2020BRM1010埼玉600/Day 1:スタート・入間->郡山(342.2km)

 早くも11月に突入である。今年も残り2か月、歳を取ると時間の経過が加速度的に早くなっている気がする。先週末でブルベ2020年シーズンが終わり取り敢えず出走したブルベは全て完走することができた。コロナ禍の襲来で一時はどうなることかと思ったが、9月から活動再開して少しだけ後れを取り戻すことができた。9月から10月が過密スケジュールになって心身共に疲弊したが無事に乗り越えられてほっとしてる。但し走行レポートだけは溜まりに溜まっていてこれをやっつけないと本当の意味で2020年は完結しない。明日から早くも2021シーズンが始まるし、巻きを入れて書いていかねば。

 そんなわけでBRM1010埼玉600㎞アタック二本松の走行レポートは下記の通り。

 

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[目次]

スタートまで

 10/10(土)、4時起床。睡眠時間は足りているはずだが微妙に眠い。外は真っ暗で早起きが辛い季節になって来た。前日の内に機材は車に積み終えてあるのでウェアに着替えて入間に向けて4時半に自宅を出発。

 入間豊水橋に5時直前に到着、急いで受付準備をする。

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 ぽつぽつ集まって来る参加者を出迎える。この悪天候を見越して前日までにDNSが続出、スタート会場は寂しい限り。

 数日前の予報では台風の接近で東日本は直撃を含む大荒れの天候が予想されたが、結局台風の進路は大幅に南に逸れて影響はかなり小さくなった。それでも雨台風の勢力範囲に入っている様で大雨の恐れもある。スタッフで検討した結果、この悪天候を考慮して全てのPCを通過チェックとして時間制限を無くすという特別措置を講ずることとした。

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 先ずは6時スタートの出走者を見送る。この悪天候の中で果敢に走り出そうとする猛者達に敬意を表する。

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 続いて7時スタートの受付を開始。やはり7時スタートも少ない。

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 7時スタートの出走者を見送る。皆さん無事に入間に戻って来て下さいね。

 今回の出走者は認定試走と当日出走者の合計で40名となる見込み。

 今回のコースは入間をスタートしてひたすら北上、二本松で折り返して再び入間に戻って来る600km。

<往路>

<復路>

 白河を越えてからの山岳地帯がこのコースの一番の難所だが2018年の時より一部ルートが変更されて若干山岳がマイルドになっている。しかし今回はこの悪天候がこのコースの難易度を上げるのは間違いない。覚悟して走らなければならない。

 大方の参加者を見送った後、ぼちぼち出走準備を始める。結局雨は降り続いているので止む無く上下ともレインウェアを着用しレインシューズカバーを着ける。

スタート/入間豊水橋->PC1/セブンイレブン筑西梶内店(88.0km)

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 7:15にスタート、雨の中を緩々と走り始める。10/10は晴れの特異日のはずなのにこの天気はちょっと酷いな。

 最初の目的地は88.0km先のPC1。距離は長いがノンストップで行く予定。

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 7.3km、川越市に入る。いつもの様に県道260号を北上。いざ走り出してみると思いの外悲壮感はない。今日まで散々雨天走行を覚悟してナーバスになって来たから心の準備は十分できていたということか。

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 12.3km、上戸交差点を右折。

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 13.8km、雁見橋で入間川を渡る。川越市街に向かう車の渋滞はいつも通り。

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 16.9km、川越市街を抜けて鴻巣方面に左折。

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 18.3km、釘無橋を渡る。この橋は長く路肩も狭く車通りが多いのでいつも怖い思いをするが、今日は幸い車が来なくて助かった。

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 22.7km、太郎右衛門橋で荒川を渡る。この橋も交通量が多いが、幸い左側に歩道があるので安全第一でそっちを走る。

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 32.8km、鴻巣市街を通過。本町交差点を右折する。

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 34.9km、鴻巣市街を抜けて北陸新幹線の軌道を潜る。いよいよ外宇宙へと出ていくイメージ。

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 41.2km、騎西の街中を通過、右折方向に進む。いつも通りの清水班ブルベの定番ルートなので殆どナビを見ることなく進むことができる。

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 42.4km、騎西城を通過。雨はそこそこ降ってはいるが土砂降りという程ではない。レインウェアを着ているので寒さは全く感じない。

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 44.8km、加須駅傍で踏切に引っ掛かる。

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 45.3km、加須の街中を通過。右折方向に進む。

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 50.5km、PC6を通過。ここに戻って来るのは30時間以上後か。そう考えるとちょっとナーバスになる。

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 53.0km、埼玉大橋で利根川を渡る。ブルベで色々な橋を渡るがこの橋が最も怖い。路肩は狭く荒れて距離は長く車通りが多くていつ通っても冷や冷やする。今日は雨なので更に怖い。全身をこわばらせながら何とか渡り切った。

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 57.0km、渡良瀬遊水地に到達。サイクリングロードに入って右折方向に進む。

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 サイクリングロード、前回アタック八戸の時に通った時は草が道に覆い被さっていて草の中を突っ切る様に走らなければならなかったが今日は両側とも綺麗に刈り取られていた。

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 60.0km、古河市街を通過。

 走るうちに左膝にちょっと痛みが出てきた。まだ100kmにも満たないのにここで痛み始めるとはちょっと不味い状況。先週のSR600奥入瀬の痛みが完全に癒えていなかったということか。とにかく悪化させない様により一層運動強度を上げない様に気を付けて走らなければならない。

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 66.7km、古河市街を抜けて筑西・結城方面に左折。

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 74.8km、この手前3kmから140.0kmの向田交差点までが清水班定番のルートとは異なる。清水班定番のルートだと途中で新宇都宮カントリークラブ入口の峠を越えなければならないがこのアタック二本松のルートだと多少山が緩くて走り易いので私的にはどちらかと言えばこっちの道の方が好み。

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 79.5km、鬼怒川を渡る。

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 県道54号を西に向かって走る。このルートは車通り少なくて走り易い。

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 86.8km、右折すればPCはもう直ぐ。

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 88.0km地点のPC1に到着、チェックタイムは10/10の11/42。

 余り空腹感はないがこの先まだまだ長いので取り敢えずシュークリームを食べておく。15分程の休憩の後出発。

PC1->PC2/セブンイレブン馬頭北向田店(68.3km/156.3km)

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 次の目的地は68.3km先のPC2。元来た道を戻って北上する。雨は若干弱まった感じだがまだ降り続いている。

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 94.9km、下館の市街地に入った。交通量は多くないのでそれ程走り難くはない。

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 98.1km、下館の市街地を抜けて更に北上、真岡方面に進む。

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 98.5km、川澄交差点は変則交差点、県道207号をトレースして右折方向に進む。

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 取り敢えず100kmを消化。ここまで5時間18分はまずまずのペース。まあここまでは平坦だったのでこんなものか。

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 104.2km、栃木県真岡市に入った。

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 107.2km、益子・真岡市街方面に左折して直ぐにまた右折し北上する。

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 110.7km、益子方面に右折して直ぐにまた左折、更に北上。

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 116.0km、益子町に入った。

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 122.1km、踏切を渡って直ぐに左折、線路に沿って北上する。

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 真岡鉄道の車両に遭遇。こういう線路沿いの道を多用するのは鉄道ファンのカワダさんのコースレイアウトの特徴。

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 128.1km、市貝町の街中を通過。

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 136.5km、茂木町に入る。アップダウンが出て来てぼちぼち今日最初の山道に入って来た。

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 137.4km、国道294号に合流、左折して那須烏山方面に進む。

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 5%程のはっきりとした坂を登る。距離的には1kmに満たないので大したことはない。左膝に負担をかけない様にそろりそろりと登って行く。

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 138.5km、ピークを越えて下りに入り那須烏山市に入った。下りが結構長い。登りの距離に比べて下りが全然長くて計算が合わない。いつの間にこんなに登ったのだろうか。

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 140.0km、向田の交差点を通過。ここからいつもの清水班のルートに復帰する。那珂川町・那須烏山市街方面に直進。

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 140.8km、この登りは相変わらずきつく感じる。距離は1km位だが勾配が一定で真っすぐなので視覚的にもきつく思える。

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 143.9km、那珂川が一番最初に見える場所。直進して前方の興野大橋に向かう。

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 145.0km、興野大橋で那珂川を渡る。

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 147.5km、那珂川の定点観測ポイント。今日の風景は冷たく寂寥感満載。

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 149.0km、武茂郵便局通過。ここはアタック八戸の時の最初の通過チェックだったところ。その時のイメージがはっきりと思い出される。アタック八戸の時は初日は喜多方までの290km位の走行だったが今日は郡山まで340km走らなければならない。そう考えるとちょっと今日は心理的に重い。

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 153.9km、今までの清水班のブルベは右角のローソンがPCだったが、コロナ禍の対応でローソンがごみ箱・トイレを使用禁止にしているので止む無くPCをこの先のセブンイレブンに変更している。左折するとPCはもう直ぐ。

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 156.3km地点のPC2に到着、チェックタイムは10/10の15:21。

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  多少空腹感があるのでパンを食べる。20分程休憩の後出発。

PC2->PC3/ミニストップ小野新町店(102.1km/258.4km)

 次の目的地は102.1km先のPC3。区間距離が100km超でこの区間で今日の登りの大半が集中するこの区間はアタック二本松の最難関区間。基本的にはノンストップで行く予定。

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 156.2km、北向田交差点を右折。今までずっと空の雲は均一に覆われていたがここに来て雲の切れ目が出てきた。雨も小降りになってきてこの先止みそうな気配が出てきた。

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 157.7km、県道298号に乗って黒羽・湯津上方面に右折。曲がって直ぐに登り、700m程登って下る。

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 雨が止んだ。向かう先の北の空にはまだ雲がかかっていてまた振り出すかも知れないが、走っている分には暑いので脱ぐかどうか考える。

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 結局脱ぐと決断して停まる。ウェアを着ていると空気抵抗が増して巡航速度が2,3km落ちるのは過去のブルベで経験済み。この先まだまだ長いし宿の到着時間が少しでも早くなるのはメリットとして大きいと判断した。

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 160.9km、大田原市に入る。ウェアを脱いで半袖ジャージにレーパンになると途端に身軽になって涼しくなった。確かに巡航速度が上がり快調に走り始める。

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 169.8km、右折ポイントを見逃さずに曲がる。

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 172.4km、県道27号を伊王野方面に北上。今日の行程の約半分を消化した。残り170km、ここまで8時間15分かかっていることを考えると今現在16時半だから宿に着くのは日付変わって1時に着ければ御の字というところか。

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 180.0km、500m程の坂を登って小さな丘を越える。

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 182.3km、棚倉方面への右折ポイントを見逃さずに曲がる。

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 183.0km、伊王野の街中を通過、右折方向に進む。

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 186.7km、白河方面に左折。ここから白河の関へのアプローチが始まる。白河の関までは約6km。時刻は17時を過ぎてかなり暗くなってきた。どうやら明るいうちに白河の関を越えるのは難しそうだ。

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 霧雨が降り始めた。雨量は大したことはなく寒さも感じないのでそレインウェアは着ずにのまま走り続ける。

 緩い登りでじわじわと標高を上げていく。

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 193.3km、ここからの300mが白河の関までの最終アプローチ勾配が7%まで上がってきつくなる。この先に確かアタック八戸の時に工事中のダートがあったはず、注意しなければならない。

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 やはりまだ未舗装のままだった。暗がりの中を慎重に登って行く。

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 193.6km、17:37に白河の関を通過。そのまま下りに入る。

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 長い下りを慎重に下る。明るいうちに下れればもっとスピードが出せたのだが安全第一で止むを得ない。

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 203.4km、長い下りを終えて白河の街中に入って来た。市街地からはだいぶ離れた場所だ。山から下りてくれば雨は止むかと思ったが残念ながら霧雨はまだ降り続いている。取り敢えず200kmを超えた。今日のゴールまであと140km、まだ先は長い。

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 210.7km、浅川町に入った。2年前のアタック二本松の時はこの辺りでまだかなり明るかったと記憶している。2年前は5月下旬だったということもあるが多分その時よりも通過時間がかなり遅いのではないかと思われる(後で調べたら1時間遅かった)。

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 217.2km、浅川町の街中を抜けて直進。この交差点には見覚えがある。確かこの先直ぐに登りが始まるはずだ。

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 記憶は正しかった。登りが始まっていよいよ山岳地帯に突入。

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 221.5km、5%弱の登りをぼちぼち登って行く。前回走った時はまだ明るかったが今日は真っ暗なので同じ道なのか全く判別かつかない。

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 222.3km、左折ポイントを見逃しそうになったがちょっとだけ行き過ぎて直ぐに気付いて曲がる。

 9km程登ってピークを通過。下りに入る。

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 下り始めたところでいきなりパーンと派手な音を立てて前輪がパンクした。うわ、こんな真っ暗な山奥でパンクをするとは最悪。前輪の空気は完全に抜けてしまったのでこのまま走り続けることはできずに止む無くここでパンク修理を行う。霧雨の降る暗闇の中でチューブをライトで照らしながら穴を探すがなかなか見つからない。やっと見つけるとリム内側に結構でかい穴が開いていたバーストに近い感じだ。場所を見てみるとちょうどリムの継ぎ目のところで溶接部分をテープで覆っている場所だった。このテープが劣化してチューブを攻撃したのか?一応タイヤ側も見てみたがタイヤの方には原因はなさそう。良く分からないがとにかくチューブを交換しなければどうにもならないので原因を完全に特定できないままだがチューブを交換して空気を入れる。取り敢えず今回はスペアチューブを5本持って来ているのでそれ程切羽詰まった状況ではないが、何だかんだで1時間近くロスしてしまった。その分ホテル到着が遅れて睡眠時間が削られるので、この遅れは非常に痛い。とにかく走り出す。

 走り出して再び下り始めたら1kmも進まないうちに再び大きな音を立ててパンクした。ヤバい!頭の中が真っ白になった。原因は潰せていなかったということか。相変わらず真っ暗な山道だがここではちゃんと原因を特定できないのでどこか明かりのある所まで下ってしまおうとそのままそろりそろりと下る。

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 230.1km地点の幹線道路との交差点まで下って来たが明かりはない。これ以上は移動できないので諦めてここで修理開始。パンクした場所は直ぐに見つかった。やはり同じ場所で同じ様に大穴が開いていた。やはりこれは同じ原因だ。冷静になれ!と自分に言い聞かせながらパンクの原因を推測する。やはりリムの継ぎ目に何らかの問題が発生してチューブにダメージを与えているのだろう。それであればタイヤブートをリムの継ぎ目に当てるしか対処方法はない。チューブを交換しタイヤブートをリム側に挿入しながらチューブを入れてタイヤを嵌めるという作業はなかなか難しい。四苦八苦しながら何とかタイヤを嵌め終わり空気を入れようとすると全く空気が入らない。空気入れが駄目なのかチューブが駄目なのか分からず悪戦苦闘。新品のチューブなのに駄目なのか?止む無くチューブを外して別のものに取り換える。残りのチューブはあと2本、どんどん時間が経過していく。霧雨の暗闇の中で悲壮感がどんどん増していく。遂に初のDNFをしてしまうのか、と思い始めた。DNFというのはこういう形でやって来るのかという意識に囚われて、覚悟と言い訳を頭の中で模索し始めた。一方で、冷静になれ、諦めるなという意識もあって並列で思考が進んでいる。とにかくここにいるわけにはいかない。先に進まなければどうにもならない。3本目のチューブに入れ替えて、再びタイヤブートを挿入しつつタイヤを嵌めるのに悪戦苦闘、何とかタイヤを嵌めて恐る恐る空気を入れてみる。お!空気が入っていく。やはりチューブが駄目だったらしい。ほっとしつつ空気を入れ続ける。余り空気圧を上げ過ぎると再発するかも知れないので空気圧を低めにしておく。通常パンクのリスクは増すが、完全に原因が特定されていない以上止むを得ない。

 何とか走り出せそうなところまで持ってきた。結局ここでも1時間近くのロス。この2時間弱のロスタイムはとにかく痛い。一方で取り敢えずはリカバリーして再び走り出せることに安堵している。

 21時前にようやくリスタート。

 走り始めて直ぐに登り始めた。登りながらふと、「もしかして前輪のブレーキシューがずれて削れてリムに当たっていなかった部分が出っ張ってタイヤに穴を開けたのでは?」というところに思い当たった。直ぐに確かめた方が良いという思いと、ここまで散々ロスタイムをしてしまったので止まりたくないという思いが入り乱れてしばし葛藤が続いた。最終的には冷静さが勝って丁度登りのピークに辿り着いたところで止まり前輪のブレーキシューを確認したところ、確かに片側だけズレていて見事に削れなかった部分が出っ張っていた。タイヤに穴を開けていたかどうかは暗くて良く見えなかったがとにかく別のトラブルの要因を除去できたのは精神的にも非常に大きい。更に10分程のタイムロスが発生したがもう誤差だと納得するしかない。

 再び走り始める。

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 アップダウンの山道が続く。前輪の空気圧が低いので路面の段差には細心の注意を払わなければならない。集中力を切らさない様に慎重に走る。タイムロスはどうしてもナーバスになるが、「たかだか睡眠時間が2時間減っただけじゃないか。2,3時間の仮眠で走り続けたことなど過去に何度でもある。それだけのことだ。問題ない」と自分に言い聞かせながら走る。 

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 243.7km、いわき・郡山方面に左折。ホテルまでは残り100km、現在時刻は21:50、ホテル到着は4時位か、どこかでホテルに遅着の連絡をしなければならないな。

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 247.8km、一瞬だけ国道49号に乗って直ぐに右折、小野方面に向かう。下りが始まった。

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 252.1km、下りが終わって国道349号に合流、左折して船引方面に向かう。

 取り敢えずここまで20km程走ってきたが再パンクは発生しなかった。大丈夫そうだ。少しずつ不安感が薄れてきた。

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 256.6km、高速道路の高架をくぐる。その先の交差点を右折すればPCだ。

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 PCが見えた。やっと休める。ほっとした。

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 258.4km地点のPC3に到着、チェックタイムは10/10の22:41。

 いやあ、PC2からのこの7時間20分は本当に長くきつかった。どっと疲れが出たが、一瞬だがDNFを覚悟しただけに取り敢えず続行できていることにじわじわと喜びを感じる。取り敢えず空腹なのでしっかり食べる。相当な遅れだがここでしっかり休憩、30分程の休憩の後出発する。

PC3->通過チェック/ファミリーマートますや針道店(42.6km/301.0km)

 次の目的地は42.6km先の通過チェック。山道はもう少し続くはずなのでもうひと頑張り。

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 258.8km、寝静まった小野の街中を過ぎて田村氏に入った。

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 262.1km、踏切を渡る。ここまでちょこっとアップダウンがあっただけで山道に入る気配はない。あれ?記憶違いか?

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 278.3km、国道349号に合流して川俣方面に右折。ここまではほぼ平坦基調、雨も止んで快調に距離を消化してきた。登り予想が外れて想定外の快調さが妙に嬉しい。遅れをちょっとだけ取り戻せたか?

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 283.9km、国道349号をトレースして浪江・川俣方面に右折。ここまで平坦から下り基調で全く山は出てこない。どんどん距離を消化していく。さっきの大トラブルがまるで別の日のことの様だ。

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 若干のアップダウンはあるが平坦から下り基調は相変わらず。真っ暗で周囲の風景は良く分からないが国道349号は夜で車通りも少なく道も綺麗なので非常に走り易い。路面にそれ程注意しなくても良いのが有難い。

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 288.6km、二本松市に入った。

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 300.4km、街中に入って来た。ここを右折すれば通過チェックだ。

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 301.0km地点の通過チェックに到着、チェックタイムは10/11の1:04。

 ここまでは想定していた山はなくあっという間に辿り着いた感じだ。ちょっと調子を取り戻してきた感じ。運動強度を上げなくても巡航速度をそこそこ維持できたので左膝の痛みも今のところ酷くなってはいない。ペースを取り戻して少し元気が出てきた。取り敢えずホテルに到着は4時頃になることを連絡すると問題ないという返事、少なくともあと3時間で眠れることはほぼ見えてきた。ホテルまでは後40km、あと3時間の辛抱だ。

 空腹感はないのでコーヒー牛乳だけ飲んで15分程の休憩の後出発。

通過チェック->PC4/ミニストップ本宮高木店(23.5km/324.5km)

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 PC4は折り返し。元来た道をちょっと戻って今度は直進して街を抜けていく。PC4がこの二本松のコースの最北端でここから入間に戻り始める。

 次の目的地は23.5km先のPC4。もうここまで来ると慌てることはない。というより慌てても仕方が無いのでとにかく集中力を切らさないことを心掛ける。

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 街を抜けると直ぐに下り。現在気温は16℃、霧雨も殆ど気にならない程度で相変わらず半袖ジャージにレーパンのままでも寒さは感じない。そのまま走り続ける。

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 県道40号の長い下りを下っていく。路面に気を付けなければいけないので無闇にスピードは出せないが確実に距離は消化していく。

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 314.6km、県道73号に乗って本宮方面に右折。平坦基調がずっと続いている。

 雨も上がって車通りの全くない深夜の平坦路を淡々と走る。若干疲労感はあるがまだ脚は良く回る。眠気もなく心理的にすっかり落ち着きを取り戻した。あのパンクの大トラブルのショックはかなり癒えてきた。良かった良かった。

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 とある集落に通りかかったら前方に道の真ん中に並んだ男達が「ストーップ!!」と大声でいるのが見えた。何事かと思ったらこっちに向かって叫んでいて止められてしまった。がたいの良い数人の男達に囲まれでただならぬ雰囲気でこのままいきなり袋叩き遭うのかと身構えたら「何の大会ですか?さっきから自転車がバンバン通るんですけど」と酒臭い息で話しかけられた。ふと横を見ると消防車の車庫が見える。どうやら地元消防団の宴会中の様だ。600km走る大会ですと告げたらたいそう驚いていた。別のにいちゃんが「競技妨害だぞ!」と叫ぶと、「すいませんでした。御気を付けて」と陽気に送り出された。最初はビビったけれどちょっと和んだ。

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 道路標識に郡山が見えた。今日のゴールは着実に近づいている。

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 321.1km、道が細くなってちょっと路面が荒れ気味になって来た。前輪を窪みに落とさない様に慎重に走る。前方に橋が見えた。どうやらずっと川沿いを走り続けていたことに今更気が付いた。

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 向かう先の空がちょっと明るい。郡山の街の明かりだろうか。

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 川沿いを離れ街並みに入った。PC4はすぐそこ。

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 324.5km地点のPC4に到着、チェックタイムは10/11の2:20。

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 ずっと平坦基調だったので少しだけ時間を取り戻した感じ。ホテルまでは17.7kmなので1時間あれば着く。3時半には到着できそうだ。大して喉も乾いていないので明日の朝のパンを買って直ぐに出発する。 

PC4->仮眠ポイント/ホテルルートイン郡山南(17.7km/342.2km)

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 さあ、後はホテルに向かうだけだ。あと1時間頑張るぞ。今のところ眠気は全くないので問題なく走れそうだ。PCを出て直ぐに橋を渡って左折。今度は右の川沿いを走る。

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 街中に入って来た。大都市郡山が近いことを予感させる。

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 県道355号はちょっとアップダウンがあるがまあ平坦基調と言って差し支えない。淡々と距離を消化していく。

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 328.2km、橋を渡って郡山市に入った。

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 向かう先の空が明るい。あれは明らかに郡山の街の明かりだ。もう少しで今日のゴールかと思うと元気が出て来る。もうひと頑張り。

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 336.7km、郡山市街地に入って来た。

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 どんどん街並みが賑やかになっていく。深夜だがちょっと車の往来が出てきた。都市部らしくなってきた。

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 338.2km、県道57号に乗って南に向かう。都市部に入って急に車の通りが増えてきた。深夜なので車の運転が粗い。路肩の状態も余り良くないので慎重に走る。

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 信号の間隔が狭くなりしょっちゅう引っ掛かる。もうホテルまでは数kmなのにじれったい。

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 もうホテルまで1kmを切った。何とか無事に走り終えられそうだ。

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 ホテルの入口が見えた。ほっと一息。

 

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 342.2km地点の仮眠ホテルに到着、チェックタイムは10/2の3:15。

 ようやく辿り着いた。かなりしんどい道のりだったが取り敢えず初日を何とかまとめることができて本当に良かった。早速チェックイン、ルートインはどこでも基本はバイクの部屋持ち込みがOKなので非常に助かる。

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 部屋に入って速攻でウェアを抜いてシャワーを浴びる。最低限電装品の充電だけセットして何も食べずに就寝態勢に入る。3時間位は寝たいので今回の特別措置のPC時間制限なしを有効活用させてもらうつもりで7時半スタートつもりでアラームを7時にセットしベッドに入る。消灯時刻は3:45前後。