SR600Mt. Aso/Report 1:スタート前日まで

 10日間のゴールデンウィークも今日が最終日。朝から天気は今一つでまだSR600阿蘇の疲労が抜け切れていない感じなので今日もスパッと割り切って完全休脚日にして午前中に冬物一掃の洗濯をして献血に行ってうどんを食べて帰ってきて昼寝してSR600阿蘇のブログを書きつつのんびりしている。今年のゴールデンウィークはSR600を計画通りに完走で来たし矢野顕子の初コンサートに行くこともできたし心身共に充実した時間を送ることができた。この時間を過ごしてみて改めて思うことは、人間60歳まで働いたらスイッチを切り替えるように引退して、まだ身体も動くし思考も回るうちに好きなことをして充実した時間を積み重ねてやり残したことがない様に人生の終焉に向かうというのが良いとつくづく思う。社会構造的にも個人が働いて社会を動かし稼いで貯める時間帯から遊んで消費して社会に貯えを還元する時間帯に移行していくことでこの国の社会は維持発展していくことになる。今の日本社会は大多数の庶民が死ぬまで働かなければ暮らしていけない程の経済状況に置かれて消費機能が全く果たされない。この状況を改善しなければ個人の幸福は勿論のこと社会全体の幸福度がどんどん下がって日本社会は荒廃しつつ委縮滅亡に向かってまっしぐらだ。他者はともかく俺自身は何とか早くリタイヤして消費する側に回れる様に、60歳定年は無理だとしても年金支給開始年齢の65歳には引退するためにあと7年間必要な努力をすることを目標とすることを改めて確認することでゴールデンウィークの締めとしたい。

 そんなわけでSR600Mt.Asoの走行レポートを書き始める。

 

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[目次]

序章

 去年の10月にBRM600km8000mupのコースとなる我がオダ埼清水班のBRM1028埼玉600アタック北信を走ったのだが、多少雨に降られたものの予想以上に苦戦して仮眠ホテルに立ち寄ることができず夜通し走り続けて38時間半で辛くも完走という結果となった。これが今の山岳ブルべの自分の実力だと否応なく認識せざるを得なくなって、SR600をランドヌール部門で走れるのもそろそろ終わりかなということでSR600十種十本まであと2本走って終わりにしようという目標を決めた。あと2本、どのコースを選ぼうかと思案し始めたが1本は以前からこれは絶対走りたいと思っていたR熊本さんのSR600阿蘇に直ぐに決まった。

 SR600阿蘇はその名の通り阿蘇を始め熊本・宮崎・大分にまたがる九州の真ん中の山岳地帯をめぐるコースだ。

 最高標高地点となる椎葉越の1480mをはじめとする1000m級の峠が幾つも出てくる正統派ストロングスタイルのSR600らしいレイアウト。獲得標高差は公式数値で12750mとなっている。私的には九州出身ということもあって阿蘇や九重には色々な思い出があり自転車で走りたいという思いがとても強い。過去にブルべで阿蘇を走ったことはあるがその時は夜間だったこともあり風景が全く分からなかったのでいつかは日中の草千里を走って広大な風景を堪能したいとずっと思っていた。

 あとはいつ走るかだが2024年は最大の目標である1001Migliaが8月にあるし7月はオダ埼清水班で1000kmを開催するので必然的に5月のゴールデンウィークというところで落ち着いた。来年のGWは4/27~5/6の10連休だが走行前後の休日の配分を考慮して4/30~5/2とすることに決定し、12/1に申し込みをした。年が明けてしばらくしてからぼちぼちフライトと宿を押さえつつ走行プランを練っていき最終的には下記の様に落ち着いた。

<1日目>

 今回の走行プランも私的なSR600コースプラン作成の基本原則である240km+240km+120kmで日中走って夜寝るという2泊3日を念頭に置き、スタート時間を6時として作成した。

 1日目は肥後大津駅をスタートして椎葉村まで行く239.8km。獲得標高差は5000mと初日が一番重く且つ最高標高地点の椎葉越を終盤で上ることになる。椎葉越を上る頃は日が暮れて夜間の難所越えになることからここが今回の最大の山場と認識する。

<2日目>

 2日目は椎葉村をスタートして別府まで行く247km。獲得標高は4000mだが前半に山はなく後半に上りが集中していることからペース配分に気を付けなければならない。

<3日目>

 3日目は別府をスタートして肥後大津にゴールする117.3km。最終日に獲得標高2400mを残しているのはかなり重い。2日目までに疲労を溜め込まない様に走ることが要求される。勝負は中間地点の牧ノ戸峠までと定めてここまで走ることができる脚を残しておかなければならない。これをクリアできれば完走が見えてくる。

 1日当たりの走行距離でいえば上手い具合に仮眠宿が見つかって目論見通りの距離分割ができたし、休憩ポイントも50~70kmの間隔で配置することができたので総じて理想的な走行プランができたものと考える。これは出走前の精神的な安心材料としてもとても有効だ。

 4/27からゴールデンウィークに突入、バイクのチェーンとリアブレーキシューを交換しつつ念入りに整備し天気予報を睨みながら装備の準備を進めた。

スタート前日

 4/29(月)、5時過ぎに起床。まずは天気予報をチェックして最終装備を決めなければならない。昨日までの予報は良くなったり悪くなったりを繰り返していたが結局3日のうち初日と2日目は終日ではないものの雨予報になってしまった。気温は3日目の最低気温が一桁後半になったので、ウェアは半袖ジャージにレーパンを基本にアームウォーマーとレッグウォーマー、そしてレインウェア上下を持っていくことにした。そして泥除けも前後持っていく。装備をパッキングしてバイクを輪行袋に詰めて最終的に出発準備が整ったのが出発15分前。ぎりぎりになるのはいつものことだが何か忘れ物をしていそうで落ち着かない。

 8時過ぎに自宅を出発。輪行袋を抱えて最寄り駅までの1kmを徒歩で行く。

 最寄り駅に到着。ここまでが移動で一番疲れる。

 電車に乗ってリムジンバスに乗るべく所沢駅に移動する。今回はフライトにちょうど良い時間のリムジンバスがあった。

 所沢駅東口のリムジンバス乗り場に到着。例によって予約をしていなかったが待ち人数は大したことはなかったので今日も問題なく乗れそうだ。

 9時発の羽田空港行リムジンバスに無事乗車。関越・外環・首都高経由で羽田空港に向かう。

 途中高速の渋滞は全くなく10:20にすんなりと羽田空港第2ターミナルに到着。

 ゴールデンウィークにしては混雑は予想していた程ではなかった。今日のフライトはソラシドエアーなので第2ターミナル出発ロビーの左端まで歩いていく。

 ソラシドエアーのチェックインカウンターに到着。係員の案内で自動チェックイン機でチェックインした後カウンターには行かずにそのまま隣のANAの大型手荷物カウンターに行く。

 列は全くなく輪行袋内の検分もあっという間に終わってバイク預け入れはすんなり完了。

 羽田に着いてから15分位でバイクの預け入れが終わってしまった。フライトは12:15なのであと1時間半以上ある。ゴールデンウィークだからさぞ時間がかかるだろうと予測していただけに拍子抜け。特にやることもないのでそのまま搭乗口に向かう。

 お腹が空いたので何か食べようと思うが空港だと何でも高い。そんな中にあってこのパンやおにぎりの自販機はコンビニと同じ値段なので貧乏人の強い味方。

 搭乗口に到着。

 待合席に座ってパンを食べ、持ってきた文庫本の三体を読みつつ時間を潰す。

 今日乗る飛行機。

 11:50から登場開始。定刻通り。

 搭乗率は7~8割といったところか。

 随分と大掛かりな工事が行われている様だがこれは新しいターミナルを作っているのだろうか。

 定刻通り12:15に出発。ソラシドの機内サービスのwifi経由のIFEを試してみるが問題なく接続できて特にバグもなく動作していた。

 あっという間に熊本上空に到達。

 14時に阿蘇くまもと空港に着陸。路面は濡れているが雨は降っていない様だ。

 預入荷物を降ろし始めたところが見えたが一番最初に私の輪行袋が出てきた。縦乗せの様で非常に丁寧に扱われているので安心した。こういうのを見るとまたANAに乗ろうという気になるね。

 阿蘇くまもと空港に降り立つのは2020年のBRM126熊本200以来2度目となる。

 手荷物受取場に行くと輪行袋は既に出てきていた。早いね。

 空港の外に出てみるとやはり雨は降っていない。これなら自走でホテルまで行けると輪行解除できる場所を探す。

 空港ビルの右端まで行って輪行解除開始。

 20分程でバイクの組み立て完了。飛行機輪行のダメージはなさそうで一安心。

 阿蘇くまもと空港からスタート&ゴール地点のJR肥後大津駅のすぐ傍のホテルまでは7.7km。下り基調なので30分もあれば着くだろう。

 空港を出発して緩々と走り始める。Tシャツと半パンで来たがかなり涼しく感じる。20℃は超えているはずなのに予想外。

 阿蘇・菊池方面に右折して空港敷地を出ていく。

 0.8km、阿蘇・菊池方面に右折して県道36号に乗る。

 1.0km、滑走路のアンダーパスに入っていく。菊陽町に入った。

 1.8km、アンダーパスから出て阿蘇・菊池方面に右折して更に県道36号を進む。

 まっすぐな長い下りを快調に下っていく。結構な勾配なので空港に戻る時にここを荷物を背負って上り返すのは難儀しそうだ。

 下りを終えて県道36号から国道443号に遷移して更に直進する。

 5.3km、右折して国道443号を離脱。車通りが多いのでなかなか曲がれない。

 曲がって車通りがなくなった道をのんびりと進む。麦畑の向こうに見えるのは肥後大津の町並みか。

 6.0km、止まれを左折して更に麦畑の中の道を進む。風景が何となく九州の雰囲気。

 7.1km、国道57号を横切って肥後大津駅方面に進む。交差点の角にあるコンビニがスタート&ゴール地点となる。

 7.4km、JR肥後大津駅を右に見ながら左にカーブしていく。ちょっと大きめのローカル駅といった風情。

 7.5km、踏切を渡ってすぐに今回の前後泊のホテルが見えてきた。

 15:10に無事ホテルに到着。30分足らずの自走は楽々だった。SR600阿蘇は空港からのアクセスがとても楽なので全国から参加者が集まり易いと思う。自転車を降りた途端に暑くなって汗が噴き出してきた。やはり九州は暑い。

 チェックインする時、こちらから質問する前に自転車を持って上がりますか?と聞かれた。多くの自転車客が宿泊している様で恐らくSR600阿蘇の参加者の多くがここを利用していることが窺い知れる。

 部屋に入ってほっと一息。和室は結構広くて居心地が良い。

 部屋の前にうまい具合に他の宿泊客の邪魔にならないスペースがあってバイクを置くことができた。ここまで思う様に事が運んでいる。

 ここのホテルには大浴場があるが男女の交代制で17:15まで待たなければならないので、部屋のユニットバスで汗を流す。風呂から上がって畳に寝転がってしばし休憩。箔早くに現地入りするとゆったり準備できるのでとても良い。

 お腹が空いてきたので夕暮れ前に先程確認したスタート地点のコンビニまで歩いて今日の夕食と明日の朝食を買って戻って来た。

 早めの夕食を摂ってまったりしていて眠くなってきたので20時過ぎに床に入る。ホテルの部屋から駅の横の踏切の遮断機の音が時々聞こえるのだけれど、子供の頃に福岡の片田舎の父方の実家に行った時に直ぐ傍のローカル線の踏切の音を夜に聞いた時の懐かしさを思い出した。もう50年近く前の記憶だ。今は実家もローカル線もない。そんなことを考えているうちに眠りに落ちた。消灯時刻は21時頃。