PBP2019/Report 23:総括

 PBPを走り終えて1か月以上が経過した。

 今回3度目のPBPということもあって、今まで以上に冷静に周りを眺めながらフランス滞在ができた気がして、よりしっかりした記憶・印象を得ることができた様に思う。ここのところずっとブログでPBPの走行レポートを書き続けていたが、走行レポートを書く作業はPBPをもう一度走っている様なもので当時の感覚を追体験するのはなかなかにしんどいが楽しかった。走行レポート本編を書き終えたところで振り返りのまとめとして総括編を書こうと思う。

 

 今回のコースはまずスタート地点が過去2回のサンカンタンからランブイエに変わったが、序盤のルートが変更になったもののその後の大部分のルートは今まで通りでおおよそ記憶にあるので、事前の走行イメージは作り易かった。前回の走行プランでかなり余裕を持って楽に完走できたので、今回もスタート時間が1時間遅くなっただけでほぼ同じ走行プランを立てて臨むことになった。

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 結果は前回とほぼ同じ完走時間での認定完走を果たすことができたが、前回に比べてかなりきつかったというのが正直な感想だ。これについては後程分析することにする。

 走行直後はきつかったという印象だったが、ゴール後翌日の疲労感はそれ程でもなく身体各所の痛みは尻の表層部の擦過傷的痛みが残っていた程度だった。今回のPBPも序盤オーバーペースで右膝が痛み出し中盤で落ち着くものの、後半尻が痛み始め尻を庇うために体重を手足に分散させながら走り続けると今度は両足裏が痛み始め、次に掌が痛み始め、逆に踏めなくなるので膝が回復するという、私的に600km以上の超長距離ブルベでの毎度のパターンに陥った。この後半の尻の表層擦過傷的痛みさえなんとかできれば、荷重分散の連鎖的な足裏や掌の痛みを防ぐことができるのだが有効な対策は今のところまだ見つかっていない。日本のブルベでは信号待ち等で一定間隔で停まるので必然的に尻を浮かせることができるのだが、PBPだと数10kmも走りっ放しなので尻を休ませるのをつい忘れてしまう。この尻の痛みも帰国して数日で解消し、それ以外の後遺症は全くなく帰国後1か月の間にSR600を含む4本のブルベを問題なく完走することができている。この状況から見ても、体感的なきつさはあったが実質的にはそれ程身体を酷使してダメージを受けることなく走り切ったと言えるだろう。

 しかし、過去2回のデータと比較してみるとちょっと驚く事実が判明。

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 体感的に楽にすんなり走り終えられたという印象のある2015年と比較して全行程の平均実走速度が3km/hも遅かったのだ。体感比較でキツかった上に更に平均速度の実データ上でもここまでの開きがあるというのはなかなかにショッキングな事実だ。PC滞在時間が前回との比較で7時間も少なくなっており、3回の仮眠ポイントでの滞在時間がおおよそ2時間ずつ短くなった格好だ。どうりで睡眠時間優先でシャワーも着替えも割愛せざるを得なかったわけだ。実質的にダメージを受けなかったのはそれだけペースを落としての走行の結果だったということだ。

 今回のPBPがきつかったのは気のせいではないと思う。スタート時間も同じで私より少し前にゴールされた鉄人ナミキさんもゴール会場で一緒に食事をした時「PBPってこんなにきつかったっけ?」と仰っておられたし、確かに色々ときついところがあった。その要因を考察してみる。

 まず一つ目は昼夜の寒暖差。天気が良かった御陰で昼間は日差しが強く暑いが夜は気温1桁。PBP開催の少し前のフランスは最高気温40℃超の異常な酷暑に見舞われており流石にそこまで暑くはなかったもののその名残はあったかも知れない。また、夜間は雲が殆どない快晴で放射冷却による低気温となったことが考えられる。前回のPBPではかなりな数の参加者が半袖ジャージにレーパンで走っていた記憶があるが今回は腕や脚を出している人は少なく、ウインドブレーカーを着ている人もかなり見られた。比較的寒さに強いヨーロッパの参加者も寒さを感じていたものと思われる。寒さに比較的強い私でも夜はアームウォーマー&ニーウォーマー無しでは寒かった。真面目に冬装備でも大袈裟ではなかったと思う。

 前半の夜間走行中に何故だか走れなくなって、PC2のフジェールで食事をしたら直ぐに復活して普通に走れるようになった。恐らく寒さで体温維持のためにエネルギー消費が増え、気付かないうちにハンガーノック気味になったものと思われる。こういうケースでも食べることが重要となって来る。

 二つ目は風。往復とも強風ではないものの向かい風基調。これがアップダウンの難易度を若干持ち上げて脚を削ることになった。

 三つ目はPCクローズの時間が一部厳しくなっていたこと。事前に走行計画を練っていた時、前回と同じ様な走行計画を立てたつもりなのにどうもPCクローズ時間からのマージンが少ないなと何となく思っていた。走行中に他の参加者から「今回は90HクラスのPCのクローズ時間が厳しい」という情報を得て何となく合点がいったのだが、帰国して改めて前回との比較を行ってみた。 

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 前回とはスタート地点が違っていて区間距離が違っているところもあるがそこは誤差として、また前回は20:00スタートだったが今回の21:00に合わせて1時間を足して比較してみた。その結果、一部時間が厳しくなっていたのは事実だったことが判明した。500~1000kmは1時間前後厳しくなっており、逆に1000km以降はいきなり緩くなっている。何故こういう変更を加えたのか理由を知りたいところだ。

 四つ目は加齢。私的にはもしかしたらこの要素が一番大きいかも知れない。元々運動系の素養の無い人間が50歳を超えると加齢と減退は同義語。4年分の減衰はそんなに小さくはないと思われる。そう考えると超長距離ブルベ、特に海外遠征をやれる残り時間はそう長くないかも知れない。目標を絞って確実に取りに行かないといけない。

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 今回のPBPも前回のPBPに引き続き日本人の参加者が増えたものの完走率があまり高くなかった(全参加者完走率が約69%に対して日本人完走率は約58%)。その点については人によって様々な考察があろうかと思うが、私なりにちょっと考えてみようと思う。

 日本国内の長距離サイクリングをやろうとすると登りはそれなりに出て来るし信号も多いので時間的にもそれなりにタイトになり、その条件下で開催されたブルベで曲がりなりにも200km、300km、400km、600kmを時間内完走できているということは参加者の殆どが一定の走力を持っていると思われる。私的に3度PBPを走った経験からPBPのコースだけを見た場合、日本のブルベの標準的なルートを鑑みれば決し飛び抜けてハードルが高いとは思わない。難易度的には日本のブルベの200km->300km->400km->600km->1000kmの延長線上にPBP1200kmがあると思っている。但し海外ブルベということで付加される幾つかの条件によりその走力が発揮し切れずに終わってしまう人が多いのではないかと考えている。この一つ一つの条件を確実にクリアしていくことで最終的に完走に結びつくのではないだろうか。

 ブルベを走るためには自転車を走らせるための身体的能力即ち走力はもとより精神力や計画力、実行力、危機管理・対処力、健康維持・管理力、胃腸力等々様々な能力が要求され、それらが合わさって総合力として発揮されて完走に結びつく。日本の600kmブルベの完走に必要な総合力を100とすると、PBP完走に必要な総合力は115位ではないかと思う。その増分を走力だけでカバーしようとしても短期間ではほぼ不可能だ。4年間頑張ってせいぜい2,3%アップが良いところではないか。そこでその他の幾つかの能力を少しずつ持ち上げることで総合的に15%アップを達成しようというのが基本的な考え方だ。

 まずは走力。2~3%持ち上げるのもそんなに簡単ではない。年齢がそこそこ行った人ならば現状維持も難しいかも知れない。基本は今までよりも自転車の乗車機会を増やし練習量を増やすということになろうかと思うが、自転車の練習の仕方は他に幾らでも専門的で詳しい記事がネット上に転がっているのでそちらを各自調べて頂くとして、私が経験的に有益だったことを3点挙げたい。

 一つ目は心拍計の活用。今もし心拍計を使っていない人がいたら御薦めしたい。ブルベはエンデュランス系スポーツ。自分のFTPを把握して常にそれ以下で一定出力を意識して走るのは極めて有益だと思う。パワーメーターがなくても心拍管理でそこそこ行ける。経験的にブルベ走行中はLSDからリカバリーレンジをキープすると最初から最後まで安定して走ることができる。私的にはブルベライダーには心拍計必携だと思っている。

 二つ目は自転車通勤。これは人によっては不可能な人もいるかと思うが、全区間が無理でも一部区間だけ自転車に切り替えるとか、可能性があるならば一度トライしてみるというのが大事。要は普段の生活の中でどれだけ乗車・練習機会を増やせるかということだ。通勤が難しければ今流行りの室内トレーナーを取り入れてみるのも一案だ。

 三つ目はドラフティング(集団走行)の練習。日本のブルベではそもそも集団走行を推奨していないので邪道と思われるかも知れない。私的にも国内のブルベではリスクを取らないという面でも極力集団走行は行わず大抵単独で走る。でもPBPでは集団走行は当たり前、空気抵抗を軽減して楽に走れる集団走行を積極的に利用することで体力を大幅に温存することができる。集団の密集度が上がれば空気抵抗の軽減効果は大きくなるが接触等のリスクが増す。集団走行の練習をしてきちんとした集団走行のテクニックを身に着けておくことはブルベに限らず大人数でサイクリングをする場合に必要なスキルではないかと思っている。私的にはまだブルベを始める前からシクロパビリオンというロードバイクのアマチュア向けイベントを企画している団体にちょくちょく通ってそのイベントの中でドラフティングの練習を徹底的にやらされた。その時に身に着いたスキルがPBPの集団走行の場でかなり役立った。集団走行を練習するという機会を作るのはなかなか難しいかも知れないけれど、私的には是非御勧めしたい能力向上のアイテムの一つだ。

 あと、もし可能ならばPBPの前に1000kmを経験しておきたいところだ。日本の1000kmを完走することができれば走力的にはそのままPBPも完走できるのではないかと思う。

 次に危機管理・対処力。その中でも自分の自転車のトラブルに的確に対処できるかどうかは非常に重要なファクターとなる。日頃から自分の自転車に乗るだけではなくあちこちいじってみて自転車の構造を大雑把にでも把握しておくことは有益。PBPでは各PCにバイクメンテナンスブースがあるので、走行中に機材トラブルが発生してもその場で応急処置を施して何とかPCまで辿り着ければ続行可能となるケースは多い。要はこの応急処置ができるかどうかが分かれ目だ。日頃のバイクメンテナンスをショップ任せにしている人は、これも練習と思ってバイクをいじってみることを御薦めしたい。バイクだけにとどまらず、今回残念ながらDNFしてしまった人であれば、冷静にその時の状況を振り返りDNFの原因を突き止めてしっかりとリカバリープランを考えてみることも大事だ。

 言葉の問題はそれ程心配する必要はない。少なくともPBP走行中でコミュニケーションの相手が関係者であれば、ちゃんとこちらに注意を払ってくれて意思の疎通が取れるまで付き合ってくれる。フランス語の”ボンジュール”、”シルブプレ”、”メルシー”の3語を取り敢えず憶えておいて後は身振り手振りで走行中の大抵の場面でコミュニケーションは取れる。

 胃腸力。食べることも日頃から練習が必要だと思う。食べられないと長距離は走れない。ダイエットを意識して日頃から食を抑えると肝心な時に食べられなくなる。食を抑えるのではなくガンガン食べて、体型を維持したければその分の自転車に乗るという好循環を作ることがブルベライダーにとっては非常に有益だと思う。私の日頃からの大食い、あれは練習なんですよ。

 計画力・実行力。まずは、PBPの走行プランをしっかりと立てること。自分の経験や能力を元に、不足している情報はネット上から集めてきて、自分なりに実行可能と思われる走行プランを細かく作ってみることを御薦めしたい。実行可能だと確信できる計画ができればそれに沿って走れば必ず完走できるという自信と安心感が生まれてくる。行き当たりばったり、手探りで走るのもそれなりに楽しいが、完走のために必要な条件を事前に見定めておくという作業は有益だと思う。

 携行装備を吟味することも重要。私的に日頃のブルベを見ていて、本当にこのコースでそれだけ沢山の装備が必要なのかと思う程の荷物をバイクに積んで走っている人を時々見かけるが、それだけ重い物を持つと距離が長くなればなる程大きなハンデになる。PBPではドロップバッグが使えるしPCや通過する街で調達可能なものも色々ある。そういう諸条件を十分に考慮・活用して走行中に余計な荷物を極力持たない様にすることで走行中の負担を軽くすることができる。

 健康管理・維持力。まあこれは日頃からの健康管理が一番ものを言うのだが、PBPの様な海外の大舞台では色々なトラップがあるので、それに嵌らない様に注意することがポイントになって来ると思う。私的に実践しているのは、PBP前にはアルコールを口にせず、極力イベントを入れずに休息に努めるということ。逆に時差ぼけは気にせずなすがままに受け容れる様にしている。時差ぼけを意識的に解消するのは難しいし、睡眠不足を恐れるとそれ自体がプレッシャーになっていざ本番の走行中の精神状態に悪影響を及ぼすことに繋がる。PBPの様な昼夜不規則に走らなければならないイベントではむしろ時差ぼけがあった方が都合が良いと考える位がちょうど良いのではないかと思っている。

  最後に精神力。精神力には二つあると思っていて、一つは”折れない心”でもう一つは”完走への執念”。

 折れない心を作るのは難しい。精神力を直接鍛える様な過酷な練習をするのはそうそうできることではないし、下手にそんなことをやれば自転車に乗ること自体が嫌になってしまう恐れがある。結局のところ心が折れる場面をできるだけ作らないようにすることしかない様に思う。走力が上がり、危機管理能力が上がり、経験値が上がればその分、心が折れる機会が少なくなる。上に列挙した細かく僅かな能力アップの積み重ねがそれなりの総合力のアップにつながり、それが最終的に折れない心に変わっていくのだと思う。

 完走への執念というかモチベーションを如何に高めるかというのも個人差があって一概には難しいと思う。あまり完走すること自体に拘りが無いという人もそこそこ多い様に見受けられるし、今回DNFしても悔しさはなく十分満足してもう今回だけでいいかなと思った人がいれば、それはそれで良いのではないかと思う。PBPは参加するだけでも十分に楽しいイベントだと思うし、フランス観光のついでにPBPに参加してみるという考え方でもそれなりに有意義だ。でも、敢えて一言だけ言わせてもらうならば、完走できればもっと他に代え難い素晴らしい体験ができるかも知れないということ。その素晴らしい体験をしてみたい、今回DNFした悔しさを晴らしたいという思いがあればそれがモチベーションに繋がると思う。このブログに限らず、PBPを完走した人達の様々な体験談が完走経験の素晴らしさを増幅し、また、悔しさを克服できる手掛かりなればそれが次回PBPで完走を目指すモチベーション繋がるのではないかと思うし、一人でも多くの人にPBPを完走してその素晴らしさを体感して欲しいと思う。私も曲りなりに3度のPBP完走経験を持つに至り、必要とされるのであればいつでも誰でもこの経験を伝えていければと思っている。

 くどくどと書いてきたが、私が考える超長距離完走に向けた、手っ取り早くできる基本的は要点は、

①日頃のバイク練習(FTPを持ち上げる。200kmブルベは練習のつもりで走る)。

②食べる練習。

③事前に走行プランをしっかり練って完走のイメージを作る。

④本番走行中は心拍(パワー)管理で出力を抑えて一定ペースをキープ。

ということになるだろうか。まずはこれを実践して、国内ブルベの完走経験が増えてくれば自ずと”折れない心”が出来て来るものと思う。

 とにかく細かい努力・工夫を厭わずに確実に積み重ねて行けばそれなりのボリュームの総合力のアップに繋がるということを理解してもらうことがこの記事の主旨だ。

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 日本人参加者も格段に増えあちこちで語られているが、PBPというイベントは本当に素晴らしいと思う。

 途方に暮れそうな程に長く続く道、時に苛酷だが広大で美しいフランスの自然と大地、歴史に裏打ちされた秩序と無秩序の絶妙なバランスで形作られた美しく洒落た街並み、多言語が飛び交うカーニバルの様なスタート・ゴール地点やPC、走行中の他国のサイクリストとの異文化交流、大会関係者や地元の人々の歓迎とリスペクトの暖かいもてなし等々、その全てが非日常体験の連続でまるで夢の中の様な出来事に思える。そしてそれらの全てを見届けて乗り越えて1200kmという途方もない距離を自らの脚で走り抜け完走を果たした時に湧き起こる無上の達成感と充足感は一生に一度できるかできないかという他に代え難い貴重な体験だ。ブルベライダーならば万難を排して一度はチャレンジした方が多分幸せになれると思う。

 私的に年齢的に考えてPBPは頑張って後2回かな。自分で「もう無理だ。完走できない」と思ったらチャレンジはしないと思うので実際いつ諦める時が来るのか定かではないが、少なくともあと1回はパリに来るチャンスはあると思う。取り敢えず4年後は確実に来れる様に頑張って働いて準備しよう。

 

 

 今回のPBP遠征の備忘録的要点をまとめてみる。(独断と偏見、思いつくまま記述するので随時加筆・訂正あり)

 *発着空港を間違えるな。その他旅程を徹底的に確認すること。

*時差は7時間。時差ボケは発生するが睡眠不足を気にしないこと。

*今回はスタート前に食べるウェルカムディナーを予約しなかったが、その分ホテルでぎりぎりまで休むことができたので良かった。

*スタート前、スタート地点に入るのは1時間前で大丈夫。

*今回も大半が単独走行となった。常にマイペースを維持するためには単独走行の方が都合が良い。

*前回同様2日目以降は昼間走って夜寝るサイクルに持ち込むために90Hクラスの最終組21:00スタートを選択したがやはりこのパターンは走り易い。前回より参加者が増えたはずだがPCの混雑振りは前回と同程度だし仮眠所も空きがあって問題なく寝床を確保することができた。

*補給は各コントロールポイントがメインになると思うが、通過する街中にはカフェや売店がそこそこ点在し、私設エイドもかなりの数があったので補給自体は心配する必要はないと思う。

*コントロールポイントでの食事は前回とほぼ同じ内容。それぞれのPCでのメニューの濃淡もほぼ同じ。全てのPCでの飲食は自腹。しっかり食べると大体€15位が目安。

*フランスでは相変わらずスポーツ飲料の類を全く見かけなかったがRedBullが置いてあったのにはちょっと驚いた。

*気温は事前の想定以上に低かった。アームカバー&ニーウォーマーが必要になった。寒さが苦手な人は冬装備を用意しても大袈裟ではない。

*今回は尻痛が出たがオロナインH軟膏を持って来ていたのでかなり緩和でできた。私的にはこれは超長距離ブルベの常備薬

*塩はとても大事。走行中はどれだけ摂っても摂り過ぎということはない。PCのフードコートのテーブルに塩の瓶が置いてあったらガンガンかけて食べよう。

*今回もドロップバッグにツェルトを入れておいたが全ての仮眠ポイントでオフィシャルの仮眠所を使ったので出番はなかった。人の出入りが多くてうるさいが耳栓があればちゃんと寝られる。

*仮眠所は上に掛ける毛布が薄くて寒かった。仮眠所で寝る際の上着をドロップバッグに入れておくと良い。

*オフィシャルのホームページに掲載されているルートマップ(このレポートでもリンクを貼っている所)からナビ用のGPXデータをダウンロードしたのだが、実際のルートと違っている所が数か所あった。やはり本番ではルートの辻々に付けられている矢印のボートをきちんと確認した方が良い。

*輪行ケースはACORのバイクポータープロを使用したが往復とも飛行機での超過料金は発生しなかった。

*CDG空港からモンパルナスまでは空港連絡バスを使い、モンパルナスからランブイエまでは鉄道を使った。バスにはバイクケースを積むことができるし、鉄道はバイクをそのまま載せることができる。次回以降もサンカンタンやランブイエがスタート地点になるならば、モンパルナスで前後泊のホテルを取るのがベストだと思う。

*モンパルナス駅からランブイエ、サンカンタン行きの列車に乗る場合は、10番乗り場の改札傍にあるボロい券売機のみで切符が買える。そこ以外の券売機では買えないので注意が必要。(ランブイエまでは片道€8)

*現地での通信手段は、日本でフランスの通信会社Orangeのデータsimを購入しwifiルータで使用。簡単な設定で直ぐに使用可能となった。走行中は全てのPCで通信可能だった。

*レース中も含む現地での経費は8日間で約€300だった。

*今回の費用総額は、航空運賃、ホテル代、交通費、現地経費等込々で約25万円位だった。

 

 PBPが無事に終了し、次なる海外遠征の目標は既に定まっている。来年イタリアで開催される1001Migliaだ。いよいよ来年ヨーロッパ4大ブルベの最終ステージにチャレンジする。エントリーはもう今年のうちに始まるらしいし、既にカウントダウンが始まっている状態だ。PBP同様、念入りに準備をして完走の確度を少しでも上げられる努力を積み重ねていきたいと思う。

 

 さて、これでPBP2019の走行レポートは完結。最後まで御読み頂いた皆様、本当にありがとうございました!

 次回ブルベ走行レポートはSR600福島。今年の秋に解禁されたばかりの新コースで私的に今年の2本目のSR600だが、近日詳報の予定。