高中正義

 11/3(月)、高中正義のライブを観に上尾まで行ってきた。

 数十年来のファンなのにライブを観るのは多分初めて。上尾市街の混雑を考慮せず上尾市文化センターに着いたのが16:45、まさか併設の駐車場が満杯になるとは想定しておらず慌てて上尾駅前に戻ってコインパーキングに駐車してダッシュで戻って入場したら既に1曲目が始まっていた。

 1階最後列の右端の席からステージを眺めるとBlue Lagoonを弾く高中の手にはあのブルーのSG-2000ではないか。いきなりの高中本人と名器との遭遇に鳥肌が立った。それから怒涛の懐かしの曲のオンパレード、懐メロではない、タカナカ・スタンダードだ。ギターをあのストラトに持ち替えて出てきた音は聴き馴染んだハーフトーン、本物の音がちゃんと聴こえてきてまたしても鳥肌。私的には高校から大学にかけて高中を聴きまくったしコピーしまくった。社会人になって徐々に離れてしまい、いわゆるレコード時代の高中しか知らないのだが、今日演奏された曲の中で聴き馴染みのないのは1、2曲だけであとは全部聴いていた曲だった。高中自身もその時代の曲にフォーカスしていたのだろう。それにしてもライブで原曲の再現性の高さに驚いた。キーボードが2人で高中サウンドの基本のエレピとストリングスを分担していたがそれ以外にスティールパンの音やブラスフレーズも原曲を忠実に再現していて八面六臂の活躍振り。アマゾンズのコーラスも原曲そのままでちょっと感動。リズム隊の宮崎まさひろ、岡沢章、斎藤ノブという往年の名プレーヤ達の健在振りを目の当たりして嬉しくなった。それにしても高中の楽曲は本当に良い曲ばかりで数十年の風雪に耐えて見事にスタンダード化した曲ばかりだ。ラテンやブラジルテイストを見事に消化してキャッチーなメロディをダンサブルなビートに乗せてシンプルなアレンジでストレートに聴かせてくれる曲は本当に楽しい。難しいことを考えずに楽しむことができる。Saudadeのギターソロは原曲のままでかなり感動。高中はギターソロは作曲と言っていたが秀逸なギターソロは何度でも同じものを聴きたくなるしそれをライブで本人が弾いて見せてくれるのはこれ程贅沢なことはない。ソロはアドリブである必要はないということを改めて認識させられた。あっという間に2時間余りが経ってアンコールにYou can never come to this placeが流れ始めた時、身体の芯が震える様な感動が湧き上がって来た。

 音楽で物語を紡いだ虹伝説の最後を飾るに相応しい圧倒的なスケールの大きさにいつ聴いても心を揺さ振られるこの曲を本人のギターで聴けるとは、この1曲を聴けただけでこのライブに来た甲斐があった。そしてこの曲のソロも原曲のまま、このソロをどうしても弾ける様になりたくて死ぬ程コピーしまくったのを今でもよく覚えている。

 当時、この本はバイブルだった。虹伝説を始め高中の代表曲の完全コピーのTAB譜が網羅されていて片っ端からコピーしまくっていた。

 大学のサークルの卒業ライブでこの曲を演ったのを思い出した。その時はピアノだったがステージでこの曲を聴きながら弾きながら確かに私のひとつの物語が終わるのを感じていたことを思い出した。”君はもう二度とこの場所に戻って来ることはできない”、今日高中の弾くこの曲を聴きながら遠の昔に過ぎ去ってしまったあの頃には二度と戻れないことを改めて認識して寂しさを伴う感動に身を委ねた。今思い返せばあの頃は夢の様だ。でも今日はその夢の続きを観ることができた様な気がする。この先もまだまだ夢の続きを観たい。そんな希望を御年72歳の高中からもらった。You can never come to this place、この曲を死ぬまでに弾ける様になりたい。

 帰宅してSGを並べてしばし眺める。還暦を目前にしてそろそろ楽器も断捨離しなければと思いつつ、でもやっぱりこのSGは売れないな。

 普段はこういうグッズは買わないのにうっかりピックセットを買ってしまった。昔のあの虹色のピックが入っているのではと期待していたがそれはなかった。ちょっとがっかり。

 この歳になっても憧れるギターヒーローが私にはいるということは本当に幸せなことだ。

 ギター、もっと練習しよう。いつの日か、またあの場所に戻れることを夢見て。