Bike Across Japan 2400(日本縦断2400km)/レポート13:総括

 BAJを走り終えて3週間が経とうとしている。
 エントリーから出走直前までは、単独ブルベで2350kmという数字的なインパクトが大き過ぎて圧倒され物凄く高いハードルに思えていたが、実際に走ってみると2年前の経験と比較しながら徐々に余裕が出て来て意外にすんなりと走り終えることができた。走り終えた直後は疲労感も薄く、身体的な故障は皆無、メンタル的にももう2日くらい長くても行けそうな程度のマージンはあった。

 今回は2350kmを195時間3分だったが、2年前の2700kmの243時間15分と単純比較すると350kmの距離差に対して48時間の差があったことになる。即ち48時間で350km走れば良いわけだから2年前の方が平均速度は多少緩かったということになるが、その割にはゴール後の身体的ダメージの差が大きいのでもう少し詳しく見てみる。

 全行程の実走平均速度を比べてみると2014年の19.6km/hに対して2016年は20.3km/hそれ程大きい差はないように見える。仮に2014年が小樽辺りでゴールだったとすると2016年と距離的に同じ位になるが、それでも2014年の小樽通過時の方が疲労感は強かったし既に膝を痛めていたので身体的ダメージの差は大きかった。更に2014年が小樽ゴールだったとして2014年の全行程の仮眠場所滞在時間が101時間、今回の78時間半に対して22時間も多い。それでこの身体的ダメージの差は何なのかということになる。
 この主要因を考えてみるとやはり走り方の差だろう。2014年は滞在時間と走行時間にかなりムラがあるが2016年はかなり平準化されている。この理由は色々あってコースプロフィールや天候の差も影響するのだが、影響度が大きいと思われるのは2014は6本のブルベを繋いでいたため、1000kmの後半を除いてPCクローズ時間が15km/hで常に設定されていたことにあるのではないかと思われる。PCクローズ時間がタイトだと当然速く走らなければならず運動強度が上がる。強度が上がれば当然疲労するが、あるスレッショルドを超えると一晩寝て解消できなくなり、そうすると蓄積疲労となり場合によっては身体各所の故障に結び付いていく。2016年の場合は最初の1000kmを超えればそれ以降はPCクローズ時間が12km/h以下で計算され緩くなっていくので、低い運動強度で時間をかけて走ることができる。そうすると疲労度合いは低く抑えられ一晩の睡眠で回復可能となる。事実、今回は4日目以降は心拍をリカバリーレンジ(最大心拍の50%台)後半でずっと走ることができたので走行後の疲労感は薄かった。この差が顕著に表れたのではないかと考えている。

 BAJエントリー前は単独ブルベで2350kmなんてとんでもないと数字のインパクトにかなり圧倒された感じがあったが実際に走ってみると実は短距離のブルベを複数繋いで走る方がハードだったというのが結論だ。

 2度目の日本縦断を終えて、1度目とはまた違った達成感があった。まずは2年前の自分にできたことを今の自分がクリアできたこと。これは私の中では結構大きい。アンチエイジングと言うか、自分のピークはまだ先に置いておきたいという思いは強い。次に、単独ブルベで2350kmという滅多に機会のないイベントを完走できたこと。恐らく私の人生で最初で最後になるのではないかと思われる。そして、このBAJ完走をもって、R10000受賞の最後の条件がクリアできたことだ。

 2年前はゴールした後は2回目なんてとてもイメージできなかったが、今は正直それ程のハードルの高さを感じない。日本縦断の全体像をより確実に把握し、日頃走っているブルベの延長線上と捉えられる様になった。

 日本が更に狭くなった。

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 備忘録的に今回のBAJの要点をまとめてみる。

*持ち物リスト
○スペアパーツ
 ・チューブ5本
 ・シフトワイヤー1本
 ・スペアタイヤ1本
 ・タイヤブート
 ・レスキューパッチ
○工具・ケミカル
 ・チェーンオイル
 ・ヘキサレンチセット(走行時非携帯)
 ・ポンプ(ロードモーフ・走行時非携帯)
 ・タイヤレバー2本
 ・携帯用集合工具
○車載用グッズ
 ・ナビ2個(メイン&バックアップ)
 ・CS500
 ・ライト2本
 ・リアライト2個
 ・サドルバッグ&バッグサポーター
 ・フロントバッグ
 ・ボトル2本
○電池
 ・単3 12本
○ウェア
 ・ジャージ/レーパン1セット
 ・アームウォーマー
 ・ニーウォーマー
 ・ヘルメット(GIRO/AirAttack)
 ・指切りグローブ
 ・指付きグローブ
 ・ソックス1セット
 ・シューズ
 ・反射ベスト
 ・アイウェア1本(クリアレンズ)
 ・ノースリーブインナー
 ・ハートレートセンサー
 ・ウインドブレーカー
 ・レインジャケット
 ・レインパンツ
○薬
 ・胃薬
 ・下痢止め
 ・湿布塗り薬
 ・オロナインH軟膏
 ・ティッシュ
 ・絆創膏
 ・キネシオテープ
○補給食
 ・カロリーメイト2袋
○PC・通信関連
 ・タブレットPC
 ・携帯用ケーブル
 ・ipod用ケーブル
 ・USBケーブル3本
 ・4ポートUSB充電器
 ・ipod touch
 ・Wi-Fiルーター
 ・携帯電話
○書類
 ・旅程表
○衣類
 ・パンツ
 ・Tシャツ
 ・ソックス
 ・タオル4枚(電装品の緩衝材を兼ねる)

*今回も雨に降られたが、レインシューズカバーがあれば完璧だった。伸縮ゴム製の薄手のシューズカバーならかさばらずに携帯できると思う。

*今回初めて導入したフロントバックは非常に使い勝手が良かった。普段の短距離ブルベでも便利に使える。

*春先にいきなり日焼けはやはりきつい。早くから夏錬をして予め焼いておくか、UVカットのアームカバーの導入すべきだろう。

*唇の日焼けが結構酷かったのでUVカットのリップクリームは必携。

*心拍をリカバリーレンジで走るのは疲労軽減の観点から極めて有効。

*かりんとうなどの硬い御菓子をフロントバッグに入れて走りながら食べるのは良かった。PCでの補給が少なくても、これで十分に補える。

*地域によらず寒暖の差は大きかった。アームウォーマー&ニーウォーマーは有効だった。

*尻痛が殆ど出なかったのは非常に嬉しい。パールイズミのレーパン(新型3Dパッド)1枚だけで全行程走り切った。仮眠前にオロナインH軟膏を使用したのは2回程度のみで殆どノーケアだったので、もうブルベでの尻痛対策を気にしなくても良さそうだ。

*バイク輪行ケースはACORのバイクポータープロを使用したが往復とも飛行機での超過料金は発生しなかった。

*バイク輪行ケースの移送は、鹿児島まで飛行機輪行->ヤマト便で稚内ホテルまで発送->稚内から飛行機輪行とした。純粋な輸送費用はヤマト便の6000円弱。

*今回の費用総額は、航空運賃、ホテル代、交通費、現地経費等込々で約12万円位だった。