を重ねて上るべきだろう。そして椎葉村の後の迂回路とPC10の手前の迂回路は激坂であるだけでなく車の往来があるので注意が必要だ。

 全般的には市街地走行は殆どなく交通量の多さによるストレスを感じることは殆どなかった。上りも平地も信号が少なく非常に走り易かった印象がある。私的には今回1日目2日目はかなり雨に降られたがそれを打ち消して余りある走り易さだったと思う。そして最終日はそこそこ獲得標高差を残してはいるが阿蘇外輪山の広大な自然を十分に堪能できる道の連続でサイクリングで楽しむには最上のルートだと思う。これを終盤に持ってきて下りのままゴールになだれ込むというコースレイアウトは相当に秀逸だと思う。全体を通して緑深し九州の山岳部のダイナミックな風景と阿蘇草千里の開放感溢れる広大な風景の両方を存分に楽しめるコースはかなり贅沢。

 スタート・ゴール地点の肥後大津は阿蘇くまもと空港から僅か7kmちょっとの距離なので空港で輪行解除して自走で行くことができるので全国からの参加者が集まり易い立地条件だと思う。

 総じて、走り終えた翌日には身体はそれなりにガタガタになっていたにもかかわらずまた走りたいと思ってしまう程の後味の良さだったし、今もこの文章を書きながら今まで走ったSR600のコースの中でもう一度走るとすればこのSR600阿蘇を選ぶだろうと思っている。それ程に良いコースだったということで総括としたい。

 

 さて、次のブルベは我がオダ埼清水班のBRM525埼玉600アタック二本松。当日実走の予定だが次回詳報の予定。