2021BRM102四国400/レポート3:ブルベ翌日

 1/4(月)、5時過ぎには目が覚めた。起きなくても良いのにこの時間に目が覚めてしまうのは体内時計の仕業か。でも7時間位は眠れたので頭は割とすっきりしている。取り敢えず身体各所をチェック。まずは下半身にそこそこの疲労感。両膝の痛みは全くないが腰が結構痛い。市街地以外は信号に殆ど引っ掛からず漕ぎっ放しだったのでハンドルを下げたポジションチェンジがモロに影響した格好。あと、冷たい空気でのどの粘膜がやられた様でちょっと痛い。徹夜400km明けだからホテルのチェックアウトギリギリまで寝ることを想定していたけれど、こんなに早く目が覚めるのであればフライトをもっと早くすればよかった。そうすれば連休最終日をもうちょっと長く使えたのに。失敗。

 特にやることもなくベッドの上でうだうだと過ごす。10時になったので起き上がってぼちぼち帰り支度を始める。

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 10:30にホテルをチェックアウト。値段も程々だしバイクは部屋持ち込みOKだったし居心地も良いしスタート地点からも近いので文句無し。次回もまたここに泊まろうかと思う。

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 自走で高松空港に向かう。真っすぐ向かうと15kmちょっとなので1時間かからずに着いてしまうので、途中でちょこちょこと寄り道をするつもり。高松市街を緩々と走る。そこそこ寒いが到着した時よりは緩んでいる感じだ。

 乗る前はそこそこ疲労感だったが走り出してみると案外乗れる。この感じがブルベに順応できているということか。

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 瓦町駅前を通過。何度も言うが43年前とは大違いのビルディングで当時の面影は全くなくなっている。

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 瓦町駅の直ぐ横にある洋食屋のおなじみさん。ここに来るとここのカキフライが好きだった今は亡き親父を思い出す。もしやっていたら昼御飯を食べて行こうかと思ったのだが休みだった。昔懐かしの味が食べられず残念。

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 瓦町駅前の商店街の入口は何となく当時の面影が残っている。

 瓦町駅前を一通り眺めて南下開始。

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 昔住んでいたうちの近くの太田池。当時は池の周囲に木が茂っていたので随分と雰囲気が違う。小学生の時に見ていた時は凄く大きな池に思えたが今見るとやはり小さく見える。

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 太田池のすぐ横の廣田八幡神社。三が日を過ぎて初詣の人はまばら。

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 昔住んでいた家の最寄り駅の太田駅。この駅舎は当時のままで本当に懐かしい。何度見てもタイムスリップした様でハッとする。

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 家のすぐ傍の当時の主たる遊び場だった用水路。ここも当時のまま、というより一気にスケールダウンした感じ。このスケールダウン感がとても不思議な感覚なのだ。上手く言葉で言い表せないのだが実体験したはずの懐かしいイメージが実は別の世界の出来事だったのではないかと思えてくる。

 家の周囲を自転車で回るとあっという間。当時の生活圏が実はとても狭かったことが改めて分かる。

 更に南下開始。

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 太田駅の隣の仏生山駅に立ち寄る。

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 今回は残念ながら琴電に乗る時間はなかったが、取り敢えず懐かしい車両を眺められただけでもそこそこ満足。

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 国道193号から支線に入って空港に向かう。ここから先は登りで距離2kmで100m位登る。普通のサイクリングならばそれ程でもないが輪行だと背中に荷物満載のバックパックを背負っているので尚更だ。

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 真っ直ぐな登りをえっちらおっちら登って行く。真っすぐな登りが視覚的にかなりきつい。

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 空港への最後の400mが勾配10%位あるのではないかと思える位にきつい最後の力を振り絞って踏ん張る。。

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 何とか登り切って空港内に侵入、ホッと一息。

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 12時前に高松空港に到着。今回の高松ライドはこれで終了。直ぐにバイクパッキングを開始する。

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 15分程でバイクパッキング完了。我ながらだいぶ上達したと思う。

 チェックインカウンターで輪行袋をすんなり預け入れて、高松での最後のイベントとなるうどんを食べに行く。

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 空港内のうどん屋さんで前回と同じ肉ぶっかけ大盛りを食べる。ブルベ腹にはちょっと物足りなかったが美味しかった。

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 空腹が満たされて搭乗口に向かう。上手い具合に時間が消化できてそれ程待たずに登場開始。

 そろそろ高松とも御別れだが、今回は余り名残り惜しさはない。1年経たずに訪れたということもあるしまた来る気がするからか。もう高松は遠い思い出の場所ではなくなった気がする。でも、新しい印象が昔の思い出に上書きされていくのはちと寂しい。

 往きの飛行機とは違って搭乗率は80%前後といったところ。帰省戻りラッシュということか。

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 機内のイヤフォンは持ち帰りOKだったのか。最近はこういう感じなのでまさかこれを消毒して再利用するとも思えなかったが、こうやってはっきり書いておいてもらえると堂々と持ち帰ることができる。

 定刻通りに離陸、機上の人となる。

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 ANAの機内安全説明ビデオが歌舞伎仕立てで面白い。航空会社各社でそれぞれ工夫を凝らしているので比べてみると面白い。私的に面白いと思ったのがカタール航空に乗った時に見たACバルセロナの選手達が出ていたビデオ。

 高松は本当に近い。飛び上がったと思って機内サービスの飲み物を飲んだと思ったらもう降下開始、1時間ちょっとであっという間に羽田に到着。

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 定刻通りに14:50に羽田空港に到着、往きと同じくバスで移動。

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 手荷物受取で時間がかかるので15:10のリムジンバスは無理かな。

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 と、思ったらあっという間に出てきたのでこれはもしかしたら間に合うかもと急いでチケット売り場に行ったら15:10発のチケットが買えた。急いで乗り場に向かう。

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 遅滞無く行動して15:10発の所沢行きに首尾良く乗車することができた。

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 高速は殆ど混んでおらずすんなり進んで定刻前の16:30に所沢駅に到着。その場で輪行解除して自走で自宅に向かう。

 17:10に帰着、これにて今回の四国遠征は無事に終了した。

 

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 私的にはブルベの中で400kmが最も苦手で、夜スタートも苦手、しかも真冬の開催とシビアな条件が揃った今回の四国400、SRと全県制覇というタイトルがかかっていなければまずエントリーすることはなかったと思うブルベだったが、実際走ってみて事前に覚悟していた程のシビアさは無かったというのが正直な感想だ。想定していたよりは寒さが厳しかったものの今回の装備で何とか凌ぐことができたし、夜スタートもそれ程苦にならなかった。何よりコースが抜群に良かった。復路の徳島市街を除けば交通量も信号も少ないルートが大半で非常に走り易くペースキープがやり易く抑えめで走っても私的に目安としている巡航20km/hを充分に計算できた。キューシートの行数32行は伊達ではなく完走時間も私の脚でも20時間を切れたことを考えれば、北海道に匹敵する程の走り易いコースだったと思う。アップダウンは確かにあったがトンネルも多くそれ程苦になるものではなかったし、STRAVAの実測データでは獲得標高2173mでRWGPSの半分程度だった。 正月三が日で室戸岬でちょうど日の出を眺められたというのもなかなかに印象的な出来事だったし、天気が良かったというのは季節を考えても本当に良かった。

 22時スタートは最初はきついだろうと思ったが、スタート前の夕方に3時間位うまく仮眠ができれば徹夜で走っても眠気は全くなかったしゴールした後に平常時の就寝時間で寝ることができるので生活サイクルを壊すことがないので、実は400kmブルベの理想形なのではないかという気がしてきている。

 また、前回の四国200の時にも述べたが高松スタートは高松空港からの自走アクセスが非常に便利なので遠征先としては非常にポイントが高い。

 総じて、この四国400は私的に苦手な400kmの中でも非常に走り易いコースの一つとして強く記憶されることとなった。もうこの先の人生で少なくとも400kmは走り易いコースしか選ばないつもりだが、このコースはその選択肢の中に確実に入って来るだろう。もしできれば、もう少し暖かくなった頃に開催してもらえると有難いと思う。 

 

 そして、このブルベの感想をもって2021年度のSRを確定させることができ、高知県を走ってブルベ全県制覇を達成することができた。SRについては去年かなり苦労したし、まだコロナ禍が長引くことは充分に予測で来ていたので早めのスケジューリングに徹したことが結果的に奏功したと思う。取り敢えずはこの後のブルベを落ち着いて走ることができるのは良かった。

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 そして全県制覇。ブルベというより自転車走行全県制覇は私的に非常に達成感のある挑戦だった。ブルベを始める遥か前、小中学生の頃に趣味としての自転車に目覚めた頃に日本縦断や全国制覇を漠然とした夢に描いていたのだが、まさか本当に自分にできるとは全く思っていなかった。私的にはちょっと大きなことを成し遂げたというそこそこ大きな達成感がある。そして、小さい頃に夢見ていたことを実際にやり遂げる人間になれたのは我ながらちょっと誇らしい。子供の頃の自分に今の自分を見せびらかしたい心境だ。

 今回の四国遠征が完走そのものは勿論、2つのタイトルを目論み通りクリアできたことでとても意義のあるものとなったことは本当に良かった。いずれまた四国を訪れたいと思う。

 

 さて、次回のブルベだが既に周知の通り地域限定ではあるが1/7に緊急事態宣言が再発令されたことを受け、私的にはブルベを走れる状況では全くなくなったと判断し、エントリーしていたBRM109東京200をDNSし更には我がオダ埼清水班もBRM117埼玉200の延期を決め、次のブルベは未定ということになっている。今般の緊急事態宣言は感染拡大防止に加え医療崩壊を防ぐという目的が明確に謳われており、事実首都圏は去年の緊急事態宣言の時より更に厳しい医療逼迫状況となっている。感染防止もさることながらこの医療逼迫を重視し埼玉県が明確に緊急事態宣言の対象に含まれていることを受けて開催延期を決めたことについて参加予定の皆様の御理解が得られれば幸いだ。

 以下はオダックス埼玉の公式見解ということではなく、あくまで私見として御読み頂ければと思う。

 個人の判断で200kmをサイクリングするのと、社会法人格の団体が付加価値を付けて200kmサイクリングの機会を提供し広く社会に募集をするというのは次元の違う話だ。例えばサイクリングイベント1回の開催で1000人が出走しその内10人が交通事故に遭いその内4人が入院し1人が受け入れ先が見つからず死亡するという状況を主催者として想定できるか。想定できたとして現下の医療機関圧迫の状況で4人が緊急医療4床を占有し1人が緊急医療不足で死亡する事態を是認できるか、という判断だ。私の主催者としての大雑把な印象としては毎回の自団体ブルベで50~100人を送り出し1人2人の落車DNFは発生しているし、2,3回に1回は車との接触事故や救急搬送が発生している。私自身も参加者が収容された病院に行ったり警察の事故処理に立ち会ったことが何度かある。要するにブルベ中の事故はレアケースでは全くないということだ。事実、1/7に緊急事態宣言が出された後に開催されたブルベで救急搬送を伴う事故が発生している。我々はこの事実を重く受け止める必要があるのではないかと強く思う。

 ブルベのポリシーの中で謳われている自己責任とは主に主催者と参加者との関係において用いられるものだが、社会との関係においては完全な自己責任による完結は存在しないということを我々はまずきちんと認識しておく必要があると思う。社会の理解と許容範囲があって初めてブルベというイベントを行うことの権利主張ができるわけで、社会がその余裕を失っていると明確にアラートを上げている中で我々が強硬に権利主張をし実際に社会にダメージを与えてしまうことになれば、我々は極端な言い方をすれば反社会的集団と見做され、以降の活動に重大な禍根を残すことになるかも知れない。その意味においても社会の要請に対して模範的に行動することは重要なことだと考える。災害等の非常事態で組織が判断を個々人に委ねると多くの人間が迷い積極論と慎重論の対立を招き混乱する(事実ツイッター等でそういう状況が垣間見られる)。だから組織が慎重論に基く総体的な判断を下すべきだと私的には思う。その最たるものが緊急事態宣言そのものなのだ。

 

 コロナ禍はまだしばらく続く。緊急事態宣言も恐らく1か月では解除できないだろうと思う。ブルベには厳しい状況がまだまだ続くが、こればかりは待つしかないし待てば必ずいつかは終わる。走るのが辛くても脚を止めなければいつかは必ずゴールに辿り着くというブルベの精神と同じ。ブルベが走れなければ他にやることは幾らでもあるし、悪条件を嘆いている暇はない。状況を常に悲観的に見積もってその中で最善の選択を模索しつつ気楽に生きる。良い時も悪い時もペースを変えずに淡々と生きるだけだ。