9/18、1:30にアラームで起こされる。ちと眠いが5時間以上は眠れたのですんなり布団から出られた。温泉に入った御蔭で疲れはかなり取れている。更に尻の皮の痛みは劇的に改善していてオロナインとボルダースポーツを塗る際にも痛みを殆ど感じない。これは相当な朗報だ。手の平もかなり痛みは引いている。
外は強めの雨が降っている。気温も低めでこれから阿蘇に登ることを考えると更に寒くなりそうなのでレインジャケットを着用する。
最終日は菊池から菊池渓谷を経て外輪山まで登り草千里を走って最後に瀬ノ本高原まで登り切りそこからひたすら下り基調で日田・甘木・筑紫野を通過し飯塚にゴールする181km。瀬ノ本高原までは50kmだが最初の外輪山までの23km標高差850mを失速なくこなし切れば時間内完走はほぼいけるだろう。
ホテルの入り口で出発準備をしていたら、目の前を一人のブルべライダーが通過していった。皆まだまだ頑張っている。予定通り2:00に出発、目の前のコースに復帰しすぐさま登坂開始。
距離は長いが勾配はそこそこなのでとにかく一定ペースで登っていく。尻の痛みがほぼ消えているのは本当に有難い。手のひらは微妙痛むが、両脚も問題なく特に膝の痛みは今回は全く出ておらず、身体的トラブルはほぼないと言ってもいい。睡眠もしっかり取れているのでかなり早い出発でも問題なく走れている。
山間部の登りは真っ暗で小雨も降り続いており周りの景色は全く分からない。沢と並走しているはずなのだが時折水の流れは聞こえるものの全く見えない。ヘッドライトの明かりだけを頼りにひたすら登る。
途中、菊池渓谷の駐車場の電話ボックスの中で仮眠中のブルべライダーを見つけた。やはり今回のこのコースでの走行プランは難しい。
しばらく走っていると前方から明るいヘッドライトを灯したサイクリストが一人下って来た。「おにぎり入りませんか?」と声をかけられたので、てっきり巡回のスタッフさんだと思いこんな所を巡回するなんて凄過ぎるサポートだなあと思っていたのだが、後で聞いたらDNFしたブルべライダーさんが帰宅途中だったということだ。
ひたすら登っていると周りの木々が徐々に少なくなってきた。草千里はもうすぐだ。空は真っ暗なので視界のかろうじて利く両側の雰囲気だけが様子を知る手がかりだ。
2時間近くかけてようやく勾配も緩くなり開けた場所に出た。どうやら外輪山に到達した様だ。ここから一旦下り基調で外輪山をひた走る。時々下界の夜景の光が見える。
今回は阿蘇の爽やかな草千里を走るのが楽しみの一つだったが、走行プランをどうひねっても明るいうちに走るのは難しく、実際に夜明け前の真っ暗な中での走行となった。せめて空が晴れていれば満天の星空を満喫できたのだがそれさえも叶わず、今年のブルべは要所でことごとく天気に嫌われていることを改めて思い知った。
瀬ノ本高原まで後1時間。
草千里をひとしきり走って再び両サイドに木々が出てきた。瀬ノ本までの最後のアプローチの登りが始まる。遠くの空が何となく白み始めようやく夜が明け始めた。
小一時間走った所で前方に信号機が見え、その横にレストハウスらしき建物が見えた。ナビにも通過チェックポイントが表示されている。
870km地点の通過チェックポイントに到着、チェックタイムは5:28。
数名のスタッフさん達が立派なサポート基地とともに待機していた。他に数名の先着ライダーさん達も休憩していた。
シン3さんも先着して休憩中だった。(スタッフさん撮影)
コーヒーなどを頂きながらしばし休憩・談笑の後、夜明けと共に再スタート。ここから先は30km程をひたすら下る。
次のPCまで約90kmでクローズタイムは10:41、持ち時間は4時間半だが下り基調を考慮すればノートラブルで十分に間に合う計算だ。
早朝で車通りのない道を快調に下る。
途中、瀬の本ユースホステルを通過。ここは大学のサークルで合宿した思い出の場所、昔と変わらない建物や風景にちょっと感動した。
どんどん下る。
夜が明けて青空も見えてきた。最終日は気持ち良く走れそうだ。
一路、日田を目指す。
川沿いのダイナミックな風景の中を走る。再び雨がぱらついてきた。
快調に下りをこなし、日田に入る。
道路標識に福岡の文字が。ゴールが近付いてきた。
日田市外に入ると車通りが格段に増えた。今日は平日なので通勤ラッシュの時間帯だ。
日田市街を抜けて、街中の幹線道路を平地基調でひた走る。今までの自然の中の道とは様相が一変する。ゴールが近付いているのを更に強く感じる。
962km地点のPC10に到着、チェックタイムは9:28。
残りは40kmで4時間以上の持ち時間、もう完走は間違いないだろう。
最後のPCで最後の補給。九州地区限定。
全行程の全てのPCのレシートとブルべカードが入ったクリアフォルダ。もし1枚でも欠けていたら…と思うと怖くてこの場所では中身を確認する勇気はない。
小休止の後、再スタート。いよいよゴールへの最終アプローチだ。
走り始めて程無くして、スタート前に見た登りにいよいよ突入する。車でも結構きついイメージだったが実際に自転車で登ってみると更に勾配はきつい。最後の最後でこれはないだろうって感じだがとにかく登る。昼前の日差しが照り付け、汗をだらだら流しながらえっちらおっちら登る。
30分程の格闘の後、無事制覇。飯塚市に入る。
今度は一気に下って飯塚郊外の幹線道路をひた走る。
ゴールまでいよいよ後5kmの所まで来て、またしても登り。これでもかっておまけを付けてくれて心底嬉しいぜ。
セミの鳴き声の森の中をせっせと登って今度こそほんとに最後の峠を越えた。
峠を下って直ぐに幹線道路に出て左折をしたらスタート地点の筑豊ハイツの建物が見えた。
無事にゴール!(スタッフさん撮影)
何とか生きて戻ってきた。その場に居合わせたスタッフさん達に祝福の言葉を頂く。
このバスの中でゴール受付。恐る恐るブルべカードとレシートの束を渡すが「日南のPCのレシートがありませんねえ」と言われた時は心底肝を冷やした。ちゃんとあったから問題なかったけど。
ゴールタイムは11:43、認定完走タイムは72時間43分だった。
何とかかんとか走り終えた。
まずはコーラで祝杯。
全行程のレシートの束。プライスレス。
1000kmを走り切ったバイク、物凄い汚れ。
掃除をするのが大変だ。
とりあえず傍の水道でバイクを簡単に洗って輪行バックに詰め、今度は筑豊ハイツの温泉でエンジンを洗う。極楽極楽。
スタッフの皆さんに挨拶をしてその場を後にする。
帰りもコースをトレースしながら実家に戻る。途中、ゴール地点を目指すライダーさん達に何人もすれ違う。心の底からエールを送った。
takatoriさんとtakuya_aさんも無事戻って来た。完走オメデトウ!
実家に戻って車を返し、その日のうちに飛行機で東京に戻る。
帰路、1000kmを振り返って見る。1000kmを走り切った充実感・達成感は勿論たっぷりあるが一方で台風16号の最中をリスクを承知して(承知せずに?)走った判断はどうだったのかという疑念があって少々複雑な心境だ。
23時過ぎ、自宅に無事に帰還。荷物もそこそこに寝た。
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台風の中を自転車で走ることは確かに無謀だ。もし事故が起こっていれば世間一般の常識に照らせば非難されても仕方のないことであり、それが何かのイベントであれば主催者の責任も問われてしまう。
ブルべは自己責任が大原則である。主催者と言ってもそれはブルべライダーの集合体だから、やはり参加走者一人一人が自分に責任を持って判断するということしかないのだと思う。では、私自身の判断はどうだったか?やはり経験不足で台風のリスクを理解していなかったというのがポイントだろう。結果的に完走できたが、それは運が良かったからと言われても反論できない。この経験を充分に今後に生かさなければならない。ただ、せっかく完走できたことは素直に喜びたい。
今回主催して頂いたAJ福岡の皆さんは、様々な思いを巡らせ対応に苦慮されたことと思うが、リスクを緩和しつつ最終的にはブルべのポリシーに忠実に運営をされたことは、本当に頭の下がる思いだ。全てのスタッフの皆さんの献身的なサポートに改めて敬意と感謝を表したい。
AJ福岡のスタッフの皆様、大変御疲れ様でした&本当にありがとうございました。