SR600Kyoto/Report 4:Day 3/守山->ゴール・京都(118.9km/608.9km)

[目次]

宿泊2/守山アートホテル->PC13/金勝山ハイキングコース案内図(16.1km/506.1km)

 11/23(火)、5時半に目が覚めた。昨夜も直ぐに寝付けずに睡眠時間は正味2時間ちょっとというところか。アラームが鳴る7時まではまだ時間があるので二度寝できるが目が冴えてすんなり眠れない。頭の中で改めて今日の走行ペースを考えたが9時間半ではやはりマージンが少ないのではと思い始め、せっかくここで目が覚めたのなら少しでもマージンを積んでおくため、後で後悔しないために出発しておくべきという結論に達してベッドから起き上がった。取り敢えず2時間は眠れたので割と頭はすっきりしているし疲労感はないと言えば嘘になるがそれでも昨日のあの状況にしては痛いところもなくまだまだ走れる位の余力は感じる。天気予報は問題なく晴れだし窓の外はまだ暗いが空が晴れているのは何となく見て取れる。

 そそくさと荷物をまとめてウェアに着替える。気温は一桁台だが取り敢えずアームウォーマーとレッグウォーマーを着ければ何とかなるレベルだ。

 最終日の今日は守山から伊賀市まで行って京都に戻る119km。標高差は2500mと単位距離当たりの登りの割合としては昨日と同じ位か。最高標高もせいぜい600m位だが10kmから90kmまでの区間に山が幾つも集中しているアップダウンの激しいレイアウトだ。

 昨日のルートでこのSR600京都が如何に大変なのかを嫌という程思い知らされたのでこの後も何が仕込まれているか分かったものではない。キューシートでは最終PCの登り下りが酷いらしいしパンク等のトラブルの時間を想定すればマージンは幾らあっても足りない位だ。とにかく完走するためにできることは全てやり切るつもりでもうひと頑張りする。

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 11/23の6:20にホテルをチェックアウト。このホテルは対応も親切でバイクの部屋入れもOK、風呂も広くて居心地がとても良かった。仮眠ホテルとしてはベストチョイス。

 昨日の雨でオイルがすっかり流れてしまったチェーンにオイルを注してぼちぼちリスタートする。

 県道11号に乗ってコースに復帰。早朝でも車通りはそこそこ多い。朝の凛とした冷たい空気で目がバッチリ覚めた。走りながら身体各所をチェック、痛いところは特になく脚もそこそこ回る。今日ももうひと勝負できそうだ。

 7km程走って市街地を脱し車通りが少なくなった。

 9.4km、分岐を右折して県道12号を離れ枝道に入る。曲がって直ぐに登り基調になって来た。5%前後の坂をぼちぼち登って行く。

 11.2km、小さな橋を渡って直ぐの分岐を右折して細い山道に乗った途端に勾配がきつくなった。10%弱のワインディングの山道が続く。朝一番のヒルクライムは辛楽しい。13.5km辺りで15%位の真っすぐな激坂が出てきてダンシングで耐え忍ぶ。200m程で一旦勾配が緩むがその後すぐに10%前後の急勾配が続く。今日の一本目の登りはなかなかに歯応えがある。木々の間から朝日が差し込んできて昨日は全く浴びることができなかった日差しを心地良く楽しむ。15kmを過ぎてPCが近くなりようやく勾配が緩んできた。

 15.8km、右折方向に鋭角に折り返してPCまでの最終アプローチ、後300m。

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 16.1km/506.1km地点のPC13に到着、チェックタイムは11/23の7:55。

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 持参したパンを食べつつちょっと休憩。すっきりと晴れた秋の山の風景が実に清々しい。昨日のどんよりとした雨の中の色のない世界が嘘の様だ。ちょっとのんびりしたいところだがここまでで既に1時間半を費やしている。あと100kmを9時間、タイムマージンを残しつつ少しでもゴールに近付いておきたい。10分程の休憩の後出発。

PC13->PC14/西山春日神社入口(36.7km/52.8km/542.8km)

 次の目的地は37km先のPC14、その前に19km先に休憩ポイントを設定してあるが疲労感が薄ければスキップするつもりだ。

 PCを出て直ぐに下り始めるが毎度の様に道が細く急勾配で路面に落ち葉やら小石やらが散乱しているのでスピードが出せずブレーキレバーを握りっ放しでそろりそろりと下っていく。ここでもタイムの取り戻しはできそうにもない。

 19.7km、県道12号に突き当たって右折、ちょっと登ったが直ぐに下りになった。道が太くなって安全に下れる様になってそこそこのスピードで快調に下る。タイムを取り返しているという感覚が実に精神衛生上宜しい。

 23.9km、高い道路橋の下をくぐって県道16号を横切ったところで下りが終わり登りに転じた。所々に5%前後の勾配が出て来るが基本緩い勾配が続く。

 31.5km、県道12号を右折して県道522号に乗り換えるが登り基調は更に続く。

 32.9km、県道522号を左に逸れたところで登りが終了、ここがピークの様でそのまま下りに入る。細い道で裏道の様に見えるが結構車が通り過ぎる。見通しが余り良くないのでスピードを殺して注意して下っていく。

 35.5km、休憩ポイントに設定していたコンビニに着いたが疲労感も薄くトイレも大丈夫そうなので素通りして先を急ぐ。下りはここで終わりで再びじわじわと登って行く。

 37.1km、小さな峠を一つ越えて下ったところでT字路に突き当り県道138号に合流して右折すると再び登りが始まる。幹線道路らしく真っすぐな登りが続く。序盤は緩かったが徐々に勾配がきつくなっていき5%を超えてきた。3km程登ってピークを通過、そのまま下りに入る。でも直ぐにまた登り、アップダウンが続く。

 42.1km、分岐を右折して県道334号に乗り換え下る。緩い勾配なのでここぞとばかりに全開で下っていく。

 43.3km、分岐を右折して橋を渡り細い枝道に入ったところで再び登りが始まった。それにしてもスタート直後の市街地の平坦を除けばここまで登るか下るかのどちらかという状況、確実にタイムを失いつつあるが取り敢えず幹線道路が多く路面が奇麗で走り易い道が多いのが救いか。緩急のついた登りをじわじわと登って行く。

 46.5km、ピークに到達して三重県に入った。そのまますぐに下りに入る。下りは急勾配でカーブが多く見通しが悪い。おまけに路面には落ち葉と落石が散乱しスピードが出せない。ブレーキ掛けっ放しでワインディングの急坂をじわじわと下っていく。微妙なアップダウンもあってこの下りでもタイムの取り戻しはできそうにない。確実に登りのタイムロスが積み重なっていく状況が続く。まあ晴れていて視界良好で周囲の風景が良く見えるのが救いか。

 50.3km、県道138号に突き当たって右折。下りは更に続く。勾配はきつめだが道幅が広くなり路面上も綺麗なのでちょっと攻めてハイスピードで下っていく。タイムを取り戻せるところで少しでも取り戻しておきたいところだ。

 51.4km、ハイスピードの下りはあっという間に終わり交差点を右折。曲がった途端に直ぐに登りが始まる。PCはもう直ぐ。

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 52.8km/542.8km地点の、チェックタイムは11/23の10:28。

 残り距離は70kmを切って残り時間は6時間半だが、ここまでの53kmで4時間かかっていることを考えるとかなり厳しい。一つトラブルがあると一気に完走が危うくなる。まだまだ予断は許さない。通過証明用の写真を撮って直ぐに出発する。

PC14->PC15/大神宮社入口(15.6km/68.4km/558.4km)

 次の目的地は16km先のPC15、区間距離は短いが今日一番長い6.7km標高差400mのヒルクライムが待ち構えている。

 PCを出てちょっと登って下りになった。短い下りをあっという間に下り終え54.0km地点の分岐を右折して枝道に入り更に下る。

 54.9km、分岐を右折して細い山道に入り登りになった。ここから6.7kmのヒルクライム開始。5%前後でうねうねとワインディングした山道をぼちぼち登って行く。時折10%超の急坂が出てきたりちょっと下ったりしてメリハリのついたなかなか楽しい林道だ。路面には落ち葉が小枝が散乱し時たま落石が落ちていたりするが路面は舗装されているのでそれ程走り難くはない。私的には好きなタイプの登りではあるが今日は時間に追われて余り楽しむ余裕はない。気持ちを切らさない様にして無闇に疲れずでもペースを落とさない様にじわじわ踏んで登って行く。

 61.3km、約55分でようやくピークに到達、京都府に入ってそのまま下りに入る。

 500m程下ったところでまたしても前輪がパンクした。拙い、恐れていたことが起きてしまった。一気に状況は緊迫し一瞬動揺したが、自分に落ち着け落ち着けと言い聞かせ何とか平静を取り戻した。直ぐに止まってタイヤをチェックすると昨日修理したタイヤブートにブレーキシューが更に削れて当たり穴を開けていた。やはり応急処理では凌ぎ切れなかったか。こうなればもうタイヤとブレーキシューとチューブの全交換しかない。時間はかかるがここで付焼刃的な応急処理をしてまた次にパンクすればそれこそ取り戻しが効かなくなる。起こってしまったことを悔やんでも仕方がないし、その次に禍根を残さない様に最善の選択をしなければならない。気分を落ち着けてやるべき作業をいちいち確認しながらタイヤとチューブを交換し程々に空気を入れて、そしてフロントのブレーキシューを交換する。ついでにリアのブレーキシューもオフセット削れを起こしていたので外して出っ張った部分をアスファルトに擦りつけて出っ張りを落としておく。このORBEAのカーボンフレームはブレーキの取り付け位置が高くブレーキシューを最大まで下げてもブレーキシューが削れて来るとオフセット削れを起こしてしまうのが難点だ。取り敢えず作業完了、所要時間は30分、この30分は極めて痛いがとにかくまだ走り続けることはできる。現在時刻は12:10で残り時間4時間50分に対して残り距離は60km弱、時間内完走は絶望的な状況になってしまったがまだ一縷の望みがある限り前に進む。気を取り直してバイクに跨り走り始める。

 64.7km、アップダウンの続いた林道を下り基調でようやく抜けた。T字路を右折して直ぐに左折。小さな峠を一つ越えて下り基調で進む。PCはもう直ぐ。

 下って来て小さな集落の中に到着。ナビの指し示す場所にそれらしい場所はない。ここは事前のコースチェックでGoogleマップに映像がなく正確な場所を確認できずにキューシートの距離だけを頼りにマーカーを打った場所だったが、ものの見事に懸念が的中してしまった格好だ。辺りを見回してみるが全く分からないし、誰かに尋ねようにも人の気配が全くない。時間がどんどん経過して焦るが覚悟を決めて今下って来た道を一旦登ってもう一度辿り直してみようと覚悟を決めて100m程戻ったところにそれはあった。

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 68.4km/558.4km、チェックタイムは11/23の12:39。

 いやあちょっと焦った。10分程のタイムロスをここでもやってしまったが、とにかく見つかって良かった。通過証明用の写真を撮って直ぐに出発する。

PC15->PC16/金胎寺看板(19.8km/88.2km/578.2km)

 さて、次はいよいよ最終PCを目指す。距離は20km、その前に13km先に休憩ポイントを設定してあるが時間的余裕はないのでスキップする。トイレは今のところまだ大丈夫だ。

 PCを出て集落を抜けると再び山道に入る。アップダウンを繰り返しながら山道を縦走していく。ペースは上がらずじわじわとタイムを失っていく。これはもう正直厳しいかもなあと思い始めた。過去200本以上ブルベを走って来てDNFの危機というのは数度経験したことはあるが色々失敗とかあったものの何とか切り抜けてきた。でも今回に限ってはここまでを振り返って自分でも走行中にミスらしいミスはしていないのにここまで時間という絶対条件を失うという形でDNFの危機に晒されるのは初めてだと思う。これはもう今の自分の力では太刀打ちできないコースだったと認める他はない。理屈では分かっていても自分史上初のブルベDNFを受け容れるのはそう簡単ではない。走りながら頭の中で色々逡巡しつつ言い訳を考えつつ、でもDNFの覚悟を決めようと足掻く。

 この静かで細い林道は車も来ないしなかなかに楽しい道なはずだ。違う形でここを走っていればもっと楽しめたに違いない。でも残念ながら今は楽しむ余裕は殆どない。とにかく少しでも前に進むことだけを考えて脚を回す。

 76kmを過ぎて長い下りに入った。ようやく山岳を抜けたか。急勾配で曲がりくねって落下物が散乱する下りは相変わらずスピードが出せずタイムの取り返しができない。この山越えでもタイムを失うしかなかった。

 79.7km、T字路に突き当たって府道62号に合流、右折して更に下る。人里に降りて来て勾配も緩み短い間だがスピードアップして下っていく。

 81.8km、休憩ポイントを素通りする。この先がいよいよ今日というよりこのSR600の最終決戦の登りとなる。キューシートの備考欄には”強烈な上り”と書いてある。現在時刻は13:30、残り時間は3時間半で残り距離は40km弱、この先6kmちょっとの激坂ヒルクライムが待ち構えているとすれば完走できる見込みはかなり薄い。まあ、どの道京都駅に戻らなければ家に帰れないのだからとにかくゴールしなければならない。結果はともかくやれることは全てやるだけだ。意を決して最後の登りに突入していく。

 休憩ポイントを過ぎて直ぐに5%程の登りが始まったが、自分の意識とは無関係に何か別な動力のスイッチが入ったかの様に脚が回り始めグイグイと登り始めた。”なんだこれは!?何が起こった?”、自分でも驚くがまだこんな余力が自分の身体の中に残っていたのか。やれるだけやってみるか、気合を入れ直してペダルを踏み続ける。府道62号のこの登りは1車線のそれ程広くない道だが車が結構通る。今までの道が静かだっただけに結構ストレスに感じる。

 84kmを過ぎて20%近い急勾配が出てきた。少しの間食らいついて登っていたが前から車が来て堪らず脚を着いてしまった。そこからリスタートできず100m程バイクを押し歩く。勾配がちょっと緩んだところで再びバイクに跨りリスタート、じわじわと登って行く。

 85.0km、分岐を右折して府道62号から枝道に逸れる。10%前後の林道が続く。PCまではあと3km、泣いても笑ってもこの3kmが最後の登りだ。悔いを残さない様にきっちり踏んで登って行く。登りながらふと”もしこのSR600を時間内完走できたら6弦ベースを買おう”と思い付いた。唐突に浮かんだこのアイディア、正に駄目元な褒美ネタではあるが、まあそれ位の遊び心はこの切羽詰まった状況でも持っておきたいものだ。

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 88.2km/578.2km地点のPC16に到着、チェックタイムは11/23の14:29。

 よし、何とか登り切ったぞ。これで今日の全ての山は終わったはずだ。ゴールまでは残り30kmでしかも下り基調、残り時間は2時間半、これは行けるのではないか!?一縷の望みが明確な希望へと変わって来た。通過証明用の写真を撮って直ぐに出発する。

PC16->ゴール/京都駅(30.7km/118.9km/608.9km)

 さあ、後はゴールを目指すのみ。残り距離は31km、一気に行く。

 PCを出て直ぐに下りになったが、この下りがほぼ未舗装状態に近いガタガタに荒れて小石や枝やらが散乱した無茶苦茶な路面で、しかも10%以上の急勾配の直線的な下りなのだ。最後の最後でこんな仕打ちが待ち受けているとは予想だにしなかった。一瞬にして希望が絶望に変わった。”こんな道を下らせるのか!?ふざけんなよ!”と思わず叫んでしまった。ブレーキを掛けっ放しでもスピードを落とし切れずにとにかく全身でバランスを上手く取って路面を注視しながら穴を避けつつライン取りを決めて行かなければいけない。道は細く片側はガードレールもない崖の様な状態。もし夜だったり雨だったりしたら絶対に下れない。とにかく最後の最後で落車するわけには絶対に行かない。止まりそうなスピードで慎重に下っていく。2km程を下ってようやく未舗装路区間を抜け路面がまともになり全身の緊張が解けた。かなりヤバかった。しかし急勾配の坂は更に続く。

 91.7km、分岐を道なり右に逸れ迂回路に進む。本来のコースは左折方向なのだがキューシートに”本当にここを下るのか?という過酷なガレ道を下り、さらに川沿いを進みます。※あまりに過酷なのでRWGPSにて138までの迂回路設定しています。”と記載してあったので迷わず事前に迂回路を選択していた。

 93kmを過ぎて人里に下りて来た辺りでようやく勾配が緩み普通に下れるようになって来た。但し細い生活道路の様な道を通るので注意しながら下っていく。下り基調が続いているのにペースが上がらないのが辛い。折角のマージンをまだ失い続ける。これは本当に最後の最後まで予断を許さない展開だ。

 95.9km、国道307号に合流して左折、ここで下りは終わり平坦基調になった。国道307号は車通りが多く、ここまでずっと山道を走り続けてきたのでそのギャップに面食らう。進みながらパラパラと雨が落ちて来て、日差しがあるのに何事か!?と思ったが直ぐに止んで一安心。

 97.4km、T字路を右折して国道307号を離れ直ぐに左折して府道62号に乗る。車通りが減ったので走り易くなった。もうここは踏むしかない。久し振りに30km/hに近いペースで進む。脚を使い切っていなくて本当に良かった。川沿いの道を進むうちに少しずつ下り基調になって来た。ここは稼ぎどころと更に踏んでいく。1秒でもタイムを取り戻したいところだ。

 104.6km、街中に入って来て分岐を右折。いきなり車が増えて来て渋滞に嵌まった。現在時刻は15:30でタイムリミットは1時間半、残り距離は15kmだがここから先は市街地走行であることを考慮すればまだかなり危うい。

 105.1km、川沿いの橋の袂の交差点で直進方向に進まなければならないのに工事通行止めになっている。どうやって進んでよいか分からないので歩道から工事迂回の歩行者・自転車通行路をうねうねと曲がりながら進み何とかルートの府道241号に乗ることができた。宇治川沿いの府道241号は道幅が狭く車が結構なスピードで行きかうのでかなり神経を使うがもうここで臆している場合ではない。ド平坦路をとにかく踏んで進んでいく。

 110.9km、道路高架の直ぐ下の観月橋南詰交差点を左折し宇治川を渡って京都中心部に向けて北上開始。残り距離は10kmを切り、タイムリミットは1時間と5分。

 111.4km、橋を渡ってちょっと登り基調で国道24号に合流、更に北上する。車通りに加えて信号が増えてガンガン引っ掛かる。どんどんタイムを失っていく。厳しい。

 112.9km、交差点で大和街道方面の側道に降りて右方向に進み道路高架をくぐり直ぐに左折して大和街道に入る。大和街道は生活道路といった風情で人通りが多く商売の車がたくさん路駐していたりしてまともに進めない。キューシートの”ポタリング感覚で”というのは正にその通りだった。でも道すがら神社やら寺やら商店街やら駅やらがあって往来する人混みを眺めていて、気持ちに余裕が出てきた中にあって何となく最後の最後で京都の風情をちょっとだけ味わえた気がする。

 117.9km、交差点を左折して鴨川を渡り進路は西へ。京都駅まではもう1本道であと1kmで現在時刻は16:15、もう完走は間違いないか。ようやくここまで辿り着いてどっと安堵感というか脱力感というか気が抜けた感じだ。いや、とにかくゴールしなければ。気を取り直して最後の最後まで気を引き締め直す。

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 無事ゴール。ゴールタイムは11/23の16:24、完走時間は59時間24分だった。

 正にぎりぎり、薄氷を踏むが如くのゴールとなった。通過証明用の写真を撮っていたらバイクが風に煽られて倒れ、買ったばかりのハンドルミラーに傷を入れてしまいがっかり。

ゴール後

 ゴールして脱力しそうになったが、これから埼玉の自宅まで帰らなければならない。ぼやっとする暇を自分に与えず身体を動かし、まずは駅のコインロッカーに向かう。

 コインロッカーから2日前のスタート時に預けた荷物を取り出し間髪入れずにバイクのパッキングを開始する。

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 とてもテキパキという感じではないが何とか20分程でバイクパッキング完了。

 次に着替えるためにトイレを探す。良く考えてみたらスタートしてから10時間以上トイレに一度も行っていなかった。それ程切羽詰まった状況にならずに走り終えられたのは幸いだった。京都駅はトイレを探すのが大変、人混みの中を輪行袋を抱えて歩き回りやっと見つけて着替えて用を足してすっきり。

 その次は新幹線の切符の購入、券売機の前には長蛇の列ができていてもしかしたらすんなり新幹線に乗れないかと思ったが直ぐに乗れそうな列車が取れて安堵。

 無事に17:45発東京行のぞみ424号に乗車、大型荷物の予約も取れて輪行袋も問題なく置くことができた。駅で弁当を買う暇がなかったので車内販売で駅弁を買おうと思ったら弁当はないとの売り子さんのつれない返事。仕方がないので600円の小さなサンドイッチと御茶を買って空腹をごまかす。食べ物を胃に入れてようやく落ち着いた感じ。何となくうつらうつらと浅い眠りに数度落ちるうちに20時前に東京に着いた。 

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 東京駅の人混みに辟易しながらガラガラに空いている山手線に乗り換えたところでどっと疲れが出てきた。家までが本当に遠く感じる。しんどいなあ。こんなことなら京都に後泊して美味しいものを食べて明日そのまま出社すれば良かったと今になって激しく後悔。山手線から西武池袋線に乗り換え最寄り駅に着いたのが21時、そこからは徒歩、輪行袋を抱えてよろよろと歩きつつ途中のコンビニで夕食を買って21時半過ぎに無事に帰宅。京都駅から自宅までちょうど4時間。近いと言えば近いが輪行袋を抱えていると疲れた。これで18連休と8終末連続のブルベが終了。良かった良かったと言いたいところだが今回のブルベが余りに過酷でトラウマになりそうだ。今感じるのは満足感でも達成感でも開放感でなくただただ脱力感という感じ。もうSR600は走れないかも知れない。私は果たして立ち直れるのか?

 兎にも角にも今回のSR600京都はこれで終わった。

総括

 冒頭、私はグラベルという言葉を含む未舗装路が大嫌いでいわゆるオフロード用のバイクには全く興味がなくまた持ってもおらずとにかく未舗装路を走ろうなどと微塵にも思わない人間であることを明確にした上で総括を始めたい。

 SR600京都、遠征前はイメージが過酷過ぎて何とか先送りと思っていた。これは京都固有というよりSR600そのもの(600km、10000m)というスペックとあと走行時の天気予報が雨だったということに起因している。過去に5本走っていて相応に経験値があるはずなのにそのイメージが全部リセットされた感じだ。このコロナ禍の9か月のブランクがメンタルをすっかり弱くしてしまったのかも知れない。何とか気持ちに折り合いをつけて予定通りに現地に赴き実際走ってみたら予想を遥かに超えるきつさで心身共に叩きのめされたというのが正直な感想だ。今まで私的に走った5本のSR600(富士、北関東、福島、紀伊山地、奥入瀬)と比べてダントツにきつかった。数あるSR600の中でAJ岡山さんの四国山地が難易度No.1で京都より厳しいのだとしたら私は絶対に完走できないということを思い知らされたという感じだ。

 私的に経験した過去のSR600と比べて京都がタフだった要素は主に2つ。”未舗装路”と”急勾配の下り”だ。

 一つ目の”未舗装区間”については、とにかくPC9前後の大半が未舗装路の区間20kmの林道とPC16直後の2km未舗装路の下りが絶望的にきつかった。未舗装路と言っても路面状況には程度の差があるが、私的な感覚で言えば普通のロードバイクに乗って走るのは到底無理というレベルだと思った。道自体がデコボコと荒れていることに加えて大小取り混ぜた石や木々の枝や落ち葉が散乱し車輪が常に振り回されてまともに進まないのだ。加えて登りも下りも10%を超える急勾配が何度も出てきて、更に本降りの雨で路面には川の様な水が流れてSPD-SL用のバイクシューズではバイクを押し歩くことすら困難だった。そしてPC16直後の下りはPC9の林道と同じレベルの路面状態の上に道自体が細く、道の片側は崖の様な状態で直線的な10%を超える急勾配なので最早命の心配をしなければならない程のだったと私的には感じた。もしこれが夜で雨だったとしたら絶対に下れなかったと思う。単に私がへたれでバイクの乗り方が下手な人間であれば良いのだか、もし私が平均的な自転車乗りのレベルだったとしたら相応の人間が大変な思いをするのではないかと想像する。単刀直入に言えばもし私がこの2ヶ所の未舗装区間がこのブルベに入っていることを事前に認識していたならエントリーすることはなかった。エントリー前のリサーチが全く足りなかったことを率直に反省しなければならない。

 2つ目の”急勾配の下り”については、まずはブレーキかけっ放しでゆっくりと下るしかないという至極当たり前のことなのだが、そういう坂が増えれば増える程、様々なリスクが積み重なっていくということだ。まずは身体的な辛さ。下る時は常に前進が緊張した状態でブレーキレバーを絞りっ放しになるので下る距離が長くなればなるほどそういう疲労が積み重なっていく。走行中は両手の握力がなくなって来てブレーキが効かなくなって怖い思いを何度もしたし、ゴールして家に帰って一晩寝て起きた時の疲労感はちょっと経験したことがない程の全身の疲労感があったのは登りではなく下りの時の全身の緊張によるものだと想像している。指の痛さもかなり残っていて、全身的に回復するのに1週間近くかかった。次にバイクトラブル。今回パンクが都合3回発生したが、起点はブレーキシューが想定外に削れてしまい、オフセット削れでできたブレーキシューの突起がタイヤに穴を開けたことだ。遠征前にバイクを確認してブレーキシューが十分に残っていることを確認したにも拘らず、ここまで激しく削れてなくなるとは想定外だった。まあ雨という悪条件も重なったからだが、未舗装路のリスクも含めれば機材トラブルのリスクは格段に上がる。そして何と言ってもタイムロス。SR600なので当然登りが厳しいしその分のタイムロスは織り込んでおかなければならない。その分下りでの取り返しも当て込んで走行見積もりをするのだが、下りがきつ過ぎるとスピードが出せずにタイムロスを取り返すことができない。京都はきつい下りが多く私のテクニックではきつい登りで大きく失ったタイムを取り返せないばかりが、下りでもタイムを失う場面が多々あった。今回の完走タイムは59時間24分、ランドヌール部門のリミット60時間に対してぎりぎりだった。今回の走行内容を振り返って、仮にパンクがなかったとしても短縮できるのはせいぜい1時間半だから大したことは無い。私的には今回の走行で大きくミスをしたという場面はほぼない。仮にもう一度走るとして、修正すべき点はないのだ(仮眠時間を減らしたり、速く登れる様に鍛えろというのは除く)。要するに今の私の実力ではこのコースでこれ以上タイムを縮めることはできないということだ。

 京都を走ってみて改めて認識したのは山岳ブルベの難易度は登りよりも下りで決まるのではないかということ。単純に獲得標高差の数字だけでは測れない部分がここにあると思う。

 先にネガティブな部分を書いてしまったが、勿論ポジティブな部分も色々あって、マイルドな山道もあちこちあるし勿論SR600らしいガッツのある登りもあってヒルクライムの醍醐味を存分に味わうことができる。景色を楽しめる場所も多いし、車通りも信号も殆どない道が相当な距離を占めるので全体的に見れば楽しく走れる要素は多数ある。仮眠ポイントの設定も2泊3日で組み立てれば比較的容易だったし、発着地点の京都駅はアクセスが良いので移動のメリットは大きい。ただ私的には余りにもあの2ヶ所の未舗装区間のインパクトが強過ぎたということなのだろう。

 長々と書きなぐったが、最後にこれから京都を走ろうかと思っている人へのアドバイス的なことを簡潔に書くとすれば、

・京都は初心者向けのコースではないと思う。獲得標高差だけ判断しないこと。

・このコースは完全に後半偏重型。走行中のペース配分や仮眠宿の設定はそのことを十分に考慮しておいた方が良い。 

・ノーマルタイヤとリムブレーキのノーマルロードバイクで行くのは止めた方が良いと思う。大袈裟に言うと命に関わると思う。替えチューブはいつものブルベより多めに、タイヤとブレーキシューのスペアは持っておいた方が賢明だと思う。

・悪天候が予想される場合は通常より慎重な判断をした方が賢明だと思う。

・安全走行を考慮すれば落ち葉が路面に堆積する晩秋は避けた方が良いかも知れない。

とこんな感じだろうか。

 いずれにしても私的には京都の次はまずないので、今回迂闊にもエントリーしてしまって結果ぎりぎりでも完走できて本当に良かったと思う。3日目の後半は本気でDNFを覚悟したし、実際もうワントラブルあれば、或いは3日目の朝に前夜の予定通り7時まで寝ていたら完全にアウトだった。それを思うと今でもこの時間内完走が正に偶然の積み重ねだったのだと、満足感や達成感ではなく寒気がする様な恐怖感が蘇ってくる。まあ悪いことだけではなくて、3日目の終盤で駄目元で目の前にぶら下げたニンジンが手に入った。

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 完走したら6弦ベースを買って良いと自分に課した約束は速やかに果たされた。男に二言があってはならないのだ。それにしてもこの展開は遠征前には予想だにしていなかった。

 何とかブログを書き終えられそうだ。これでようやく私のSR600京都は完結する。これを締め括ったら京都の記憶は封印する。このブルベは余りに辛過ぎてこれを再びイメージしたらもう二度とSR600や超長距離ブルベは走れなくなるかも知れないから。早く記憶の改竄・美化が始まって欲しいものだ。

 

 さて次のブルベはR東京さんのBRM1205東京200、SR600京都の精神的ダメージから立ち直るきっかけにしたいところだが、次回詳報の予定。