Paris-Brest-Paris 2015/レポート16:13th Stage/Villaines-la-Juhel - Mortagne-au-Perche(81km/1090km)

 8/19、15:40にVillaines la Juhelを出発。沿道の大観衆の中をスタートして行くのはまるでステージレースの個人TTのスタートの様な気分になる。


 Mortagne-au-Percheまでは81km。4時間あれば行けるだろう。


 往路で夜にここを通過した時、壁の自転車は光っていた。

 Avertonの街を出たら登りが始まった。

 道沿いの家にはアジサイを植えている家が多い。ここの家のは日本でもよく見かける明るい色の花だが、他の家ではもっと深い色の青や紫の花が多くシックな色合いが印象的だった。

 往路では暗くて全く見えなかったが、広大な農地が広がっている。

 着の身着のまま、眠くなったら寝る。ランドヌールのたしなみ。

 ひまわり畑。花盛りの季節は過ぎて皆頭を垂れている。最盛期はやはりツールの頃か。

 真っ直ぐな道を快調に走る。脚が回るに任せていたら巡航速度は35km/h近くまで上がる。心拍はそれ程上がっていないのでもしかしたら追い風なのかも知れない。

 La Hutteの街を過ぎて線路を越える。シンプルな踏切。

 広大な丘が幾つも連なり、真っ直ぐな道が緩やかに越えていく。4年前は朝日の中を走っていたが夕刻の風景はまた違った印象だ。

 見渡す限り一面のひまわり畑。

 緩やかに登って丘を越えると更に先に丘が見える。それがずっと続く。前回は朝だったのでそれ程でもなかったが今回は車通りが結構多い。

 往路で写真を撮り損ねた、灯篭の様に光っていた道標はこれだろうか。パリまで177km!ここから10時間も走ればパリにゴールしてしまうのか。もうそれだけしか残ってないのかと思うと、まだゴールしたわけではないのに名残惜しさが湧いてくる。ここまで1000kmを走ってきたが、こんなに心身共に余裕を持ってここまで来れるとは全く予想していなかった。いや、この先まだ何が起こるか分からない。必要以上に気を抜かない様に慎重に走らねば。

 Saint-Remy-du-Valの街が見えてきた。

 街を抜けて、ラウンドアバウトでナビと違う方向に前走者が進んでいくので戸惑ったが、ラウンドアバウトを一周してオフィシャルの矢印看板を確認、ナビのルートが違っていることを認識して矢印の通りに進む。

 真っ直ぐな道はまだまだ続く。

 Mamersの街に入る。街中で久し振りに信号待ちで止まった。前にいた3人のライダーのうち、両側の人が赤信号が変わらないうちに走り始めたので真ん中の人が凄い勢いで怒鳴って叱っていた。ちょっとびっくりした。PBP走行中、信号を守らない人はかなり多いが、ここまでガツンと叱り飛ばす人は初めて見た。

 Saint-Jouin-de-Blavouの街の私設エイドステーション。看板の人の絵が面白い。

 Parisまであと150km。残り距離がどんどん減っていく。

 あの丘の先がMortagne-au-Perche。今日のゴールは目前。

 この道を進むとゴールへの最終アプローチ。最後に長い登りが待ち構えている。この頃になって右膝に微妙な痛みが出始めていたので無理せずに登っていく。

 19時過ぎ、Mortagne-au-Perche着。このPCも往路と同じ様にかなりの大賑わい。まずはコントロールに向かう。

 チェックタイムは19:08。

 ゴールまであと141km。物凄く近く感じる。
 まだ日も高く疲労度合いもそれ程でもなかったので次のPCまで行ってしまおうかとも思ったが、ここまでプラン通りに走ってうまく行っているので予定通りここで仮眠を取ることにする。
 ここではオフィシャルの仮眠施設を利用するつもりだったので、食事の前に場所を確かめようとホールを歩き回って探してみるが見つからない。一旦外に出て周りを見回してみたら、本館の横の建物にあった。
 場所を確認して再びホールに戻ってフードコートの長蛇の列に並ぶ。

 マッシュポテトをたっぷり盛ってもらい、ポークのソースをかけてもらって食べると旨い。カットフルーツのシロップ漬けはいつの間にか欠かせないアイテムになっていた。
 食事が終わって仮眠所に向かう。入口で料金を払う。仮眠のみが3ユーロでシャワー付きが4ユーロ、勿論シャワー付きにする。受付の際に起床時刻を予め伝えておき、その時刻になったら起こしに来てくれるシステム。4:00出発予定なので3:30に御願いする。係の男の子に案内してもらって体育館の様な広いホールに入る。

 もっと混んでいるかと思ったが利用者は意外に少ない。

 マットレスは大人一人が横になれる幅しかないが横になってみればそれ程狭くは感じない。薄いマットだが私的にはそれ程支障はない。隣との距離はそれ程窮屈ではない。予想していたより酷くはなさそうだ。建物の中は寒くはなく毛布一枚でも問題なさそう、寝袋の必要はなさそうだ。
 シャワーに行く。ここではボディーソープをもらえたのできっちり汗と汚れを洗い流してすっきり。
 寝床に戻って、両膝に薬を塗ってコンプレッションタイツを着ける。尻の痛みは殆どないのでオロナインH軟膏は塗らない。今回はまだ1度もオロナインを使っていないというのも想定外のダメージの無さだ。荷物を整理して、モバイルバッテリーにビデオカムを接続して充電、腕時計のアラームを3:00にセット。係の人に起こしてもらうのはあくまで保険だ。
 一通りの作業を済ませて横になる。消灯時刻は21時前、6時間近く眠れそうだ。
 いざ眠ろうとすると周囲のいびきが気になる。仮眠所に入った時はそれ程感じなかったが、ぼつぼつ利用者が増えてきた様で、あちこちからいびきが聞こえてきて、まるで田んぼの真ん中でカエルの鳴き声を聞いている様だ。この状況を予測してインナーイヤーヘッドフォンを持ってきていたので耳に突っ込んで寝る。しばらくうつらうつらしていたがいつの間にか眠りに落ちた。就寝時刻は21時半頃と思われる。